エディ・レッドメインがアカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した映画「博士と彼女のセオリー」をWOWOWで観た。
スティーヴン・ホーキング博士が、大学生の頃にALS(筋萎縮性側索硬化症)であり、余命2年と診断されてから、様々な障害を乗り越え世界的に有名な物理学者になるまでを描く。
【満足度 評価】:★★★★★
すごく有名な天才というイメージしかなかったホーキング博士が、とても身近に感じられる映画だった。
「生まれた頃から天才」ではなく、「日々を懸命に生きたら天才と言われていた」という描き方にすごく共感した。
◆「博士と彼女のセオリー」DVD
◆原作本【洋書】「Travelling to Infinity: My Life with Stephen: The True Story Behind the Theory of Everything」
ケンブリッジ大学に通うスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)の専攻は物理学。
「宇宙の起源はブラックホールである」という論理を実証する研究をしている。
そんな彼が、同じくケンブリッジ大学に通うジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と恋に落ちる。
二人がデートするようになった頃、スティーヴンは、学内を歩いている時に突然意識を失ってしまう。
病院で様々な検査が行われた結果、診断はALS。
運動ニューロンが侵される病気であり、次第に筋肉が動かなくなり、余命は2年であると診断される。
その診断を聞いたジェーンは、スティーヴンとの結婚を決心する。

「スティーヴン・ホーキング博士の話かぁ…。理解できるのかなぁ…」
というのが、私がこの映画を観る前の一番の心配だった。
理解できなくて、途中で眠くなっちゃうんじゃないか…なんて、心配をしていた。
しかし、見始めたら、この映画の描く世界にすっかり引き込まれ、開始30分後にはボロボロと泣いていた。
物理学や、宇宙、ブラックホールに関する知識は不要な映画だった。
おかげで、スティーヴン・ホーキングと、その妻、ジェーンの人生に集中して観ることができた。

この映画で描かれるのは、「スティーヴン・ホーキング」という生き方。
21歳でALS(筋萎縮性側索硬化症)で余命2年と診断された時、彼はただの学生であり、世界的に有名な物理学者になるとは誰も思っていなかった。
そんな彼が、その難病をどのように乗り超えたのか。
やはり、この映画を見る限り、一番大きかったのは、奥さんジェーンの存在だったように思う。
彼が「余命2年だ」と言われながら、「人生を共にしたい」と結婚を決意するのは、並大抵の精神力ではないと思う。
彼は、この時は「世界的な天才」ではなく、「余命2年の学生」だったにも関わらずだ。
それでも、強い意志で周りの反対を押し切り、学生結婚をし、スティーヴンの子供を産んだジェーンは、彼に取って、「生きる希望」だったように思う。

この時の二人のエピソードで、心に残るのは、ホーキングの理論を聞いた時のジェーンの反応。
ホーキングが、まだ発病する前、有名な数学者の「ブラックホール」についての講演を聞きに行ったホーキング。
その後、自分自身でもブラックホールの成り立ちについて考えた彼は、「全てを飲み込む暗黒であるブラックホール」にも始まりがあり、時間を巻き戻していくと始まりにたどり着くという仮説を立てた。
そして、全ての始まりは、ブラックホールであるという結論にたどり着く。
(「万物の理論(Theory of Everything(この映画の原題))」)
その話をジェーンに説明すると、聡明だったジェーンは、スティーヴンの周りを反時計周りに回り始め、「こうやって時間を巻き戻せばいいのね」と言いだした。
このシーンを観て、「だからジェーンはスティーヴンと一緒にいられるんだ」と思った。
もしも、普通の女の子だったら、そんな話を彼氏がし始めたら、「あぁ退屈な話が始まった」と思うだろう。
「だから、何??」という子さえいるかもしれない。
私だって、「ふーん。そうなんだ。」以上に、話を発展できる自信がない(笑)
でも、ジェーンはスティーヴンの話の意図を理解しただけでなく、彼と手をつなぎながら周りをグルグルと回り始めた。
これは、その「凡人には退屈な話」が、「彼らにとって楽しく美しい瞬間」に生まれ変わった瞬間だった。
恐らく、彼女ほどスティーヴンの頭の中身を理解できる人はいないだろうと思う。
ジェーンはスティーヴンにとって最高の理解者だ。
スティーヴンは、この後ALSから始まる様々な苦悩を乗り越えられたのは、ジェーンの存在なくしてあり得ないと思った。

私がこの映画の中で最も心を打たれ、何回か巻き戻してみたのは、「ホーキング、宇宙を語る」を書いた後、アメリカに呼ばれて講演をした時の様子だった。
「私たちはこれまで、宇宙の境界はどうなっているかを考えてきた。
しかし、宇宙に境界はない。
同じく、私たちの人生にも境界はない。
どんなに辛い毎日でも、生きていれば希望はある。」
それは、生命維持装置につながれた時に安楽死をすすめられた経験を持つ壮絶な人生を乗り超えたホーキングだからこそ言える言葉であり、私たちの胸を打つ。
時を巻き戻すことで、宇宙や時間の起源にたどり着くことができるように、私たちも時間を巻き戻すことで、人生の始まりにたどり着くことはできる。
しかし、人生とは、本当に最初からやり直したいものだろうか。
辛いことも、悲しいことも乗り超えてこその人生。
辛い日々も懸命に乗り超えることで、希望は生まれるとホーキングは教えてくれる。
本当に素晴らしい演説だった。

主人公のホーキング博士を演じたのは、エディ・レッドメイン。
この映画の演技で、第87回アカデミー賞最優秀主演男優賞(2015年)を受賞している。
ALSという病気について、過剰な演技をすることは、同じ病に侵されている人たちにとって、とても失礼なことになるが、彼はすごく自然に演じていたように思う。
そして、どうしても周りの人たちが彼を手助けしたくなってしまう、その愛くるしさもエディ流ホーキングだったように思う。
そして今年、「リリーのすべて」で、2年連続で主演男優賞のノミネートされ、「ファンタステック・ビーストと魔法使いの旅」が公開待機中。
今、最も注目される俳優の一人である。
他の出演作に「ジュピター」など

スティーヴン・ホーキングの妻、ジェーン・ホーキングを演じたのは、フェリシティ・ジョーンズ。
彼女の演じるジェーンは、意志が強く、どんなことがあっても揺るがない姿が素敵だなぁと思った。
他の出演作には、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」、「インフェルノ」、「アメージング・スパイダーマン2」など。
他に、ジェーンの母役にエミリー・ワトソン(「追想」、「やさしい本泥棒」、「エベレスト3D」)や、スティーヴンを見出す教授役としてデヴィッド・シューリス(「フィフス・エステート/世界から狙われた男」、「キングダム・オブ・ヘブン」)が共演している。

人が困難とぶつかった時、辛いと思いながら毎日を過ごすのと、辛くても目の前にある課題に着実に向かっていくのとで、人生は大きく変わっていく。
もしも、「余命2年」と言われたホーキングが、絶望して、何も手につかないまま無駄に時間を過ごしていたら、今の成功は無い。
この映画を観ることで、スティーヴン・ホーキングと同じような天才になることはできないけれど、「なぜ彼が成功したのか」について、そのエッセンスを感じ取ることはできる。
そのエッセンスを感じ取った後に、自分の人生にどう生かすのかで、私たちの人生もそれぞれ違ってくると思う。

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スティーヴン・ホーキング博士が、大学生の頃にALS(筋萎縮性側索硬化症)であり、余命2年と診断されてから、様々な障害を乗り越え世界的に有名な物理学者になるまでを描く。
【満足度 評価】:★★★★★
すごく有名な天才というイメージしかなかったホーキング博士が、とても身近に感じられる映画だった。
「生まれた頃から天才」ではなく、「日々を懸命に生きたら天才と言われていた」という描き方にすごく共感した。
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あらすじ
ケンブリッジ大学に通うスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)の専攻は物理学。
「宇宙の起源はブラックホールである」という論理を実証する研究をしている。
そんな彼が、同じくケンブリッジ大学に通うジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と恋に落ちる。
二人がデートするようになった頃、スティーヴンは、学内を歩いている時に突然意識を失ってしまう。
病院で様々な検査が行われた結果、診断はALS。
運動ニューロンが侵される病気であり、次第に筋肉が動かなくなり、余命は2年であると診断される。
その診断を聞いたジェーンは、スティーヴンとの結婚を決心する。

感想(ネタバレあり) 物理も数学も宇宙も知らなくていい。彼らの人生の物語
「スティーヴン・ホーキング博士の話かぁ…。理解できるのかなぁ…」
というのが、私がこの映画を観る前の一番の心配だった。
理解できなくて、途中で眠くなっちゃうんじゃないか…なんて、心配をしていた。
しかし、見始めたら、この映画の描く世界にすっかり引き込まれ、開始30分後にはボロボロと泣いていた。
物理学や、宇宙、ブラックホールに関する知識は不要な映画だった。
おかげで、スティーヴン・ホーキングと、その妻、ジェーンの人生に集中して観ることができた。

ホーキングの「生きる希望」となったジェーン
この映画で描かれるのは、「スティーヴン・ホーキング」という生き方。
21歳でALS(筋萎縮性側索硬化症)で余命2年と診断された時、彼はただの学生であり、世界的に有名な物理学者になるとは誰も思っていなかった。
そんな彼が、その難病をどのように乗り超えたのか。
やはり、この映画を見る限り、一番大きかったのは、奥さんジェーンの存在だったように思う。
彼が「余命2年だ」と言われながら、「人生を共にしたい」と結婚を決意するのは、並大抵の精神力ではないと思う。
彼は、この時は「世界的な天才」ではなく、「余命2年の学生」だったにも関わらずだ。
それでも、強い意志で周りの反対を押し切り、学生結婚をし、スティーヴンの子供を産んだジェーンは、彼に取って、「生きる希望」だったように思う。

スティーヴンの世界に入り込むことができるジェーンの存在
この時の二人のエピソードで、心に残るのは、ホーキングの理論を聞いた時のジェーンの反応。
ホーキングが、まだ発病する前、有名な数学者の「ブラックホール」についての講演を聞きに行ったホーキング。
その後、自分自身でもブラックホールの成り立ちについて考えた彼は、「全てを飲み込む暗黒であるブラックホール」にも始まりがあり、時間を巻き戻していくと始まりにたどり着くという仮説を立てた。
そして、全ての始まりは、ブラックホールであるという結論にたどり着く。
(「万物の理論(Theory of Everything(この映画の原題))」)
その話をジェーンに説明すると、聡明だったジェーンは、スティーヴンの周りを反時計周りに回り始め、「こうやって時間を巻き戻せばいいのね」と言いだした。
このシーンを観て、「だからジェーンはスティーヴンと一緒にいられるんだ」と思った。
もしも、普通の女の子だったら、そんな話を彼氏がし始めたら、「あぁ退屈な話が始まった」と思うだろう。
「だから、何??」という子さえいるかもしれない。
私だって、「ふーん。そうなんだ。」以上に、話を発展できる自信がない(笑)
でも、ジェーンはスティーヴンの話の意図を理解しただけでなく、彼と手をつなぎながら周りをグルグルと回り始めた。
これは、その「凡人には退屈な話」が、「彼らにとって楽しく美しい瞬間」に生まれ変わった瞬間だった。
恐らく、彼女ほどスティーヴンの頭の中身を理解できる人はいないだろうと思う。
ジェーンはスティーヴンにとって最高の理解者だ。
スティーヴンは、この後ALSから始まる様々な苦悩を乗り越えられたのは、ジェーンの存在なくしてあり得ないと思った。

人生に境界はない。どんなに辛い毎日でも生きていれば希望はある
私がこの映画の中で最も心を打たれ、何回か巻き戻してみたのは、「ホーキング、宇宙を語る」を書いた後、アメリカに呼ばれて講演をした時の様子だった。
「私たちはこれまで、宇宙の境界はどうなっているかを考えてきた。
しかし、宇宙に境界はない。
同じく、私たちの人生にも境界はない。
どんなに辛い毎日でも、生きていれば希望はある。」
それは、生命維持装置につながれた時に安楽死をすすめられた経験を持つ壮絶な人生を乗り超えたホーキングだからこそ言える言葉であり、私たちの胸を打つ。
時を巻き戻すことで、宇宙や時間の起源にたどり着くことができるように、私たちも時間を巻き戻すことで、人生の始まりにたどり着くことはできる。
しかし、人生とは、本当に最初からやり直したいものだろうか。
辛いことも、悲しいことも乗り超えてこその人生。
辛い日々も懸命に乗り超えることで、希望は生まれるとホーキングは教えてくれる。
本当に素晴らしい演説だった。

アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞したエディ・レッドメイン
主人公のホーキング博士を演じたのは、エディ・レッドメイン。
この映画の演技で、第87回アカデミー賞最優秀主演男優賞(2015年)を受賞している。
ALSという病気について、過剰な演技をすることは、同じ病に侵されている人たちにとって、とても失礼なことになるが、彼はすごく自然に演じていたように思う。
そして、どうしても周りの人たちが彼を手助けしたくなってしまう、その愛くるしさもエディ流ホーキングだったように思う。
そして今年、「リリーのすべて」で、2年連続で主演男優賞のノミネートされ、「ファンタステック・ビーストと魔法使いの旅」が公開待機中。
今、最も注目される俳優の一人である。
他の出演作に「ジュピター」など

スティーヴン・ホーキングの妻、ジェーン・ホーキングを演じたのは、フェリシティ・ジョーンズ。
彼女の演じるジェーンは、意志が強く、どんなことがあっても揺るがない姿が素敵だなぁと思った。
他の出演作には、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」、「インフェルノ」、「アメージング・スパイダーマン2」など。
他に、ジェーンの母役にエミリー・ワトソン(「追想」、「やさしい本泥棒」、「エベレスト3D」)や、スティーヴンを見出す教授役としてデヴィッド・シューリス(「フィフス・エステート/世界から狙われた男」、「キングダム・オブ・ヘブン」)が共演している。

目の前にあることを1つずつ着実にこなしていくことが、その後大きな差になっていく
人が困難とぶつかった時、辛いと思いながら毎日を過ごすのと、辛くても目の前にある課題に着実に向かっていくのとで、人生は大きく変わっていく。
もしも、「余命2年」と言われたホーキングが、絶望して、何も手につかないまま無駄に時間を過ごしていたら、今の成功は無い。
この映画を観ることで、スティーヴン・ホーキングと同じような天才になることはできないけれど、「なぜ彼が成功したのか」について、そのエッセンスを感じ取ることはできる。
そのエッセンスを感じ取った後に、自分の人生にどう生かすのかで、私たちの人生もそれぞれ違ってくると思う。

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