シン・ヒョンビン主演の韓国映画「名もなき復讐」をWOWOWで観た。

高校時代は射撃の選手だった女性が、事故に遭い言語障害になり、そのうえ、強姦(レイプ)被害に遭ってしまい、加害者へ復讐する物語。


満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

辛くて胸が締め付けられるようなサスペンス映画だった。

「名もなき復讐」予告編 動画

(原題:어떤살인)




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キャスト&スタッフ


出演者

〇シン・ヒョンビン

〇ユン・ソイ

〇キム・ヒョク

アン・セハ
…(スウィンダラーズ」、ワンライン/5人の詐欺師たち」、「あなた、そこにいてくれますか」など)

監督・脚本

〇アン・ヨンフン

2015年制作 韓国映画

韓国映画「名もなき復讐」

あらすじ


女子高生のチェ・ジウン(シン・ヒョンビン)は、射撃の代表選手であり、活発で明るい少女だ。

しかし、両親と乗った車が交通事故に遭い、両親は死亡、ジウンの命は助かったものの言語障害になってしまう。

それから10年。

繊維工場で働くジウンだったが、自宅に帰宅する帰り道でチンピラ3人組に強姦(レイプ)されてしまう。

その後、身体を引きずりながら警察に駆込み、男性刑事に被害にあったことを話しても親身になってもらえない。

辛い気持ちのまま家に帰宅すると、レイプ犯の1人がジウンの家で彼女の帰りを待っていた…。

韓国映画「名もなき復讐」


感想(ネタバレあり)


強姦(レイプ)被害者が観た世界


この映画は強姦(レイプ)被害に遭った女性たちと、日頃から性犯罪の危険にさらされている女性たちの物語である。

映画を観ていると、どこからも抜け出せない悲しみの沼へ引きずり降ろされたような感覚になる。

できることなら、こちらから手を伸ばして助けてあげたいのに、もちろんそんなことができるわけもない。

最初から最後まで、物語は主人公のジウンから観た一人称で語られ、映画を観ていると、「世の中にいる全ての男は敵」に見えてくる。

特に、日々何事もなく、平和に毎日暮らしている人の感覚で観ると、それはあまりにも極端な気がしてしまうし、もっと良心的な人たちもいるだろうと思うかもしれないが、実際には、それこそが「強姦(レイプ)被害者から観た世界」なんだと感じた。

どんなに優しく話しかけたところで、「そうやって言葉巧みに近づいて、私に何かしようとしているに違いない」という被害妄想から抜け出すことができない。

これは、肉体的な被害はもちろん、それよりも深刻な精神的な被害について告発する映画である。

そんな彼女に対し、もっと前を向けとか、ポジティブに生きろというのは、あまりにも酷であり、彼女の心の闇を感じ取ることで強姦(レイプ)の恐ろしさを知ることしかできない。


韓国映画「名もなき復讐」



性犯罪の発生率が高い韓国社会


なぜ、この救いや希望を感じることができない映画が作られたのか。

それは、韓国社会の現状に理由がありそうだ。

韓国では、世界でもトップクラスのレイプ犯罪多発国である。

今から10年前、2007年の調査では、人口10万人あたりのレイプ件数がアメリカの2倍、日本の10倍だという。
Wikipedia 「強姦」より)

日頃から、韓国映画やドラマを観ていても、割と性について軽く考えているような描写がたまに見られる。

例えば、この映画の中でも、ジウンの親友が昇進したくて上司と寝てしまい、また、それが彼氏にバレてボコボコに殴られるという場面がある。

昇進のために上司と寝てしまう女性やDV男は、韓国だけでなくどの国でも見られる話だ。

社内不倫や、社内恋愛の結果、優遇された女性たちは私の身近にも何人もいた。

また、この映画に登場する他の女性はその上司に気に入られるためにドラッグを渡したり、上司が気に入りそうな女性をあてがったりしている。

女性の敵は、女性の中にもいるのだ。

この映画の背景には、韓国社会にある男尊女卑の部分、強姦(レイプ)事件が多かったり、まだまだセクハラが横行していたりなどの韓国ならではの社会的な事情がある。


韓国映画「名もなき復讐」



警察の対応が被害者を泣き寝入りさせてしまう要因の1つ


主人公のジウンは、あまりにも不幸な女性である。

高校時代こそ、射撃の代表選手だったが、交通事故で両親を失い、彼女自身は言語障害になってしまう。

そして、強姦(レイプ)という悲劇が彼女に襲いかかる。

さらに、彼女を不幸にしたのは、その後の警察の対応だった。

女性と強姦(レイプ)被害に対する無理解。

本当だったら、すぐに病院に連れて行くべきだったのに、それもしない。

そうして彼女は泣き寝入りをするのみ…。

前述のWikipedia 「強姦」によれば、起訴率の低さが事件を招く要因の一つになっているのだとか。

確かに、この映画に描かれている警察の対応を観ていると、起訴しよう、告発しようという気にはなれない。

これはたまたまジウンが対応の悪い人に当たってしまったのか、それとも、韓国の警察にはこういうタイプが多いのか…。

その警察の対応もまた、この映画が問題提起することの1つなんだと思った。


韓国映画「名もなき復讐」



性犯罪の被害者たちの希望はどこにあるのか


しかし、この映画の訴求力が今一つ強く感じられないのは、なぜ、レイプが起きるのか、レイプを防ぐにはどうしたらいいのかということまで掘り下げられていないからである。

なぜ、韓国では、他の国に比べて強姦(レイプ)事件が多発するのか。

なぜ、未だに男尊女卑の社会構造が残っているのか。

それは、貧しさがさせるものなのか。

それとも他に要因があるのか…。

現状を知らせることももちろん大切。

でも、今後、私たちが安心して眠れるためには、「何が原因で性犯罪が起き、どんな場所が危険で、どんな注意が必要なのか」を知りたい。

映画の中では、ジウンが自ら仕置き人となって、女性を見下す男たちを次々と殺し、最後には彼女自身も殺されてしまう。

世直しをするためには、自分から動くしか方法がないのか。

これでは未来に希望が持てない。

「もう生きていくのもつらい」

と思ってしまったレイプ被害者たちをどうやってケアしていくのか、周りの人たちの配慮なども描かれると、この映画はグッと観る価値のある作品へと変わっていくように思う。

今でも、日本の10倍以上の割合で性犯罪が頻発しているのだとしたら、彼女たちにとって、ジウンのような女性は対岸の火事ではない。

もっと身近な存在である。

その彼女が非業の死をとげてしまったら、彼女たちはどこに希望を持てばいいのか…。

それとも、もう希望が持てない程に、性犯罪は常習化してしまっているのか…。




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