ジョーダン・ピール監督の映画「アス」を映画館で観た。
海辺の別荘で夏休みを過ごす一家の目の前に、自分たちと瓜二つの家族が現れ、死闘を繰り広げるホラー映画。
【満足度 評価】:★★★★☆
怖かった&面白かった!
ドッペルゲンガーに襲われる夏休み!
彼らは何者で、どこからやってきたのか。
人の命を粗末にしていると、いつか神から天罰が下るという世紀末を感じた。そして助かりたいなら、まずは自分を殺せという試練が恐ろしい。
目次
『アス』予告編 動画
(原題:Us)更新履歴・公開、販売情報
・2019年9月7日 映画館にて鑑賞。
・2019年9月30日 感想を掲載。
現在、全国順次公開中。詳しい劇場情報につきましては、下記の公式サイトをご参照ください。
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キャスト&スタッフ
出演者
〇
ルピタ・ニョンゴ
…(「ジャングル・ブック」(声の出演)など)
〇ウィンストン・デューク
〇ティム・ハイデッカー
〇シャハディ・ライト・ジョセフ
〇エバン・アレックス
〇カリ・シェルドン
〇ノエル・シェルドン
監督
〇ジョーダン・ピール…(「ゲット・アウト」)
2019年製作 アメリカ映画

あらすじ
夫のゲイブ(ウィンストン・デューク)、娘のゾーラ(シャハディ・ライト・ジョセフ)、息子のジェイソン(エバン・アレックス)と共に夏休みを過ごすために、生まれ故郷のカリフォルニア州サンタクルーズの別荘へやってきたアデレード(ルピタ・ニョンゴ)だったが、ビーチへ行くと、幼い頃の恐怖体験がフラッシュバックするようになってしまう…。
そして、その日の夜、アデレード一家の目の前に、彼らと瓜二つの一家が現れる。
その一家が誰で、何のために目の前に現れたのか分からないまま、アデレードたちは瓜二つの一家に襲われてしまい…。

感想(ネタばれあり)
ドッペルゲンガーに襲われる夏休み
ビーチの近くにある別荘で楽しい夏休みを過ごすはずが、ドッペルゲンガーに襲われることになってしまった一家の物語。
ドッペルゲンガーとは、自分と全く瓜二つの人間のこと。
その昔、ドッペルゲンガーは死の前兆とされていたらしい。
アデレードたち一家の目の前に、ドッペルゲンガー一家が現れるが、彼らは何者で、一体何のために現れたの分からないまま襲われてしまう。
多くの人は「未知のことや人」に対して恐怖心を抱く。
それは例えば宇宙人だったり、幽霊だったり。
昔の日本人の多くが、黒船に乗ってやってきた外国人たちに恐怖心を抱いたのは、見たことがない人種だったから。
それを思うと、アデレード一家にとって、「見たことのない瓜二つの自分たち」を見ただけで恐怖心を抱くのは当然だ。
それは、彼らは一体何者で、どこから、何のためにやってきたのかが一切分からない、未知の存在だからだ。
(ただ一人、アデレードは違うことで恐怖を感じていたことが後々わかるけれど)
しかも、その分身たちはアデレードの分身のレッド以外、ろくに言葉も話さず、無表情で襲ってくる。
そのため、彼らはその分身たちと戦わなければならなくなった。
そこで、彼らには乗り越えるべき壁がやって来る。
もしも、目の前に自分と瓜二つの人間がいて、まるで鏡を見ているような時、その自分と瓜二つの人間を殺すことができるだろうか。
そんな複雑な状況を考えるだけで、恐ろしくなるが、しばらく経って、彼らが恐怖の存在でしかないと分かった彼らは死闘を繰り広げ始める。
その上、彼らはめちゃくちゃ攻撃的で、お構いないしに襲ってくる。
薄気味悪い上に強い彼らは、それだけで恐ろしかった。

広大な地下で何が行われているのか…
それでは、彼らは一体何者なのか。
物語の後半、彼らは政府が地下で作っていたクローン人間だということが分かる。
技術が発達し、実験的に全く同じ人間を作りだすことに成功したが、その計画が途中で頓挫し、作った人間を地下に放置してしまう。
ところが、アデレードの分身は、幼い頃に地上で暮らすアデレードとの接触に成功し、本人とすり替わって、地上でアデレードとして暮らし始める。
そのため、地下で暮らすことになったアデレードは、自分の生活を取り戻すため、彼ら一家がサンタクルーズに戻ってくるのを首を長くして待っていた。
そして、アデレード一家が反逆したことをきっかけに、地下のクローンたちの逆襲が始まる。
まず、この映画が観客に対して投げかる疑問は「広大な地下で政府は何をしているのか誰も知らない」という謎だった。
そこで、「もしも、そこでクローンを作っていたら」という仮説を立てたのが、この映画の始まりだ。
ものごとには、何事にも表と裏、陰と陽がある。
私たちが知らないうちに、地下には知らない世界(裏・陰)が生まれていて、もしも、その世界が反逆を起こしたら。
果たして、私たちは政府が行っていることの全てを把握しているのだろうか…。
もしかして、私たちが知っているのは表側の日の当たる部分だけかもしれない…。
その地下でのできごとは、目の前にあることを当たり前と思わず、まず、疑うことも必要なのではないか…と問いかけている。

エレミヤ書とウサギが象徴する、政府の無策と人口増加
そして、アデレードがクローンたちと近づく時にキリストもどきのホームレスが掲げているのが、聖書の「エレミヤ書 第11章 11節」だ。
このエレミヤ書は、人類の破滅を示す預言書だ。
「だから、彼らに災いを下す。それから逃げることはできない。あわれみを叫び求めても、わたしは耳を貸さない。」
クローンを作って人を大量に増やしたことに対して、神を怒らせてしまい、神は人類に災いをくだす。
そのため、人類は自ら作ったクローン人間から襲われることになるのだが、神はそのことに対して、人類を救うことはないだろうと、この書は預言している。
そして、もう一つの象徴が「ウサギ」だ。
地下に大量に飼われているウサギが登場する。
ウサギは、多産で知られている動物であり、繁栄の象徴とされている。
そのウサギが象徴するは、世界的に進む人口爆発だ。
それでは、地下で増え続ける人々と、そのウサギは、何を訴えているのだろうか。

命を軽視した政策は、いつしか国民を破滅に追い込む…
その地下組織は「現政府は国民に内緒でクローンを作っている」と告発しているものではない。
そうではなく、「政策の途中で放棄する政府の無策」を訴えているのだ。
それは例えば、「奴隷にするためにアフリカから運んできた黒人たち」について、連れてきたっきり放置したことだ。
その後、黒人たちが反発し奴隷解放を訴えると、それを政府は暴力で抑え込もうとする。
元々、連れてきたのは政府なのに。
そして、「自由な国」をアピールするアメリカは、移民歓迎を政策の一つとして掲げていた。
しかし、ウサギのごとく人口が増えていき、経済的に苦しくなってくると「移民は出て行け」と言い始める。
そこで、この映画では、「移民は出て行け」という政策に同意する上流階級の人たちの対して、「そんなことを言うのなら、まず自分を殺せ!」と言わんばかりに、彼らの目の前にドッペルゲンガーを登場させるのだ。
つまり、政府の無策で増えた移民たちのことは、上流階級の人たちにとっては「他人事」であり、自分たちの平和な生活を維持するためにも、出て行って当然だと思っている。
そこで、政府の無策で増えた人口をドッペルゲンガーとして登場させれば、「自分事」として考えるのではと思ったのではないか。
彼らは、瓜二つの自分に戸惑い、躊躇してしまう。
そして、上流階級の白人一家は、躊躇している間に殺されてしまうのだ。
ラストシーンでは、クローン人間たちが手をつないで壁になった先で、戦争のような争いが起きている場面で終わっている。
クローンを作ったのは政府なのに、反乱が起きると、またしても暴力でそれを抑え込もうとするのか。
そして、自分たちが守ってきた国で戦争が起きるまでになってしまうのだ。
つまり、国境に壁を作って貧しい人たちを追い出すような、人の命を軽視した政策を続けていると、いつしか神の怒りをかい、天罰がくだると、この映画は預言しているのだ。
現在、実際にアメリカの各地でテロ活動が増え続け、神は彼らを救おうとしない。
そして、移民たちが結束してテロを起こしたら、殺し合いになり、アメリカは破滅へ向かうだろう…と、この映画は預言しているのだ。
観る前は、死ぬか、生きるかのホラー映画なのかと思っていたら、とても情報量が多くて、「これは何を象徴しているんだろう…」と考えるのがとても面白い映画だった。
とはいえ、もう一度観てみたら、全く違う感想を持つかもしれない…そんな多面的な魅力のある作品だった。
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toe@とにかく映画が好きなんです@pharmacy_toe
「ダークナイト」観た
これ、やっぱり超絶面白い❗️
アクションはド派手で、演技は最高、映像は美しいし、ストーリーにはグイグイ引き込まれて見入ってしまった
正義と悪はコインの表と裏のように表裏一体
バットマンの思い描く正義などこの世… https://t.co/fWDBxM2wxm2019/09/26 00:29:27
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