クァク・ドウォン主演の韓国映画「哭声/コクソン」をティーチイン付き上映会で観た。

山奥の小さな村に住み始めたよそ者の日本人。彼が来てから、その村では連続殺人事件が起きていて…。

満足度 評価】:★★★★★

これまでかつて、こんな映画を観たことがないような作品だった

恐ろしくて、ずば抜けて独創的、そして個性ほとばしる。

映画の中で描かれる何もかもが素晴らしく面白かった。


「哭声/コクソン」予告編 動画

(原題:곡성(コクソン)




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キャスト&スタッフ


出演者

クァク・ドウォン
…(「アシュラ」、「悪魔の倫理学」など)

國村隼
…(「かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-」、「泣き虫しょったんの奇跡」、「パンク侍、斬られて候」、「アウトレイジ」、「天空の蜂」など)

ファン・ジョンミン
…(「アシュラ」、「国際市場で逢いましょう」、「ベテラン」、「甘い人生」、「ユア・マイ・サンシャイン」など)

チョン・ウヒ
…(「愛を歌う花」、「ビューティ・インサイド」、「明日へ」など)

監督・脚本

〇ナ・ホンジン
…(「哀しき獣」、「チェイサー」)

2016年製作 韓国映画



哭声コクソン


あらすじ


田舎の山奥にある小さな村・コクソン。

いつもは平和な村にある時、連続殺人事件が起きる。

いずれも、犯人は家族の身内。

村の警察官・ジョング(クァク・ドウォン)は、住民たちに聞き込み捜査をしていく中で奇妙な噂を耳にする。

最近、この村で暮らし始めた一人のよそ者の日本人(國村隼)がいた。

その日本人が村に来てから殺人事件が起き始め、村人は彼を悪魔だと噂し始めており、初めはいぶかし気に聞いていたジョングも、その日本人が怪しいと思い始める…。



哭声コクソン2



感想(ネタバレあり)


映画の解釈は、観客それぞれの判断にゆだねる


韓国映画のサスペンスやミステリーのジャンルは圧倒的に世界一の面白さを誇り、他の追随を許さない程に突出してレベルが高い。

と、私はこのブログの中でも常々言ってきた。

そして、その韓国映画のミステリーの中で、またしてもとんでもない傑作が生まれた

この映画「哭声/コクソン」である。



サスペンス映画であり、ホラー映画でもあり、「殺人の追憶」のようであり、「エクソシスト」のようでもある。

これまでに観たことがない特異な世界を観てせてくれたこの映画。



本編上映後のティーチインでは、監督ご本人が

「この映画の解釈は観客それぞれの判断にゆだねたい」と言っていた。


ということなので、この感想では、私の勝手な解釈でこの映画を語らせていただく。



私がこの映画を観て、とにかく強く感じたのは、人間の思いこみ、勝手な決めつけの恐ろしさ

差別や、偏見、いじめなどはその人間の思い込みに潜む闇が生み出すものであり、そこから、人間自身の心の中にいる悪魔がさらなる悲劇を生むという悲しさだった。

悪魔も天使も、人間の思い込みと想像から生まれた創造物であり、本当に恐ろしいものは、人間一人一人の心の中にあるんだと思った。



哭声コクソン3



勝手な先入観が人を悪魔にする


山奥にある小さな村に暮らし始めた一人のよそ者の日本人。

ちょうど彼が暮らし始めたのと同じタイミングで、その村では殺人事件が起き始める。



すると、住民たちは彼について

「あの日本人が来てから殺人事件が増え始めた」と言い出し、

しまいには、「ふんどし姿で鹿に食いついている姿を見た」という都市伝説のような話まで飛び出す



初めのうちは、「何をバカのことを言ってるんだ」と言っていた主人公の警察官も、やがてその話を信じてしまうようになる。

そして、都市伝説と現実の区別がつかなくなってしまった結果、「あの日本人は悪魔で、村人たちに悪さをしている」と確信してしまう

住民たちに公平であるべき警察官が。



ここで非常に巧みなのは、この日本人が何も語ろうとしないこと。

「どうせ君たちは何を言っても信じないだろう」と言って、自分は何者かを一切語ろうとしない。

ここで、日本人特有の「下手な言い訳はしない」という美徳が描かれ、その国民性がさらに噂を大きくしてしまう



その結果、誰もその日本人が何の目的でそこに住んでいるのか真相を知らないまま、噂話が独り歩きしていく。

小さな村だけあって、そのちょっとした都市伝説があっという間に広まり、いつの間にか「その日本人は悪魔だ」という認識に変わってしまう。

真っ白い生地にポツンと落ちたシミがどんどん広がって、気付いた時には何をやっても落ちない時のように、村人たちの頭の中に一度張り付いた先入観を消し去ることは難しい



これは、私たちの日常でもよくあることだ。

本人(Aさん)は何も悪いことをしていないのに、そのAさんに対し悪意ある人が「Aさんは、実は不倫しているんだって」と根拠のない噂を立てる。

すると、周りの人たちは、Aさん本人に確認もしないうちから「えぇ~、Aさんて不倫しているんだって」と、あっという間にデマが広がる上、さらに「外に子供まで作っているんだって」といつの間にか尾ひれまでつくことすらもある。



そして、Aさんがそのことに気付いた時には、時すでに遅し。

事態の収拾を図ろうと、身の潔白を証明しようとしても、既にAさんにはダーティなイメージがこびりついてしまっている。



哭声コクソン4



好きな人の言うことは何でもよく聞こえ、嫌いな人の言うことは何でも悪く聞こえる人間の悪しき習性


この映画でもそうだった。

連続殺人事件が多発し、村人たちは悪魔(=日本人)の仕業だと信じ切った頃、

警察から「幻覚作用のある毒キノコが加工食品に使われ、それを食べた市民による殺人事件が相次いでいる」という発表がある。

しかし、時すでに遅し。

そんな科学的根拠に基づいた事実に誰も耳を傾けようとしない



人々は日本人が悪魔だと信じ込み、祈祷師が助けてくれると信じている

日本人が悪魔で、祈祷師が本当に悪魔を退治してくれるのかなんて、誰も真相を知らないのに

本当は毒キノコの副作用かもしれないのに。

ここに、冤罪やいじめを生み出す人間の思い込みの恐ろしさを見る。



人間はとても自分に都合の良い生き物で、好きな人の言うことは何でも好意的に聞こえ、嫌いな人は何を言っても悪く聞こえてしまう

だから、この映画の日本人が「お前たちに何を言っても信じないだろう」と言った時、それは主人公の警察官には、「俺は悪魔なんだ。そんなことを言ってもお前らには理解できないだろう」と聞こえてしまう。



いかにも怪しくて、インチキそうに見える祈祷師だって、「ソウルでも有名な祈祷師なんだよ」と言われたら「すごい先生なんだ」と信じ込んでしまう

人々は目の前にいる人に対し、その人が良い人か悪い人かを判断するのは、「噂による先入観」で決まってしまっているもんなんだと改めて思い知らされる。



私自身の人生の中でも、初めて会った時には、「この人はこういう人なんだろうなぁ」と思ったことが、追々話をしてみると実際は全然違う人だったなんてことがよくある。

この映画では、その「こういう人なんだろうなぁ」という先入観による思い込みが、その人を勝手に悪人にしてしまうんだということに気付かされる。



哭声コクソン5



人は「何を言っているのか分からないよそ者」に対しレッテルをはりたがる


この映画で巧みだなと思ったのは、その肝心なよそ者を日本人にしたということ。

逆に、日本の山奥の田舎町にフラッと訪ねてきて住み着いた人が韓国人だったり、中国人だったら、私たちはどんな反応をするのかを考えてみたらよく分かる。

最初はきっと、「変わった人だなぁ」と思うだろう。



でも、その人が言っている言葉が分からないから、きっと誰も話しかけずにそっとしておくんじゃないだろうか。

そして、その人が移り住んでから、これまで平和だった村に急に殺人事件が多発するようになったら、「あのよそ者が何かしたんじゃないだろうか」と考えるに違いない。

事件の真相は、全く別のところにあるのにも関わらずだ。



そんな思い込みが全く起きないとは考えにくい。

日頃から私たちは、「何を言っているか分からないよそ者」に対し、全く根拠のないレッテルをはりがちだ

「あの人は外人だから」とか、「あの人は中国人だから」とか、「あの人は韓国人だから」とか、自分の頭の中で仕分けしやすいようにラベルを貼っている。



そして、常に自分の立場を脅かされるのではという心配から、日頃からその人にフラグを立てておけば、何かあった時に対応できると信じ込み安心している。

それ以前に「同じ人間」というラベルは存在しない



しかし、そんな思い込みが対立を生み、その裏で悪が順調に育ち、いつしか人殺しや報復行動に発展する

悪魔とは、ある特定の人間に備わっているものではなく、1人1人の心の中に潜み、その集合体が次第に大きくなっていくもの。

この映画を観て、そんな人間の心の奥底に潜む悪の恐ろしさを感じた

そして、私自身の心の中にもそんな悪魔が潜んでいるのを感じ、思わずゾッとしてしまった。



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