とにかく映画が好きなんです【本館】

とにかく映画が好きで、特にアメリカ映画大好きです このブログは、ネタバレありの映画鑑賞日記です。主にハリウッド映画と韓国映画をメインに感想を書いています


タグ:オクタヴィア・スペンサー



クリス・エヴァンス主演の映画「gifted/ギフテッド」を試写会で観た。

天才的な数学の才能を持った少女メアリーと、彼女を育てる叔父のフランク、そして、彼女に英才教育をさせようとする祖母の物語。


満足度 評価】:★★★★☆

笑って、共感して、最後は号泣。

特別な才能を持った子供がいたら、大人は何をすべきなのか

よりよい教育を受けさせることなのか、同世代の友達と一緒に学ぶべきなのか。

子供の教育について、考えさせられる作品。

「私は子供がいないから」という言い逃れができない作品になっていて、素晴らしい作品なので、一人でも多くの人に観て欲しい。



目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「gifted/ギフテッド」予告編 動画

(原題: Gifted)



更新履歴・公開、販売情報

・2017年11月18日 試写会で観た感想を掲載。

・2018年12月2日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。

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キャスト&スタッフ


出演者

クリス・エヴァンス
…(「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」、「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」、「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」、「アベンジャーズ」、「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」など)


ジェニー・スレイト
…(「ヴェノム」、「彼女が目覚めるその日まで」など)

リンゼイ・ダンカン
…(「ウィークエンドはパリで」、「バードマン」、「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」など)

オクタヴィア・スペンサー
…(「シェイプ・オブ・ウォーター」、「ドリーム」、「ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常」など)




監督

マーク・ウェブ
…(「(500)日のサマー」、「アメイジング・スパイダーマン」など)


2017年製作 アメリカ映画



giftedギフテッド




あらすじ


フロリダの小さな田舎町で暮らす7歳のメアリー(マッケンナ・グレイス)は、生まれて間もなく母を亡くしたため、叔父のフランク(クリス・エヴァンス)と、片目の猫 フレッドと暮らしていた。

7歳になったため、小学校に通い始めたメアリーだったが算数の授業で2ケタと3ケタの掛け算を安産をして先生のボニー(ジェニー・スレイト)を驚かせてしまう。

メアリーは幼い頃から数学の天才的な才能を持っていた(gifted ギフテッド)のだが、普通の小学生らしい生活を送らせたいとフランクが望んだため、地元の公立小学校に通わせることにしたのだ。

しかし、学校は彼女を「適切な学校に通わせるべき」とフランクに提案し、フランクはそれを拒否するが、フランクの母で元数学者のイブリン(オクタヴィア・スペンサー)がメアリーの噂を聞きつけ、彼らの元を訪れる。

そして、イブリンはメアリーに英才教育を受けさせるために預かりたいと言い出し…。



giftedギフテッド2




感想(ネタばれあり)


天才数学者だった姉がフランクに残したギフト



主人公のフランクは未婚で子供がいない。

しかし、ある時突然、子供を育てることになった。



普通の独身男性のように毎日を過ごしていたフランクの元に、姉が生まれたばかりの子供・メアリーを連れて訪ねてきた。

姉は話があると言うが、その日、フランクはデートの約束をしていた。

だからフランクは「話は帰ってから聞く」と言って、姉とメアリーを家に置いたまま遊びに出かけてしまう。

ところが、家に帰ってみると姉は自殺していた。



その時からフランクは、メアリーを育てることになった。

私もフランクと同じく未婚で子供がいないので、もしもいきなり目の前に姪が現れて、その子を育てることになったらどうするかなと考えた。

始めはきっと姉の自殺を止められなかったことに責任を感じてメアリーを育て始めるように思う。

しかし、いくら自分の本当の子供じゃないとは言っても、生まれて間もない頃から育てた子供には、自分の子供と同じぐらいの愛情を感じるだろうし、姉のためにも、自分の子供だと思って大切に育てるのではと思う。



そして、順調に育ったメアリーは数学者だった姉の遺伝子を引き継ぎ、幼い頃から天才的な才能を発揮、小学校に上がる前から難しい数学の本を読破していた

けれど、フランクはメアリーには「普通の小学生の暮らし」をさせたいと思い、公立の小学校へ通わせることにした。

メアリーの友達には隣人のロバータ(オクタヴィア・スペンサー)がいるけれど、やはり、同世代のお友達が必要だと考えたからだった。

そのフランクの選択は正しかったのか

そこから、この物語はスタートする。



giftedギフテッド6


勉強も大切だけど、生きていくためには社会性も必要



メアリーは小学校に上がるまでに難しい本も読んでいたし、公立小学校の教育など必要なかった

メアリー本人も自宅で勉強をすることを望んでいた

隣人のロバータもメアリーを小学校に行かせることで、周りの「大人たち」が、彼女の恵まれた才能(gifged/ギフテッド)に気付き、彼女をどこかに連れて行ってしまうのではと心配していた。



そんなメアリーとロバータの気持ちも理解した上で、フランクがメアリーを学校に行かせたのは「社会性」のためだった。

もちろん勉強も大事だし、彼女の才能が世間から注目されるも心配だけど、それ以上に同じ年頃の子供たちと話をしたり、遊んだりする時間が必要だと考えた。



フランクからしたら、姉が自殺したのは、彼女の才能を伸ばすために母親が彼女の私生活を全て取り上げて、数学だけを与えていたことに原因があったと考えたのだろう。

だからこそ、勉強も必要だけど、それ以外の時間も大切にして欲しいと思ったはず。



実際、学校に通いだしたメアリーは授業内容に物足りなさを感じ、同世代の子供たちは退屈だと感じていた

けれど、授業が物足りないのも、友達関係が退屈なのも全て含めて、教育だし、成長なのだ。



その反面、メアリーの恵まれた才能を伸ばしてあげたいという気持ちもあった。

しかし、メアリーを優秀な学校に通わせるほどの生活水準がフランクには無かった。



giftedギフテッド5


子供の人生を支配しようとする過干渉な毒親



そこへ現れたのが、フランクの母であり、メアリーの祖母であり『熱心な教育ママ』のイブリンだった。

彼女は、「フランクに育てられないのなら、メアリーを預かりたい」と言う。



しかし、このイブリンは子供の人生を支配しようとする過干渉の母親で、典型的な毒親である。

フランクからしたら、メアリーの母親が自殺したのも、彼女の支配的教育の過干渉が原因だと思っている。



ところがイブリンは「子供の将来を考えて、そのレールを引いてあげているだけ」だと思っている
し、フランクの姉が自殺したのも「彼女が弱いから」だと思っている。

しかし、子供からすると「たまにはレールからそれたい時」もあるし、失敗するのもまた、人生勉強なのだ。

イブリンの徹底的な管理教育の結果、フランクの姉は人とうまくコミュニケーションを取ることができず、結婚しないまま子供を産み、目標としていた数学の理論を証明した時点で人生の終わりがやってきてしまった。



そんなフランクの姉は、「勉強だけでは人間生きていけない」ことを象徴している

メアリーが普通の人と同じような人生を送ることは、姉の希望でもあったのだ。

姉の二の舞にしないためにも、フランクは普通の学校に通わせようと思ったのだ。



メアリーの姉の人生は、天才子役たちの悲しい人生の末路によく似ている

彼らも才能に恵まれて、ステージママたちから明らかに過干渉な教育を受けて子役界のスターになったけれど、10代の後半ぐらいからドラッグや酒に溺れてしまい、いつの間にか芸能界からドロップアウトしている。

大人たちからしたら「大切な子供が人生に失敗しないように、良かれと思って」したことだけれど、子供にとっては足かせでしかない。

どんなに子供のことが心配でも「適度な距離」が必要なのだ。



giftedギフテッド4


大人同士で奪い合う以前に大切なのは「子供が何を望んでいるのか」



そうして、普通の暮らしをさせたいフランクと、最高の教育を受けさせたいイブリンの間でメアリーを奪い合うことになる。

この「大人の事情」でメアリーが右往左往する姿を見ていると、本来なら才能に恵まれたということは素晴らしいことなのに、その才能がメアリーを不幸にするのではと思ってしまう。

しばらくフランクと離れていたメアリーが、フランク恋しさに泣きじゃくる姿には、私も号泣したし、その後、何度思い出しても泣けてしまう。



そんな彼らを観て思ったのは、一番大事なのは「メアリーがどうしたいか」ということ

メアリーが飼っている猫のフレッドが生まれつき片目がないように、メアリーには人よりも数学の才能に優れているという個性があるだけなのだ。

その個性を、大人たちが引き伸ばそうと思っても、本人にその気がなければ不幸になるだけ。

メアリーがフランクやフレッドといたいと思うことも、もっと良い教育を受けたいと思う気持ちも両方ともに大切で、周りの大人たちはそんな彼女の奪い合いをするのではなく、互いに相談しながら「彼女の最も望む環境づくり」するべきなんだと思った。



ゴキブリの出る家が劣悪な環境だとしても、メアリーはそんな家が大好きだし、そこで暮らしたいと思っている。

その「大好き」な気持ちも、メアリーという人間の大切な一部なのだ。

フランクであれ、イブリンであれ「子供はこうあるべき」を押し付けるのではなく、互いにできることを出し合い「メアリーは何を望んでいるのか」を全力で考えることが一番だなと思った。

7歳の子供にだって、意志も人権もある



giftedギフテッド3





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ギレルモ・デル・トロ監督の映画「シェイプ・オブ・ウォーター」を東京国際映画祭で観た。

1962年冷戦時代のアメリカで発見された半魚人と心を通わせる女性のSFファンタジー作品。


満足度 評価】:★★★★☆

愛に溢れ、心温まる優しい映画だった。

ここにあるのは、海の中の王様と、口のきけないお姫様の運命の恋。

なぜ、彼らは出会い、愛し合うことになったのか。

ギレルモ・デル・トロ監督が描く、「多様性の時代」にあるべき愛の姿。


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「シェイプ・オブ・ウォーター」予告編 動画

(原題:The Shape of Water)



更新履歴・公開、販売情報

・2017年11月11日 東京国際映画祭で観た感想を掲載。

・2018年11月25日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。


ネット配信で観る:「シェイプ・オブ・ウォーター」(字幕版)

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DVDで観る:「シェイプ・オブ・ウォーター」

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キャスト&スタッフ


出演者

サリー・ホーキンス
…(「パディントン2」、「僕と世界の方程式」、「パディントン」、「ブルージャスミン」など)

マイケル・シャノン
…(「ホース・ソルジャー」、「ラビング 愛という名前のふたり」、「ドリームホーム 99%を操る男たち」、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」、「マン・オブ・スティール」、「マッド・マザー 生贄の少年」など)

リチャード・ジェンキンス
…(「LBJ ケネディの意志を継いだ男」、「アウトロー」、「扉をたたく人」など)

オクタヴィア・スペンサー
…(「gifted/ギフテッド」、「ドリーム」、「ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常」など)

〇ダグ・ジョーンズ

マイケル・スタールバーグ
…(「君の名前で僕を呼んで」など)



監督・脚本・製作・原案

ギレルモ・デル・トロ
…(「パンズ・ラビリンス」、<製作総指揮のみ>:「MAMA」、「永遠のこどもたち」)


2017年製作 アメリカ映画



映画「シェイプ・オブ・ウォーター」



あらすじ


1962年、冷戦時代のアメリカでは、科学技術の分野でアメリカとソ連が競い合っていた。

そんな中、アメリカの調査隊はアマゾンの山奥で「神」と崇められている半魚人(ダグ・ジョーンズ)を発見する。

その半魚人が収容されている研究所で掃除の仕事をしているイライザ(サリー・ホーキンス)は、研究所で恐れられている半魚人に興味を持ち始め、手話でその思いを伝え始める…。



映画「シェイプ・オブ・ウォーター」サリー・ホーキンス



感想(ネタばれあり)


『異質なもの』に対して不寛容だった時代に出会ったイライザと半魚人


物語の舞台は1962年のアメリカ。

その当時は冷戦時代で、アメリカとソ連は科学技術力を競い合っていた。

その頃のアメリカは、今と比べて同性愛者、有色人種、障がい者への差別・偏見がまだまだ強かった時代だった。



主人公のイライザは、幼い頃に声帯を切られた状態で発見され、孤児として育つ。

人とのコミュニケーションは手話で行い、隣人の独身男性ジャイルズと助け合いながら生活していた。

そのジャイルズは同性愛者なのだが、当時は同性愛者に対する周囲の理解がなく、そのそぶりを見せようものなら、異常者扱いをされてしまっていた。

イライザは、夜間、研究所で掃除の仕事をして働いていたが、同僚のゼルダは黒人で、彼女もまた偏見の目にさらされながら生活していた。



そんな時、イライザとゼルダが働く研究所に半魚人がやってきた。

幼い頃から『異質の存在』として好奇の目にさらされてきたイライザにとって、その半魚人は『同類』であり、出会った瞬間から気持ちが分かり合えるような気がして、半魚人が威嚇してきても、臆することなく近づくことができた。

そして、そこから半魚人とイライザの心の交流が始まる。



映画「シェイプ・オブ・ウォーター」サリー・ホーキンス、リチャード・ジェンキンス



未知のものを恐れる人たちと、受け入れようとする人たち


ここに登場する人々は、当時のアメリカがその存在を認めなかった人たちである。

障がい者のイライザ、黒人女性のゼルダ、ゲイのジャイルズ、そして半魚人。

マイケル・シャノン演じるストリックランドや、ジャイルズが通うパイ屋さんの店員は、当時の典型的なアメリカ人を体現したものである。



なぜ、彼らはそれ程までにマイノリティの人たち嫌い、差別的な態度をとっていたのか

それは、彼らが「自分たちとは異なるもの」だからこそである。

人は、未知のものと出会った時、相手の行動が読めず、恐れを抱くようになる。

当時のアメリカにとって理想的なものは、ノーマンロックウェルが描くような世界であり、そこには、黒人や障がい者や、ゲイや半魚人は出てこない。

彼らは、「自分たちとは異なる」未知のものを恐れ、威圧し、時には暴力を使って彼らを服従させていた



半魚人は、そんな時代のマイノリティを象徴している存在であるが、だからこそ、同じくマイノリティのイライザは半魚人に興味を持ち、彼の言葉を理解しようとし、心を通わせようとした。

それは、ギレルモ・デル・トロ監督がこれまで一貫して描いてきた「人と異なることは素晴らしいこと」がここにも通じていて、彼らへの愛情に満ち溢れた作品となっている



映画「シェイプ・オブ・ウォーター」サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、オクタヴィア・スペンサー



言葉がつうじなくても、身振り手振りで分かり合える…それが、多様性の時代のコミュニケーション能力


やがて、イライザと半魚人は愛し合うようになるが、そのイライザと半魚人の恋を通じて描かれるのは、「言葉がなくても分かり合える世界」である。



観光地でよく見かける光景の一つとして、「外国人に話しかけられて、逃げてしまう日本人の姿」がある。

それは、「自分が英語を話せないから」という英語コンプレックスからくるものだけど、実際は、英語を話せなくても、身振り手振りと、知っている単語だけでなんとかなることがほとんど。

そこには、英語コンプレックスに加えて『外国人』という未知のものに対する恐れもある。

それは、島国で育った日本人が、どうしても異文化とのコミュニケーションがうまくなれない原因の一つである。



声を発することができないイライザにとっては、彼女以外の全ての人たちが『言葉の通じない人たち』である

相手が、白人だろうと、黒人だろうと、ゲイだろうと、半魚人だろうと、誰であっても『ゼロからコミュニケーションをスタート』させることに違いはないし、常に、『相手の表情を読む』ことでコミュニケーションを成立させてきた。

だから、イライザはいつも通り半魚人と初めて出会った時に、相手に恐れを抱くよりも、まず表情を読んだのだろう

そして、彼に好意を抱くようになる。



半魚人にとって、そんなイライザは『他の人間』と明らかに違っていて、初めて心を開く相手になった。

イライザが幼い頃から口がきけなかったからこそ、これは海の中の王様と、口のきけないお姫様の運命の恋の物語なのである。



これは冷戦時代の話であるが、現在のような『多様性の時代』だからこそ、イライザのように「言葉がなくても相手と通じ合えるコミュニケーション能力」が必要であることを、2人の恋は示している

他の人と見た目や話す言葉が違っていても、見つめ合えば分かり合えることがある

そして、そこから恋に発展することだってある。

相手を恐れるよりも、まずは理解しようとする気持ちが大切だと、ギレルモ・デル・トロ監督は訴えたかったのだと思った。



映画「シェイプ・オブ・ウォーター」



大人になった「パンズ・ラビリンス」


私たちが水の中に潜った時、周りを水に覆われて全く音の無い状態になる。

それは、イライザと半魚人にとって言葉のいらない、愛に覆われた世界である。

外でどんなに恐ろしいことが起きたとしても、水の中にいる彼らの世界は幸せな世界

だからこそ、この映画のタイトルは「The Shape Of Water」なのであり、それが彼らの愛の形なのである。



しかし、「外の世界で何が起きようとも、プリンセスには幸せな世界が待っている」という、おとぎ話の世界観は、ギレルモ・デル・トロ監督の「パンズ・ラビリンス」とどうしてもダブってしまう。

パンズ・ラビリンス」は第二次大戦の話で、こちらは冷戦の話だし、「パンズ・ラビリンス」は少女の話で、こちらは大人の恋愛の話だけれど、どうしても既視感があって新鮮味を感じなかった。



これまでアメリカが描いてきたノーマン・ロックウェル的な『理想の家庭』の時代は終わり、これからは多様性の時代であることを示唆する愛に溢れた世界観は素晴らしいけれど、どうしても、「パンズ・ラビリンス」を思い浮かべてしまい、私としては絶賛という気持ちにまではなれなかった。

むしろ、私としては「パンズ・ラビリンス」と出会った時の衝撃が強く、この「シェイプ・オブ・ウォーター」はそれを越えられなかった。

監督としては、「パンズ・ラビリンス」の少女が成長して、ここでは洗練された愛の形を示したんだろうけど、もっと違う形の結末を見せて欲しかったなと思った。





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タラジ・P・ヘンソン主演の映画「ドリーム」を映画館で観た。

1960年代、アメリカでは黒人たちの自由が認められていなかった頃、NASAの宇宙開発を影で支えた黒人女性たちの活躍を描く。


満足度 評価】:★★★★★

本当に素晴らしい映画だった。

今から50年以上も前、NASAの開発に大きく貢献しながら、『黒人女性だから』という理由で差別や偏見を受け、その活躍が公表されなかった黒人女性たち。

しかし、実際に働く彼女たちの姿に悲壮感がなく、どんなに酷い仕打ちにあっても、前向きに明るく生きる姿にはとても感動するし、何より、彼女たちがとってもかっこいい!!

「差別を受けています」と言って嘆くだけでなく、「誰よりも有能であること」を仕事ぶりと成果で見せ、必要ならば裁判所へ行って権利を獲得する行動力。

胸をはって前に向かって進む強さを、彼女たちから教えられた作品だった



「ドリーム」予告編 動画

(原題: Hidden Figures)




更新履歴・販売情報

・2017年10月3日 映画館で観た感想を掲載。

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原作本「ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち」

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OST「Hidden Figures」

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キャスト&スタッフ


出演者

〇タラジ・P・ヘンソン

オクタヴィア・スペンサー
…(「gifted/ギフテッド」、「シェイプ・オブ・ウォーター」、「ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常」など)

ジャネール・モネイ
…(「ムーンライト」など)

ケビン・コスナー
…(「ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~」、「モリーズ・ゲーム」、「クリミナル 2人の記憶を持つ男」、「ドリフト・デイ」、「ラスト・ミッション」、「マン・オブ・スティール」、「ボディ・ガード」、「フィールド・オブ・ドリームス」、「アンタッチャブル」など)

〇キルスティン・ダンスト

マハーシャラ・アリ


監督

セオドア・メルフィ
…(「ヴィンセントが教えてくれたこと」など)


2016年製作 アメリカ映画



ドリーム



あらすじ


1961年の冷戦時代、アメリカはソ連との宇宙開発競争で後れを取っていたため、NASAでは、ソ連よりも早く有人宇宙飛行を成功させることが求められていた。

責任者のハリソン(ケビン・コスナー)は、より早く正確に計算ができるスタッフを探していたところ、NASAで計算係をしていた数学者のキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)が採用される。

宇宙船の軌道を計算する部署に配属されたキャサリンだったが、当時のアメリカでは黒人の自由が許されず、同じ部署のスタッフから差別や偏見を受けたり、白人女性と同じトイレが使えないなどの困難を乗り越えながら奮闘していく。



ドリーム3



感想(ネタばれあり)


差別や偏見を受けながらも、前向きに働き続ける姿に感動



舞台は1961年のアメリカ。

当時のアメリカでは、有色人種の自由が認められていなかった。

正確には、法律で認められている州もあったけれども、彼女たちが暮らす州では、まだまだ認められないことが多かった。



そのため、国のトップ機関であるアメリカ航空宇宙局(NASA)ですら、黒人が働くビルが白人とは別だったり、白人のトイレは黒人が使えないなどの不便があった。

その中で、数学者やエンジニア、プログラマーとしての優秀な才能を持った黒人女性たちが、自分たちの才能を開花させ、差別や偏見に負けずに働く姿がここでは描かれる。

それは、NASAにも昔は差別があったことを認めることでもあるし、輝かしい宇宙開発事業の影には、名前が表に出ることのない黒人職員たちがいたということを認めることでもある。



そんな彼女たちの活躍を見ながら、『私も有色人種の女性である』という視点に立ち、彼女たちのように差別や偏見を受けたらどう思うか、どう感じるかと思いながら観ていた

すると、周りの人たちからの、まるで、ばい菌やゴミを観るような視線が、ビシビシと伝わってくる。

つまらない差別や偏見は、人間の進歩を遅らせるだけで、なんの利点もない

他人をけなすことのつまらなさと、偏見を乗り越え、協力し合うことの素晴らしさを感じた作品だった



ドリーム4


『働きたい』のに能力を発揮できない『偏見』の壁



『働く』ということは、どういうことだろうか。

同じ会社に集まった人たちが1つの事業に向かい、知恵や技術を出し合い、業績を上げ、利益を出し、それぞれの生活が豊かになっていくこと。

それが、『働く』ということなのだとしたら、社員、一人一人は『知恵や技術』を出せば良い。

それなのに、例えば、性別が違うから、学歴が悪いから、コネがないからという『どうでも良い理由』が目の前に立ちふさがり、能力を存分に発揮できない人たちがいる



NASAで働くキャサリンは、幼い頃から数字の天才だった。

黒人が通える大学の数も限られている中、小学校4年生の頃に飛び級で高校へ進み、博士号を取り、NASAに就職した逸材だった。

そんな彼女に、ようやくキャリアアップのチャンスがめぐって来る。

それが、「マーキュリー計画(アメリカ有人宇宙飛行計画)」で、宇宙船の軌道を決める計算係のポストだった。



しかし、様々な偏見と差別が彼女の前に立ちはだかり、せっかくポストを与えられながら、思うように実力を発揮できない

私も、バスの中では白人と座る位置が別とか、トイレが別っていうのは知っていたけど、まわりにいる同僚たち、一人一人の意識がキツイと思った。

部屋に入ればゴミ箱を手渡され、同じコーヒーポットのコーヒーを飲めないとか。

最悪なのは、仕事を与えられながら、同僚からの差別で数値を読むことができず、やりたい仕事が思う存分できないということ。



「自分よりも、彼女の方が優秀なはずがない」という男性職員の傲慢さが、どれだけ無駄な時間を費やしてしまったことか

キルスティン・ダンスト演じるヴィヴィアンが、トイレの中でオクタヴィア・スペンサー演じるドロシーと会った時、ヴィヴィアンはドロシーと「私は偏見を持っていないのよ」と言い切る。

それに対して、オクタヴィア・スペンサーは「その思い込みは立派ね」(うろ覚え)と言う場面がとても印象的だ。



「私は、あなたを理解しているのよ」と言っていること自体、相手を下に見ている。

偏見を持っていないというのなら、同じ部署に彼女を招き入れ、隣同士に机を並べ、共に仕事をすればいい。

伝言をするのにも、イチイチ長い距離を歩かなくて済むし、効率的じゃないか。

ヴィヴィアンがそのことに気づくのは、随分先の話になる。



その他にも、ドロシーが図書館で本を借りられなかったり、才能のあるメアリーがエンジニアになるために、裁判所に申請をして、白人しか通えない高校に通う権利を得る様子が描かれる。

今、アメリカで有色人種の人たちが自由に行動できるのは、そういう彼女たちの地道な活動があってこそなのだということがよく分かる



そんな風に、周りの人たちの差別や偏見に、1つずつ対処することに時間を割いている間、敵国のソ連はどんどん先に進んでいる。

その様子を見ていると、差別や偏見は、人間の進歩を遅らせるだけで、何の得にもならないことがよく分かる



ドリーム5


『偏見』を乗り越えるのは、確かな成果と数字



そんな差別の中で、彼女たちが素晴らしいなと思うのは、自分たちの才能や実力を「成績」や「成果」できちんと結果にしたこと

「差別があるから、この職場では働けません!」ではなく、

「私には、これだけの技術があるから、この職場で必要とされるべきです」と証明していく



実際には、刺さるような視線の中で働くということは、かなりしんどいことだったと思う。

それでも、彼女たちがそれをやり遂げたのは、『仕事をしたい』という、誰よりも強い気持ちがあるから。

彼女たちの強い熱意は、周りの人たちの心を次第に動かしていく。



原題の「Hidden Figures」とは『隠されたもの(者・物 両方)たち』という意味で、それは、当然NASAが長いあいだ隠してきた彼女たちの実績を示している。

しかし、彼女たちの内側に眠る『隠れた才能』を、成果という数字にして、目に見える形にしたからこそ得られた栄光という意味も含まれるのではと思った。



これは、日々、働いている人なら誰にもあてはまる話。

もしも、仕事で昇進したい、給料をあげたいと思うなら、「数字」を出さなければならない。

正確な「数字」だけが、人の心を動かすことができる。



差別や偏見はとても理不尽なものだけど、それを「理不尽だ!」と言うのなら、自分が誰よりも働ける姿を見せるべきということに、改めて気付かされた

私も、有色人種の女性として、もっと働きたい!稼ぎたい!と思うなら、もっともっと確かな数字を出さなきゃいけないなと思った。



ドリーム2


つまらない偏見は人間の進歩を遅らせる



もしも、彼女たちが最初から偏見を受けていなかったら、物語はどう進んでいただろうか。

軌道の計算も、IBMのコンピューターでの計算も、もっと早く進んでいたのではないだろうか。

それを思うと、「差別や偏見は、物事を後退させるだけで、何一つ良いことはない」ということがよく分かる。



全ての社員が気持ち良く働けるからこそ、仕事の効率も上がり、成果も出せる。

「女性だから」「学歴がないから」という、つまらない偏見を持つ前に、「チャンスが欲しい」と思っている人に対して、もっと活躍の場を与えるべきだと思う。

もしかしたら、その人が「Hidden Figures」の持ち主かもしれない。



現在、多様性の大切さが求められる時代だからこそ、この映画が訴える思いは、とても大きな意味を持つものだと思う。



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ソフィー・ネリッセ主演、キャシー・ベイツ共演の映画「ギリーは幸せになる/ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常」をWOWOWで観た。

里親を転々し、心が荒んでしまった少女が、ようやく自分の居場所を見つけ出すところまでを描く。

劇場未公開の作品を、どこよりも早く放送する「WOWOWジャパンプレミア」の作品。


満足度 評価】:★★★★☆

最後の方ではボロ泣きだった。

この映画は、13歳ぐらいの少女が自分の居場所を探し出す物語なんだけれども、中年独身女性の私にとっては、今後、自分の「孤独」とどうやって付き合っていくかを考えさせられる作品だった。

血のつながりだけが、本当に家族なのか。

孤独な者同士が、共に助け合って暮らしてくことも「家族」の形であり、相手を拒否するよりも、最初に受け入れることの素晴らしさを教えられた素敵な作品だった。


「ギリーは幸せになる/ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常」予告編 動画

(原題:The Great Gilly Hopkins)




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キャスト&スタッフ


出演者

ソフィー・ネリッセ
…(「やさしい本泥棒」など)

キャシー・ベイツ
…(「ビリーブ 未来への大逆転」、「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」、「タミー/Tammy」など)

オクタヴィア・スペンサー
…(「gifted/ギフテッド」、「シェイプ・オブ・ウォーター」、「ドリーム」など)

〇ビル・コッブス

グレン・クローズ
…(「天才作家の妻 40年目の真実」、「ディストピア パンドラの少女」、「エアフォース・ワン」など)

ジュリア・スタイルズ
…(「DEMON デーモン」、「ジェイソン・ボーン」、「ボーン・アイデンティティ」など)

監督

〇スティーブン・へレク

2016年 アメリカ映画

ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常


あらすじ


小学校高学年の少女ギリー・ホプキンズ(ソフィー・ネリッセ)は、幼い頃に母と離ればなれになり、里親を転々とした後、メイム・トロッター夫人(キャシー・ベイツ)の家へ里子としてやってきた。

素直になれず、言われたことを全部否定するギリーだったが、トロッター夫人の元へ引っ越してから数日後に、サンフランシスコに住む実母のコートニー(ジュリア・スタイルズ)から絵葉書が届く。

その絵葉書の中に書いてあった一文「一緒に暮らせたらいいのに」を強く信じたギリーは、いつかトロッター夫人の家を出て、母の元へ向かう計画を立てる。

一方で、中々心を許そうとせず、周りの人たちを全て拒絶するギリーをトロッター夫人は、常に優しく包み込むのだった。

ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常3

感想(ネタバレあり)


アメリカでは日本よりオープンで一般的な里親制度


これまで、「里親に育てられました」という人にお会いしたことがない。

いや、もしかして、これまで会ったことはあっても、そのことを隠して大人になった人もいるかもしれない。

まだまだ、日本では、「血がつながっているからこそ家族」のイメージが強い。

しかし、アメリカでは、養子縁組や里親に対して、もっとオープンのようで、日本では、両親がいない子供のほとんどは養護施設で育てられるけれども、アメリカでは、両親がいない子供たちのほとんどが、養子縁組や里親の家庭で育てられるのだという。

(参考:アメリカの養子縁組・里親制度~日本との違い~

この映画の主人公ギリーは、母親の記憶がほとんどなく、幼い頃から里親を転々として暮らしてきた女の子だ。

もちろん、居心地が良い里親だったら、転々とすることはないだろう。

そのためか、性格が荒んで成長してしまった。

彼女に親切に話しかける人たちをことごとく拒絶し、素直に話を聞こうとしない。

まだ見ぬ「美しい母」は実はセレブで、自分は「The Great Gilly Hopkins」(華麗なるギリー・ホプキンズ)(原題)なんだと夢見ている。

そんなギリーは、私からしたら、不機嫌というよりもむしろ「かまってちゃん」のように見えた。

ことごとく里親と気が合わず、ひねくれて育ち、母に会いたいという寂しさから、大人の気を引きたいかまってちゃん。

この映画は、そんなかまってちゃんのギリーが、ようやく自分の居場所を見つけるまでの物語である。


ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常2


どんなことでも肯定して、愛情を注ぎ続ける


ギリーの新しい里親となったトロッター夫人(キャシー・ベイツ)はとても素晴らしい人だった。

ギリーが何をしようとも、何を言おうとも、笑って彼女を受け入れる。

それは、ギリーを甘やかすためではなく、これまでのギリーの人生で愛情不足だったところへ、一生懸命愛情を注ぐような感じだった。

いつか、心の愛情が満タンになったら、トロッター夫人に心を開いてくれる時が来る。

それまでは、どんなことがあっても、愛情を注ぎ続けよう。そんな印象だった。

トロッター夫人とギリーの2人のシーンの中で、とても印象的だったのは、ギリーがケンカの仕方をWEに教えていた時のトロッター夫人の反応だ。

内気でケンカの弱いWEに対し、とても汚い言葉で相手を罵れと教えていたところ、ちょうどその時、トロッター夫人が登場し、WEがその汚いセリフを彼女に叫んでしまう。

決して自分からは汚い言葉など吐かないWEだから、それはギリーが言わせたのが明白で、ばつが悪くなったギリー。

その場を取り繕うために、「ケンカの仕方を教えていたのよ」と言うと、そのギリーを思い切りハグして、頬にキスをして「そうなの。ありがとう!!」とトロッター夫人が言ったことに私はすごく驚いた。

普通だったら、そこで「なんて汚い言葉を教えたの!!」と激しく叱るところだった。

しかし、トロッター夫人にとっては、WEが汚い言葉で罵ったことよりも、家の中でギリーとWEが楽しそうにしていることが嬉しかったのだ。

しかも、ギリーが自分の弟を守ろうとしている。

これは、彼女が愛情を注ぎ続けた結果が出た証拠だった。

だから、トロッター夫人はとても嬉しかったのだ。

ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常7

減点より、加点することの大切さ


そして、もう1人。

学校のハリス先生(オクタヴィア・スペンサー)も素晴らしい人だった。

彼女の登場するシーンでとても印象的だったのは、ギリーがテストの答案に何も書かずに提出した時だ。

それまでギリーはハリス先生に「優秀だ」と褒められていた。

それが気に入らなかったのか、ギリーはテストに何も解答せずに提出する。

すると、ハリス先生は成績を「F+」とする。

「本当だったら、成績は最低の「F」、でも名前を書いてくれたから「+」を付けたのよ」と言う。

「なんでそんなことをしたのか」と言って彼女を責めることをしない。

ギリーは優秀な生徒だと知っていて、彼女が先生にかまってほしくて何も書かなかったことを先生はお見通しだった。

ハリス先生は、減点するよりも、加点することで、褒められるところがあれば、どんなことでも褒める。

そうやって、ギリーの気持ちを温め、心を開かせる優しい先生だった。

ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常4

「愛のない親」より「愛情のある里親」


トロッター夫人にしろ、ハリス先生にしろ、どんなことでも「まずは肯定」するところが凄いなと思った。

どうしたら、ギリーが彼女たちに心を開いてくれるかを考える。

そのためには、とにかく褒めることと、ギリーの言うことを肯定すること。

私たちは、目の前にいる人が間違ったことをしてしまったら、まず否定することを考えてしまう。

でも、それでは、その人との距離が広まっていくばかりなのだ。

ギリーの気持ちを知りたくなったのなら、褒めて、肯定して、愛情を注ぎ続ける。

そして、ギリーの気持ちも少しずつトロッター夫人へと向き始める。

「愛情のない親」よりも、「愛情を注ぎ続けてくれる里親」のところが良いと思った時には、もう遅かった。

ギリーはお祖母ちゃんの元で生活しなければならなくなっていた。

しかし、トロッター夫人の居る場所が「彼女の本当の居場所」であることに変わりはない。

お祖母ちゃんには気の毒だけど、トロッター夫人の家はギリーにとっての大切な家族であり、故郷になった。


ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常6

子供たちをきっかけに寄り添い合う大人たち


孤独なのは子供たちだけではない、大人たちも孤独だからこそ、寄り添って生きていた。

子供たちがいなければ一人暮らしになってしまうトロッター夫人。

奥さんを亡くし、一人で暮らす盲目の老人ランドルフさん。

ギリーのお祖母ちゃん(グレン・クローズ)も、裕福なのに、孤独な暮らしをしていた。

人生、長い間にいろいろあって、でも、老後を迎え一人になってしまった人たち。

トロッター夫人の場合は、里親になることで生き甲斐を見つけたり、ランドルフさんもトロッター夫人の家に度々出入りしたり。

お互いが家族がいないからこそ、両親のいない子供たちを交えて、心の拠り所になれる。

それもまた、新しい家族の形。

最後にはそこにギリーのお祖母ちゃんも仲間入りして、共に寄り添い合える環境っていいなぁと思った。

ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常5


養子縁組や里親制度が、日本の少子化問題を解決するかも!?


面白いなぁと思ったのは、この映画の原題は「The Great Gilly Hopkins」(華麗なるギリー・ホプキンズ)であり、それはギリーが、本当は自分がセレブだと夢見ていたことから来ている。

そんな夢見がちな彼女も、大人になって現実の世界を知っていく。

タイトルがとても華やかでポジティブな印象を受ける。

それに対して「ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常」とは、何ともネガティブな印象。

これは、この映画の中でも日本人だったら「なぜそんなとこをするの!!」とか、「そんな言葉を使ったらいけません!!」と否定的に𠮟りつけるところを、アメリカでは「とにかく、肯定して、ほめたたえる」というポジティブな教育をするという部分において、日本とアメリカのメンタル的な違いをとても端的に表しているんじゃないかと思った。

この物語は、少女を主人公にした物語だけど、大人の私がみても、

「何もかも否定するよりもまず、肯定せよ。拒絶するより、受け入れろ」ということを教えられた。

大人になると子供よりも、ますます頭が固くなってしまうから、新しい出来事を受け入れるのが難しい。

でも、そこで、まず受け入れてみること。

そうしたら、トロッター夫人の家が「住めば都」だったみたいに、そこには、何か新しい発見があるのかもしれない。

もしかしたら、日本でも施設で育つより、里親の元で育った方が良い子供たちがいるのではないか。

もっと、養子縁組や里親制度が充実したら、少子化問題の解消にもなるかもしれない。





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