「レゴバットマン ザ・ムービー」を映画館で観た。

バットマンはなぜいつも一人なのか。ジョーカーとの関係性など、DC映画による「バットマン」をパロディにしたアニメーション映画。

4月19日 「ザ・エージェント」についての感想を追記しました。


満足度 評価】:★★★★☆

笑えるところ満載で面白かった!!

バットマンを1人の人間としてとらえ、彼の内面をガッツリえぐり出した作品

DC映画でありながら随所にマーベル映画を意識した作品作りになっていて、これはDCによる打倒マーベル映画なんだと思った。


「レゴバットマン ザ・ムービー」予告編 動画

(原題:THE LEGO BATMAN MOVIE)




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キャスト&スタッフ


出演者

ウィル・アーネット
…(「ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>」など)


〇マイケル・セラ

ロザリオ・ドーソン
…(「白い沈黙」、「イーグル・アイ」、ドラマシリーズ「デアデビル」、「ジェシカ・ジョーンズ」、「ルーク・ケイジ」、「アイアン・フィスト」、「ディフェンダーズ」など)

レイフ・ファインズ
…(「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」(声の出演)、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」、「007」シリーズ(M)、「グランド・ブダペスト・ホテル」など)

監督

〇クリス・マッケイ

2017年制作 アメリカ映画

レゴバットマンザ・ムービー

あらすじ


今日も悪者と戦うバットマン(ウィル・アーネット)は執事のアルフレッド(レイフ・ファインズ)から家族を持つように勧められる。

しかし、誰かと共に生活することに恐怖を感じるバットマン…。

そんな中、孤児院で暮らすロビン(マイケル・セラ)が彼の豪邸に紛れ込んでしまい、バットマンはロビンの扱いに困り混乱してしまう。

さらに、ジョーカー(ザック・ガリフィナーキス)が宇宙の悪者を地球に放してしまいバットマンはロビンを連れ、悪者退治へと向かうが…。


レゴバットマンザ・ムービー4

感想(ネタバレあり)


たくさん笑わせて、じっくりと考えさせる作品


アメコミDCコミックの「バットマン」や「マン・オブ・スティール」(スーパーマン)の映画を世に送り出すDC映画による「バットマン」のパロディ映画。

子供向け映画と思いきや、ガッツリ大人向け作品になっていた



実写版の映画の中でも、広い豪邸の中で1人ポツンと鉄棒にぶら下がって過ごしているバットマン。

なぜ、彼は大富豪でありながら、そんなにも孤独を愛するのか。

彼のトラウマである「家族」に対する心の闇を描いた作品である



とはいえ、もちろんパロディ映画なので、笑い満載で、ゲラゲラ笑いながら観られる楽しい映画である。

言われてみれば、確かに、彼はいつも一人ぼっち。

孤独を愛する男として人に表情すらも見せない。



ここでは、これまで当たり前だと思っていた「だってそれがバットマンだから」という定番のお約束に対してメスを入れて向き合っている。

これは、DC映画による自社映画への反省と総括のような作品でもある



レゴバットマンザ・ムービー3



バットマンの欠点「コミュ障」と「家族への恐怖心」にスポットを当てる


バットマンは、ゴッサムシティの住民たちから「ヒーロー」だと言われ、愛されているわりに、人とうまく接するすることができない



「ダークナイト」でバットマンと善と悪の表裏一体として登場するジョーカーや、彼を慕う孤児のロビンとうまく距離を保って接することができない。

そんなバットマンを観ていると、彼は「コミュ障なのか??」という疑問がわいてくる



しかし、「人とうまく接することができないことや、つい人を拒絶してしまうこと」について、バットマンにはバットマンなりの理由がある。

それは、「家族を殺された」というトラウマからくる「家族を持つことへの恐怖」

家族を失う怖さを痛い程よく分かっているから、彼は誰とも親しくできず、家族を持つこともできない。

だから、ロビンともうまく接することができない。



これは、今まで「バットマン」映画で描かれなかったバットマンの心の闇の部分

彼にとって、唯一許せるのは、執事のアルフレッド。

なぜなら、彼は子供の頃から彼を知っていて、既に家族のような存在だから。



ということは、彼は子供の頃から、アルフレッド以外に本当に心を許せる人に出会っていないということ。

それで、「あなたはゴッサムシティを悪者から救ってヒーロー」と言われているけど、そんな私生活で本当に幸せなの??と、この映画はバットマンに問いかけている



レゴバットマンザ・ムービー2



マーベルに比べてDCが劣っているところとは…


最近のアメコミヒーロー映画では、「バットマン」や「スーパーマン」のDC映画よりも、「アベンジャーズ」のマーベル映画の方が評価も人気も高い。



では、DCとマーベルの間にある大きな違いはなんだろうか

それは、「キャラクターの内面の描き方」にある

「バットマン」や「スーパーマン」は、絵に描いたようなヒーロー像をそのまま具現化している。

孤独な富豪のバットマンや、人間に恋した宇宙人のスーパーマンなど。

それらは、誰もが知っているヒーローの姿そのままである。



それに比べてマーベルのヒーローたちはもっと人間臭い

それぞれに主義主張があり、意見を対立させながらも互いを尊重し、力を合わせて地球の平和に導こうとしている。



また、彼ら自身も決して完璧ではなく、時には失敗することもあるし、欠点もある。

誰もが持つ欠点をヒーローたちが持つことで、観客は彼らに共感し、物語にのめり込んでいく。

DCとマーベルでは、その「内面の描き方」に大きな違いがあると思う



そこで、そのことに気付いたDC映画はこの「レゴバットマン ザ・ムービー」の中で、これまで描いてこなかった「バットマン」の内面にスポットを当てることとなった。

これが、アニメの中だけでなく、実写版でできたら、もっと内容の濃い「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」ができたと思うのだが。



バットマンザ・ムービー5



打倒!マーベル映画!!


アメコミ映画界ではマーベルに後れを取ったDC映画のマーベルに対する思いが、この映画のラストシーンでバットマンご一行が家に帰ってきた時の門を開ける合言葉「アイアンマンくそくらえ!!」に現れている。

DC映画にとって、この映画は「打倒!マーベル映画」なのだ



そこに気付いただけでも良いととるか、マーベルへの道はまだまだ遠いとみるか。

私は、この映画のバットマンが好きだったなぁ。

寂しいのに、素直に寂しいと言えず、手伝って欲しいのに、手伝ってくれと言えない。

そんなちょっとめんどくさい性格のバットマンが好きだった



そして、彼のバディ(?)のような存在のジョーカーもバットマンにかまって欲しいかまってちゃんみたいで可愛かった

まぁ、ここまで実写版でくだけろとは言わないけど、確かに、もうちょっと内面に普通の人でも共感できるようなところがあっても良いと思う。

大富豪と完璧な宇宙人じゃ、共感ポイントがないもんねぇ(笑)



そうやって考えると、この映画はDC映画でありながら、DCに対しとても良いことを提案しているように思う。

これで、DC映画の内容が変わったら、面白いんだけどな…。

(追記:「ジャスティス・リーグ」を観て、ヒーローたちがみんな「友達が欲しいヒーローたち」として描かれていたのは、この映画があったから??



【4月19日 「ザ・エージェント」感想 追記

「君が僕を完璧にする」に憧れるバットマン


この「レゴバットマン ザ・ムービー」を観ていると、映画の冒頭とラストにトム・クルーズとレニー・ゼルウィガーが共演している映画が登場する。

映画ファンの方ならご存じの方も多いと思う。

トム・クルーズ主演の映画「ザ・エージェント」である。



私も観た瞬間、「あ、『ザ・エージェント』だ」と思ったものの、内容をすっかり忘れていて、なぜ、この「レゴバットマン ザ・ムービー」に登場するのかイマイチピンと来なかった。

あぁ久しぶりに観たいなぁと思っていた時、ありがたいことにWOWOWで「ザ・エージェント」が放送されていたので、観てみた。



ザ・エージェント」は、スポーツエージェント、ジェリー・マグワイア(トム・クルーズ)の物語。

彼は、大手スポーツエージェント事務所に所属しているが、事務所の方針に不満があり、構造改革の提案書を書くが却下されるどころか、クビになってしまう。



その後、仕事だけではなく、恋人も失ってしまった彼は、一流のビジネスマンになるには家族の支えが必要であると悟る。

心が空っぽの人間は、頭も空っぽで、成功した人生を送れない」というメッセージの込められた映画だった。

「レゴバットマン ザ・ムービー」では、バットマンがこの映画が大好きで何度も観ている。



特に、ラストシーンでトム・クルーズがレニー・ゼルウィガーに向かって「君が僕を完璧にする」と言う場面がお気に入り。

バットマンは常に1人で戦い、ゴッサムシティの住民たちからヒーローと言われていながら、実は孤独。

そのため、仕事に集中するあまり家族を失ってしまうという「ザ・エージェント」に共感しているのだ。



しかし、この映画の中で仲間たちが増え、心が満たされて、最後にみんなで観ながら、やっぱり「ザ・エージェント」だよね。

と納得して終了するのだ。

心を許しあえる仲間や家族がいてこそ、「ヒーロー」という仕事はうまくいくのだ



ザ・エージェント7

「内面を重視した作品作り」を提案する「レゴバットマン」


そして、私はこの「ザ・エージェント」にはもう一つの意味が込められていると思った。

トム・クルーズは、自分が所属している事務所に「金儲け主義に走らず、クライアントを減らし、1人1人のクライアントにもっと充実したケアをしよう」という構造改革を提案してクビになっている。



「レゴバットマン ザ・ムービー」は、「ザ・エージェント」の映像を入れることで、DC映画への構造改革の提案をしているのではと思った

マーベル映画のように、もっと内面の描写を重視した作品作りをしようではないかという提案



人気キャラクターとスター俳優ばかり集めて金儲け主義に走っていても、マーベルには追いつけない。

DC映画も、もっと「人間の内面を重視した作品作り」を目指すべきなのではと提案し、実際、この映画の中でこれまで描かれなかったバットマンの裏の顔を描いている。

それが、マーベルとの戦いで生き残ってく道だと言っているように。

レゴバットマンは「Show me the money!!」とDCに向かって叫びたいのかもしれない…。





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