フランシス・マクドーマンド主演の映画「スリー・ビルボード」を映画館で観た。

アメリカの小さな田舎町で娘をレイプされ殺された女性が、町に看板を3枚の広告看板を作ったことで町民に起こる波紋を描く。


満足度 評価】:★★★★★

これはすごい映画だった!

私にはちょっと恐ろしい映画だった。

この感想にはネタバレを含みます。映画をご覧になってからお読みください

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「スリー・ビルボード」予告編 動画

(原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)



更新履歴・公開、販売情報

・2018年2月8日 映画館で観た感想を掲載。

・2018年11月18日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。

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キャスト&スタッフ


出演者

フランシス・マクドーマンド
…(「プロミスト・ランド」など)

ウディ・ハレルソン
…(「LBJ ケネディの意志を継いだ男」、「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」、「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」、「スウィート17モンスター」、「ファーナス 訣別の朝」など)

サム・ロックウェル
…(「バイス」、「プールサイド・デイズ」、「ギャラクシー・クエスト」、「禁断のケミストリー」など)

〇アビー・コーニッシュ

〇ジョン・ホークス

〇ピーター・ディンクレイジ

ルーカス・ヘッジズ
…(「レディ・バード」、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」など)


監督

〇マーティン・マクドナー


2017年製作 イギリス映画



スリー・ビルボード




あらすじ



アメリカのミズーリ州にある田舎町エビング。

その町で娘がレイプされ、殺されてから7か月が経ち、業を煮やしたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は事件現場のそばにある3枚の看板に自分の意見広告を掲載する。

「娘がレイプされ殺された」「まだ犯人はつかまっていない」「どうする?ウィロビー署長?」という3枚。

その看板が町に思わぬ波紋を呼ぶことに…。



スリー・ビルボード2




感想(ネタバレあり)


3枚の看板に込められたミルドレッドの希望



これは面白い映画だったなぁ。

ただの看板、されど看板。

町はずれにある3枚の看板が、予期せぬできごとを引き起こす。



娘をレイプされ、殺された女性・ミルドレッドは、町はずれの道路沿いに警察の不手際を告発する3枚の看板を立てる。

「警察は黒人を差別することで忙しく、娘の事件を捜査してくれないから」という理由で。



だからなのか、その看板は赤地に黒文字のみというシンプルな作りながら、その色合いはナチスドイツを思い起こさせる

つまりそれは「警察=ナチ=差別的 である」と言っているように見える

実際に、警察官のディクソン(サム・ロックウェル)はいかにも南部の田舎町にいそうな「差別主義」の白人男性である。

彼は、私たちがニュース映像でよく見る黒人をこん棒で殴っているような南部の保守的な白人警官を象徴しているのだ。



その色合いで警察がいかに差別主義的で無能なのかを皮肉り、その上で、ミルドレッドは「怒り」の感情を文字に乗せている

彼女が、その看板に書いた「警察への3つの告発」とは

「娘がレイプされ殺された」

「犯人はまだ逮捕されていない」

「どうする?ウィロビー署長?」

という3枚。



なぜ、看板は3枚だったのか

それは、それぞれが過去・現在・未来を示している

娘がレイプされたという「過去」、まだ逮捕されていないという「現在」、そしてこれからどうするのかという「未来」



その中で、「未来」の看板にウィロビー署長(ウディ・ハレルソン)の名前が書かれているのは、ミルドレッドにとってウィロビー署長が未来への希望だったからだ。

南部の小さな田舎町の「差別的な(ナチ的な)警察の中で、最もまともなウィロビー署長」にミルドレッドは期待をかけて、その看板を書いたのだろう。

しかし、ミルドレッドのその希望はもろくも崩れ去っていく…。



スリー・ビルボード4


「秩序」を失った町は感情がエスカレートする



ミルドレッドの希望だったウィロビー署長は病気を苦に自殺してしまう。

これは恐らく、ミルドレッドの「スリー・ビルボード」が掲げられる前から署長が決めていたことなのではないかと思う。



ミルドレッドからしたら、差別主義者ディクソンの手綱を取れるのはウィロビー署長だけだと思ったのだろう。

しかし、ウィロビー署長は自分と家族のことで精いっぱいだったのだ。



そうして、「町の秩序」だった署長がいなくなってしまったことで、町はたががはずれ、やがて町民の感情はエスカレートし、カオスになっていく

ミルドレッドの看板は炎上。

それがディクソンの仕業だと思ったミルドレッドは警察に放火をし、警察署が炎上。

たまたまその場にいたディクソンは全身に大やけどを負ってしまう。

ウィロビー署長という「秩序」を失った町で起きたのは、報復の連鎖だったのだ。



しかし、看板の炎上はディクソンの仕業ではなく、ミルドレッドの元夫の仕業だったのだ。

看板を見て「ブチ切れた」元夫は、怒りに任せて看板に火を放ったのだ。

娘を失ったという思いは、ミルドレッドも元夫も同じながら、表現の仕方はそれぞれ。

その時、既にミルドレッドも、ディクソンも、ミルドレッドの元夫も感情のコントロールができなくなっていた



しかし、ミルドレッドが放火した時、彼女のそばにいたジェームズのナイスプレーによって、ミルドレッドが放火したことはばれずに済んでしまう。

放火された時、警察署で敬愛するウィロビー署長からの手紙を読んでいたディクソンは、大やけどを負ってしまうが、それまでの自分の行いを反省し、その手紙に書かれていた「善い行いができる人間になれ」という言葉に心を動かされる。



そして、ディクソンは、ミルドレッドの娘の事件を解決することがウィロビー署長の言う「善い行い」だと思うようになる。

これは一見、「雨降って地固まる」のように見えるが、ディクソンの怒りの矛先が「レイプ犯」に移っただけなのだ。



スリー・ビルボード3


Twitter村の炎上を連想させる「3つの看板」



そんな「3枚の看板が引き起こす騒乱状態」を観て、私は「Twitterの炎上」を連想した



ミルドレッドが看板に込めた「3つの告発」は、「『Twitter村』に思いをぶちまける3つのつぶやき」である。

「Twitter村」では、そのつぶやきに対し、賛否両論が起きる。

たいていが賛成の声よりも、否定的な声の方が大きく、その声は拡散し、やがて炎上する。



つぶやきが炎上したことで、意気消沈し消えていく者もいれば、さらにつぶやきを連投する者もいる。

また、たとえ数が少なくても彼女を支援する「賛成の声」は、彼女の背中を押し、その声が集まれば集まるほど気持ちは大きくなっていき、「もっとやっていいんだ」という気持ちにさせる

これはTwitterでいえば、「いいね」や「リツイート」の数のことである。



批判の声の中には、命の危険を感じるような脅迫もあり、ひどく落ち込むこともある。

それでも、ミルドレッドは戦い続け、町は騒乱状態になる。

Twitterでいえば、それが「炎上」であり、

ミルドレッドは周りの批判が大きくなればなるほど、アクションを起こすタイプなのだ。

それが、誰も望んでいない「警察への放火」であり、これが次の報復の連鎖へとつながっていく。



そこまでくると、エスカレートした彼女を見た賛同者の中には、ジェームズのように「あなたの進む方向は間違っている」と言って離脱していく者もいる。

しかし、その時には既に気持ちが高ぶっているミルドレッドからしたら、「離脱した人がおかしい」と思い、「去る者は追わず」の状態になっている



さらにエスカレートすると、ミルドレッドが投下した「犯人はまだ見つかっていない」という声に乗じて「犯人探し」が始まり、それはやがて「魔女狩り」へと進展していく



それまで対立し続けていたミルドレッドとディクソンが手を組んで始めたのが、まさに「魔女狩り」だったのだ。

はじめ「怒りの告発」を投下したミルドレッドは、「正義はどこにあるのか」を問いかけたかったはずだ。

その結果として、「差別主義者」のディクソンと手を組んで「レイプ犯探し」をすることは、決して正義ではないし、それはウィロビー署長が望んでいた「善い行い」ではない



周りの「いいね」の声に踊らさせれて、ミルドレッドは「自警団」にでもなった気分になってしまい、行き先を間違えてしまった。

それもこれも、「彼女の希望だったウィロビー署長」が亡くなってしまったことから端を発している。



スリー・ビルボード5


SNSのつぶやきに社会が巻き込まれる現代



アメリカでは、Twitterにおける「大統領のつぶやき」が連日ニュースになっている。

その中で、大統領は自ら新聞社の実名を挙げ「フェイクニュースだ」と怒りのつぶやきをする。

そう言われた新聞社は、大統領批判に熱を込めるようになる。

この負の連鎖反応は、まさに町の秩序(ウィロビー署長)を失った町の騒乱状態と同じである。



SNSでは、毎日のようにそうした「批判合戦」による炎上が起きている。

それを読んだ人たちは、その言葉を「自分の都合のいいように解釈」し、「犯人捜し」をスタートさせてしまう

そこに文字の恐ろしさがある。



ミルドレッドは、ただ「警察に一石を投じたいだけ」だったはずだ。

それが、警察官による暴力事件にまで発展してしまう。

Twitterでも、「死にたい」と言った一言が殺人事件にまで発展していまうのと同じことだ。



多くの人たちが後先を考えずに、気軽に批判をしたり、心情を吐露すると、それが受け取る側の解釈によって、事態は思わぬ方向に進んでいくというのがよくわかる。



もしもこの後、ミルドレッドとディクソンが手を組んで、あの「レイプした可能性がある男」を殺してしまったら、次はどうするのか。

彼は犯人ではないという証拠まであるのに。

また、「可能性のある男」を探し出して、勝手に制裁をくだすのか。

そうやって、どこまで魔女狩りを続けたら満足できるのか



それ以前に、あの男がバーで言った言葉は、ただの「はったりかも」しれないのに



最期はミルドレッドとディクソンのとてもさわやかな表情でこの映画は幕を閉じるが、私はそんな二人を見て、とても暗澹たる気持ちになった。

彼らがやっていることは、明らかに法を超えた「ただの自警団による魔女狩り」に過ぎないから。

ミルドレッドが看板を出した時に望んでいたのは、そんなことではなく、「事実」を知りたかっただけのはずなのに。

ディクソンが警察官ではない以上、そこに正義はないのだ。



それを思うと、現代の私たちはSNSに日常を振り回され過ぎているなと感じた。

著名人の多くのつぶやきが連日炎上し、議論が交わされるが、その結果、この映画のように最後は「犯人捜し」と「魔女狩り」で終わってしまうだけなのだ。

ミルドレッドの娘を思う気持ちには、何度も胸が張り裂けそうになったけれど、残念ながら、このやり方は正しくなかったなと思った。

世の中は、そんな彼女を応援してくれる人ばかりではないのだ。



この映画は、SNSの炎上がニュースをにぎわせている現代を見事に表した作品だった。

そして、その結末が私にはちょっと恐ろしい作品でもあった。








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