ドイツ映画「5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生~」を映画館で観た。
ある日突然、病気で視力が5%にまで落ちてしまった高校生のサリーが、高校を卒業し、夢だった一流ホテルのホテルマンを目指す物語。
【満足度 評価】:★★★★☆(4.5)
主人公が障害を抱えているという物語でありながら、泣かせることなく、悲壮感もなく、最初から最後まで笑いながら観られるところが良かった。
また、彼を聖人扱いせず、困難に押しつぶされてドラッグにおぼれてしまうようなダメなところもキチンと描いていたところも良い。
何が起きても最後まであきらめない前向きな姿勢に勇気をもらえる作品。
この感想にはネタバレを含みます。映画を観終わってからお読みください
◆ネット配信で観る:「5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生~」(字幕版)
◆DVDで観る:「5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生~」
〇ヤコブ・マッチェンツ
〇アンナ・マリア・ミューエ
〇ヨハン・フォン・ビューロー
…(「ヒトラー暗殺、13分の誤算」など)
2017年製作 ドイツ映画

一流のホテルマンになることを目指すサリー(コスティア・ウルマン)は、高校生の時に目の病気で網膜剝離を患い、視力が95%の視力を失ってしまう。
それでも、ホテルマンになることをあきらめきれないサリーは、目が見えないことを隠してミュンヘンにある5つ星ホテルの採用試験を受ける。
面接を無事通過したサリーは、研修生として働き始めるのだが、やがて、同じく研修生のマックス(ヤコブ・マッチェンツ)に目が見えないことをばれてしまう。
しかし、マックスはサリーに協力し、彼のサポートをすることで研修生活は順調に進んでいたが、鬼教官であるクラインシュミット(ヨハン・フォン・ビューロー)のダメ出しが厳しすぎて、精神的に追い詰められていく…。

どうしても叶えたい夢があって、そのために勉強と実践を繰り返す日々を送っていたとする。
ところが、ある時突然病気になってしまい、障がいを抱えることになってしまった。
それでも、夢に向かって歩き続けるだろうか。
それとも、諦めて別の道を進むだろうか。
恐らく、多くの人が夢をあきらめてしまうのではないかと思う。
特に日本人は、障がいを抱えていたら、周りの人に迷惑がかかるのではと考えてしまうのではと思う。
しかし、できるところまで頑張ってみてから考えても遅くないのではと思わせてくれるのがこの映画だった。
この映画の主人公サリーは、一流のホテルマンを目指す高校生だった。
そのために、近所の高級レストランでウエイターのバイトをしながら、高校を卒業できる日を待ち望んでいた。
しかし、ある日突然、目の病気を発症し網膜剥離になってしまう。
そして、視力の95%を失うことに。
そんなサリーに対し、周りの人たちはみな「ホテルマンになれるはずがない。早く諦めろ」と言い、視力が弱くてもできる仕事、テレフォンアポインターなどを薦められる。
それでも、長い間に見てきた夢をあきらめきれないサリーは「目が見えないことを隠して」一流ホテルの採用試験を受ける。
何も行動しないままあきらめるということができなかったのだ。
私たちは日頃、サリーよりももっと小さな困難で、すぐに諦めてしまうことを考えがちだ。
例えば、上司に厳しく叱られたとか、多くの人に批判されたとか、自分に才能がないと思い込んだりとか。
目の前にある困難を克服する方法を考えもせずに、嫌な思いをしたり、勉強や努力が必要になると、すぐに諦めてしまう。
そういう人はこの映画を観るべきだと思う。
健常者というだけで、95%の視力を失ったサリーからしたらどれだけ恵まれていることか。
そして、どれだけたくさんの可能性を秘めていることか。
この映画を観れば、何があっても前に突き進む素晴らしさをサリーが教えてくれるはずだ。

しかし、この映画の良いところは、悲観的にならず、泣かせるシーンもなく、むしろ、最初から最後まで笑えるシーンが満載で、サリーが目が見えなくてドジを踏んでも笑って楽しめるようにできている。
それが、決して軽いというわけではない。
ただただ、ありのままの人間としてのサリーを描いているのだ。
だから、人間らしく失敗したこともちゃんと描く。
鬼教官クラインシュミットによる厳しい指導の中、両親の離婚でお金が必要になり、副業をせざるを得なかった時に、薬に頼ってしまったことがあった。
目を覚ますために薬を飲んで、ハイのままお客さんの前に出てしまったり。
そんな生活が続いた結果、ホテルの大事なイベントである結婚式で酷い失敗をしてしまう。
その上、恋人のラウラに嫌われたくなくて、目が見えないことを隠していたら、彼女の息子を見失うという事態になり、結局、彼女に嫌われてしまうということもあった。
サリーを聖人として扱わず、酷いところもちゃんと描く。
そんなサリーの「ありのままの姿」を描いたところにとても好感が持てる映画だった。
その人間らしい障がい者の描き方はフランス映画の「最強のふたり」に近かったように思う。
彼が犯した失敗の数々は「障害を隠していた」ことから起きたことだった。
それは身から出た錆なのかもしれないが、そうやって失敗したからこそ「どこまでが今の自分の限界か」を知ることができたのだ。
それらの失敗は、サリーにとって有意義なものだったと思う。

しかし、「目が見えないことを隠して」チャレンジしたことで、たくさんの良いこともあった。
周りの人たちの優しさを知れたことだ。
特にサリーと同期でチャラ男のマックスは、サリーの目となってサポートし、サリーの人生には欠かせない親友になった。
マックスだけでなく、キッチンのスタッフも良い人ばかり。
サリーの目が見えないことを知った彼らは、キッチンは火や刃物を扱うとても危険なところなのに、それでもサリーを叱るどころか、それぞれの機械の目が見えないなりの扱いかたを優しく教えてくれる。
そんな彼らの姿はとても感動的だった。
そんな周りの人たちの優しさを引き出したのは、サリー本人の人間性にあったと思う。
目の前にいる人が熱心に何かに取り組んでいたら、手を差し伸べたくなるし、支えてあげたくなってしまう。
「目は5%しか見えなくても、それでもホテルマンになりたいんです」という彼の熱意が、周りの人の心を動かしたのだ。
彼の熱意に心を動かされ「そんなにこの仕事が好きなら、サポートしてあげるからがんばりなさい」と言いたくなってしまうのだ。
何か大きな困難にぶち当たった時、目の前にある巨大な壁を突き破るのは、才能でも健康な身体でもなく、努力であり、忍耐であり、熱意であり、その全てを備えた人間性なのだ。
多くの人が「努力しても無駄」「私にできるはずがない」と思った時点で、既に試合を放棄してしまっているのだ。
「何が何でもなりたい自分になる」と最後まで思えた人だけに夢への扉は開けていくのである。

95%の視力を失い、周りの人たちから「夢を諦めろ」と言われたサリー。
それでも、どうしても諦めきれずに「嘘をついて」最後まで戦い続ける。
そして、チャレンジした結果、採用試験をパスすることができるが、様々な失敗を経験することで、自分自身の限界を知ってしまう。
彼は視力の95%を失ってしまったけれど、その代わりに得たものもたくさんあった。
周りの人たちの優しさを知り、「本当のサリーを理解してくれる」多くの仲間ができる。
ホテルでの研修生活で日々の生活に限界があることが分かったけれど、仲間がいれば、その限界を超えられることもわかったのだ。
だからこそ、サリーは「親の店を引き継ぐ」というマックスについて行ったのだと思う。
ホテルにはホテルマンになりたい人がたくさんいる。
しかし、サリーが自分らしくいられる場所は仲間のいるところしかない。
そのサリーの境地は、限界に向かって戦い抜いたからこそ得られたものだと思う。
マックスも、ラウラも、視力を失わなければ仲良くなれなかった人たちかもしれない。
サリーの素晴らしい仲間たちは、病気に視力を奪われた代わりに神様がプレゼントしてくれた贈り物だろう。
そんな素晴らしい贈り物を引き寄せたのも、サリーの努力の賜物である。
嘘をついて採用試験を受けたことは良くないことだったかもしれないけど、彼の諦めない力はどんな障害も克服できることを証明し、素晴らしい仲間たちと出会うことができた。
できることを一つ一つクリアしていけば、きっと崩せない壁はない。
そう思わせてくれるこの映画がとても好きになった。
多くの人に見て欲しい作品。
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◆DVDで観る:「5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生~」
ある日突然、病気で視力が5%にまで落ちてしまった高校生のサリーが、高校を卒業し、夢だった一流ホテルのホテルマンを目指す物語。
【満足度 評価】:★★★★☆(4.5)
主人公が障害を抱えているという物語でありながら、泣かせることなく、悲壮感もなく、最初から最後まで笑いながら観られるところが良かった。
また、彼を聖人扱いせず、困難に押しつぶされてドラッグにおぼれてしまうようなダメなところもキチンと描いていたところも良い。
何が起きても最後まであきらめない前向きな姿勢に勇気をもらえる作品。
この感想にはネタバレを含みます。映画を観終わってからお読みください
目次
「5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生~」予告編 動画
(原題:Mein Blind Date mit dem Leben)更新履歴・公開、販売情報
・2018年2月16日 映画館で観た感想を掲載。
・2019年2月27日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。
現在、DVD、ネット配信、共に販売中。
◆ネット配信で観る:「5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生~」(字幕版)
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キャスト&スタッフ
出演者
〇コスティア・ウルマン〇ヤコブ・マッチェンツ
〇アンナ・マリア・ミューエ
〇ヨハン・フォン・ビューロー
…(「ヒトラー暗殺、13分の誤算」など)
監督
〇マルク・ローテムント2017年製作 ドイツ映画

あらすじ
一流のホテルマンになることを目指すサリー(コスティア・ウルマン)は、高校生の時に目の病気で網膜剝離を患い、視力が95%の視力を失ってしまう。
それでも、ホテルマンになることをあきらめきれないサリーは、目が見えないことを隠してミュンヘンにある5つ星ホテルの採用試験を受ける。
面接を無事通過したサリーは、研修生として働き始めるのだが、やがて、同じく研修生のマックス(ヤコブ・マッチェンツ)に目が見えないことをばれてしまう。
しかし、マックスはサリーに協力し、彼のサポートをすることで研修生活は順調に進んでいたが、鬼教官であるクラインシュミット(ヨハン・フォン・ビューロー)のダメ出しが厳しすぎて、精神的に追い詰められていく…。

感想(ネタバレあり)
ある日突然、視力の95%が失われる
どうしても叶えたい夢があって、そのために勉強と実践を繰り返す日々を送っていたとする。
ところが、ある時突然病気になってしまい、障がいを抱えることになってしまった。
それでも、夢に向かって歩き続けるだろうか。
それとも、諦めて別の道を進むだろうか。
恐らく、多くの人が夢をあきらめてしまうのではないかと思う。
特に日本人は、障がいを抱えていたら、周りの人に迷惑がかかるのではと考えてしまうのではと思う。
しかし、できるところまで頑張ってみてから考えても遅くないのではと思わせてくれるのがこの映画だった。
この映画の主人公サリーは、一流のホテルマンを目指す高校生だった。
そのために、近所の高級レストランでウエイターのバイトをしながら、高校を卒業できる日を待ち望んでいた。
しかし、ある日突然、目の病気を発症し網膜剥離になってしまう。
そして、視力の95%を失うことに。
そんなサリーに対し、周りの人たちはみな「ホテルマンになれるはずがない。早く諦めろ」と言い、視力が弱くてもできる仕事、テレフォンアポインターなどを薦められる。
それでも、長い間に見てきた夢をあきらめきれないサリーは「目が見えないことを隠して」一流ホテルの採用試験を受ける。
何も行動しないままあきらめるということができなかったのだ。
「目が見えないことを隠す」というやり方には問題があるかもしれないけれど、大切なことは「最後まであきらめない気持ち」なのではと思う。
私たちは日頃、サリーよりももっと小さな困難で、すぐに諦めてしまうことを考えがちだ。
例えば、上司に厳しく叱られたとか、多くの人に批判されたとか、自分に才能がないと思い込んだりとか。
目の前にある困難を克服する方法を考えもせずに、嫌な思いをしたり、勉強や努力が必要になると、すぐに諦めてしまう。
そういう人はこの映画を観るべきだと思う。
健常者というだけで、95%の視力を失ったサリーからしたらどれだけ恵まれていることか。
そして、どれだけたくさんの可能性を秘めていることか。
この映画を観れば、何があっても前に突き進む素晴らしさをサリーが教えてくれるはずだ。

悲観的な障がい者でも聖人でもない人間らしいサリー
障がい者が主人公と聞くと「わざと泣かせるシーンが満載」とか「暗くて重い」とか「素晴らしき聖人扱い」のようなイメージが自然と湧いてくる。
しかし、この映画の良いところは、悲観的にならず、泣かせるシーンもなく、むしろ、最初から最後まで笑えるシーンが満載で、サリーが目が見えなくてドジを踏んでも笑って楽しめるようにできている。
それが、決して軽いというわけではない。
ただただ、ありのままの人間としてのサリーを描いているのだ。
だから、人間らしく失敗したこともちゃんと描く。
鬼教官クラインシュミットによる厳しい指導の中、両親の離婚でお金が必要になり、副業をせざるを得なかった時に、薬に頼ってしまったことがあった。
目を覚ますために薬を飲んで、ハイのままお客さんの前に出てしまったり。
そんな生活が続いた結果、ホテルの大事なイベントである結婚式で酷い失敗をしてしまう。
その上、恋人のラウラに嫌われたくなくて、目が見えないことを隠していたら、彼女の息子を見失うという事態になり、結局、彼女に嫌われてしまうということもあった。
サリーを聖人として扱わず、酷いところもちゃんと描く。
そんなサリーの「ありのままの姿」を描いたところにとても好感が持てる映画だった。
その人間らしい障がい者の描き方はフランス映画の「最強のふたり」に近かったように思う。
彼が犯した失敗の数々は「障害を隠していた」ことから起きたことだった。
それは身から出た錆なのかもしれないが、そうやって失敗したからこそ「どこまでが今の自分の限界か」を知ることができたのだ。
それらの失敗は、サリーにとって有意義なものだったと思う。

周りの人たちの優しさを引き出すサリーの熱意
しかし、「目が見えないことを隠して」チャレンジしたことで、たくさんの良いこともあった。
周りの人たちの優しさを知れたことだ。
特にサリーと同期でチャラ男のマックスは、サリーの目となってサポートし、サリーの人生には欠かせない親友になった。
マックスだけでなく、キッチンのスタッフも良い人ばかり。
サリーの目が見えないことを知った彼らは、キッチンは火や刃物を扱うとても危険なところなのに、それでもサリーを叱るどころか、それぞれの機械の目が見えないなりの扱いかたを優しく教えてくれる。
そんな彼らの姿はとても感動的だった。
そんな周りの人たちの優しさを引き出したのは、サリー本人の人間性にあったと思う。
目の前にいる人が熱心に何かに取り組んでいたら、手を差し伸べたくなるし、支えてあげたくなってしまう。
「目は5%しか見えなくても、それでもホテルマンになりたいんです」という彼の熱意が、周りの人の心を動かしたのだ。
彼の熱意に心を動かされ「そんなにこの仕事が好きなら、サポートしてあげるからがんばりなさい」と言いたくなってしまうのだ。
何か大きな困難にぶち当たった時、目の前にある巨大な壁を突き破るのは、才能でも健康な身体でもなく、努力であり、忍耐であり、熱意であり、その全てを備えた人間性なのだ。
多くの人が「努力しても無駄」「私にできるはずがない」と思った時点で、既に試合を放棄してしまっているのだ。
「何が何でもなりたい自分になる」と最後まで思えた人だけに夢への扉は開けていくのである。

視力を失って得られた宝物「かけがえのない仲間たち」
95%の視力を失い、周りの人たちから「夢を諦めろ」と言われたサリー。
それでも、どうしても諦めきれずに「嘘をついて」最後まで戦い続ける。
そして、チャレンジした結果、採用試験をパスすることができるが、様々な失敗を経験することで、自分自身の限界を知ってしまう。
彼は視力の95%を失ってしまったけれど、その代わりに得たものもたくさんあった。
周りの人たちの優しさを知り、「本当のサリーを理解してくれる」多くの仲間ができる。
ホテルでの研修生活で日々の生活に限界があることが分かったけれど、仲間がいれば、その限界を超えられることもわかったのだ。
だからこそ、サリーは「親の店を引き継ぐ」というマックスについて行ったのだと思う。
ホテルにはホテルマンになりたい人がたくさんいる。
しかし、サリーが自分らしくいられる場所は仲間のいるところしかない。
そのサリーの境地は、限界に向かって戦い抜いたからこそ得られたものだと思う。
マックスも、ラウラも、視力を失わなければ仲良くなれなかった人たちかもしれない。
サリーの素晴らしい仲間たちは、病気に視力を奪われた代わりに神様がプレゼントしてくれた贈り物だろう。
そんな素晴らしい贈り物を引き寄せたのも、サリーの努力の賜物である。
嘘をついて採用試験を受けたことは良くないことだったかもしれないけど、彼の諦めない力はどんな障害も克服できることを証明し、素晴らしい仲間たちと出会うことができた。
これからは、私もつまづいて前に進めなくなった時には、このサリーの姿を思い出そうと思う。
できることを一つ一つクリアしていけば、きっと崩せない壁はない。
そう思わせてくれるこの映画がとても好きになった。
多くの人に見て欲しい作品。
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