ある日突然、余命2ヶ月と宣告された男性。彼はその後何をするのかを描く。
【満足度 評価】:★★★★☆
息が苦しくなって、心が重くなる程にリアルな現実。頭と心をかき回される映画だった。
人生はBeautifulの綴りを知らなくても、悲しくなる程に美しい。
出演:ハビエル・バルデム
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 2010年製作 スペイン、メキシコ合作映画
「BIUTIFUL ビューティフル」予告編 動画
(原題:BIUTIFUL)◆「BIUTIFUL ビューティフル」 DVD
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あらすじ
スペインの闇社会で働くウスバル(ハビエル・バルデム)は、ある日突然、「余命2ヶ月」だと宣告される。
精神状態が不安定な妻と離婚し、まだ幼い息子と娘の3人暮らしのウスバルは、その後、どの様に生きていくべきかを悩み、これまでの人生を振り返りながら、できることを1つずつ整理し始める…。

感想(ネタバレあり) ある日突然余命2ヶ月と宣告されたら
もしも、ある日突然、「余命2ヶ月だ」と宣告されたら、人は何をすべきなのか。
そんなことについて考えさせられる映画だった。
主人公のウスバルは、闇社会で働いている。
不法移民を使って仕事をさせ、マージンを取ることで生活している。
しかし、生活は決して裕福ではなく、娘にビューティフル(Beautiful)の正しい綴りも教えられず、「雪が見たい」という願いを叶えさせることもできない。
そんな、その日暮らしの刹那的な人生を送っていたウスバルが、余命2ヶ月と知って何をするのか。
ウスバルの行動を見ながら、人生とは何かについて考えさせられる映画だった。

残りの人生、何を遺せるか
私がウスバルの行動を見て思ったのは、残りの人生が分かった時、人は「何をしたいか」ではなく、「何を遺せるのか」なんだと痛感した。
娘が雪が見たいと言ったから、一緒に雪山を見に行くのか。
そうではない。
一銭でも多く金を残せるのなら、お金を遺したいと思う。
しかし、心を入れ替えたからと言って、2ヶ月で簡単にお金ができないのが現実だ。
それどころか、不慮の事故が起きたり、不測の事態が発生したりして、むしろお金がなくなっていく一方。
彼の思いとは裏腹の出来事の連続に、心はいら立つばかり。
子供たちは無邪気で、いつも優しいパパを慕っているだけに、余計に切ない。
でも、そんな日々の中でも、彼にとっては、子供たちと一緒にいる時間が「一番のビューティフルな瞬間」だったのではと思う。

彼がこの世に遺したかったものとは…
この映画の中で、最も切ないのは彼が余命2ヶ月だということを、誰にも打ち明けられなかったことだ。
子供たちにも、元妻にも、兄弟にも。
それは、彼が子供たちや元妻、兄弟に何も遺せるものがないからなのではないだろうか…。
「俺がいなくなっても、これがあるから大丈夫」
と言えるものが何もないから、何も言えず、治療に専念しようにもできない。
唯一、彼が娘に遺したのは、母から譲り受けたダイヤの指輪だった。
キラキラと輝くダイヤを「キレイ」と喜ぶ娘だったが、最も美しいのは、その娘の心だった。

美しい人生とは…
「人生のおける美しさ」とはなんだろう。
美しい家に住むことだろうか。
美しい服を着ることだろうか。
そうではなく、美しい心を持つことなのではないだろうか。
人が死んでもしらんぷり、人が投獄されても知らんぷり。
そんな人生は、果たして美しい人生と言えるだろうか。
愛する人たちに囲まれ、愛する人を抱きしめてあげることが美しい人生なのではないか。
だから、ウスバルは裕福な人生を送れなかったけれども、可愛い娘と息子がいて、この世に彼らを残すことができただけでも、十分美しい人生だったのではないかと思う。
彼の美しい人生とお別れしなければならない切なさが、心にズシンとのしかかる。
その重さが悲しくなる程にリアルだった。

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