とにかく映画が好きなんです【本館】

とにかく映画が好きで、特にアメリカ映画大好きです このブログは、ネタバレありの映画鑑賞日記です。主にハリウッド映画と韓国映画をメインに感想を書いています


タグ:キム・ミニ



キム・ミニ主演、ホン・サンス監督の韓国映画「夜の浜辺でひとり」を映画館で観た。

映画監督と不倫騒動を起こした女優の心の移り変わりを描く恋愛映画。


満足度 評価】:★★★★☆

物理的な距離は離れても心は離れられない映画監督と不倫中の女優。

それは明らかにホン・サンス監督とキム・ミニの姿であり、たとえ観客が退屈しようとも2人の関係を描きたいという確信犯的作品。

そんな2人の愛にのけ反りつつも楽しんだ。



目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想
  6. 関連記事


「夜の浜辺でひとり」予告編 動画

(原題:밤의 해변에서 혼자(夜の浜辺でひとり)




更新情報・公開情報


・2018年6月18日 映画館で鑑賞。

・2018年7月16日 感想を掲載。

・2019年2月13日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

・2019年3月6日 DVD販売予定。
 


DVDで観る:「夜の浜辺でひとり」

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キャスト&スタッフ


出演者

…(「クレアのカメラ」、「それから」、「お嬢さん」など)



…(「正しい日 間違えた日」など)

…(復讐のトリック」など

〇ソン・ソンミ

…(「王様の事件手帖」、「操作された都市」など)



監督・脚本



2017年製作 韓国映画


受賞歴


第67回 ベルリン国際映画祭(2017年)最優秀主演女優賞(キム・ミニ



韓国映画「夜の浜辺でひとり」




あらすじ



女優のヨンヒ(キム・ミニ)は、監督との不倫騒動を起こし、友人のジヨン(ソ・ヨンファ)を頼ってハンブルグへ。

そこでヨンヒは「迎えに行く」と言った彼の言葉を信じて待ち続けていた。

しばらく時間が経ち、韓国へ戻ったヨンヒは友達の勧めもあって女優に復帰しようと考えていた…。



韓国映画「夜の浜辺でひとり」




感想(ネタバレあり)


キム・ミニと監督の不倫騒動が巻き起こる中、堂々と撮影された作品


この映画を観る前に知っておきたい基本情報がある。

それは、監督のホン・サンスキム・ミニの不倫関係である。



日本での公開は前後になるけれど、ホン・サンスキム・ミニは、この映画を撮影する前の2015年に「正しい日 間違えた日」で初めてコンビを組む。

その公開後、ホン・サンスキム・ミニは不倫関係にあると噂されるようになる。

それから2年が経った2017年、この映画「夜の浜辺でひとり」の公開時に、二人は不倫関係にあることを正式に認めるのだ。



そんな韓国中を賑わせた騒動があった中で、この映画は撮影された。

その上、キム・ミニは監督と不倫騒動を起こして海外に逃亡する女優ヨンヒを演じていて、話の中で、その相手の監督は「離婚する」と言いながら、なかなか煮え切らないのだ。

これはまるでホン・サンスキム・ミニの関係をそのまま映し出したような映画なのである



そんな「彼らの事情」を知って観るのと知らずに観るのとでは、かなり景色の違う映画になるが、ぜひ、そんな背景を知ってからこの映画は観て欲しいと思う。

すると、この映画の全てがホン・サンスの「不倫の言い訳」に見えてくるのだ…。

これを潔いというべきか、ずるいと言うべきなのか…。



韓国映画「夜の浜辺でひとり」キム・ミニ、チョン・ジェヨン



遠く離れた距離は二人を引き離すことができるのか


主人公ヨンヒは監督と不倫騒動を起こした女優である。

その騒動のさなか、彼女は友人を頼ってハンブルグにやってくる。



なぜ、韓国から遠く離れた海外へやってきたのか。

彼(=不倫相手)は、身の回りを整理して迎えに行くと言ってくれたこともあったし、ヨンヒ自身は、彼のことを待ちながらそんな騒動から距離を置きたかっただろう。



実際、距離を置いてみると見知らぬ土地の何もかもが新鮮に見える。

それはヨンヒにとって久しぶりにゆっくりと呼吸できた時間に違いない。



しかし、しばらくすると、約束したはずの彼は来ないことがわかる。

そうなると、本当にハンブルグに来てよかったのかと思い始める。

寂しさからは逃れられず、いつしか消えてしまいたいと思うようになり、ただぼんやりと海を見つめてしまう



たとえ物理的な距離ができていても心の片隅にはいつも監督がいて、浜辺でひとり海をぼんやり眺めていると、いつのまにか砂浜に監督の似顔絵を描いてしまうほどなのだ。

2人の間の距離が物理的に離れていても、むしろ心は恋しくなってしまい、遠く離れた彼のことで頭がいっぱいになってしまうのだ。



そのまま誰か連れ去ってくれればいいのに…とヨンヒは夢想するけれど、そんな人は現れないのだ。



韓国映画「夜の浜辺でひとり」キム・ミニ



浜辺の白昼夢が描きだすヨンヒの願望


そして、しばらく時間が経った後、ヨンヒは帰国する。

友人の勧めもあって、ソウルから少し離れたカンヌンで仕事を再開しようと準備を始める。

その時、ヨンヒは人づてに監督の噂を聞き、「最近の監督はまるで抜け殻のようだ」と言われると、なんだかホッとする



1人になったヨンヒは浜辺をぼんやり歩いていると、かつての仕事仲間から声をかけられる。

そして、飲み会に誘われたヨンヒはそこで監督と再会する。

「抜け殻のようだ」と言われた監督はいつも通り仕事をしていて、そんな監督を見たヨンヒは酔った勢いで怒鳴ってしまう



この時の監督とヨンヒのやり取りを見ていると、きっとホン・サンスキム・ミニはいつもこんな感じなんだろうなぁと思った。

いつまで経っても煮え切らず、ハッキリしない監督に対し、ヨンヒは周りの目も気にせず怒鳴りつけてしまう

それは煮え切らないホン・サンスに対するキム・ミニの態度そのものなのだろう。



しかし、実は、それはヨンヒの願望が描きだす白昼夢なのだ。

そうやって酔った勢いで感情を思い切りぶつけて人目もはばからずに痴話げんかしてしまうことも、ヨンヒにとっては幸せなできごとであり、心の奥底で恋しがっているということなのだ。



韓国映画「夜の浜辺でひとり」キム・ミニ



もしも二人が別れることになったら、互いに抜け殻のようになってしまう…という監督の願望


これは、ホン・サンス監督が「もしもキム・ミニと別れたら」という仮定の話を描いた作品なのだ。



「離婚するから」と約束しておきながら、いつまでも煮え切らない監督はホン・サンス自身であり、もしも遠く離れることになったら、二人は抜け殻のようになってしまうに違いないというのは、ホン・サンスの願望である。



その中で印象的だったのは、「私的な回想を描いた作品なんて退屈でしかない」と監督が言ったセリフだ。

しかし、この「夜の浜辺でひとり」こそが、ホン・サンス監督による私的な回想を描いた映画なのだ。

ホン・サンスは観客が退屈するに違いないと確信しつつ、この映画を撮っているのだ。



とはいえ、それは砂浜で観た白昼夢のようなものであり、愛なんてものはただの虚構でしかない

しかし、虚構だからこそ、こうして映画にその美しい思い出を残しておくのだ。



たとえ、観客にとって退屈なものになってしまったとしても、二人にとっては残しておきたい美しい思い出なのだ。



不倫という間柄でありながら、二人の心の結びつきを映画にしたこの作品は、ベルリン国際映画祭に招待されたうえに、キム・ミニは主演女優賞を受賞するという偉大なるプライベート映画だった。

だからこそ、ホン・サンス監督はキム・ミニと別れることができないという言い訳なのだろう。



韓国映画「夜の浜辺でひとり」キム・ミニ、ディエゴ・ルナ



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〇2017年製作
韓国映画「クレアのカメラ」韓国とフランスを代表する女優が共演!人との出会いから生まれる化学反応の良し悪し。キム・ミニ、イザベル・ユペール共演、ホン・サンス監督作【感想】



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DVDで観る:「夜の浜辺でひとり」

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キム・ミニイザベル・ユペール共演の「クレアのカメラ」を映画館で観た。

仕事でカンヌを訪れた女性が、フランス人女性と出会い親しくなっていく様子を描く。


満足度 評価】:★★★★☆

フランスと韓国を代表する女優が共演することで生まれる化学反応を楽しんだ。

人との出会いは人生を変えるけど、良くなるか、悪くなるかは、その人自身の心がけ次第。

女性はよりたくましく、男性はより未練たらしく…。そこが面白かった。



「クレアのカメラ」予告編 動画

(原題:클레어의 카메라/ 英題:Claire's Camera/ 仏題:La caméra de Claire)





更新履歴・公開情報


・2018年7月20日 映画館にて鑑賞。

・2018年8月17日 感想を掲載。

現在、全国順次公開中。劇場情報は、下記『映画.com』の作品情報ページをご参照ください。
 ↓






キャスト&スタッフ


出演者



〇チャン・ミヒ


〇ユン・ヒソン

〇イ・ワンミン

〇カン・テウ

〇マーク・ペランソン

〇シャヒア・ファーミー


監督


2017年製作 韓国映画



クレアのカメラ




あらすじ


映画会社で働くマニ(キム・ミニ)は、フランスのカンヌへ出張中に突然クビになってしまう。

帰りの飛行機の日程を変えることができず、時間ができたマニはカンヌを観光することに。

すると、パリからカンヌへ旅行にやってきたフランス人のクレア(イザベル・ユペール)と知り合い、行動を共にすることに。



クレアのカメラ2




感想


この映画の感想は、私が「ぴあ映画生活」に掲載したものをご紹介します。


クレアのカメラ (2017)


★★★★ [80点]「人との出会いがもたらす化学反応」

69分のとても短い作品だったけど、面白かったなぁ。



映画会社で働いているマニ(キム・ミニ)は、カンヌ映画祭に出張中に会社をクビになってしまう。

帰国の飛行機まですることがなくなってしまったマニは、カンヌを観光することに。

その間にフランス人のクレア(イザベル・ユペール)と知り合い、友達になる。



異国の地で知り合った人と親しくなる彼らを見ていると、人と人との出会いには化学反応があるなぁと思った。



その化学反応にも、良い結果と悪い結果がある。

マニと映画監督(
チョン・ジニョン)と社長(チャン・ミヒ)の3人の出会いは、悪質な毒ガスが出て、周りに悪影響を及ぼしちゃうような悪い化学反応。

そこへクレアを投入すると「私が写真を撮ると人生が変わるわよ」の言葉の通り、彼らの関係が変わり始める



マニと社長にとって、クレアとの出会いは、良い化学反応だったけれど、映画監督にとって、クレアとの出会いは悪い結果をもたらすことになる。

そんな彼らから見えてくるのは、女性たちのたくましさである。



出張先でいきなりクビになるなんて、ちょっと立ち直れないと思うけど、マニはどんどん外に出て、フランス人と友達になり、前を向いて生活をしている。

社長もまた、たとえ男に捨てられても、あっという間に吹っ切って、仕事に邁進する。



ところが、優柔不断なダメ男の映画監督は、クレアと出会う前以上に未練タラタラに生きていくことになる。



そこで思うのは、確かに人との出会いは人生に化学反応をもたらすけれど、本人が前向きか、後ろ向きかで、化学反応の結果も変わってくるということ。

クレアとの出会いは、前向きに生きていこうとする彼女たちに前向きな反応をもたらしたけれど、いつも、過去に未練がある映画監督には、後ろ向きな反応が出てしまったのだ。



このキム・ミニホン・サンス監督の4連作には、毎回、監督の分身となる優柔不断なダメ男が出てくる。

それに対してキム・ミニは、いつもイキイキと輝き、最後に希望を感じさせる終わり方をしてきた。

毎回、そこに二人の関係性が投影されていて面白い



そして、毎回「しっかりしろ、ホン・サンス!!」と思うのだ(笑)



それに加えて今回は、イザベル・ユペールというスペシャルゲストが嬉しかった。

なるほど、確かに彼女は「人の人生を変える」パワーを感じさせる人である。

そのユペールと並んでいても、何の遜色もなく、友達役が自然なキム・ミニもすごいなと思った



人との出会いも大切だけど、自分自身が前を向いて生きることも大切だなぁと、しみじみ感じた作品だった。


Posted by pharmacy_toe on 2018/07/22 with ぴあ映画生活



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〇2015年製作(初コンビ作)
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キム・ミニ主演、ホン・サンス監督の韓国映画「正しい日 間違えた日」を映画館で観た。

映画監督が講演会の仕事で訪ねた水原(スウォン)で、ある女性と出会った一日を描く。


満足度 評価】:★★★★☆

妻子持ちの映画監督は仕事で訪ねた水原(スウォン)で美しい画家と出会う。

はたして、彼女といい関係を築けた日は「正しい日」なのか、それとも「間違えた日」なのか。

この映画の公開後、不倫関係に発展したキム・ミニホン・サンス監督の出会いのトキメキを美しく映画いた作品。



「正しい日 間違えた日」予告編 動画

(原題:지금은맞고그때는틀리다. 英題:Right Now, Wrong Then)




更新履歴・公開情報


・2018年7月5日 映画館にて鑑賞

・2018年8月9日 感想を掲載。

現在、全国順次公開中。

輸入盤のみDVD販売中。

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キャスト&スタッフ


出演者



〇コ・アソン

〇チェ・ファジョン

…(「夜の浜辺でひとり」など)

〇キ・ジュボン


〇ユ・ジュンサン

監督

…(「クレアのカメラ」、「夜の浜辺でひとり」、「それから」など)

2015年製作 韓国映画




正しい日間違えた日



あらすじ


映画監督のハン・チュンス(チョン・ジェヨン)は、トークショーの仕事で水原(スウォン)へ。

予定よりも一日早く水原に着いたジュンスは、そこで観光している時に美しい画家ユン・ヒジョン(キム・ミニ)と出会う。

彼女に話しかけ、親しくなったジュンスは、その後、彼女と食事に行くのだが…。

その一日の出会と行動を、「正しい日」と「間違えた日」の2パターンで描く。



正しい日間違えた日2




感想


この映画の感想は私が「ぴあ映画生活」に投稿した感想を紹介します。



正しい日 間違えた日 (2015)


★★★★ [80点]「彼らの出会いは正しいのか間違いなのか」


人と会話をする時のタイミング1つで、一日が良い日にもなるし、悪い日もなる。そんなお話。



映画上映と、トークショーのために水原(スウォン)を訪れた映画監督のハム・チュンス(チョン・ジェヨン)は、予定よりも一日早く到着してしまい、水原観光をしている時に、画家のビジョンキム・ミニ)と運命的な出会いをする。



これは、妻子ある男性が若くて美しい女性と運命的な出会いをしたら、どう振る舞えばいいのか
という話であり、この映画の公開直後から、
ホン・サンス監督とキム・ミニは不倫関係にあるのではと噂されるようになる。



つまり、これはホン・サンスキム・ミニと出会った時の、どうにもならない思いを映画化した作品である。

当時の
キム・ミニは、テレビを中心に活躍する女優で、時には、このヒジョンのようにグラビアの仕事などもしていた。

そんな、
キム・ミニにとって、ホン・サンスのような国際映画祭常連でアート系監督の作品に出られるようになるなんて、夢のような話だったはず。



また、その一方でホン・サンスは、キム・ミニのかわいさに一目惚れしたんだろうということが、このチュンスを観ているとよくわかる。

チュンスは妻子ある身であり、自分でも気をつけないといけないと思いつつ、彼女への思いを本人の前で吐露してしまう。



そこで大事なのが「私は妻子持ちである」という事実を話すタイミングである

タイミングを間違えれば、相手に拒否されて口をきいてもらえなくなるし、うまくいけば、二人の関係はさらに一歩先に進むことになる。



そこで面白いのは、この映画のタイトル「正しい日 間違えた日」である

ホン・サンス監督にとって、チュンスとヒジョンが出会い、良い間柄になることは、正しいことなのか、それとも間違いなのか

この映画を観ていると、そこの倫理観がおかしくなるけれど、どう考えても、そうやって
キム・ミニを絶賛しつつ自分の不倫を正当化しているのでは…と思えてしまう。



こんなに美しい人に出会えたら、良い関係になりたいと思うのは、間違いではないだろうという…

少なくとも、
キム・ミニが目をキラキラと輝かせながら、「私は、本当に監督と出会えて良かったです」と言ったのは、本心だと思った



ホン・サンス監督とキム・ミニのコンビ作品を観たのはこれで3作目だけど、彼らの出会いから修羅場までを観られて、私は楽しんでいる

それにしても、あまりにも赤裸々過ぎて、毎回、笑ってしまう。

そこが、ホン・サンスのあざとさというか、潔さというか、映画作家らしさなんだろうなぁ。


Posted by pharmacy_toe on 2018/07/08 with ぴあ映画生活


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〇2017年製作


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クォン・ヘヒョ主演の韓国映画「それから」を試写会で観た。

若い女性と不倫する出版社社長。不倫相手と疑われる新入社員。


満足度 評価】:★★★★☆

面白かった!

優柔不断なダメ男が身を固める決意をするまで。

そのダメ男はホン・サンス監督自身かと思わせつつ、それを冷ややかに見つめるキム・ミニという構図が恐ろしく面白い。

酷い目にあったキム・ミニに希望を感じさせるラストも良い。


「それから」予告編 動画

(原題:그 후(その後)




更新履歴・公開情報


・2018年5月30日 試写会で鑑賞。

・2018年6月28日 感想を掲載。

現在、公開中。劇場情報は公式サイトをご参照のこと。

「それから」公式サイト


夏目漱石「それから・門」

それから・門 (文春文庫)

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キャスト&スタッフ


出演者



〇キム・セビョク


監督・脚本



2017年製作 韓国映画



それから




あらすじ


小さな出版社で新入社員として勤め始めたアルム(キム・ミニ)。

ある時、社長夫人が会社を訪れ、アルムは夫人からいきなり殴られる。

アルムは社長・ボンワン(クォン・ヘヒョ)の不倫相手だと勘違いされたのだ。

その日の夜、社長はアルムを食事に誘うが、誤解されたことに納得がいかないアルムは会社を辞めるという。

そんなアルムを社長は引き留めるが、そこへ社長の浮気相手であり、前任者のチャンソク(キム・セビョク)が訪ねてくる。



それから5




感想(ネタバレあり)


ホン・サンス監督のプライベートを潔く赤裸々に語る映画



キム・ミニとホン・サンス監督は公開恋愛中である。

これだけなら、特に問題はない。

韓国芸能界で恋愛を公開することはよくあることだ。



しかし、ホン・サンス監督は妻子ある身である(現在、離婚調停中)。

つまり、キム・ミニとホン・サンスは不倫関係にあるのだ。



この映画を観る前に、その2人の関係を知ることが大前提である。

日本では公開時期が前後するが、ホン・サンス監督の作品「正しい日 間違えた日」にキム・ミニが出演した際、二人は不倫関係にあるのではと騒がれるようになる。

その後、ホン・サンス監督は離婚調停を申し出る



しかし、監督夫人がその申し出に応じない中、その次のコンビ作「夜の浜辺にひとり」の試写会後、二人はお互いに不倫関係にあることを認める

それから2ヶ月後、この映画「それから」が、韓国で公開され、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選ばれる。

つまり、これは公認の不倫カップルとなってからはじめて公開された作品なのである。



そんな、ホン・サンス監督とキム・ミニの関係を大前提として、この映画を観ると、普通の「不倫関係映画」とは違った趣がある。

どう見ても主人公のダメ男を演じているクォン・ヘヒョはホン・サンス監督に見えてくるし、キム・ミニは、煮え切らない社長の不倫関係を冷めた視線で冷ややかに眺める役で登場する。

監督が作り出す世界というのは、自身の世界観が投影されるものだと思っているけれど、これはあまりにもプライベートすぎるのではないか。



しかし、そんなダメ男っぷりもひっくるめて非常に面白い作品になっている

世界から尊敬される監督だって人間だし、ダメ男なのだ

この映画「それから」は、そんな人間の潔さと赤裸々さを感じさせる作品になっている。



それから4



新入社員アルムの衝撃的な一日



主人公のボンワンは呆れるほどに優柔不断なダメ男だ。

愛情など既に遠い昔に失くしてしまった妻に罵られても、強く出ることができず、若い不倫相手のチャンスクの言いなりになってしまう

それが仕事にも影響し、新入社員のアルムを平気で犠牲にしてしまう。



アルムからしたら、何とも酷い話だ。

本が大好きで時々文章を書いては、将来は小説家になりたいと思っていた彼女が小さい出版社に就職する。

しかし、仕事について右も左もわからないうちに、社長夫人が訪ねてきて罵倒された上に殴られる

さらに、仕事の前任者である社長の不倫相手チャンソクが現れて、アルムの仕事を奪ってしまう




それから1年後。

ボンワンが文芸評論で賞を取ったというので、そのお祝いにアルムは会社を訪れる。

アルムからしたら1日しかいなかった会社だけれど、衝撃的な一日だったからこそ、頭に残っていたのだ。



ところが、訪ねてきたアルムをボンワンは「知らない。覚えていない」という。

わざと忘れたフリをしていのか、本当に覚えていないのか。

それは分からないけれど、アルムの「衝撃的な一日」はボンワンにとって「忘れたい一日」だったことは間違いない



アルムがいたあの一日は、ボンワンにとって「都合が悪いこと」であり、「さっさと忘れたい一日」だったのだ。

そんな、あまりにも自分勝手でご都合主義なボンワンには呆れてしまい、口があんぐりしてしまった。

何より、目の前で幼稚な不倫関係を見せつけられ、挙句の果てに存在すらも忘れられているアルムが一番ボンワンに呆れているのではと思う。



それから2



いつか監督の目の前から去っていく冷ややかな視線のキム・ミニ



そこで、思うのだ。

このボンワンはホン・サンス監督本人ではないかと。



妻に不倫を気付かれ罵られる一方で、自分よりもずっと若い女性との不倫から逃れることができない。

かといって離婚を切り出すこともできず、どっちつかずの優柔不断なダメ男。



このボンワンは、ホン・サンス監督の言い訳なのか。

そして、そんなボンワンから離れたところで冷ややかに眺めているのがキム・ミニ演じるアルムなのだ。

「あんたがハッキリしないからこういうことになるんでしょう。奥さんから殴られた私は迷惑してる」と言いたげなアルムは、キム・ミニ本人ではないだろうか。

そんなキム・ミニの視線が恐ろしい作品だと思った。



ホン・サンス監督は、アルムが会社から去っていくように、いつか美しいキム・ミニに捨てられる日がやってくるのを恐れているのではと思った。

そして、それからしばらくたってキム・ミニが何事もなかったかのようにホン・サンス監督を訪ねてきて映画賞を取ったお祝いを言ってくれる。

その時、ホン・サンス本人も二人の過去は何事もなかったかのように対応し、将来キム・ミニにプラスになるような本を渡して爽やかに別れる。



それはホン・サンス監督の妄想なのか、それとも希望なのか

しかし、現実は泥沼の三角関係から抜け出せないでいるのだ。



それから3



ホン・サンスとキム・ミニの「それから」



結局、ボンワンは「子供のために」不倫関係を解消し、家に帰る決断をする

ボンワン(=ホン・サンス)にとって、妻への愛情はなくなったといえ、子供のことが心残りなのだろう。

この結末は夏目漱石の「それから」がモチーフになっている。



「それから」では、遊んで暮らすボンボンの主人公が、好きな女性を真面目な親友に譲り、2人を結婚させるが、その真面目なはずの親友が実は遊び人で、好きな女性が苦労していることを知り、その女性を親友から奪い、家族とも縁をきって就職し、身を固める決意をする。



ボンワンにとって、その「好きな女性」が「愛する娘」なのだ。

その「愛する娘」のために不倫相手と縁を切り、仕事にまい進する

その結果、文芸評論が賞を取り、仕事も上向きになっていく。



ホン・サンスも、いつかボンワンのように「決断する時」が必要なのだと思っているのだろう。

そして、キム・ミニを自分の手から解放し、世界に羽ばたく女優にしてやりたいと思っているのでは…

そんな希望を感じるラストだった。



ホン・サンス監督は、誰よりも美しいキム・ミニをカメラに収めるが、キム・ミニは優柔不断な彼に呆れており、いつか彼女が監督の手を離れて去っていったとしても、そんな彼女を応援する人間でありたい。

そんな時がきたら、監督は娘のために人生を捧げようと思っているのだろう。

しかし、現実はそう美しくはいかないだろう。



キム・ミニにはキム・ミニの、妻には妻の感情があるからだ。



この後、二人の関係はどう変化し、それがどう映画に反映されていくのか。

今後のホン・サンス監督作が楽しみである。


〇2017年製作
韓国映画「クレアのカメラ」韓国とフランスを代表する女優が共演!人との出会いから生まれる化学反応の良し悪し。キム・ミニ、イザベル・ユペール共演、ホン・サンス監督作【感想】


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◆夏目漱石「それから・門」

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キム・ミニ主演、パク・チャヌク監督の韓国映画「お嬢さん」を試写会で観た。

日本統治下の朝鮮で、ある詐欺師が富豪の日本人令嬢をたぶらかして結婚し、財産を奪い取るという計画を立てる。

その計画に乗った1人の孤児が、令嬢の侍女としてお屋敷に入り込んだのだが…。


満足度 評価】:★★★★☆(4.5)

変態たちが集う豪邸を舞台にした痛快なエンターテインメント作品だった。

その変態も見せかけの表面的なものであり、その裏側では抑圧された世界に閉じ込められた女性たちがうめき声をあげていた。

エロティックな女たちにドキドキし、滑稽な男たちに笑い、先の読めない展開に何度もダマされた

そして最後には、檻を飛び出した彼女たちの幸せな開放感に溢れていた。


「お嬢さん」予告編 動画

(原題:아가씨)




ネット配信で観る:「お嬢さん」(字幕版)

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キャスト&スタッフ


出演者


…(「1987、ある闘いの真実」など)

ハ・ジョンウ
…(「1987、ある闘いの真実」、「トンネル 闇に鎖(とざ)された男」、「群盗」、「テロ、ライブ」、「ラブ・フィクション」、「ベルリンファイル」、「チェイサー」など)

チョ・ジヌン
…(「悪魔の倫理学」、「最後まで行く」など)

ムン・ソリ
…(「悪魔の倫理学」、「ザ・スパイ シークレットライズ」、「オアシス」など)

キム・ヘスク
…(「黄泉がえる復讐」、「王の運命(さだめ) 歴史を変えた八日間」、「善惡の刃」、「トンネル 闇に鎖(とざ)された男」、「ソウォン/願い」、「カンチョリ オカンがくれた明日」など)

監督・脚本

〇パク・チャヌク
…(「JSA」、「オールド・ボーイ」、「親切なクムジャさん」など)

原作

〇サラ・ウォーターズ著・「荊の城」


原作本「荊(いばら)の城」上

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原作本「荊(いばら)の城」下

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2016年製作 韓国映画



韓国映画「お嬢さん」


あらすじ


日本統治下にあった1930年代の朝鮮。

孤児で詐欺師一家に育てられたスッキ(キム・テリ)は、藤原伯爵を名乗る詐欺師(ハ・ジョンウ)と手を組み、日本人の令嬢・秀子(キム・ミニ)から莫大な財産を奪う計画を立てる。

そこでスッキは、秀子が叔父、上月(チョ・ジヌン)と共に暮らす豪邸で秀子の侍女として住み込み、伯爵は秀子をそそのかし、ゆくゆくは秀子と結婚し、日本へ連れて行ってから財産を奪った後、精神病院に入れてしまう計画だったのだが…。



韓国映画「お嬢さん」キム・ミニとキム・テリ


感想(ネタバレあり)


なぜ、昭和初期の日本が舞台だったのか


映画の舞台は1930年代、昭和初期の日本。

朝鮮の人里離れた豪邸に富豪たちが集まり、夜な夜な朗読会が開かれる。

ここで読まれるのは普通の小説ではない。

エロティックな描写が満載の官能小説だ。



それを一家の令嬢・秀子に読ませ、男たちはジッと聞いている…。

まさに、官能小説フェチな変態のための朗読会だ。



私はその変態ぶりを観て、この当時に活躍した日本を代表する小説家、谷崎潤一郎や江戸川乱歩を思い出した

彼らの世界観が、この映画にはふんだんに溢れて出ている



みずみずしい桃に「ぶしゅっーー」っと音を立てながらかぶりつく伯爵、地下室でうごめく大ダコ、秀子の口に指を入れ、出し入れさせながら歯を磨くスッキ。

その全てのエロティシズムが、谷崎潤一郎であり、江戸川乱歩の世界観を感じさせていた



それは、彼らの世界観を表現するために、時代背景を彼らの活躍した昭和初期にし、わざわざ日本語のセリフを多用したのではと思うほどだった。

谷崎潤一郎や江戸川乱歩の香りに導かれながら、ここにはめくるめく変態の世界が広がっている

この映画は、世界各国の映画祭や映画賞で非常に高い評価を得ている作品ではあるけど、もしかしたら、日本人が最もこの世界観を受け入れやすい国民なのかもしれない。



韓国映画「お嬢さん」キム・ミニ


観客をダマすための三部構成


この映画は、観客をダマすための三部作で構成されている。



第一部は、「お嬢さん」の侍女になったスッキの視点から描かれ、「えっ??この先どうなるの??」というところで終了している。

そこで、第二部は、その続きから新たな世界が展開されるんだろうな…と期待する。

ところが、その期待はあっさりと裏切られる。



第二部が始まったところで、物語は、また最初に戻る。

第二部はお嬢さんからの視点で、物語の裏側が描かれる

また、同じことの繰り返しかと思いきや、この映画は、この第二部が異常に面白い。



第一部は前菜でしかなく、第二部がお腹いっぱいのメインディッシュだった。

全ての事柄には裏があったのだ。



豪邸に閉じ込められ、夜な夜な変態な伯爵たちのために読書をしていた「お嬢さん」。

「お嬢さん」は、そんな変態の館を出たいと思っていた。



そこへ現れた救いの天使「スッキ」と、良いカモの「藤原伯爵」。

彼らのおかげでお嬢さんに脱出のチャンスが巡ってきた。

これは、「お嬢さん」の性奴隷からの解放を描いていたのだ。



そしてついに、お嬢さんがスッキの手を握り初めて家の敷居を越えた時、彼女の顔に現れた満面の笑みが何よりも印象的だった。



それだけでは終わらない。



第三部では、「お嬢さん」による叔父様と伯爵への復讐が描かれる。

ただ脱出するだけではなく、最後には落とし前をキチンとつけている

第一部で始まった物語が、第二部で全部覆され、「あ~騙された」と思っていると、第三部では、これまで恵まれなかった彼女たちに幸せが訪れる。

この三部までの構成が、全く想像がつかなくて、先の読めない展開に最初から最後までドキドキしっぱなしだった。



韓国映画「お嬢さん」ハ・ジョンウとキム・ミニとキム・テリ



虐げられて育った女性たちの復讐の物語


さっきもちょっと書いたけど、この三部構成を通して思ったのは、「抑圧された女性たちの解放」だった。



常にエロティックな描写がある本の朗読を強制させられる秀子。

彼女は、官能小説フェチたちの性奴隷だった。



そして、孤児であり、幼い頃から人をダマすことを教えられて育ったスッキ。

詐欺師たちの道具のように扱われていた彼女も、まるで奴隷のような生活を送っていた



そんな彼女たちが出会い、愛し合い、男たちをダマす計画を立てる。

力で戦ったら負けてしまう彼女たちは、色気で勝負する。



それは【秀子版】「上手な男の落とし方」だった。

キスをする、触らせる、伯爵の前で裸になる。

でも、最後まではいかせない。



そこは徹底的にじらす。じらす。じらす。

とことんじらした末、伯爵が自分に夢中になった瞬間が、復讐の機が熟した時

そこから全てが急展開する。



あの口移しのワインのシーンは、ドキドキしっぱなしだった。



韓国にしろ、日本にしろ、現代になっても女性の地位がまだまだ低く、家庭にしばられ、自由な生活を送れない女性たちがたくさんいる。

そんな女性たちへのメッセージのような映画だった。



どんな状況下であっても、勇気を持って自分の喜びを追及すれば、超えられない壁はない。

その向こうには、誰にも邪魔できない幸せがある。

だからこそ、女性たちよ、抑圧された世界から立ち上がれ!

そんなポジティブなメッセージを感じた作品だった。

いや~すごい映画だった。




韓国映画「お嬢さん」ハ・ジョンウとキム・ミニ


女性たちを解放したいと思ったのは、パク・チャヌク自身なのか


監督は「オード・ボーイ」のパク・チャヌク。

常に唯一無二の存在であり、誰にも真似できない世界観を持っている。



インタビュー記事を読んだところでは、パク・チャヌクは、原作「荊の城」を読んだ時に侍女がお嬢さんの歯を磨く場面を読んで映像化したい!と思ったそう。



ところが、この映画「お嬢さん」と「荊の城」では、ラストが違うのだという。

この「お嬢さん」では、パク・チャヌク監督自身が「こうなったらいいなぁ」という願望を込めてラストを書いたらしい

だから、完全な原作というよりも、インスパイアされたと言った方が近いらしい



なる程、虐げられて育った女性たちが解放されたら良いなぁと思っていたのは、パク・チャヌク自身だったのか

そんなことを言われたら、「荊の城」のラストが気になり、原作が読みたくなってしまった。



そして、これまでパク・チャヌクといったら、痛いとか、グロいというイメージが先行していた。

(もちろん、「オールド・ボーイ」のせいだけど…)

それが今回は、そのイメージを払拭し(多少痛いシーンはあるけれど)、痛快で、爽快な作品に仕上がっていたのが、パク・チャヌクの新しい魅力かと思った。



これまでの「暗」のイメージが一転して「明」に変わったぐらい、ガラリと変わった世界を観た気分になった。

となると、この「お嬢さん」を経たパク・チャヌクが次に見せてくれるのは、どんな世界のなのか…

次回作が、早く観たくなってきた…。




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チャン・ドンゴン、キム・ミニ共演の韓国映画「泣く男」をWOWOWで観た。

韓国系アメリカ人で殺し屋のコンは、誤って幼い子供を殺したことに動揺する。しかし、その精神的動揺から復活するために受けた仕事は、その子供の母親の暗殺だった。

【満足度】:★★☆☆☆

2月にWOWOWで特集された「韓国アクションサスペンス映画特集」で観た韓国映画の中では、この「泣く男」が最も退屈で薄っぺらい映画だった。残念。


「泣く男」予告編 動画

(原題:우는 남자.)




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あらすじ


韓国系アメリカ人で殺し屋のコン(チャン・ドンゴン)は、暗殺指令のあった標的を殺すが、同時に標的の幼い娘も殺してしまう。

幼い子供を殺してしまったことに、ひどく動揺したコンだったが、彼が受けた次の指令は、自分が殺した幼い子供の母親・モギョン(キム・ミニ)だった。

韓国に住むモギョンを暗殺するために、アメリカから渡韓したコンは、いつも通りモギョンの居場所を探り当てたのだが、なぜか、モギョンを殺せずにいた…。


泣く男


感想(ネタバレあり) 派手なガンアクション映画を見るならハリウッド映画を観るわ


以前も、どこかで書いたと思うけど、韓国はサスペンス映画というジャンルにおいて、世界で群を抜いてレベルが高い。

それは、貧しさや、他人から受ける劣等感のようなものが、人間の根底にある憎悪や嫉妬という負のパワーを呼び覚まし、そのパワーが恐ろしい犯罪を生む怖さを表現し、映像化するのが非常にうまいからだ。

また、その憎悪、劣等感といった負の感情には、アジア人特有の陰湿さがあり、その陰湿さが面白くしている要因の1つとなっている。

だから、韓国映画を見る時はいつも、「今回は、人間のどんな部分を丸裸にしてくれるんだろう」という期待を持ちながら見てしまう。

しかし、この映画「泣く男」については、その「人間の魂の根底にある感情」をキチンと表現しないまま表面的な感情表現しかせず、終始、派手なガンアクションシーンだけで終了してしまった感がある。

正直、「ダイ・ハード」のパクリか?と思われるシーンまで登場して、派手なアクションシーンの連続だったけど、かっこ良くてキレキレのアクション映画だったら、ハリウッド映画観るわ。

もっと、人の心を鷲掴みにして、ブンブンと揺さぶるのが韓国映画の面白さなのに、そういった奥の深さはなく、非常に残念だった。


泣く男2

何よりもまず「子供を殺して動揺するような男」は殺し屋に向いていない


私が「表面的な感情表現」と言ったのは、主人公コンの行動についてだ。

何よりもまず、「子供を殺して動揺する」ような奴は、根本的に殺し屋に向いていない。

では、「なぜ、彼は子供、ユミを殺して動揺したのか」について、その理由がうまく描かれていない。

彼は、死んだユミを観て、幼い自分を思い出したのか?それとも、罪悪感??

そんなベテランの暗殺者が、これまできちんと自分と向き合ってこなかったのか??

まぁ、じゃぁ、そこは、死んでいくユミを観て、幼い頃に捨てられた自分を観て、殺したはずの感情が湧き上がってきてしまったということにしよう。


泣く男3

なぜモギョンを殺せなかったのか


それでは、なぜ、モギョンは殺せなかったのか。

モギョンは、コンの母親とは似ても似つかない。

コンの母親は韓国の貧しさからアメリカへ逃げ出した移民であり、モギョンは敵対的買収を手掛けるバリバリのキャリアウーマン。

しかも、離婚して子供の親権を夫に取られただけで(韓国は基本的に離婚すると子供の親権は父親が持つ)、娘を捨てた訳ではない。

コンが殺し屋のボスに拾われて育てられ、兄弟のように育った仲間たちを敵に回してまでユギョンを守った理由はなんだったのか。

娘、ユミを殺した罪悪感からか。

コンは、その程度の素人だということなのか。

この映画の一番の核となるこの部分が、全くうまく表現できていないために、ワケが分からず、薄っぺらな印象を受ける。

何度も言うようだけど、感情に左右されるような人間は殺し屋には向いていない。

幼い頃から、殺し屋として育てられたコンにその理由は当てはまらない。

その、コンの凍らせた感情を溶かすほどのことがあったというのなら、納得もいくけど、それを裏付けるようなシーンが全く思い当たらない。

泣く男5

チャン・ドンゴン X キム・ミニ 韓国人気俳優、女優の共演


主役のコンを演じるのは、チャン・ドンゴン

んーーー。チャン・ドンゴンがアクションができる俳優だっていうのは、よく分かったけど、韓国にはアクションができる俳優さんはたくさんいるよね。

そろそろ、ベテランの域に入っていくるチャン・ドンゴン。

彼にしか見せることができないジャンルを確立する必要があるかなぁと感じた作品だった。

他の出演作には、「友へ チング」「ブラザーフッド」など

コンが、暗殺指令があったにも関わらず殺せなかった標的モギョンには、キム・ミニ

この映画「泣く男」の中では、敵対的買収(M&A)を手掛けるバリバリのキャリアウーマンを演じている。

恐らく想像するに、家庭的な女になるよりも、仕事を選んで離婚。

その代償として、子供は夫と共に遠くアメリカへ行って殺されてしまった。

そのことで絶望の淵にいるのに、しかし、そんなことは露程も感じさせないクールな女。

って設定なんだろうけど、それが画面を通じて伝わってこないんだなぁ。

きっと、モギョンはそういう人なんだろうなぁという想像をするしかない。

これまた、薄っぺらな表面的な感情表現から人間の深みを感じられない事例の一つ。

おかげで、残念ながら、今回はモギョンに全く感情移入できなかった。

監督は、「アジョシ」のイ・ジョンボム

びっくりしたなぁ。

「アジョシ」はあんなに感情が込められた作品だったのに、今回は、なぜ、こんな薄い作品になってしまったんだろう…。残念だ。

次回は、キチンと感情が整理された作品であることを希望する。


泣く男4

私たちのあらゆる行動には、全て「理由」がある


私たちが日頃何気なくしている行動でも、よくよく自分と向き合ってみると、そこにはちゃんと「理由」がある。

いつもコーヒーを飲んでいるのに、今日はたまたま紅茶を飲んだことにだって、何気なく手に取った本にだって、何気なく聴いた音楽だって、「なぜ、今それを選び、それをしたのか」について、キチンと理由がある。

同じく、コンがユミを殺して動揺したことにも、モギョンを殺せなかったことには、ちゃんとした「理由」がある。

この映画なりの、「理由」をキチンと示してくれれば、コンの気持ちを理解した上で次に進むことができる。

しかし、「あぁぁ子供、殺しちゃったなぁ~」、「次~」って感じ進められると、アクションで理由をごまかされたまま先に進んでいくので、気持ちがついて行かず、いつかはその理由が分かるのかなぁって観ていても、結局、そのまま終了してしまう。

過剰な感情説明はいらないけど、せめて、主人公の感情表現にはキチンと時間を割いて欲しかった。



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