コリン・ファース主演の映画「英国王のスピーチ」をWOWOWで観た。
現在の英国エリザベス女王の父にあたるジョージ6世は、幼い頃から吃音で悩まされていたが、オーストラリア出身でスピーチ矯正の専門家であるライオネルの助けをかりながら克服し、真の国王へと成長していく物語。
第83回(2010年)アカデミー賞 作品賞、主演男優賞、監督賞、脚本賞 受賞作品。

【満足度 評価】:★★★★☆
人は、心の底から信じてくれる人が1人でもいたら、恐怖や不安に立ち向かうことができるということを教えてくれる物語だった。
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本ページの情報は2019年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
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◆DVDで観る:「英国王のスピーチ」
…(「メリー・ポピンズ リターンズ」、「マンマ・ミーア!ヒア・ウィーゴー」、「キングスマン:ゴールデンサークル」、「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」、「キングスマン」、「リピーテッド」、「マジック・イン・ムーンライト」、「デビルズ・ノット」、「レイルウェイ 運命の旅路」、「真珠の耳飾りの少女」、「裏切りのサーカス」など)
〇ジェフリー・ラッシュ
…(「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」、「鑑定士と顔のない依頼人」、「やさしい本泥棒」、「シャイン」など)
〇ヘレナ・ボナム・カーター
…(「オーシャンズ8」、「未来を花束にして」、「レ・ミゼラブル」、「シンデレラ」、「天才スピヴェット」、「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」など)
〇ティモシー・スポール
…(「輝ける人生」、「否定と肯定」など)
〇デレク・ジャコビ
〇ジェニファー・イーリー
〇マイケル・ガンボン
…(「ヴィクトリア女王 最期の秘密」、「英国総督 最後の家」、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」など)
…(「リリーのすべて」、「レ・ミゼラブル」など)
2010年製作、イギリス、オーストラリア合作映画
英国王室の次男ジョージ(コリン・ファース)は、幼い頃から吃音に悩まされていた。
彼が公式行事に出席する機会が増えるにつれ、スピーチをする機会が増えるが、いつもうまく話すことができず、失意の中、行事を終える日々だった。
彼の助けになりたいと考えた妻(ヘレナ・ボナム・カーター)が、ジョージに紹介したのは、オーストラリアから来たスピーチ矯正の専門家ライオネル・ローグ(ジェフリー・ラッシュ)だったのだが…。
英国王は普通の人だった。
私たちと同じく自分の欠点に悩み、不安や恐怖に怯える人だった。
それが、私にはとても衝撃的だった。
王族のように、幼い頃から人目にされされて生きている人は、人前で話すこと何でもないんだろうなぁと勝手に思っていた。
まさか、スピーチ原稿をもらって、絶望的な気分になっているなんて思ってもみなかった。
この映画はその「英国王もただの人だ」と描いたところが素晴らしく、また、彼が「吃音という欠点」を克服していく姿に勇気づけられる作品だった。

ジョージ6世が幼い頃から悩んでいた「吃音」。
彼は、ライオネルと出会うことで、その悩みを克服していく。
それまで、どんな先生についても治らず、本人も諦めかけていたのに。
ではライオネルは、他の先生と何が違ったのか。
私が思ったのは、ジョージ6世(愛称:バーティ)とライオネルの心の距離近いというのが、吃音の克服を助けた理由なのではないかと思った。
ライオネルは、王族だろうと気にせずに彼をファーストネームで呼び、放送禁止用語を叫ばせ、バーティが心のありのままを吐き出すことにに注力する。
そうして見えてきた、家族の中での権力闘争。
幼い頃に受けた乳母からの虐待。
父からの威圧的なプレッシャー。
それがいつの間にか、彼から自信と力を失わせていた。
バーティの心の奥底を見たライオネルは、バーティに自信を持たせるように導いていく。

吃音を治すために技術的なことを強制するわけではなく(最初に出てきたビー玉の先生はひどかった(笑))、その心と心の距離を近づけていくこと、その過程が素晴らしいなぁと思った。
「宮殿で治療してくれ」という願いを聞かず、「ファーストネームで呼び合う」ことを押し通し、私的な会話は禁止なのにも関わらず「どんな家庭で育ったのか」にこだわる。
しかし、そうした荒療治があったからこそ、バーティは少しずつ心を開き、ライオネルを信頼し、少しずつ自信を取り戻していく。
目の前に信じてくれる人がいれば、人は強くなれる。
心が少しでも強くなれば、きっと弱点も克服できる。
そう思える映画だった。

主人公のジョージ6世を演じたのは、コリン・ファース。
一見落ち着いて見えるジョージも、実は癇癪持ちで心の奥底に様々な怒りを抱えて生きていたことが、話が進むにつれ明らかになる。
何よりもすごいのは、吃音をわざとらしくなく、自然に、本当に昔からそうだったように演じているところ。
あの素晴らしさはなんなんだろう。
そして、その鈍感そうに見えて実は繊細、堂々としていそうに見えて、本当はガラスのハートの持ち主というジョージを本当に見事に演じていた。
この映画を見ているうちに、とても不器用なバーティを好きになってしまった。
どんな役を与えられても、その役になりきった上で、コリン・ファースらしさは失わない。
彼らしいジョージ6世だった。

そして、バーティを助けるライオネルを演じたのは、ジェフリー・ラッシュ。
「オーストラリアから来た田舎者」を本当にオーストラリアから来た俳優が演じるんだぁっていうのが、面白かった。
今回のジェフリー・ラッシュは、飄々としながら、スルッとバーティの心の中に入っていくライオネルがとても素敵だった。
ライオネルがいなかったら、バーティは、吃音を克服することができなかった。
そう思える人だった。

監督はトム・フーパー。
あらゆる人に等しく優しい。
今後も、どんな作品を作っていくのか、とても興味がわいてくる。

ラストのスピーチは、まるで私がバーティの恋人になったかなのような気分で観ていた。
思わず手を握ってあげてしまいたくなる衝動が…(笑)
しかし、そのスピーチは、国王から国民へ「第二次世界大戦の開戦」を伝えるものだった。
決して心が温かくなるスピーチではないのに、なんだか、とても温かい気持ちになって、拍手したくなってしまうのが、この映画の素晴らしさのように思う。
人を肩書きや、役職で判断せず、表面的な文字ずらに惑わされず、そこに描かれている心を見る。
長いスピーチを無事に終了させ、録音ルームから出てきたバーティは、見事に終えたからなのかドヤ顔で、いつもより少し胸がはっていて、自信に満ち溢れていた。
それは、誰よりも国民に愛される国王の誕生の瞬間だった。
人が心を割って話し合い、友情が生まれ、その友情が人を強くする。
私も、そんな人付き合いがしたい。
本当に素晴らしい映画に出会えたと思った。
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現在の英国エリザベス女王の父にあたるジョージ6世は、幼い頃から吃音で悩まされていたが、オーストラリア出身でスピーチ矯正の専門家であるライオネルの助けをかりながら克服し、真の国王へと成長していく物語。
第83回(2010年)アカデミー賞 作品賞、主演男優賞、監督賞、脚本賞 受賞作品。

【満足度 評価】:★★★★☆
人は、心の底から信じてくれる人が1人でもいたら、恐怖や不安に立ち向かうことができるということを教えてくれる物語だった。
目次
「英国王のスピーチ」予告編 動画
(原題:THE KING'S SPEECH)更新履歴・公開、販売情報
・2016年5月16日 WOWOWで観た感想を掲載。
・2019年10月15日 「映画天国」での放送に合わせて加筆・修正。
現在、DVD、ネット配信、共に販売中。
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キャスト&スタッフ
出演者
〇コリン・ファース…(「メリー・ポピンズ リターンズ」、「マンマ・ミーア!ヒア・ウィーゴー」、「キングスマン:ゴールデンサークル」、「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」、「キングスマン」、「リピーテッド」、「マジック・イン・ムーンライト」、「デビルズ・ノット」、「レイルウェイ 運命の旅路」、「真珠の耳飾りの少女」、「裏切りのサーカス」など)
〇ジェフリー・ラッシュ
…(「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」、「鑑定士と顔のない依頼人」、「やさしい本泥棒」、「シャイン」など)
〇ヘレナ・ボナム・カーター
…(「オーシャンズ8」、「未来を花束にして」、「レ・ミゼラブル」、「シンデレラ」、「天才スピヴェット」、「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」など)
…(「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」など)
〇ティモシー・スポール
…(「輝ける人生」、「否定と肯定」など)
〇デレク・ジャコビ
〇ジェニファー・イーリー
〇マイケル・ガンボン
…(「ヴィクトリア女王 最期の秘密」、「英国総督 最後の家」、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」など)
監督
〇トム・フーパー…(「リリーのすべて」、「レ・ミゼラブル」など)
2010年製作、イギリス、オーストラリア合作映画
あらすじ
英国王室の次男ジョージ(コリン・ファース)は、幼い頃から吃音に悩まされていた。
彼が公式行事に出席する機会が増えるにつれ、スピーチをする機会が増えるが、いつもうまく話すことができず、失意の中、行事を終える日々だった。
彼の助けになりたいと考えた妻(ヘレナ・ボナム・カーター)が、ジョージに紹介したのは、オーストラリアから来たスピーチ矯正の専門家ライオネル・ローグ(ジェフリー・ラッシュ)だったのだが…。
感想(ネタバレあり)
英国王もただの人
英国王は普通の人だった。
私たちと同じく自分の欠点に悩み、不安や恐怖に怯える人だった。
それが、私にはとても衝撃的だった。
王族のように、幼い頃から人目にされされて生きている人は、人前で話すこと何でもないんだろうなぁと勝手に思っていた。
まさか、スピーチ原稿をもらって、絶望的な気分になっているなんて思ってもみなかった。
この映画はその「英国王もただの人だ」と描いたところが素晴らしく、また、彼が「吃音という欠点」を克服していく姿に勇気づけられる作品だった。

心と心の距離を近づけるのが治療法
ジョージ6世が幼い頃から悩んでいた「吃音」。
彼は、ライオネルと出会うことで、その悩みを克服していく。
それまで、どんな先生についても治らず、本人も諦めかけていたのに。
ではライオネルは、他の先生と何が違ったのか。
私が思ったのは、ジョージ6世(愛称:バーティ)とライオネルの心の距離近いというのが、吃音の克服を助けた理由なのではないかと思った。
ライオネルは、王族だろうと気にせずに彼をファーストネームで呼び、放送禁止用語を叫ばせ、バーティが心のありのままを吐き出すことにに注力する。
そうして見えてきた、家族の中での権力闘争。
幼い頃に受けた乳母からの虐待。
父からの威圧的なプレッシャー。
それがいつの間にか、彼から自信と力を失わせていた。
バーティの心の奥底を見たライオネルは、バーティに自信を持たせるように導いていく。

目の前に信じてくれる人がいれば、人は強くなれる
吃音を治すために技術的なことを強制するわけではなく(最初に出てきたビー玉の先生はひどかった(笑))、その心と心の距離を近づけていくこと、その過程が素晴らしいなぁと思った。
「宮殿で治療してくれ」という願いを聞かず、「ファーストネームで呼び合う」ことを押し通し、私的な会話は禁止なのにも関わらず「どんな家庭で育ったのか」にこだわる。
しかし、そうした荒療治があったからこそ、バーティは少しずつ心を開き、ライオネルを信頼し、少しずつ自信を取り戻していく。
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心が少しでも強くなれば、きっと弱点も克服できる。
そう思える映画だった。

出演者はコリン・ファースとジェフリー・ラッシュ
主人公のジョージ6世を演じたのは、コリン・ファース。
一見落ち着いて見えるジョージも、実は癇癪持ちで心の奥底に様々な怒りを抱えて生きていたことが、話が進むにつれ明らかになる。
何よりもすごいのは、吃音をわざとらしくなく、自然に、本当に昔からそうだったように演じているところ。
あの素晴らしさはなんなんだろう。
そして、その鈍感そうに見えて実は繊細、堂々としていそうに見えて、本当はガラスのハートの持ち主というジョージを本当に見事に演じていた。
この映画を見ているうちに、とても不器用なバーティを好きになってしまった。
どんな役を与えられても、その役になりきった上で、コリン・ファースらしさは失わない。
彼らしいジョージ6世だった。

そして、バーティを助けるライオネルを演じたのは、ジェフリー・ラッシュ。
「オーストラリアから来た田舎者」を本当にオーストラリアから来た俳優が演じるんだぁっていうのが、面白かった。
今回のジェフリー・ラッシュは、飄々としながら、スルッとバーティの心の中に入っていくライオネルがとても素敵だった。
ライオネルがいなかったら、バーティは、吃音を克服することができなかった。
そう思える人だった。

監督は「レ・ミゼラブル」「リリーのすべて」のトム・フーパー
監督はトム・フーパー。
あらゆる人に等しく優しい。
今後も、どんな作品を作っていくのか、とても興味がわいてくる。

第二次大戦の開戦宣言が心温かく見えるマジック
ラストのスピーチは、まるで私がバーティの恋人になったかなのような気分で観ていた。
思わず手を握ってあげてしまいたくなる衝動が…(笑)
しかし、そのスピーチは、国王から国民へ「第二次世界大戦の開戦」を伝えるものだった。
決して心が温かくなるスピーチではないのに、なんだか、とても温かい気持ちになって、拍手したくなってしまうのが、この映画の素晴らしさのように思う。
人を肩書きや、役職で判断せず、表面的な文字ずらに惑わされず、そこに描かれている心を見る。
長いスピーチを無事に終了させ、録音ルームから出てきたバーティは、見事に終えたからなのかドヤ顔で、いつもより少し胸がはっていて、自信に満ち溢れていた。
それは、誰よりも国民に愛される国王の誕生の瞬間だった。
人が心を割って話し合い、友情が生まれ、その友情が人を強くする。
私も、そんな人付き合いがしたい。
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コメント
コメント一覧 (2)
王室の方々だって同じ人間なのに、公務を担うというレールがしかれ、自分の考えを自由に述べる権利、職業選択の自由、プライバシー、海外に移住する自由など、民間人が当たり前にもっている自由、つまり人権もないし、この映画のジョージ6世も世襲制では避けられない運命で本人はイヤだったのに国王になり、吃音の克服という大きなストレスのかかる課題が課せられたので、かわいそうです。こんな制度早く撤廃されてほしいと思いました。
もちろん私は日本の天皇制にも反対です。戦前まであった華族・士族も廃止されたことだし、カースト制度のあるインドでさえも憲法でカーストによる差別を禁止し、君主制ではなく共和制をとっているんだから、イギリスや日本も君主制を廃止して、イタリアとかフランスとか台湾と同じように国民が大統領を選ぶ共和国になるべきだと思います。日本の天皇は生前退位しますが、退位が認められても皇位継承順位1位の方は人生の中で天皇としての道を通らなければならないので、人権や法の下の平等との矛盾は消えません。なので、退位後は皇太子に譲位せず天皇制を廃止するのがベストだと思います。
国民投票で王制を廃止し共和制に移行したギリシャのように、日本やイギリスでも君主制の是非を問う国民投票を実施すべきだと思います。
コメントありがとうございます。
この映画から、王制や天皇制の廃止までは思いつかなかったので、すぐるさんのご意見をとても興味深く拝見しました。
確かに、王位継承者や皇位継承者は人生の選択の自由がないので、とても気の毒だと思います。
私は、「王室や皇室を今すぐ廃止せよ」とまでは思いません。
それは、王室や皇室を心の拠り所にして生活している人々がいる以上、彼らのような方たちの存在も必要なのではと思うからです。
ただ、すぐるさんもおっしゃっているように、存在の是非を問う国民投票はやるべきと思います。
それに、イギリスの王室以上に、日本の皇室は自由がない印象があるので、もっと皇室は風通しをよくしても良いと思います。
王制廃止や、皇室廃止について、あまり考えたことがなかったので、良い機会になりました。
ありがとうございます。
是非、また遊びに来てください。