フォレスト・ウィテカー主演の映画「贖罪の街」をWOWOWで観た。
劇場公開されなかった作品を、どこよりも早く日本で初公開されるWOWOWジャパンプレミアの一本。
18年間、刑務所に服役し、出所後は更生した生活を送ろうとしていた男性に、過去がつきまとい、それを許そうとしないという話。
1973年に、アラン・ドロンとジャン・ギャバン主演で制作されたフランス映画「暗黒街のふたり」のリメイク版。
【満足度】:★★★★☆
なんで、この映画が劇場公開されないんだろう・・・って考えてしまうぐらい
(イケメンスターがいない映画だし、なんの賞も取っていないからだろうけど・・・)
見応えがあり、刑務所や、犯罪者の刑期について考えさせられる映画だった。
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◆比べて観る!?元ネタ「暗黒街のふたり」
メキシコとの国境にある小さな町。
18年前に、警察官を殺した罪での服役していたウィリアム・ガーネット(フォレスト・ウィテカー)は、晴れて出所の日を迎えた。
保護観察官のエミリー(ブレンダ・ブレシン)に出迎えられたガーネットは、18年前に暮らしていた街で、人生再出発のための部屋と、服役中にモノ作りで稼いだ生活費を与えられる。
翌日から、早速、仕事を探し、銀行に口座を作り、新生活が順調に始まったかと思った矢先、18年前の殺した警察官の上司で保安官のビル(ハーベイ・カイテル)と、当時の仲間テレンス(ルイス・ガスマン)と再会してしまう・・・。

若い頃に殺人事件を起こし、18年間かけて更生した人間が、普通の人として、普通の生活を送ろうと思っても、彼の捨てた過去がそうはさせないというお話。
あぁぁぁぁぁぁぁぁ救われない・・・。結局、そうなるのか・・・って話だった。
一生懸命仕事しても、保安官に職を奪われ、普通の人になって、普通の人と恋愛をしても、昔の仲間に恋人を襲われる。
そうして、周りから火を焚いて、追い詰めた結果、18年前のガーネットが戻ってきてしまった。
「人間、何歳からでもやり直しができる」
なんてよく言うけど、このアメリカの小さな小さな田舎町では、それは許されないことだった。

私が、この映画の中で最も印象に残ったのは、ガーネットがとても丁寧に、手を洗う姿だ。
刑務所の中で、もうすぐ出所だという時も、社会に出て新しい部屋に住み始めた時も、仕事をクビになってしまった時も。
彼は、自分を落ち着かせるように、とてもゆっくりと丁寧に手を洗う。
彼が信仰するイスラム教ではお祈りの前に清める意味で手を洗うという。
彼にとっては、それが、過去に犯した罪を洗い流しているかのように私には見えた。
殺人で手を赤く染めた、その手を洗い流し、神に許しを請うているような。

ガーネットにとっての救いは、彼の周りにいる女性たちだった。
保護観察官のエミリーと、恋人のテレサ。
特に、エミリーの心の広さと温かさは感動的だった。
なんとか、普通の生活を送りたいと願うガーネットを支え、励ます。
しかし、その一方で、過去の亡霊がガーネットの足を引っ張り続ける。
保安官のビルと、当時の仲間のテレンスだ。
結局、彼らに怒りの火種をもらってしまったガーネットは逆上してしまう。
これはもう、ビルの描いた通りのシナリオだろう。

本当だったら、保安官こそが、刑期を終えてきたガーネットを許すべきであり、新たな生活を見届けるべきなんだろう。
でもなぁ。
それって、やっぱりきれいごとなのかも。
私の、もしも家族や、大切な友達をを誰かに殺されたとして、その犯人が刑期を終えて出てきた。
その犯人は、もう立派に更生していると言われた場合、
はい。そうですか。分かりました。って簡単に許せるかなって考える。
無理だと思うんだよね。
頭では理解してても、本人がとても反省している態度をしていても、「一生許せない」って思う。
「なんで出てきたんだよ」って思うとはず。
それは、きっとガーネットもテレサが襲われた時に、実感したんだと思う。
「もう、こいつは一生許せない」って思ったに違いない。
そうやって、過去の自分に仕返しをされてしまったんだよね。ガーネットは。
人は、一度犯罪を犯してしまえば、たとえどんなに反省をしても、生まれ変わったと言っても、周りの人間はそれを許してくれないってことなんだろうなぁ。
いや、そんな簡単には許せないよね。

主役のガーネットを演じるのは、フォレスト・ウィテカー(「メッセージ」「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」「クリスマスの贈り物」「ケープタウン」「96時間/レクイエム」「ファーナス/訣別の朝」)
この方の演技には、文句のつけようも無く。
彼の真人間になろうと葛藤する姿は、悲痛でさえあった。
そして、彼を「コーナーへ追い詰める」保安官に、ハーベイ・カイテル(「グランド・ブダペスト・ホテル」「リオ、アイラブユー」)。
あのー、演技に文句があるわけではないけど、どうにも、ハーベイ・カイテルの人の良さのようなものが邪魔しちゃって、最高の悪には見えなかったんだよねぇ。
どうしても、心のどこかでガーネットを許しているんじゃないかっていう風に見えちゃった。
それじゃ、ダメだよね。この役は。
ウィレム・デフォーぐらいの方が、適役だったかも・・・と思う。
ウィレム・デフォーが悪人っぽいってわけじゃないけどね(笑)
そして、この映画に唯一、光を当てるのがブレンダ・ブレシン(「秘密と嘘」)
なんとか、彼を過去の泥沼から引きずり出そうと必死になる保護観察官。
ブレンダ・ブレシンは、個人的に久しぶりに見たけど、相変わらず素晴らしい演技をするよね。
もう、ずーーーーっと彼女に出ていて欲しいぐらいだった。

俳優たちは、アメリカの俳優たちばかりだけど(ブレンダ・ブレシンを除く)、監督はフランス人監督のラシッド・ブシャール(「マリリン&モナ 踊って、泣いて、輝いて」)
制作も、フランス、ベルギー、アルジェリアの合作で、アメリカ資本は一切無い作品。
だからなのか、とても心の奥底を覗くような気分になる映画だった。
この映画にとっては、かえってそれが良かったんだんと思う。
最近は、フランスや、スペイン、ドイツ等々、ヨーロッパの作品を見る機会が多いけど、この「人間」にスポットを当てたつくり方がとても良いんだなぁ。
そして、そんな作品をもっと見たくなっちゃうんだなぁ
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劇場公開されなかった作品を、どこよりも早く日本で初公開されるWOWOWジャパンプレミアの一本。
18年間、刑務所に服役し、出所後は更生した生活を送ろうとしていた男性に、過去がつきまとい、それを許そうとしないという話。
1973年に、アラン・ドロンとジャン・ギャバン主演で制作されたフランス映画「暗黒街のふたり」のリメイク版。
【満足度】:★★★★☆
なんで、この映画が劇場公開されないんだろう・・・って考えてしまうぐらい
(イケメンスターがいない映画だし、なんの賞も取っていないからだろうけど・・・)
見応えがあり、刑務所や、犯罪者の刑期について考えさせられる映画だった。
「贖罪の街」予告編 動画(日本語字幕なし)
(原題:Two Men in Town)◆「TWO MEN IN TOWN」【輸入版】DVD
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あらすじ
メキシコとの国境にある小さな町。
18年前に、警察官を殺した罪での服役していたウィリアム・ガーネット(フォレスト・ウィテカー)は、晴れて出所の日を迎えた。
保護観察官のエミリー(ブレンダ・ブレシン)に出迎えられたガーネットは、18年前に暮らしていた街で、人生再出発のための部屋と、服役中にモノ作りで稼いだ生活費を与えられる。
翌日から、早速、仕事を探し、銀行に口座を作り、新生活が順調に始まったかと思った矢先、18年前の殺した警察官の上司で保安官のビル(ハーベイ・カイテル)と、当時の仲間テレンス(ルイス・ガスマン)と再会してしまう・・・。

感想(ネタバレあり) 殺人犯。18年間服役した結果・・・
若い頃に殺人事件を起こし、18年間かけて更生した人間が、普通の人として、普通の生活を送ろうと思っても、彼の捨てた過去がそうはさせないというお話。
あぁぁぁぁぁぁぁぁ救われない・・・。結局、そうなるのか・・・って話だった。
一生懸命仕事しても、保安官に職を奪われ、普通の人になって、普通の人と恋愛をしても、昔の仲間に恋人を襲われる。
そうして、周りから火を焚いて、追い詰めた結果、18年前のガーネットが戻ってきてしまった。
「人間、何歳からでもやり直しができる」
なんてよく言うけど、このアメリカの小さな小さな田舎町では、それは許されないことだった。

過去を洗い流して、一から出直したいのに・・・
私が、この映画の中で最も印象に残ったのは、ガーネットがとても丁寧に、手を洗う姿だ。
刑務所の中で、もうすぐ出所だという時も、社会に出て新しい部屋に住み始めた時も、仕事をクビになってしまった時も。
彼は、自分を落ち着かせるように、とてもゆっくりと丁寧に手を洗う。
彼が信仰するイスラム教ではお祈りの前に清める意味で手を洗うという。
彼にとっては、それが、過去に犯した罪を洗い流しているかのように私には見えた。
殺人で手を赤く染めた、その手を洗い流し、神に許しを請うているような。

救いの手を差し伸べる、彼にとっての女神たち
ガーネットにとっての救いは、彼の周りにいる女性たちだった。
保護観察官のエミリーと、恋人のテレサ。
特に、エミリーの心の広さと温かさは感動的だった。
なんとか、普通の生活を送りたいと願うガーネットを支え、励ます。
しかし、その一方で、過去の亡霊がガーネットの足を引っ張り続ける。
保安官のビルと、当時の仲間のテレンスだ。
結局、彼らに怒りの火種をもらってしまったガーネットは逆上してしまう。
これはもう、ビルの描いた通りのシナリオだろう。

もしも、それが自分の身内に起きたら、許すことができるのか
本当だったら、保安官こそが、刑期を終えてきたガーネットを許すべきであり、新たな生活を見届けるべきなんだろう。
でもなぁ。
それって、やっぱりきれいごとなのかも。
私の、もしも家族や、大切な友達をを誰かに殺されたとして、その犯人が刑期を終えて出てきた。
その犯人は、もう立派に更生していると言われた場合、
はい。そうですか。分かりました。って簡単に許せるかなって考える。
無理だと思うんだよね。
頭では理解してても、本人がとても反省している態度をしていても、「一生許せない」って思う。
「なんで出てきたんだよ」って思うとはず。
それは、きっとガーネットもテレサが襲われた時に、実感したんだと思う。
「もう、こいつは一生許せない」って思ったに違いない。
そうやって、過去の自分に仕返しをされてしまったんだよね。ガーネットは。
人は、一度犯罪を犯してしまえば、たとえどんなに反省をしても、生まれ変わったと言っても、周りの人間はそれを許してくれないってことなんだろうなぁ。
いや、そんな簡単には許せないよね。

隅から隅まで、素晴らしい演技者たちの共演
主役のガーネットを演じるのは、フォレスト・ウィテカー(「メッセージ」「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」「クリスマスの贈り物」「ケープタウン」「96時間/レクイエム」「ファーナス/訣別の朝」)
この方の演技には、文句のつけようも無く。
彼の真人間になろうと葛藤する姿は、悲痛でさえあった。
そして、彼を「コーナーへ追い詰める」保安官に、ハーベイ・カイテル(「グランド・ブダペスト・ホテル」「リオ、アイラブユー」)。
あのー、演技に文句があるわけではないけど、どうにも、ハーベイ・カイテルの人の良さのようなものが邪魔しちゃって、最高の悪には見えなかったんだよねぇ。
どうしても、心のどこかでガーネットを許しているんじゃないかっていう風に見えちゃった。
それじゃ、ダメだよね。この役は。
ウィレム・デフォーぐらいの方が、適役だったかも・・・と思う。
ウィレム・デフォーが悪人っぽいってわけじゃないけどね(笑)
そして、この映画に唯一、光を当てるのがブレンダ・ブレシン(「秘密と嘘」)
なんとか、彼を過去の泥沼から引きずり出そうと必死になる保護観察官。
ブレンダ・ブレシンは、個人的に久しぶりに見たけど、相変わらず素晴らしい演技をするよね。
もう、ずーーーーっと彼女に出ていて欲しいぐらいだった。

アメリカの資本は一切入っていない合作映画
俳優たちは、アメリカの俳優たちばかりだけど(ブレンダ・ブレシンを除く)、監督はフランス人監督のラシッド・ブシャール(「マリリン&モナ 踊って、泣いて、輝いて」)
制作も、フランス、ベルギー、アルジェリアの合作で、アメリカ資本は一切無い作品。
だからなのか、とても心の奥底を覗くような気分になる映画だった。
この映画にとっては、かえってそれが良かったんだんと思う。
最近は、フランスや、スペイン、ドイツ等々、ヨーロッパの作品を見る機会が多いけど、この「人間」にスポットを当てたつくり方がとても良いんだなぁ。
そして、そんな作品をもっと見たくなっちゃうんだなぁ
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