ドイツ映画「帰ってきたヒトラー」を映画館で観た。

1945年、殺害される直前のヒトラーが70年の時を超えて現代にタイムスリップ!?現代のドイツを風刺するブラックコメディ。


満足度 評価】:★★★★★

この映画、最高に面白かった!!ゲラゲラ笑って、観終わった後にはいろいろ考えさせられた。

ここには何も着飾っていない素のドイツがあり、そこにはユーロでは優等生の彼らも移民にはやはりうんざりし、保守化が急速に進んでいる国の姿があった。


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「帰ってきたヒトラー」予告編 動画

(原題:ER IST WIEDER DA / 英題:LOOK WHO'S BACK)



更新履歴・公開、販売情報

・2016年9月19日 映画館で観た感想を掲載。

・2019年6月17日 「映画天国」での放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。

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キャスト&スタッフ


出演者

〇オリヴァー・スマッチ


〇クリストフ・マリア・ヘルプスト

〇カッチャ・リーマン

〇フランツィシカ・ウルフ

〇トマス・ティーマ

監督

〇デヴィッド・ヴェンド


2015年製作 ドイツ映画




あらすじ


ディレクターを目指していたファビアン・ザヴァツキ(ファビアン・ブッシュ)は、勤務していたテレビ局をクビになってしまう。

仕事がなくなった彼は、テレビ局に売り込む動画を撮ろうと町へ出たところ、撮影した動画に偶然移り込んでいたヒトラーのそっくりさん(オリヴァー・スマッチ)を発見。

ザヴァツキはその現場で彼を探し出し、本名も「アドルフ・ヒトラー」だと名乗る彼を使って動画を撮り始める。

田舎町へ行ってヒトラーが市民の話を聞いたり、都市計画についてヒトラーが語ったり。

ザヴァツキの撮影した動画は、「ヒトラーのそっくりさん」で話題になり、YouTubeで200万回再生を記録。

ザヴァツキの元上司のクリストフ・ゼンゼンブリンク(クリストフ・ヴァルツ)もヒトラーを利用して出世を目論み始めるのだが…。

映画「帰ってきたヒトラー」



感想(ネタバレあり)


爆笑に次ぐ爆笑。ドイツはもっと優等生だと思ってた


面白かったなぁ。

爆笑に次ぐ爆笑でゲラゲラと笑ってしまった。



「もしも、この世にヒトラーがタイムスリップしてきたら」という発想の元に作られた痛烈なブラックコメディ。

ドイツで250万部を売上げ、大ヒットしたベストセラー小説「帰ってきたヒトラー」を映画化した本作。


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私の中で「ドイツ」と言ったら、「ユーロの中でも一番の優等生」のイメージがあった。

国民は真面目で勤勉、経済も安定している。

そんな国だと思っていた。



しかし、この映画を観たら、私の思うドイツの姿は、完全に覆されてしまった。

ドイツも、他のユーロの国々と同様に移民の流入にうんざりし、失業率の悪化や不景気に悩まされていた。



そして、そんな国へあのヒトラーが「救世主」のように登場し、国民は彼の話に真剣に耳を傾ける…。

その最後はゾワッとするような恐怖さえも感じる痛烈なブラックコメディ。

興味を持った方には、是非とも観ていただきたい作品である。


映画「帰ってきたヒトラー」


「面白いおっさん」からスターへと変貌していくヒトラー


1945年から現代にタイムスリップしてきたヒトラーは、国内の田舎の地方から周り国民の不満を聴き、さらに自分の持論を語り始める。

移民の流入を今すぐ止めろとか、このままではドイツが堕落してしまう…などなど。

それがまた、1945年のヒトラーも言いそうなことばかり。



要するに、「ドイツ国民の手で、強いドイツを取り戻そう!!」それが、ヒトラーによる持論のメインテーマだ。

かつてのヒトラーは、強いドイツのために国民を民族浄化をするところまで行ってしまった。



私がとても意外だったのは、2014年に生きるドイツ国民たちも、そのヒトラーの話をふむふむと興味深く聴き、中には反発する人もいたけど、多くの人たちが彼の話に共感し、納得してしまっているところだった。

その結果、最初は「ヒトラーのそっくりさん」を演じる「お笑い芸人」だったヒトラーも次第に人気を集め始める。

そして、本を書けばベストセラーになり、スター街道を歩み始める。



映画「帰ってきたヒトラー」


レニ・リーフェンシュタールの生まれ変わり!?のテレビ局長ベリーニ女史


そんな彼をスターにのし上げて行くのは、女性テレビ局長のカッチャ・ベリーニだ。

ヒトラーを朝から晩まで生番組やトーク番組に出演させ、国民は彼がヒトラーとそっくりなところに興味をひかれ、「あいつは面白い」と話題にし始める。

そして、ベリーニの演出はますますエスカレートし、彼を煽っていく。

そのベリーニの姿は、かつて、ナチスを正当化し、「プロバガンダ」作品を撮ったことで批判されたレニ・リーフェンシュタールそのものだ。



そして、テレビ局によってスターにまで登りつめたヒトラーは「わが闘争」の続編を執筆し、それがベストセラーになり、国民たちは力強い彼の演説に耳を傾けるようになる。

そうやってヒトラーがスターになればなるほど、テレビ局は儲かり、ベリーニの過剰な演出は止まらず、ついに映画を制作するまでになる。



映画「帰ってきたヒトラー」


保守化、右傾化が進むドイツはヒトラーを必要としてる!?


そんな「帰ってきたヒトラー」と国民の姿を観て感じたのは、現在のドイツ国民もまた、強いリーダーを必要としているということだった。



次々と重なっていく政治的な問題。

貧困や出生率の低さ、失業率の高さと移民の流入…。

それらの問題に対し、「今のままだとドイツは堕落していくばかりだから、立て直さないといけない」とズバリと言える人がいない。



それならば、もしもそれがヒトラーだったら、国民はどう反応するのか。

ヒトラーのように、一切の難民を受け入れず、常に隣国に進軍し国を広げ強くしていく。

そんな主張を現在のドイツでしたら、国民はどう思うのか。



この映画の原作者と監督は、それを国民に問いたかったのだと思う。

ドイツ国民は、周りの国が思っている以上に右傾化し、保守化が進んでいる。



そのことを憂い、今のドイツの状態なら、ヒトラーのような人間がまた出てきたら、それを拝み奉るようになるのではないかと。

そんな現状が心配なのではないかと。



映画「帰ってきたヒトラー」


ヒトラーは現代のドイツを「好機」だと言うが…


そもそも、第二次大戦当時、ヒトラーが周辺諸国を苦しめたことから、移民の受け入れが始まったという経緯がある。

だから、移民流入の責任はヒトラーにある。

にも関わらず、「移民が流入して来たら、国が弱体化する」と演説するヒトラー。



そして、その話に興味深く耳を傾ける国民たち。

何よりも、そのことがこの映画の最大の皮肉だと思った。

「何言ってんだよ。あんたのせいなのに」と、ドイツ国民ではない私でさえも思わずツッコミを入れたくなるヒトラーだった。



この映画のラスト。

様々な問題を抱え、どこに向かっていけばいいのか分からない国と国民を観ながら、ヒトラーは「これは好機」だと言いながら微笑む。

悪は人間の隙をつき、攻撃し、自分の配下にしてしまう。



まさに、今のドイツは隙だらけ。

ヒトラーはそれを好機ととらえ、そして「歴史は繰り返す」

最後は恐ろしくて、ゾッとして終了した映画だった。







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