とにかく映画が好きなんです【本館】

とにかく映画が好きで、特にアメリカ映画大好きです このブログは、ネタバレありの映画鑑賞日記です。主にハリウッド映画と韓国映画をメインに感想を書いています


タグ:グザヴィエ・ドラン



ルーカス・ヘッジズ主演の映画「ある少年の告白」を映画館で観た。

アメリカに実在する同性愛者を矯正する施設の実態を実話を元に映画化。


映画「ある少年の告白」

満足度 評価】:★★★★☆

観ていてとても苦しかった。

人に恋をすることは素晴らしいことなのに、なぜ「悪魔の仕業だ」と言って矯正しようとするのか。

主人公を演じるルーカス・ヘッジズが素晴らしく、彼の困惑と葛藤に胸が締め付けられ涙した作品だった。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『ある少年の告白』予告編 動画

(原題:Boy Erased)



更新履歴・公開、販売情報

・2019年5月8日 映画館にて鑑賞。

・2019年5月9日 感想を掲載。

より詳しい作品情報につきましては、下記公式サイトをご参照ください。
 ↓




キャスト&スタッフ


出演者

ルーカス・ヘッジズ

ニコール・キッドマン
…(「アクアマン」、「パーティで女の子に話しかけるには」、「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」、「LION/ライオン~25年目のただいま~」、「シークレット・アイズ」、「パディントン」、「リピーテッド」、「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」、「バースデイ・ガール」、「レイルウェイ 運命の旅路」、「ザ・インタープリター」、「ファング一家の奇想天外な秘密」など)



〇トロイ・シヴァン


監督

ジョエル・エドガートン



2018年製作 アメリカ映画





あらすじ


ジャレッド(ルーカス・ヘッジズ)は、アメリカの田舎町にある牧師(ラッセル・クロウ)の息子として育った。

高校時代はガールフレンドがいたジャレッドだったが、親元を離れ、大学に通うようになると、女性よりも男性のことばかり考えてしまう自分に気付く。

そして、そのことを両親に告げると、父は牧師仲間に相談し、ジャレッドをある施設に入所させることを決める。

ジャレッドは母(ニコール・キッドマン)に連れられ、その施設に行くが、そこは同性愛を矯正し、異性愛に治すという施設だった…。



映画「ある少年の告白」ルーカス・ヘッジズ



感想(ネタばれあり)


アメリカに実在する「同性愛者矯正施設」


この映画を観て、まず驚かされたのは、この映画の舞台になっている「同性愛者矯正施設」の存在だった。

「人を好きになる」という気持ちは、誰もが持つ自然なことなのに、それを矯正するというのは、どういうことなのだろうか。

歯並びをきれいに矯正するのと同じレベルで考えているのだろうか…と思い、それがアメリカには実在しているということが不思議でならなかった。



この作品は、その施設に入所した人の体験談を元に映画化されている。

公式サイト(映画「ある少年の告白」オフィシャルサイト)によれば、現在もまだその施設は存在し、これまで約70万人もの人がそこでセラピーを受け、そのうち約35万人もの人が未成年者なのだという。



その実態に驚かされながら観ていたのだが、話が進んでいくうちに、その背景には、無神論者の私には理解できない「キリスト教の教え」があることが分かった。



キリスト教では、神はこの世に男と女を作った。

しかし、男性でも女性でもないゲイを神は作っていないと考える信者たちがいるのだ。



神の意志に反しているということは、悪魔の仕業に違いないから、セラピーをすることで彼らから悪魔を追い出そうと考えたのだ。

いや、恐らく彼らにとって「人とは違う」セクシャリティを持つゲイの人たちに嫌悪感を持っているだけで、理由は後からついてきたのではないかと思ってしまう。

それは、なんというこじつけだろうか…と呆れるばかりなのだが、かつてナチスドイツがユダヤ人だけでなくゲイの人たちも迫害したのは、きっと根底に同じ考えがあるからだろうと思った。



この映画は、自身のセクシャリティがストレートなのか、ゲイなのか、まだはっきりと自覚できずに悩んでいる少年ジャレッドが、そのことを親に相談した結果、施設に入れられてしまったことからスタートする。

牧師である彼の父は、息子の考えが間違っていることを諭すために、その施設に入れたのだが、その結果、息子は自分の意志を固めることになったのだ。



そのことを、彼は神に感謝すると言っている。



映画「ある少年の告白」ジョエル・エドガートン



牧師の父と、父の期待に応えたい息子


そんな宗教的な背景があるため、牧師であるジャレッドの父は、ジャレッドの「男性のことばかり考えてしまう」という告白は相当な衝撃だったに違いない。

田舎の小さな教会で、毎週日曜日に信者に説教をし、真剣に神に仕えることを考えて生きてきた父にとって、その息子の告白は受け入れがたいものがあったのだろう



一方で、ジャレッド自身も、大学へ行って友人にレイプされた後も、男性のことばかり考えてしまう自分に戸惑い、自身のセクシャリティに悩まされていた。

それでも、「父の期待に応える息子でありたい」という気持ちがあったからこそ、両親が進める施設に入所したのだろう。



どんなに大人っぽく見えたって、高校生から大学生ぐらいの年齢は、親の意向が大きく影響する年頃だ。

もしかしたら、本当に「僕は病気かもしれない」と思い悩んでいたのかもしれない。



映画の中でも、施設に通い始めた当初のジャレッドに、それほどの施設への嫌悪感は見られなかった。

その時は、「ただ、親の期待に応えたい息子」だったのだろう。



映画「ある少年の告白」ニコール・キッドマン、ラッセル・クロウ



ゲイと悪魔祓い。本当におかしいのはどちらなのか


ジャレッドが通いはじめた頃は、自身のセクシャリティに悩む青年たちをカウンセリングする施設に見てた。

しかし、やがて、彼らの「指導」はエスカレートしていく。

施設長(ジョエル・エドガートン)の説教からはじまり、やがてイジメのようになり、拷問から、最終的には「悪魔祓い」へと移行していく。



そこに集められた少年たちは、間違っているのは自分ではなく、施設の方であることに、やがて気付き始める

そして、それぞれが、彼らなりの対処をするようになる。



トロイ・シヴァン演じる入所者のゲイリーはジャレッドに対して「ゲイが治ったフリをして、早くここから出られることを考えろ」とジャレッドにアドバイスする。

しかし、他の入所者が「悪魔祓い」されている様子を見て、ジャレッドはその異常さに耐えられなくなり、そこを逃げ出すのだ。



そこまでの施設の様々なできごとを観て、ジャレッドは「自分がゲイであること」をはっきりと認識し、「悪魔の仕業だ」という彼らの方こそ異常だということに気付いたのだ。



私がその時の施設の異常さを見て思い出したのは、映画「フルメタル・ジャケット」だった。

その中には、軍隊を教育する鬼軍曹に追い詰められた兵士が、頭がおかしくなって自殺してしまう場面があるが、この映画の指導もまるでそんな感じだった。

「悪魔祓い」を受けた入所者は、その結果、頭がおかしくなって自殺してしまうからだ。

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ジャレッドのように正気を取り戻すことができればいいけれど、もしも、本当に真面目で、自分がおかしいかもしれないと悩んで入所してきた青年たちは、その施設で追い詰められ、心の病になってしまうだろう。

なぜ、そこまでしなければいけないのか

その「追い詰められる様子」を見ているこちらが、心が苦しくなってしまった。



映画「ある少年の告白」ルーカス・ヘッジズ、セオドア・ペレリン



自分の気持ちに素直に生きることが一番幸せなこと



その矯正施設は、私には最初から最後まで違和感しかなかった。

初めから、彼らはゲイのことを「依存症」と同じレベルで考えていたからだ。

アルコール依存症や、ドラッグ依存症や、ギャンブル依存症と並列でゲイを考えている。



ゲイは、病気でも依存症でもない

人を好きになるということは、相手が同性であれ、異性であれ、とても自然なことなのだ。

その思いは、両親にも、牧師にも、神様にも止める権利はない。



人が誰を好きになろうが、周りに何を言われようが、それは本人の自由なのだ。



ジャレッドが、その施設で目にしたことは、あまりにも辛いことが多すぎて後半は泣きっぱなしだった。

何より残念だったのは、最後の最後まで、父と息子が理解し合えなかったことだった。



「他人を許すこと」がキリスト教なら、人とは違うセクシャリティを受け入れることもできるのではないかと思ったのだ。

しかし、お父さんの中では「ゲイは絶対あってはいけないこと」なのだと思った。



けれど、良いこともあった。

その施設に通ったことで、ジャレッド自身が自分のセクシャリティを認識し、受け入れることになったことだ。



それは、不幸中の幸いだったと思う。

ラストに出てきたジャレッドは自信に満ち溢れ、堂々としていたからだ。

彼は、その施設に通うという辛い経験を経て、立派な大人に成長したのだ。



もしも、自分のセクシャリティが人とは違うと思い悩んでいる人がいたら、ぜひ、この映画を観て欲しいと思う。

そして、自分の気持ちに素直に生きることが、一番幸せな道であると知って欲しい。

自分の人生は、他人のものでもなく、自分自身のものなのだ。




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ギャスパー・ウリエル主演、グザヴィエ・ドラン監督映画「たかが世界の終わり」を映画館で観た。

余命わずかの劇作家が12年ぶりに帰郷し、家族に余命を打ち明けようとするが…。


満足度 評価】:★★★★☆

ラストがあまりにも寂しくて悲しく、エンドロールを見ながら自然と涙がこぼれてしまった作品だった。

共に暮らすことが幸せな家族もいれば、共にいることが苦痛な家族もある。

理解してもらおうと声をかけても、距離が縮まるよりもむしろ離れていくのが切ない。


「たかが世界の終わり」予告編 動画

(原題:JUSTE LA FIN DU MONDE /英題:IT'S ONLY THE END OF THE WORLD)




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キャスト&スタッフ


出演

ギャスパー・ウリエル
…(「エヴァ」、「ハンニバル・ライジング」など)

マリオン・コティヤール
…(「愛を綴る女」、「マリアンヌ」、「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」、「サンドラの週末」、「コンテイジョン」、「インセプション」など)

ヴァンサン・カッセル
…(「ジェイソン・ボーン」、「チャイルド44」、「美女と野獣」、「リオ、アイラブユー」、「バースデイ・ガール」、「避暑地で魔が差して」など)

レア・セドゥ
…(「007 スペクター」、「美女と野獣」、「ロブスター」、「あるメイドの密かな欲望」、「若き人妻の秘密」など)

ナタリー・バイ
…(「復讐のセクレタリー」、「シリアルキラーNo.1」、「ママはレスリング・クイーン」、「私はロランス」など)

監督・脚本

グザヴィエ・ドラン
…(<監督・主演作>「Mommy/マミー」、「神のゆらぎ」、「トム・アット・ザ・ファーム」<出演作>「ある少年の告白」、「エレファント・ソング」など)

2016年製作 カナダ・フランス合作映画



たかが世界の終わり



あらすじ


34歳の劇作家・ルイ(ギャスパー・ウリエル)は、12年ぶりに里帰りする。

それは、もうすぐ自分が死ぬことを家族に告げるためだった。

久しぶりに帰った我が家では、兄のアントワーヌ(ヴァンサン・カッセル)とその妻のカトリーヌ(マリオン・コティヤール)、妹のシュザンヌ(レア・セドゥ)と母(ナタリー・バイ)が待っていた。

笑顔とハグで迎えてくれた家族だったが、ルイは自分の病気のことを言い出せずにいた…。



たかが世界の終わり2



感想(ネタバレあり)


12年もの間、家族と音信不通だった劇作家の里帰り


12年ぶりに里帰りする時というのは、どういう気持ちなんだろうか…。

私は実家で両親と共に暮らしているので、余計にルイの心境が知りたくなった。



しかも、単なる里帰りではない。

自分がもうすぐ死ぬということを家族に告げるための里帰り

その思いは、どれだけ複雑なものだろうか



そして、なぜ12年間も音信不通でいたのか

12年前に何があったのかについては何も語られないので、彼がどんな思いでその12年間を過ごしたのか分からず、ルイの心境については、想像するしかなかった。



きっと緊張しているんじゃないかとか。

何せ12年ぶりだから、家族が温かく出迎えてくれるのを期待しているんじゃないかとか。

そんな想いもあり、ルイが家のドアを開けて中に入ってくるところは、ドキドキしながら観ていた。



ところが、12年ぶりだというのに、まるで、出て行ったのが昨日のことのような通常営業の家族の姿がそこにはあった

そこで、あぁ12年も離れていたとはいえ、やっぱり家族なんだなと思った。



たかが世界の終わり3



会話ができず、すぐにキレるイライラ家族


しかし、しばらくすると、この家族の問題点が見えてくる。

なんと、12年ぶりに息子が帰ってきたというのに、誰一人ルイの話を聞こうとしない

ルイの話どころか、家族の会話が会話になっていない



それぞれが一方的に話をし、互いを否定し合い、ののしり合う。

そんな不毛な時間ばかりが過ぎていく



監督のグザヴィエ・ドランは、あえて観客がイライラする演出をしている。

音楽を大音響で流し、母は金切り声を上げ、兄はすぐにキレ、妹は兄とケンカする。



そんな状況の中でも時折、わずかに、「ルイを理解しよう」という姿勢が見え隠れする。

兄のアントワーヌは一緒にタバコを買いに外に出たり、妹のシュザンヌは自分の部屋に招き入れたりする。

それでも、2人きりになったところで話が平行線なのは変わらず、兄と妹は2人揃って「ルイが理解できない」とぼやく。



極めつけは母親で、ルイのことを「誰よりも強く愛している」と言いながら、余命わずかなルイに向かって、「元気そうで良かった」と言ってしまう。

もちろん、彼女はルイが余命僅かだなんて知りもしないのだけれど、そもそも「ルイの近況も、本当の姿も」知ろうとしないのである。

母親なのに。



そんな彼女の口からでた「愛している」の言葉は、ルイにぶつかって滑り落ちていく。

そんな状態だから、ルイも話をするきっかけを失ってしまう。



そのルイにとって救世主のように存在するのが、アントワーヌの妻、カトリーヌだった

カトリーヌは、家族にとって「よそ者」だ。



だからこそ、冷静な立場でこの家族のことを見つめ、ルイに同情するのだ。

血のつながっていない家族が唯一の理解者だなんて、なんとも悲しい皮肉だ



たかが世界の終わり5



家族に何を期待して帰郷したのか


最も心に残っているシーンは、最後のデザートの時間だった。



その時、それまで無口だったルイが重い口を開いた。

そして、「これまでのことを反省し、実家にはもっと頻繁に帰って来るよ」と宣言する。



しかし、家族はそんなルイの提案を誰も喜ぼうとしない

兄や妹に「家へ遊びにおいで」と言ったり、「週末どこかへ出かけよう」と言っても、いろいろ言い訳を言って同意しようとしない。

これは、家族のルイへの拒絶反応だった。



さらに兄のアントワーヌは「そんな話は聞きたくなかった」とばかりに怒り出し、「ルイを空港まで送る」と言い出す。

そんなアントワーヌの振る舞いに怒った家族がケンカになる。

当事者のルイがアントワーヌに何も言ってないのに…。



家族はケンカを初め、ルイは一人ぼっち

拒絶の後に来るのは、家族の中での孤独



これが、この家族の日常であり、最初にハグをして歓待をしたのが異常だったんだと思った。

そして、その時に、「あぁ12年前も、ルイはこうして静かに家を出て行ったんだな」と思った。

「あの頃と何か変わっているかもしれない」と思って、少しは期待して帰ってきたのに、現実は一ミリも変わっていなかった



「たかが世界の終わり」

それは、ルイの世界が終わっても、この家族は一切変わることがないことを示している。



僕は家族に何を期待したんだろう

そのあきらめのような心境が、夕焼けの中、家を去っていくルイの背中に見えた。

その孤独感があまりにも悲しくて、思わず涙が溢れてしまった。



たかが世界の終わり4



家族へのあきらめを感じる27歳天才若手監督


監督は27歳のカナダ人、グザヴィエ・ドラン

これまで、「Mommy/マミー」や「トム・アット・ザ・ファーム」などで家族をテーマに描いてきた。



今回は、フランスのメジャーな俳優たちを使い、監督に徹したドラン。

Mommy/マミー」や「トム・アット・ザ・ファーム」などでの作品では、家族、特に母親との愛にこじれた青年が、「もっと愛してくれ、愛してくれなきゃ死んでやる!!」というような激しい心の叫びが聞こえていた印象だった。



しかし、今回の「たかが世界の終わり」では、

「そうですか。分かり合えないのなら、私の方から姿を消しますね」

という、母親や家族からの逃避を感じた



これは家族に対するあきらめなのか…。

それとも、27歳の成長なのか。



彼の気になる次回作は、英語作品であり、アメリカの人気俳優と11歳のファンの少年の間に交わされた往復書簡から発覚したスキャンダルが描かれるという。

となると、次回は家族というテーマからいったん離れるのか…。

いずれにせよ、次はどんな作品を送り出してくるのか、非常に気になる27歳天才映画監督なのだ。





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今年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したグザヴィエ・ドラン監督が2014年に製作した映画「Mommy/マミー」をWOWOWで観た。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)と診断された青年とその母の日常を描く。

満足度 評価】:★★★★☆

世間からは理解されにくいとされるADHDを、リアルに生々しく描いている。

なぜ、こんなにリアルなのか、こんなにも生々しいのか。その世界観に驚かされた作品だった。

出演:アンヌ・ドルヴァル、スザンヌ・クレマン、アントワーヌ・オリヴィエ・ピロン

監督グザヴィエ・ドラン カナダ映画 2014年製作

「Mommy/マミー」予告編 動画

(原題:MOMMY)




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あらすじ


養護施設に収容されているスティーヴ(アントワーヌ・オリヴィエ・ピロン)がキッチンでボヤ騒ぎを起こし、施設を追放され、母ダイアン(アンヌ・ドルヴァル)は、スティーヴを施設へ迎えに行く。

大好きなママと一緒に暮らせると喜ぶスティーヴだったが、ダイアンは職探しをしている最中で、スティーヴの面倒を見ることができない。

途方に暮れるダイアンだったが、そんな時、近所に住む元教師のカイラ(スザンヌ・クレマン)と親しくなり…。


マミー


感想(ネタバレあり) 監督グザヴィエ・ドランの世界観はどこから来るのか…


ADHD(注意欠陥、多動性障害)と呼ばれる精神病は、他人に理解されにくいという。

そんな病気の青年スティーヴを主人公に描いたこの作品。

とてもリアルで生々しい。

監督グザヴィエ・ドランの作品は、これまで「トム・アット・ザ・ファーム」や「エレファント・ソング」を観てきたが、どちらも精神科の診断が必要な人たちについて描かれていた。

そして、今回は養護施設に収容された青年の話。

いずれも、その描かれている精神世界がすごくリアルで、この世界観はどこから来るんだろうと思ってしまった。

グザヴィエ・ドランの他の監督作には、「たかが世界の終わり」など。

mommy

リアルな演技だけに夢見る青年が切ない


何がすごいかといったら、スティーヴのリアリティ。

さっきまでおとなしくしていたと思ったら一転、感情を激しく高ぶらせる。

その上げ下げの流れがすごく自然でリアル。

まるでドキュメンタリーフィルムを見ているようだった。

そんなリアルな描写だったからこそ、スティーブが夢見る未来予想図が切ない。

勉強して、高校卒業の資格を取って、大好きな音楽の勉強をするためにジュリアード音楽院を受験する。

そんな絵に描いたような夢をキラキラとした瞳で語るスティーヴの笑顔がとても印象的だ。


mommy2

スティーヴを捨てた訳ではない。面倒を見る余裕がないだけ…


しかし、もしも身内にスティーヴと同じ状態の人がいたら、私はどうするだろうかと考える。

私は、一日中彼の側にいて、面倒を見る自信がない。

きっとさじを投げて降参し、病院にお願いするに違いない。

それは、私に子供がいないからだが、もしも、この映画のように息子と母の関係だったら違っていただろうか…。

だから、私は、この映画のラストでカイラがダイアンに向かって

「私は家族を捨てることができなくて…」と言っていたが、

私はダイアンに同情してしまう。

捨てた訳ではない。

気持ちは、常にスティーヴの側にある。

でも、一瞬でも目を離したら何をするか分からない人の面倒を見続けることはできない…。

残念ながら。

mommy3

彼に自由になれる翼をあげてください


でもなぁ。

なんとかして、スティーヴの思い描く夢を叶えてあげたいとも思う。

どうしたら叶えてあげられるのか分からないけど。

ただただ、自由に、普通の健康な人たちと同じように生きていきたいだけなのに。

そう願いつつ、外に向かって疾走するスティーヴの姿が切なく心に残る。

もしも可能なら、誰か、彼に自由になれる翼をあげてください。

そう願いたくなる作品だった。


mommy4



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グザヴィエ・ドラン出演、監督のカナダ・フランス合作映画「トム・アット・ザ・ファーム」をWOWOWで観た。

保守的で閉鎖的な田舎町で、同性愛者として生きることの難しさを描くサスペンス映画。
 
満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

この映画が伝えようとしていることは分かるんだけど、私の心が入り込めない映画だった。

「トム・アット・ザ・ファーム」予告編 動画

(原題:TOM A LA FERME/英題:TOM AT THE FARM)




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あらすじ


トムは、同性愛の恋人ギヨームを事故で亡くし、その葬儀のために田舎で農業を営む彼の実家を訪問する。

しかし、ギヨームは母アガット(リズ・ロワ)にトムの存在を隠し、それどころか女性の恋人サラ(エヴリーヌ・ブロシュ)がいると嘘をついていた。

さらに、ギヨームの兄フランシス(ピエール・イヴ・カルディナル)からは、「母にはギヨームとトムの関係を絶対に明かすな」と脅される。

その暴力的な兄に怯えながら、ギヨームの喪失感を癒すように彼の実家で過ごすトムだったが…。

トム・アット・ザ・ファーム

感想(ネタバレあり) 心に残るのは田舎の一家の薄気味悪さ


うーーーー。薄気味悪い><

田舎の農場は周りに何も無く、携帯の電波も入らず、まるで陸の孤島のようだった。

そこで暮らす母と息子は、世界から断絶され時代から取り残されていた。

きっと私はこれほどまでの孤独感を味わったことがないんだろうなと思った。

なぜなら、彼らの行動に一切共感できず、ただの気持ち悪い親子にしか見えなかったから。

そこへ、都会から突然現れたトムは、初めは彼らに降りかかった異物でしかなかった。

しかし、トムの恋人ギヨームの兄フランシスは、ギヨームの生き方を激しく否定しつつ、トムに惹かれていく。

そして、初めはフランシスを拒絶していたトムも、彼にギヨームと同じ香りを感じ次第に惹かれていくようになる…。

トム・アット・ザ・ファーム4

都会では普通のことも、田舎では命の危険すら感じる…


都会だったら、男性同士が手をつないでも、女性同士がハグしていても少しもおかしくないのに、田舎の人たちはそれを奇妙なものを見るような視線で遠くから眺めている。

兄は弟のギヨームが同性愛者であることを、母にはひたすら隠していたけど、きっと近所の人たちのうわさ話などから耳に入っているに違いない。

だから、誰よりもサラに葬儀に出て欲しかったし、彼女が来なかったことに半狂乱になっている。

彼らの生きている世界は、土地は果てしなく広くても、考え方はとても狭く、かつ閉鎖的だ。

その世界では「世間体」が全てであり、他人の視線は鋭い針のように痛い。

トムがそのことを全て理解する頃には、そこを出るべき時になっていた。

いくらフランシスに惹かれたといっても、同性愛者として生きることは、死んだ方がマシと言うべき土地だったからだ。

トム・アット・ザ・ファーム3

主演、監督は、若き才能グザヴィエ・ドラン


主演と監督を務めるのはグザヴィエ・ドラン

この映画を撮影した時は、まだ24歳だった。

なるほど。24歳にして、この人間観察力は恐るべきものがある。

どうにもならない子供たちに対して発狂寸前の母親、自我を認めることができず、あがきながら生きるフランシス。

そして、喪失感から人とのつながりを求め続けるトム。

私は24歳の時にこんな世界観は持ってなかったなぁ(笑)

他の出演作には、「ある少年の告白」、「Mommy」、「エレファント・ソング」、「たかが世界の終わり」(監督のみ)など

トム・アット・ザ・ファーム2

恋人のいなくなった穴は、他のもので埋められるものではない


恋人の喪失感から、穴を埋めるように人とのつながりを求めたトム。

しかし、結局、逃げるように農場から飛び出していく。

そもそも、誰かを失った喪失感は、他の誰かで埋められるものではない。

トムもそのことは体で感じていると思う。

正直、この映画のラストシーンにはホッとした。

私も実家がある地域の夜景を観ると、「あぁ帰ってきたなぁ」っていう安心感があるんだけど、この映画のラストも同じような安心感を感じた。

君が生きるべき場所はここ。

町の夜景がそう教えてくれているようだった。



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ブルース・グリーンウッド、グザヴィエ・ドラン主演のカナダ映画「エレファント・ソング」をWOWOWで観た。

精神病院から失踪した医師の行方を知るのは、1人の入院患者である青年マイケル。彼から手がかりを得ようと話を聞くうちに、事態は思わぬ方向へと動いていく…。

満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

すごく好きというタイプの映画ではないけど、かなりのめり込んで観た映画だった。

本当はみんなが彼を愛しているのに、それを感じられず、受け入れることができない切なさを感じた。

「エレファント・ソング」予告編 動画

(原題:ELEPHANT SONG)




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あらすじ


精神病院の院長をしているグリーン(ブルース・グリーンウッド)は、病院から失踪してしまったローレンス医師の行方を探すため、彼の患者であるマイケル(グザヴィエ・ドラン)から話を聞くことに。

しかし、マイケルはグリーンをはぐらかし、なかなか核心をつこうとしない。

そのうち、マイケルの話は、彼の少年時代の話になり…。

エレファント・ソング


感想(ネタバレあり) 生まれた時から両親の愛を感じることなく育った青年


正直、この映画はネタバレを読んでしまうと面白味が半減してしまう。

だから、これから観ようと思っている人は、どうか感想を読まずに、映画を観ることをおススメする


主人公のマイケルは、生まれた時から両親の愛を感じることなく大人になろうとしている青年。

常に死と向き合って生きてきた彼は、いつしか自分が死ぬことを考えるようになる。

まるで、目の前で母が死んだ時のように。

しかし、彼の精神構造を知っているローレンス医師や、ピーターソン師長の監視の下で死ぬことができないと考えた。

だから、親密なローレンス医師が、急遽休暇を取ることを知り、それを利用して、事故のように見せかける自殺を計画する。

エレファント・ソング3

唯一の望みは両親から愛されること


まず、マイケルはなんて頭の良い人なんだろうと思った。

自分が放つ言葉にグリーン院長がなんて返してくるかを想定し、さらにその先を読む。

そして、自分の人生をコントロールする。

でも、頭は良いかも知れないけど、なんて寂しい人生なんだろうと思う。

母親は、最後まで目の前にいる自分のことよりも仕事のことで頭がいっぱいで、一度しか会ったことのない父は、彼の目の前で像を銃殺する。

2人とも、マイケルのことなど眼中にない生活を送っていた。

彼が幼い頃から望んでいたのは、両親から愛されること。

私が最も心に残るのは、グリーン院長がかつて事故で亡くした娘レイチェルの話になった時。

「あなたとピーターソンのような両親を持ったレイチェルが羨ましい」と言った時の表情がとても切なくて、心に残っている。

エレファント・ソング2

出演者はブルース・グリーンウッドとグザヴィエ・ドラン


主人公のグリーン院長を演じるのは、ブルース・グリーンウッド

映画「13デイズ」でJFKを演じたことで知られる彼は、大統領とか、判事とか、重役の役が多い。

今回の院長役も、すんなりと納得できるキャスティングだった。

他の出演作には、「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」、「ニュースの真相」、「パパが遺した物語」、「白い沈黙」、「ドローン・オブ・ウォー」、「デビルズ・ノット」、「スタートレック」、「スタートレック イントゥ・ダークネス」など

エレファント・ソング5


ローレンス医師の鍵を握る青年マイケルを演じるのはグザヴィエ・ドラン

私は、初めましての俳優さんで、この作品は出演のみだけど、それ以外の作品では監督と脚本も兼ねる俊英なんだとか。

ほぉぉぉぉ。なるほどぉ。

まっすぐと人を見つめるピュアな瞳がとても印象的だった。

(もちもん、マイケルがそういう役だからだと思うけど)

ちょっと他の作品(特に監督作)を観たくなった。

他の作品は、「ある少年の告白」、「Mommy/マミー」、「たかが世界の終わり」(監督のみ)など


エレファント・ソング4

何より生きていることが辛い人もいる


多分、普通の日常を送っている人からしたら、「何も死ぬことはないのに…」と思うようなことかもしれない。

しかし、何よりも生きていることが辛い人もいる。

何事もない毎日が永遠に続くかと思うと絶望的な気分になる人もいる。

だから、目の前に愛する両親がいる人や、隣に愛する人がいる人は、それだけでもとても幸せなことなんだと知るべきなんだと思う。

だから、私たちは愛する人を大切にしなければいけないのだと思う。

それが、ラストシーンでグリーン院長とピーターソン師長が手を握り合っているシーンの示す意味なんだと思った。






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