ジェフ・ブリッジス主演、コーエン兄弟 監督・脚本の映画「トゥルー・グリット」をNHK BSプレミアムで観た。
父を殺された少女マティがその復讐のために、腕利きの保安官とテキサスレンジャーを雇い、犯人を追う旅に出る西部劇。
【満足度 評価】:★★★☆☆
今さらながら気付いたことは、この西部劇特有のカサカサ乾いた感じと、ゆったりとした時の流れが私はなんとも苦手だということ。
きっと現代劇のスピード感に慣れてしまっているんだろうなぁ。ちょっと退屈に感じてしまった。
出演:ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン、バリー・ペッパー、ヘイリー・スタインフェルド
監督・脚本・製作:コーエン兄弟 2010年製作 アメリカ映画
◆「トゥルー・グリット」Blu-ray
14歳の少女マティ・ロス(ヘイリー・スタインフェルド)は父を殺されてしまい、その犯人であるチェイニー(ジョシュ・ブローリン)を探していた。
そこで、町で「真の英雄(トゥルー・グリット)」と呼ばれる保安官ルースター(ジェフ・ブリッジス)を雇い、マティと一緒にチェイニーを捕まえる旅に行くよう依頼する。
そして、ちょうどその頃、マティと同じく悪党のチェイニーを探しているというテキサスレンジャーのラビーフ(マット・デイモン)に出会う。
ルースターはマティからもらったお金で、マティには内緒でラビーフと共にチェイニー捜索の旅に出るが、それを察知したマティは彼らにくらいついて行く…。

主人公は14歳の女の子。日本で言えば、中学2年生ぐらいか。
父を殺された復讐を果たすため、保安官とテキサスレンジャーを連れ、犯人捜索の旅に出る。
ここでビックリしたのは、当時のアメリカの保安官って、お金で動く人たちだったんだ。
お金で動くというより、個人で雇って働いていた人たちだったんだねぇ。
なんか、妙なことに感心してしまった。
そんなわけで、中2の女子マティがお金で保安官を雇い、「父の敵を取ってくれ」とお願いする。
するとそこへ、マティと同じ犯人を追うテキサスレンジャーが現れ、彼らの旅に合流することになった。
そうして、旅を続けている間に、彼らの友情が深まっていくというお話だった。

当時は南北戦争直後のアメリカ。
ネイティブアメリカンの人たちは、「居留地」と呼ばれる場所で生活することを許されていた。
お尋ね者のチェイニーは、人の目から逃れるため、その「居留地」へと逃げ込んでいった。
となると、14歳の少女が当時は野蛮な人間と言われていたネイティブアメリカンが暮らす居留地へ入り込んでいくことはできない。
そこで、ネイティブアメリカンから市民を守る役目を果たしていた保安官とテキサスレンジャーを連れ、「居留地」へ乗り込もうと考えた。
ガッツあるよねぇ。
14歳の女の子が初老のおじいちゃんを雇うなんて。
その時マティは、14歳の少女が行ってはいけない場所に行くという、かなり無謀なことをしようとしていた。
それ程までに、父を無法者に殺されたことが悔しかったのだろうし、どうしても敵が取りたかったのだろうという気持ちが見えてくる。
マティは、この映画「トゥルー・グリット」の中で一つも弱音を吐くことをしなかったけど、怖いと思ったとはなかったんだろうか…。

当時の白人たちとネイティブアメリカンの関係性が分かる場面があった。
マティとルースターが居留地へ向かう途中、一軒の店で聞きこみをしようとしたルースター。
店の前に座っていたのは、ネイティブアメリカンの女性2人だった。
彼女たちは物乞いだったのだろうか。
ルースターは彼女たちに目もくれずに、足で蹴飛ばして追い払おうとしている。
まるで人間ではなく、何かの物のように。
当時、白人たちにとって、ネイティブアメリカンの人たちは「人間以下」だったというのが、このシーンでしっかりと描かれている。
あまりにも想像を超えた出来事が起きていたので、自分の目を疑ってしまった。
たぶん、犬や猫にだって、あんな風な扱いをしない。
白人にとって、彼らはそれ以下なのか…。
わずかワンシーンの出来事だったけど、とても印象強いシーンだった。

面白かったのは、保安官ルースターとテキサスレンジャー ラビーフの意地の張り合いだ。
一緒にいる時は、常に「どちらがより素晴らしいか」について口げんかをしている。
どっちが早打ちなのか、どっちの南軍の兵士として素晴らしかったのかなど。
あのーー。これは女子として言わせてもらえば、なんで、男の人たちは、そんなどうでもいいつまらないことで意地の張り合いをするんだろう。
2人ともお互いに素晴らしい。
それでいいじゃない。
なのに、なんでも競い合おうとするの。
で、結局、ラビーフがルースターに負けてしまい、ラビーフは捜査中にも関わらず離脱してしまう。
いいじゃんか。負けたって!!!お互いに尊重し合えばいいじゃないか!!
なぜ、それができないのか。
これは、日頃から男子の間でよく見かけることなので、すごく不思議だと思って観ていた。
初めマティがいない頃はルースターとラビーフ2人で追いかける予定だったんだから!!

男勝りのマティがリーダーで男臭いチームのロードムービーを監督したのは、コーエン兄弟。
彼らは今回、脚本も担当している。
原作はチャールズ・ポーティス著「トゥルー・グリット」
◆原作本「トゥルー・グリット」
この原作は1969年にジョン・ウェイン主演で「勇気ある追跡」という邦題で映画化されている。
とはいえ、この映画は「勇気ある追跡」のリメイクではなく、あくまでも、原作の再映画化なんだとか。
そのことについて、イーサン・コーエンは
なるほどねぇ。
私はジョン・ウェイン版の「勇気ある追跡」は観ていない。
でも、そう言われると、逆に「勇気ある追跡」では、どんな風に映画化されているのかが気になった。
ちょっと見てみたくなった。
◆ジョン・ウェイン版トゥルー・グリット「勇気ある追跡」

結局、マティは復讐を果たすことになるのだが、大人のマネをして無謀なことをしたことへの痛い代償を払わされることとなった。
映画のラストでは、25年後のマティの姿を見ることができる。
しかし、その印象から、マティの人生のピークはあの復讐劇にあったのではないかと思った。
その25年経って、それを清算するためにルースターを訪ねるが、残念ながらそれは叶わぬ夢となってしまった。
マティは「忙しすぎて結婚どころではなかった」と言っていたが、チェイニーへの復讐を果たして以来、その代わりに失ったものも多く、無邪気な日常生活には戻れなかったのではないだろうか…。
彼女の去って行く後ろ姿がなんだか寂しすぎた。
しかし、ルースターがいなければ、命さえも失っていたかもしれない。
それを思えば、彼女にとっては、生きているだけでも素晴らしいことなのかもしれないな。
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◆「トゥルー・グリット」Blu-ray
◆原作本「トゥルー・グリット」
◆ジョン・ウェイン版トゥルー・グリット「勇気ある追跡」
父を殺された少女マティがその復讐のために、腕利きの保安官とテキサスレンジャーを雇い、犯人を追う旅に出る西部劇。
【満足度 評価】:★★★☆☆
今さらながら気付いたことは、この西部劇特有のカサカサ乾いた感じと、ゆったりとした時の流れが私はなんとも苦手だということ。
きっと現代劇のスピード感に慣れてしまっているんだろうなぁ。ちょっと退屈に感じてしまった。
出演:ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン、バリー・ペッパー、ヘイリー・スタインフェルド
監督・脚本・製作:コーエン兄弟 2010年製作 アメリカ映画
「トゥルー・グリット」予告編 動画
(原題:TRUE GRIT)◆「トゥルー・グリット」Blu-ray
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あらすじ
14歳の少女マティ・ロス(ヘイリー・スタインフェルド)は父を殺されてしまい、その犯人であるチェイニー(ジョシュ・ブローリン)を探していた。
そこで、町で「真の英雄(トゥルー・グリット)」と呼ばれる保安官ルースター(ジェフ・ブリッジス)を雇い、マティと一緒にチェイニーを捕まえる旅に行くよう依頼する。
そして、ちょうどその頃、マティと同じく悪党のチェイニーを探しているというテキサスレンジャーのラビーフ(マット・デイモン)に出会う。
ルースターはマティからもらったお金で、マティには内緒でラビーフと共にチェイニー捜索の旅に出るが、それを察知したマティは彼らにくらいついて行く…。

感想(ネタバレあり) 14歳の少女。おじさんを雇って父の敵を討つ
主人公は14歳の女の子。日本で言えば、中学2年生ぐらいか。
父を殺された復讐を果たすため、保安官とテキサスレンジャーを連れ、犯人捜索の旅に出る。
ここでビックリしたのは、当時のアメリカの保安官って、お金で動く人たちだったんだ。
お金で動くというより、個人で雇って働いていた人たちだったんだねぇ。
なんか、妙なことに感心してしまった。
そんなわけで、中2の女子マティがお金で保安官を雇い、「父の敵を取ってくれ」とお願いする。
するとそこへ、マティと同じ犯人を追うテキサスレンジャーが現れ、彼らの旅に合流することになった。
そうして、旅を続けている間に、彼らの友情が深まっていくというお話だった。

舞台は南北戦争直後のアメリカ
当時は南北戦争直後のアメリカ。
ネイティブアメリカンの人たちは、「居留地」と呼ばれる場所で生活することを許されていた。
お尋ね者のチェイニーは、人の目から逃れるため、その「居留地」へと逃げ込んでいった。
となると、14歳の少女が当時は野蛮な人間と言われていたネイティブアメリカンが暮らす居留地へ入り込んでいくことはできない。
そこで、ネイティブアメリカンから市民を守る役目を果たしていた保安官とテキサスレンジャーを連れ、「居留地」へ乗り込もうと考えた。
ガッツあるよねぇ。
14歳の女の子が初老のおじいちゃんを雇うなんて。
その時マティは、14歳の少女が行ってはいけない場所に行くという、かなり無謀なことをしようとしていた。
それ程までに、父を無法者に殺されたことが悔しかったのだろうし、どうしても敵が取りたかったのだろうという気持ちが見えてくる。
マティは、この映画「トゥルー・グリット」の中で一つも弱音を吐くことをしなかったけど、怖いと思ったとはなかったんだろうか…。

人間として扱われなかったネイティブアメリカン
当時の白人たちとネイティブアメリカンの関係性が分かる場面があった。
マティとルースターが居留地へ向かう途中、一軒の店で聞きこみをしようとしたルースター。
店の前に座っていたのは、ネイティブアメリカンの女性2人だった。
彼女たちは物乞いだったのだろうか。
ルースターは彼女たちに目もくれずに、足で蹴飛ばして追い払おうとしている。
まるで人間ではなく、何かの物のように。
当時、白人たちにとって、ネイティブアメリカンの人たちは「人間以下」だったというのが、このシーンでしっかりと描かれている。
あまりにも想像を超えた出来事が起きていたので、自分の目を疑ってしまった。
たぶん、犬や猫にだって、あんな風な扱いをしない。
白人にとって、彼らはそれ以下なのか…。
わずかワンシーンの出来事だったけど、とても印象強いシーンだった。

男子チーム恒例「どっちが強い」「どっちが偉い」のケンカ
面白かったのは、保安官ルースターとテキサスレンジャー ラビーフの意地の張り合いだ。
一緒にいる時は、常に「どちらがより素晴らしいか」について口げんかをしている。
どっちが早打ちなのか、どっちの南軍の兵士として素晴らしかったのかなど。
あのーー。これは女子として言わせてもらえば、なんで、男の人たちは、そんなどうでもいいつまらないことで意地の張り合いをするんだろう。
2人ともお互いに素晴らしい。
それでいいじゃない。
なのに、なんでも競い合おうとするの。
で、結局、ラビーフがルースターに負けてしまい、ラビーフは捜査中にも関わらず離脱してしまう。
いいじゃんか。負けたって!!!お互いに尊重し合えばいいじゃないか!!
なぜ、それができないのか。
これは、日頃から男子の間でよく見かけることなので、すごく不思議だと思って観ていた。
初めマティがいない頃はルースターとラビーフ2人で追いかける予定だったんだから!!

監督・脚本・製作 コーエン兄弟
男勝りのマティがリーダーで男臭いチームのロードムービーを監督したのは、コーエン兄弟。
彼らは今回、脚本も担当している。
原作はチャールズ・ポーティス著「トゥルー・グリット」
◆原作本「トゥルー・グリット」
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この原作は1969年にジョン・ウェイン主演で「勇気ある追跡」という邦題で映画化されている。
とはいえ、この映画は「勇気ある追跡」のリメイクではなく、あくまでも、原作の再映画化なんだとか。
そのことについて、イーサン・コーエンは
「リメイクした理由はチャールズ・ポーティスの原作に強く惹かれたから」、
「オリジナル版は子供の頃に観たきりで全く覚えていないため、影響は全く受けていない」と明かしている
Wikipedia「トゥルー・グリット」より
なるほどねぇ。
私はジョン・ウェイン版の「勇気ある追跡」は観ていない。
でも、そう言われると、逆に「勇気ある追跡」では、どんな風に映画化されているのかが気になった。
ちょっと見てみたくなった。
◆ジョン・ウェイン版トゥルー・グリット「勇気ある追跡」
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無謀なことをしたことへの代償
結局、マティは復讐を果たすことになるのだが、大人のマネをして無謀なことをしたことへの痛い代償を払わされることとなった。
映画のラストでは、25年後のマティの姿を見ることができる。
しかし、その印象から、マティの人生のピークはあの復讐劇にあったのではないかと思った。
その25年経って、それを清算するためにルースターを訪ねるが、残念ながらそれは叶わぬ夢となってしまった。
マティは「忙しすぎて結婚どころではなかった」と言っていたが、チェイニーへの復讐を果たして以来、その代わりに失ったものも多く、無邪気な日常生活には戻れなかったのではないだろうか…。
彼女の去って行く後ろ姿がなんだか寂しすぎた。
しかし、ルースターがいなければ、命さえも失っていたかもしれない。
それを思えば、彼女にとっては、生きているだけでも素晴らしいことなのかもしれないな。
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