クラシック・カー専門の車泥棒をしている兄弟が、フランスのマルセイユでマフィアの車を盗んだことで、マフィア同士の抗争に巻き込まれてしまうというカーアクション映画
【満足度 評価】:★★★☆☆
車のことをよく知らない私でも、次から次へと登場するクラシック・カーはカッコイイと思うし、マルセイユの景色は美しいし、スコット・イーストウッドは、これまでの彼のキャリアを考えると、かなり健闘してると思う。
でも、登場人物のキャラクター、彼らがしゃべっているセリフ、最後のどんでん返しまで、全体的に薄味だった印象。
それぞれの材料は揃っているのに、なんで、残念な作品になってしまったのかなぁと、私なりに考えてみた。
その結論は、この後の感想のコーナーで。
「スクランブル」予告編 動画
(原題:OVERDRIVE)更新履歴・販売情報
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キャスト&スタッフ
出演者
〇スコット・イーストウッド…(「ワイルド・スピード ICE BREAK」、「スノーデン」、「スーサイド・スクワッド」、「デンジャラス・プラン 裏切りの国境線」など)
〇フレディ・ソープ
〇アナ・デ・アルマス
…(「ブレードランナー 2049」など)
〇ガイア・ワイス
監督
〇アントニオ・ネグレ2017年製作 フランス・アメリカ合作映画

あらすじ
クラシックカーを専門とするアンドリュー(スコット・イーストウッド)と、異母兄弟のギャレット(フレディ・ソープ)の車泥棒チームは、オークションで4100万ドルで落札されたブガッティを移送中に奪う。
しかし、そのブガッティを落札したのは、マルセイユを牛耳るマフィアのモリエールだった。
モリエールに捕まってしまったアンドリューとギャレットは、モリエールと敵対するマフィアのクレンプからフェラーリ250GTOを1週間以内に盗むという条件で解放されるのだが…!?

感想(ネタバレあり)
かっこいいカーアクションや車泥棒を描いた映画といったら…
華麗なカーアクションや車泥棒を描いた作品は、毎年たくさん作られている。
見た目に派手でかっこいいカーチェイスは、誰が運転していようが、それだけで観客を惹きつける力があるからだと思う。
最近、最も有名なカーアクション映画といえば、やはり『ワイルド・スピード』シリーズでしょう。
派手でかっこいいカーアクションをメインにし、出演している俳優たちもほぼ無名のところからスタートしたこのシリーズも、回を重ねるごとに人気を集め、今では、主演俳優たちがビッグスターへと成長した。
彼らがスターとなったのは、それぞれの際立ったキャラクターが俳優にマッチしていたのだと思う。
シリーズの途中で、主演のポール・ウォーカーがプライベートの事故で亡くなるという悲しいできごとがあったけれども、今年、第8作目にあたる『ワイルド・スピード ICE BREAK』が公開され、今でも人気を維持している。
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名車専門の窃盗集団を描いたカーアクション映画と言えば、ニコラス・ケイジ主演の『60セカンズ』を思い出す。
ちょっと頭の弱い弟をマフィアから救うため、『最高の車泥棒』であるニコラス・ケイジが、過去のチームを再結成。
「ベンツ、BMW、ポルシェ、マスタングなど50台の名車を72時間で盗み出す」というミッションをクリアしなければならなくなったという話。
「車を盗むのにかける時間は一台あたり60秒」という彼のルールからタイトルがきていて、そのスピード感と名車たちの美しさ、名優たちの共演とカーアクションが観どころだった。
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そして、これらの車泥棒、カーアクション映画に見事に殴り込みを入れたのが、先月に公開され、現在も公開中の『ベイビー・ドライバー』だ。
主人公のベイビーが、運転しながら聞いている音楽にピタリとはまったカーアクションが全編に流れ続けるという、これまで誰も見たことがなかった映像を作り出したこの作品。
ベイビーは、やり手の車泥棒でもあり、後半は車泥棒をしながら、カーアクションを繰り返す姿を観ることができる。
そして、『ベイビー・ドライバー』を観てしまってからは、どんなカーアクションも物足りなくなってしまうという破壊力。
正直、観客が『ベイビー・ドライバー』を観て、目が肥えてしまっている直後にカーアクションの映画を公開するなんて、かなり勇気あるなぁと思った。
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そして、この『スクランブル』である。
『ワイルド・スピード』と『60セカンズ』のような、これまで作られてきたカーアクション映画のそれぞれの良いところをかいつまんでできた作品なんだなぁということがよく分かる。
おいしいどこどりをして作ってみたはいいけれど、結局、どちらも超えることができなかった。
『ワイルド・スピード』になりたかったけど、なれなかった。
そんな印象を受けた。
それでは、なぜ、そんな結果になってしまったのか。
理由を考えていきたい。

サプライズをするなら、見せ方に工夫を
とにかく私が思ったのは、各キャラクターの個性の薄さだった。
例えば、『ワイルド・スピード』のポール・ウォーカーは、毎晩、チキンレース荒しをして名前を売りつつも、その裏の顔はFBIの潜入捜査官というメチャクチャなキャラだったし(笑)
『ベイビー・ドライバー』のベイビーは、子供の頃に遭った交通事故が原因で耳鳴りが鳴りやまないが、音楽を聴いている時は、耳鳴りがやむため、音楽を聴きながらでないと運転できないという、際立ったキャラを持っていた。
なぜ、彼らがそれ程までに際立ったキャラを持っているかといえば、それぐらい際立たせないと、数あるカーアクション、車泥棒映画の中に埋もれてしまうからだ。
この『スクランブル』がまさにそれで、主人公アンドリューの特異な個性を裏付けるものが何も出てこない。
キャラクターというのは、「うわっ。コイツ人と違ってておかしいな、おもしろいなぁ」と思って初めて、人の記憶の中に印象として残っていくのである。
それに、マフィアの抗争に巻き込まれる車泥棒というストーリー展開も『60セカンズ』を彷彿とさせるし、ラストのどんでん返しも、いまいちパッとしない。
サプライズっていうのは、扉を開けた途端に、「サプラ~イズ!!」と言われて、「うわっ!!そうだったんだ!!知らなかった!!」ってなる。
それが、度肝を抜かれるということ。
この『スクランブル』のどんでん返しは、扉が開いた時は、「あれ、予定と違うじゃん。何やってんのかな?」と観客に思わせながらジワジワと始まり、最後に「サプラ~イズ!!」という驚きの結末がやってくる。
しかし、それまでにジワジワと始まっていたから、最後の「サプラ~イズ」の驚きがとても少ない。
友達が用意してくれていた誕生日のサプライズを、事前に感づいてしまった時の感覚に似ている。
その結果、「あぁ、やっぱり。そういうことだったんだね」で終了してしまう。
ここは、もう少し、見せ方を工夫して欲しい所だった。

ぞろぞろと登場するクラシックカーは本当にカッコイイ
とはいえ、全く見どころがないわけではない。
クラシックカーがぞろぞろと登場してくるカーチェイスのシーンは、本当にカッコイイと思った。
フェラーリ、マスタング、BMW、ベンツ、アルファロメオ、ポルシェ、ジャガーなど、車をよく知らない私でも聞いたことのあるメーカーのかっこいいクラシックカーがずらずら登場する。
それが、マルセイユの美しい街並みを走る姿はには、おぉーー凄いなぁと思う。
それ程車を知らない私でもそう思うんだから、車好きの人が見たら、きっと食いついて観てしまうことだろうと思う。
それに、主役を演じたスコット・イーストウッドは、これまで、偉大すぎる父(クリント・イーストウッド)の影で、なかなか主役を演じることができない中、大きな作品で主役を演じることになった。
これまで、あまり見せることがなかったアクションシーンもあったし、憎めない悪党も好演していたように思う。
まだまだ、これからが伸び盛りの若手俳優である。
しかし、なんと言っても、南仏マルセイユの景色がとてもきれいだった。
南に海岸があり、その海岸に沿うように渓谷がある。
最後に出てくる渓谷のカーアクションシーンは、マルセイユのドライブスポットの一つなんだろう。
眼下に海を観ながら、カーチェイスをしながら渓谷をくだっていくシーンは本当に美しかった。

マルセイユを外国にPRするための映画!?
そして、この作品は、フランスとアメリカの合作映画である。
舞台となっているのはフランスだけれども、しゃべっている言語が英語なので、製作国はフランスと聞くと「あれっ?ただのアメリカ映画じゃなかったんだ~」と思う。
しかし、その割に主演がアメリカ人とイギリス人で、フランス人がいないのはどういうことなのか。
ということは、この『スクランブル』のターゲットの観客はフランス人ではない外国人観光客たちで、これは、フランスが作ったマルセイユへの観光客誘致のような映画なのかなと思った。
美しいマルセイユの景色のPRもかねて、『ワイルド・スピード』の脚本家に『ワイルド・スピード』のような作品を書いてもらい、アメリカのスタッフを招聘して、『ワイルド・スピード』に出演している俳優を使って、『ワイルド・スピード』のような映画を撮ってみた。
しかし、それは、ちょっと安易すぎた考えだったようで、
結局、出来上がったのは『ワイルド・スピード』の二番煎じだったということなんだろう。
先程も言ったけれども、それは、あまり車に詳しくない私が観たから、そう思えるのであって、クラシックカーが大好き!!という人が観たら、もっと違う感想が出てくるかもしれない。
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「私はいつも自分の心に響くことを映画にしたいと思っています」
2017/09/09 10:09:14
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