マーゴット・ロビー主演の映画「死の谷間」を試写会で観た。

人類が破滅したかと思われた世界で、奇跡的に生き残った一人の女性と二人の男性。

人類の危機に直面した彼ら三人を通して人間の愚かさを描く


満足度 評価】:★★★★☆(4.5)

予想外に面白かった掘り出し物!!

登場人物はたったの3人。時は世紀末。

奇跡的に生き残った3人の行動に人間の本質が現れる。

この世に完璧な人間などなく、善人にも悪意があり、欲望と衝動を抑えられないからこそ、世界は破滅へと向かうのだ。



目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想
  6. 関連記事


「死の谷間」予告編 動画

(原題: Z for Zachariah)



更新履歴・公開、販売情報

・2018年7月15日 試写会で観た感想を掲載。

・2019年2月2日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。


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キャスト&スタッフ


出演者






監督

〇クレイグ・ゾベル


2015年製作 アイスランド・スイス・アメリカ合作映画



死の谷間





あらすじ



地球上の空気や水が汚染され人類が滅亡したと思われた世界。

奇跡的に汚染されなかった谷間でアン(マーゴット・ロビー)は、愛犬ファロと共に一人で生活していた。

そこへ、ある日技術者のジョン(キウェテル・イジョフォー)がやってくる。

アンとジョンは共同生活を始め、2人には明るい未来が見えてきた。

そこへ、若い青年ケイレブ(クリス・パイン)がやってきて、3人で共同生活をするようになるのだが…。



死の谷間4






感想(ネタバレあり)


核戦争後のディストピア。神から生き延びる機会を与えられた3人



核戦争が起きたと思われる近未来。
(放射能汚染があるとセリフの中で言っていたので、核戦争かと)

人類は絶滅したかと思われていた

しかし、奇跡的に汚染されなかった谷間で、主人公のアン(マーゴット・ロビー)は愛犬のファロと共に暮らしていた。



ある日、そこへ現れたのは黒人の科学者 ジョン(キウェテル・イジョフォー)だった。

彼は、谷間に来たときは健康体だったのに、川に入ったことで汚染されてしまう。

その川は谷間にはあるけれど、水は汚染されているのだ。



それを見たアンはジョンを懸命に看護し、その結果、ジョンは一命をとりとめ再び健康体に。

そこから、アンとジョンは強い信頼関係を築き、共同生活を送るようになる



そんなアンとジョンの信頼関係が愛に変わる直前、炭鉱作業員のケイレブ(クリス・パイン)がその谷間にやってくる

青い目をした白人の若い青年ケイレブは、汚染されながらも生き延び、その谷間にやってきたのだ。



そうして、3人の共同生活が始まる。

彼らは、それぞれ辛い思いを乗り越えてそこにたどり着き、神から生き延びるチャンスを与えられた3人だったのだ。



死の谷間2




人類滅亡の危機に目覚める本能



問題はその谷間にいるのが「2人」ではなく「3人」であるというところにある。

2人だったらアダムとイブだけど、3人だったら三角関係になってしまう。



アンは、父親が牧師だったため、信心深い女性に育った。

ジョンは、無神論者の科学者だ。

たとえジョンが無神論者であっても、アンは博識で頼もしく落ち着いたジョンに惹かれていた

ところが、そこへ若くて魅力的なケイレブがやってきたのだ。



そこで、ジョンとケイレブはアンを奪い合うことになるのだが、「もしかしたら、明日死ぬかもしれない」という状況は、彼らの本性を露呈させる

アダムとイブでいえば、イブが禁断の果実を食べて妊娠してしまったように、アンは長い間一人で暮らしていたところに魅力的な男性が2人現れたことで、欲望が目覚めてしまう



そのアンの欲望が目覚めた瞬間にタイミング合った人だけが、彼女を手に入れることができる。

人間は危機的状況にある時、「子供を残したい」という本能に目覚めるように作られている

アダムがイブの欲望に答えたように、アンの欲望に答えることができた人だけが、この先、生き残ることができるのだ。



死の谷間3




欲望を抑えられなかった結果が導く悲劇



そして、そのちょっとしたタイミングのずれが悲劇を生み出してしまう

「嫉妬」という感情は人の「悪意」をむき出しにするのだ。

それまでとても理性的で冷静に行動していたジョンが、アンとケイレブの関係を知ってからケイレブを「敵」とみなすようになってしまう。



日本には「三人寄れば文殊の知恵」という言葉がある。

「どんな愚かな人間でも、三人力を合わせれば良い知恵が生れる」という意味だ。



人類が滅亡したと思われた世界で生き残った3人

本来なら、知恵を出し合い、助け合って生き延びなければいけない3人

しかし、そんな状況にあってさえ、人は欲望を抑えきれず、嫉妬心が芽生え、衝動が理性に勝ってしまう



その結果、失わなくていい命を失うことになってしまった

その失った命は、1億人のうちの1人ではない、世界に残った3人のうちの1人なのだ。

人類にとって大きな損失なのだ。



死の谷間5




人間は欲望や衝動を抑えられない生き物だからこそ、破滅に向かっていく



私がこの映画をすごく面白いと思ったのは、登場人物が3人しかいないのに人間のあらゆる感情と欲望がここに凝縮されているところだ。

2人で生きていれば平和だったのに、3人だと地獄になってしまう。

谷間も2人だったらユートピアだったのに、3人だとディストピア「死の谷間」になってしまう。

そして思う。「人間とはなんと愚かな生き物なのか」と。



そして、そんな3人を見ていると、なぜ人間はいつの時代も争い続けるのかということがよくわかる。

人間は欲望を止めることができないし、相手に憎しみを持たずにはいられない生き物なのだ。



本来なら、人間には「理性」というものが備わっていて、それが人間関係の均衡を保つラインを担っているのだけど、その「理性」の砦が決壊した瞬間に、その均衡は崩れてしまう

ということは、この映画を観終わった時には、ジョンのケイレブに対する憎しみがこの谷間の人間関係を壊してしまったと思っていたけれど、そうではなく、その関係を崩したのは、アンだったと思い直した



1人で寂しく生きていたアンに対し、神はその後も生き延びていくための仲間として、技術者のジョンをアンに与える。

そして、そこへケイレブを投入して、アンの気持ちを確かめるのだ。

しかし、結局のところ、アンはジョンと共に生きていくようなことをほのめかしておきながら、欲望を抑えることができなかったのだ。



それは、日常生活でも普通に起きている。

私たちの周りで起きている争いの多くは、欲望を理性が抑えられなかった時に起きている

「思わずカッとなった」とか、「どうしても我慢できなかった」とか。

その「理性の決壊」が、人類を破滅に導くのだ。



この映画は善人の中に潜む悪意が人類を破滅に導くということを、たった3人の芝居で表した素晴らしい映画だった。



映画を観終わった後に、私がアンだったらどんな行動をするかと考えてしまった。



私がもしアンだったら、ジョンを谷間に受け入れたとしても、もっと距離を置いて生活するだろうと思った。

しかし、ケイレブのような人が来たら、アンと同じく心を乱されることと思う。

そこが、人間のあがらえない欲望なのかもしれない。





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