チャン・チェン主演の映画「Mr.Long ミスター・ロン」を東京国際映画祭で観た。

日本の田舎町に紛れ込んでしまった台湾人の殺し屋 ロンが、近所の人たちと交流することで人生が変わっていく姿を描く。


満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

最近では、「ウザい」と言われるようになってしまった「ご近所さんのお節介」の素晴らしさを描いた作品。

そういう私も「ウザい」と思ってしまうタイプだけど、この映画を観て、「お節介も良いもんだな」と思えるようになったから不思議。

では、なぜ、「お節介が必要なのか」その理由を考えた


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「Mr.Long ミスター・ロン」予告編 動画




更新履歴・公開、販売情報

・2017年11月8日 東京国際映画祭で観た感想を掲載。

・2019年7月28日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。



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キャスト&スタッフ


出演者

〇チャン・チェン

〇青柳翔

〇イレブン・ヤオ

〇バイ・ルンイン

監督・脚本

〇SABU


2017年製作 日本・香港・台湾・ドイツ合作映画



映画「Mr.Longミスター・ロン」



あらすじ


日本へ仕事にやってきた台湾の殺し屋・ロン(チャン・チェン)だったが、仕事に失敗してしまい、殺そうとしたヤクザに捕まってしまう。

そこから逃げ出したロンだったが、彼がたどり着いたのは何もない田舎町だった。

ヤクザに刺された傷が癒えないまま、廃墟で途方に暮れていたロンに服や食べ物を運んできたのは、台湾語が分かる少年・ジュン(バイ・ルンイン)だった。

体が動くようになったロンがジュンに料理をつくると、近所の人たちがロンの作る料理に興味を持ち始めるようになり…。



映画「Mr.Longミスター・ロン」チャン・チェン



感想(ネタばれあり)


日本語を話せない台湾人の殺し屋。日本の田舎にある廃墟に降臨


この映画に興味を持ったきっかけは、チャン・チェンだった。

私にとっては、「ブエノスアイレス」、「グリーン・デスティニー」、「カップルズ」のスター。

その彼の名前を東京国際映画祭のプログラムで久しぶりに目にしたので、この映画は観なければと思った。



そして、いざ見るとなると、彼は日本の監督の作品に出て、『どんな役を演じるか』が、すごく気になっていた。

それでも、先入観がない方が良いと思い、事前に情報を調べることはせずに、頭をまっさらな状態にしてこの作品を観た。



チャン・チェンが演じるのは、台湾人の殺し屋 ロン。

日本の六本木でヤクザの一人を殺すためにやってきたが、失敗してしまう。



ここで私は北野武監督の映画「アウトレイジ 最終章」を思い出した

この映画を観る直前に観た「アウトレイジ 最終章」では、グローバル化するヤクザが描かれていて、日本を拠点に韓国や中国を股にかけるフィクサーが登場していた。

そして、台湾の殺し屋 ロン。

やはり、今のヤクザ界には、グローバル化の波が押し寄せているんだなと確信した。



暗殺に失敗したロンは、その後、逆にヤクザに捕らえられてしまう。

しかし、命からがら彼らの元から逃げ出し、近くに停めてあったトラックに乗り込む。

再びロンが目覚めた時は、東京から遠く離れた田舎の廃墟にいた。



何もない田舎町に降り立ったロンは、周辺住民たちから『おもてなし』を越えた『お節介』を受けることになる

しかし、そのお節介が、彼の人生を変えることになる。



映画「Mr.Longミスター・ロン」チャン・チェン


一言も話さない間に、ご近所さんのお節介で仕事が決まってしまうロン


ロンの台湾のボスは料理店を経営し、時に、ロンはその料理店を手伝うことがある。

だから、殺し屋のくせに料理がうまい。

ロンが降り立った田舎町の人たちは、彼の料理の上手さに目をつけた

もちろん、その裏の顔は殺し屋だなんて知るはずもない



はじまりは、「うちで食事会をするから、料理を作ってよ」だった。

食事会に集まったのは、ご近所のおじさん、おばさんたち。



すると、その食事会からいきなり「ロンちゃん」と呼ばれるようになり、

「ロンちゃんは、料理がうまいから料理店でも出そうよ」と言われ、

「お店を出すのは大変だから、屋台にしようか」と話がとんとん拍子に発展していく。



この時の「屋台出しちゃおうぜぇ~」から、「具体的に話が固まる」までのとんとん拍子は、仕事の打ち合わせで雑談している間に、次の企画が決まっちゃうパターンとよく似ている(笑)

これは、日本のお家芸なんだろうか。



すると、うちは肉屋だから肉を提供するよとか、うちは野菜、うちは魚介、うちは大工だから屋台造るよ…という風に話が進んでいく。

この時、ロンちゃん本人は『一言もしゃべっていない』

つまり、近所の人たちの「台湾の人が1人で来て大変そうだから、いろいろお世話してあげなきゃ」というお節介が、屋台を出す話にまで発展してしまったということ。



彼らのお節介を通して、ロンは人とつながることの素晴らしさや、汗をかいて働き、小銭を稼ぐことの素晴らしさを知るようになり、隣で暮らすジュンとは、疑似父子のような関係になる。



最近では、ご近所んさんの「お節介」が嫌がられ、むしろ「適度な距離を置くこと」が好まれる時代に、あえて、『うっとおしい程のお節介と人情』が人を変える様子を描くことで、自然と「お節介も良いもんだな」と思えるようになってくる

とはいえ、人生そのものをガラリと変えてしまう訳ではなく、彼の身体に染み付いた『殺し屋』という人生を、そこからキッパリと変えられるわけではない。

でも、『お節介なおじさんとおばさん』たちのおかげで、今までロンの心の中に無かった『情』のようなものが芽生えたのは確か。



映画「Mr.Longミスター・ロン」チャン・チェン


言葉も話せない土地で、一人ぼっちで生きていくことの難しさ


ロンは、その町で唯一の台湾人だったわけではなかった。

その町には、ちょっと前から台湾人のリリーが住んでいた。

しかし、彼女は見るからに麻薬中毒で、人を寄せ付けずに廃墟の中でジュンと2人だけで生活していた。



そんなリリーも、最初からジャンキーだったわけではない。

台湾からやってきて、ホステスの仕事をしていたが雇い主であるヤクザの若手・賢次と恋に落ちてしまい、子供ができてしまう。



しかし、ヤクザの世界はそんな二人の恋を許さなかった。

リリーはそこから逃げ出すが、日本語をうまく話せない彼女は、そのうち体を売って生活するようになり、薬に手を出すようになってしまう。



リリーが不幸のスパイラルに陥ってしまったのは、『一人ぼっち』であり『誰にも相談できなかったこと』が原因だった

もしも、もっと早くロンと出会って、いろんなことを話し合えていたら、もっと幸せになれたのかもしれない。



そんなリリーは、日本で暮らす多くの外国人を象徴しているような存在である。

ロンのように、「料理がうまい」という特技があればいいけれど、特に特技もなく、日本語もうまく話せない人たちにとって、日本は暮らしにくい場所である。



しかも、リリーのように日本で子供を産んでしまったら、ますます生活していくことが厳しくなる。

そうなると、水商売をしたり、身体を売ったりするのが最も手っ取り早い方法になるが、そこで、近所に住んでいる人たちが、日本人が昔から持っている『お節介』を発動したら、もっとみんな幸せになれるのに。と、この映画を観ていて思った。



確かに、昔だったら、お隣に一人暮らしのお年寄りがいたら、近所の人たちがお世話を焼いていたし、子供は近所の人たちが一緒になって育てるものだった。

いつから、『お節介』が『面倒なこと』と言われるようになってしまったのか。



映画「Mr.Longミスター・ロン」青柳翔


人は1人では生きていけない


しかし、そういう私も、正直言ってしまうと、ご近所付き合いとか、人のお節介って『うざい、うっとおしい』と思ってしまうところがある

でも、きっとそれは私だけではなく、多くの人がそう思っているから、最近ではそれが『ご近所トラブル』に発展するんだし、都会から『ご近所のお節介』がなくなりつつある。



けれど、リリーの生き方を見ると分かるように、人は1人では生きていけない



ところが、ロンのようにご近所のお節介の中で生きていると、一言も言葉を発せず、日本語なんか覚えないうちに、いつのまにか仕事先が決まっていて、いつの間にか、ジュンていう家族までできている。

これまで人を殺して生活してきたロンが、『お節介』をやかれるうちに、人の温かさを知り、少しでも幸せな時間を過ごすことで、人生や人間に対する考え方が変わっていく

それならば、同じ言葉を話す日本人同士なら、もっと素晴らしい関係になれるんじゃないか。



もしも、リリーが近所の人たちともっと早く仲良くしていたら、人生変わっていたかもしれないように、ちょっと言葉をかけあうだけで、救える命があるんじゃないかということ

そんな時、「これはお節介かもしれない」、「迷惑かもしれない」と思うこともあるかもしれないけど、その先にもっと素晴らしい人生が開けるかもしれないと思ったら、「お節介」がとても大切な時もあるんだと思った。

「おもてなし」も大切だけど、「お節介」も大切なんだね。



この映画のラストには、奇跡と希望が描かれている。

最初は、「いや、それはちょっとやりすぎなんじゃ…」と思った。



しかし、しばらくして、そうではないと気付く。

その奇跡と希望を見て思うのは、「それが実際に起こり得るか、起こり得ないか」ではなく、「人とのつながりは、時に素晴らしい奇跡を起こすことがある」ということであり、それが、「人の人生を変えることもある」ということ。

それを、ただ分かりやすく表現しただけだった。



どんなに強く見える人でも、一人では生きていけない

人とのつながりがあるからこそ、私たちは生きていける

それを強く思った作品だった。



個人的に久しぶりに観たチャン・チェンは、『殺し屋 ロン』のシーンがめちゃくちゃカッコ良くて、なんだか安心した。



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