鄭義信監督の映画「焼肉ドラゴン」を舞台挨拶付き上映会で観た。

1970年代、高度経済成長期を迎え万博開催で湧く大阪の片隅で暮らす韓国人一家が、時代に翻弄され、彼らの生活が激変していく姿を描く。


満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

面白かった!!

日本の高度成長期の裏で、必死に生きている韓国人一家。

嬉しい時も、悲しい時も、腹立つ時も、感情をむき出しにしてぶつかり合う。

その真っすぐさがよく、どんなに悲しいことがあっても、心はいつも温かいアボジとオモニが心に残った。

その後の彼らの行く末も、とても気になる作品だった。


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「焼肉ドラゴン」予告編 動画




更新履歴・公開情報


・2018年5月22日 舞台挨拶付き特別上映会で鑑賞

・2018年6月12日 感想を掲載

・2018年6月22日 全国ロードショー

・2019年7月21日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、ネット配信、DVD共に販売中。



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キャスト&スタッフ


出演者

…(「孤狼の血」など)

〇井上真央




〇イ・ジョンウン

〇大谷亮平

〇大江晋平


監督・脚本・原作

〇鄭義信(チョン・ウィシン)


2018年製作 日本映画



映画「焼肉ドラゴン」



あらすじ


1970年代、高度経済成長期の大阪は万博開催で湧いていた。

片隅のバラックで「焼肉ドラゴン」を経営する韓国人の龍吉(キム・サンホ)は、第二次世界大戦で片腕をなくしながらも、毎日、懸命に働いて暮らしていた。

龍吉には、同じく働き者の妻 英順(イ・ジョンウン)と長女 静花(真木よう子)、次女 梨花(井上真央)、三女 美花(桜庭ななみ)と長男 時生(大江晋平)の四人の子供がいて、長女・次女・三女はそろそろ結婚する年頃を迎える。

しかし、末っ子の時生は学校で酷くいじめられ口をきかなくなってしまい…。



映画「焼肉ドラゴン」大泉洋、井上真央



感想(ネタバレあり)


大阪の片隅にある貧民街で暮らす在日朝鮮人たち


大阪で万国博覧会が開催された1970年に、大阪の片隅で暮らしていた在日朝鮮人一家を描いた物語。

そこには、私が知らない彼らの歴史があり、高度経済成長期や、万博、新幹線開通などといった華やかでパワフルでポジティブなパワーを感じさせる時代とは対照的に、貧困の中で毎日を生き抜くのも大変で、必死になって生きている彼らの姿があった。



家族の主は、龍吉アボジ(お父さん)(キム・サンホ)。

彼は、戦争で片腕を失ってしまうが、それでも小さな焼肉屋「焼肉ドラゴン」を経営しながら4人の子供たちを育てている。

いつも、そんなアボジを支えているのは、オモニ(お母さん)(イ・ジョンウン)。



アボジとオモニは共に連れ子同士の結婚で、長女 静花(真木よう子)と次女 梨花(井上真央)はアボジの娘。

三女 美花(桜庭ななみ)はオモニの娘で、末っ子の時生(大江晋平)は、アボジとオモニの間に生まれた息子である。

しかし、アボジのオモニも、それぞれの子供たちに分け隔てなく自分の子供として接している。



アボジとオモニの一家は、1948年に済州島で起きた 済州島四・三事件(参照:Wikipedia 済州島四・三事件)の時に政府の虐殺から日本へ逃れてきて住み着いた人たちだ。



彼らが暮らしている土地はアボジが日本人から買ったと言っているが、役人によれば、そこは「国有地」である。

国が国有地を簡単に売るはずもなく、アボジは騙されてその土地を買った気でいるのだろう。

しかし、彼はそこが自分の土地だと信じて、バラックを立てて暮らしている



そこで暮らしているのは彼らだけではなく、彼らのような多くの貧しい家族がバラックを建て、スラム街のようになっていた。

けれど、そこで暮らす彼ら一家は、毎日真面目に働き、なんとかその貧しさから抜け出そうと必死だった。

しかし、政府はその土地を「再開発地域だ」とし、彼らに立ち退き命令をくだす



この映画では、それでもそこで暮らしていた彼らが、国の立ち退き命令に対して決断をするまでが描かれている。



映画「焼肉ドラゴン」大谷亮平、桜庭ななみ



人生は生きるか死ぬかの激しさが印象的な朝鮮人気質


これは、そんな在日朝鮮人たちの昭和の歴史を感じる映画であるが、最も印象的なのは彼らの感情表現である。

彼らはとても感情が激しい人たちである。

全身で感情を表現してぶつかり合う



兄弟げんかだってつかみ合いのケンカをするし、「どちらかが倒れるまで」戦い合う。

そこが、日本人とは似て非なるところであるけれど、時にはあっけにとられながら、彼らの激しい感情のぶつかり合いを楽しみながら観ていた。



しかし、そんな感情の激しい人たちだからこそ、悲劇を招いてしまうこともある

次女 梨花は婚約者 哲男(大泉洋)とケンカを繰り返しながらも結婚するが、結婚後に、哲男は長い間、長女の静花に心を寄せながらも梨花と結婚したことが分かる。

そのことで、梨花の怒りは爆発。

梨花、哲男、静花、そして両親を巻き込んでの大喧嘩をする。

(そこは焼肉屋さんなのに、お客さんお構いなしなのが面白い(笑))



そもそも、哲男が優柔不断であり、静花のことが好きなのにも関わらず梨花と結婚してしまうだらしなさが問題なのに、その肝心の哲男は梨花に詰め寄られると「俺は、静ちゃんのことが好きや!!」と開き直ってしまう。

それは梨花じゃなくたって、そのだらしなさに怒り心頭だわ(笑)

この時、怒りを爆発させる梨花は、まさに韓国人気質そのものであり、恐ろしさもあるけれど、「これだけ怒りを発散できたら気持ちが良いだろうなぁ」とも思う。



そして、そんな感情の激しさが凶と出てしまったのが末っ子の時生である。

アボジとオモニは生活が貧しいながら「時生には、将来苦労しないような立派な人間になって欲しい」という思いから、私立の中学校に入学させる。

しかし、彼が朝鮮人だと分かるとクラスメイトからいじめに遭い、口がきけなくなり、不登校になってしまう



オモニは、そんな時生を公立高校へ転校させることも考えるが、アボジは頑としてそれを許さず、時生を私立高校に通わせることにこだわった。

そのため、時生も久しぶりに学校へ行くが、やはり酷い目に遭ってしまう。

そして、時生は生きていることに絶望を感じ、まだ中学生になったばかりなのに、自ら命を絶ってしまう



そんな、梨花、哲男、静花、哲男に訪れた悲劇には、Yesといったら絶対にYes。Noといったら絶対にNo。ダメなものはダメ、生きていけないなら死ぬしかないと考える朝鮮人らしさを感じた。



映画「焼肉ドラゴン」真木よう子



北朝鮮は「地上の楽園だ」と言われていたころ


そして、後半には「ここは国有地だから退去せよ」と役所から命令された彼らの決断が描かれる。

その決断にも、彼らの歴史を感じることができる。



一家の主、アボジとオモニは、そこから引っ越しをして日本で暮らし続ける道を選んだ。

長女の静花は、哲男と結婚して「在日朝鮮人たちの帰還事業」に申し込み、北朝鮮へ行く選択をする。

その当時、朝鮮総連が北朝鮮を「地上の楽園」と言い、多くの在日朝鮮人を北朝鮮に送り込んでいた。



北朝鮮の状況を知らない静花と哲男は、北朝鮮に行けば「今よりもいい生活ができる」と信じてその帰還事業を選ぶ。

それは、そのころは静花と哲男のような在日朝鮮人たちがたくさんいたんだろうなと思うエピソードであり、何一つ将来を心配していない彼らに胸が痛くなってしまった




次女梨花は、哲男と別れた後、韓国人と結婚し、彼の実家のある韓国へと行くことになった。

この時の韓国も決して政情が安定していたわけではないので、梨花も、この後しばらく苦労したに違いないと思う。



三女の美花は、ナイトクラブの社員 長谷川さんと結婚、妊娠し、日本に残ることに。



そうして、時にはぶつかり合っても、仲良く助け合って暮らしていた一家は、バラバラに暮らす決断をすることになった

そんな彼らが選んだそれぞれの道は、当時の在日朝鮮人たちの歴史を感じさせるものだった。

特に、北朝鮮が「地上の楽園」だと呼ばれ、多くの人たちが送り込まれた歴史は、今となっては封印された過去のうちの一つではないかと思う。



映画「焼肉ドラゴン」大泉洋、桜庭ななみ、井上真央、真木よう子、大谷亮平



もうすぐ50年が経とうとしているけれど…


時には感情をぶつけ合い、衝突してはケンカをし、時には抱きしめ合って慰め合い、時には酒を飲んで笑いあっていた家族。

しかし、そんな彼らが暮らす環境は厳しく、差別や偏見と戦い、それに抵抗してはケンカをし、中学生の末っ子はいじめを苦に自殺してしまう。



華やかなイメージのある高度経済成長期の裏で、必死に生きてきた彼らの存在を知り、その後の彼らの選択には日本人として心が痛くなり、切なくなってしまった



彼らがバラバラで暮らす選択をしてから、50年が経とうとしている。

その後、彼らはどんな人生を歩んだのだろうか。

とても気になってしまった。



アボジとオモニは、その後、暮らしやすくなっただろうか。

彼らの子供たち、静花、梨花、美花は、それぞれの家庭を持ち、それぞれがオモニになって、それぞれの歴史を刻んだろうと思う。

静花は北朝鮮で食べることに困ることなく生活することができただろうか。

梨花は韓国へ行って、その後の激動の時代を切り抜けることができただろうか。



どんなに辛いことがあっても、心は誰よりも温かいアボジとオモニが印象的な映画だった。

だからこそ、彼らがその後も平和に暮らしていて欲しいと思った。


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