とにかく映画が好きなんです【本館】

とにかく映画が好きで、特にアメリカ映画大好きです このブログは、ネタバレありの映画鑑賞日記です。主にハリウッド映画と韓国映画をメインに感想を書いています


タグ:チョ・ジヌン



ヨ・ジング主演の韓国映画「ファイ 悪魔に育てられた少年」をNetflixで観た。

5人の犯罪者に育てられた少年ファイが、悲劇的な運命に巻き込まれながら成長していく姿を描くサスペンス映画。


満足度 評価】:★★★★☆

グイグイ引き込まれて面白かった!

酷い運命を背負った少年ファイの物語。

貧しさが人を荒ませ、妬みと憎しみを生み、そこに悲劇が起きる。

その背景には都市開発があり、豊かさから置き去りにされた人々の悲しみを観た


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『ファイ 悪魔に育てられた少年』予告編 動画

(原題:화이 : 괴물을 삼킨 아이(怪物を飲み込んだ子供))



更新履歴・公開、販売情報

・2019年8月15日 Netflixにて鑑賞。

・2019年8月19日 感想を掲載。

現在、DVDを販売中。



DVDで観る:「ファイ 悪魔に育てられた少年」

ファイ 悪魔に育てられた少年 [Blu-ray]

新品価格
¥4,670から
(2019/8/19 16:01時点)





キャスト&スタッフ


出演者

〇 ヨ・ジング
…(「1987、ある闘いの真実」など)



〇チャン・ヒョンソン



監督

チャン・ジュナン
…(「1987、ある闘いの真実」など)


2013年製作 韓国映画



韓国映画「ファイ悪魔に育てられた少年」



あらすじ


幼い頃に誘拐され、5人の犯罪者に育てられた少年ファイ(ヨ・ジング)は、大学に進学する年頃になった。

父親たちのような悪になれないファイは、犯罪を犯すことができず、そういう時に限って「怪物」を見て、恐怖に怯えるようになる。

自分たちとは違い優しく育ったファイに対し、父親たちは絵が好きな彼を海外の美術大学に入学させる準備を進めていた。

しかし、父親の内の一人であるソクテ(キム・ユンソク)は、ファイを窃盗の現場に連れて行き、鉢合わせてしまった家主(イ・ギョンヨン)を殺すようにファイに命令する。

それまで、人を殺すことができなかったファイだが、その時はソクテの命令に逆らうことができず家主を殺してしまう。

その時、その家で拾った写真に見覚えがあったファイは、その後、その家を再び訪れるのだが…。



韓国映画「ファイ」ヨ・ジング



感想(ネタばれあり)


はじまりは貧しい人たちによる「妬み」だった


なんとも救いようのない話だった。

社会の日の当たらない裏側に、もしかしたら、こんな家族がいるかもしれないと思える話であり、そう思ったらゾッとする話だった。



物語は、養護施設で出会い、そのまま大人になって犯罪者一家となった5人の犯罪者たちが、牧師夫婦から幼い少年を誘拐してきたことから始まる。

身代金を要求するも、夫妻が支払いをできなかったことから、犯罪者たちはその少年に「ファイ」という名前を付けて自分たちの子供として育て始める。



その少年ファイが17歳になり、美術大学への進学を決めたところで、父親の内の一人であるソテクがファイを犯罪に巻き込んだことで、彼らの相関図が大きく変化していく。



そもそも、なぜ、彼らは少年を誘拐したのか。

それは、養護施設で暮らす子供たちの「妬み」から始まっている

両親を知らず、貧しい生活を強いられた彼らにとって、施設に出入りしている神父は全ての人から愛され、何でも持っているように見えた。



そこで、子供たちは神父の幸せそうな生活をぶち壊したいと思うようになり、大人になって施設を出た彼らは、神父の子供を誘拐してしまう。

それが「ファイ」だった。



ファイはそんな裏事情を知らず、犯罪者である父親たちとは違い、絵を描くことが好きな優しい少年に育つ。

父親たちは、そんなファイを美術大学に入学させる準備をするが、最も極悪な父親であるソクテは、他の父親たちと違い、牧師一家を地獄に突き落とすシナリオを考えていた…。



韓国映画「ファイ」キム・ユンソク



内なる悪と戦い葛藤するファイ


親たちの思惑とは違い、何も知らないファイは優しい子供に育つ。

ところが、ソクテだけはファイの中に眠る「悪魔分子」を信じ、ファイが悪に目覚める舞台を用意する。



なぜ、ソクテはファイが悪に目覚めると信じていたのか。

それは、ファイが見る「怪物」にあった。



その「怪物」は、ファイが犯罪を犯さなければならない時に決まって彼の目の前に現れる。

ソクテもまた、幼い頃にその「怪物」に悩まされていたのだ。

だからきっと、ファイもソクテのように目覚める時が必ずやってくると信じて疑わなかったのだ。



ここで「怪物」が表しているものは、ファイの中に眠る「悪」だ。

自分の中で眠る邪悪な心が怪物としてファイの目の前に現れ、ファイは未知の自分に恐怖を抱き、怯えてしまう



目の前に怪物がいる間は、善良なファイと、邪悪なファイが戦い、葛藤している時なのだ。

なので、目の前に怪物がいる間は、心優しい善良なファイのままなのだが、怪物を倒した時、ファイそのものが怪物以上に邪悪になったことを表している



ソクテは、ただひたすらたに、ファイが怪物になる時を待ち、その舞台をセッティングしたのだ。



韓国映画「ファイ」ヨ・ジング、キム・ユンソク



憎しみを持ちづつけたソクテが書いたシナリオと誤算


この映画はサスペンスなのだが、その面白さは、ファイ少年の心の成長過程にある。

優しい少年が悲惨な出来ごとに直面し、内なる怪物と戦い、一人の大人の男性へと成長していく。

そして、ファイが衝撃の事実を知った時、その心の葛藤はピークを迎え、内なる「悪」が覚醒する



それは、「ファイが殺したのは、誘拐されるまで育ててくれた父だった」という事実だ。

さらに、ファイが実母を見つけた直後に、その実母も殺されてしまう。

その悲惨なできごとの後、ファイは「怪物」を飲み込み、悪に「覚醒」するのだ。



それこそが、ソクテが思い描いていた牧師の幸せをぶち壊すシナリオの結末だったに違いない。



ただ、牧師一家の幸せをぶち壊すだけなら、初めから全員を殺すこともできただろう。

それでは、なぜ、ソクテはファイを育てたのか。



ソクテはファイの母と再会し、彼女をレイプしたのは自分だと告白する。

さらにその時、彼女を助けに来た牧師の足も切断している。

その極悪非道な事実を彼女に聞かせた直後、ソクテはファイの母を殺してしまう。



つまり、ファイもソクテと同じく「怪物を見る」ということからも、ファイはソクテの実父ということなのか。

だからこそ、ファイを誘拐し、自分の手でファイを育てたのか。

他の父親たちは「パパ(아빠 アッパ)」と呼ばせ、ソクテだけが「お父さん(아버지 アボジ)」なのか。



そして、自分の息子であるファイの手により憎み続けていた牧師を殺すのだ。



さらに、ソクテの中では、自分を敬う悪魔のような息子を育てたかったに違いない。

けれど、ソクテの目論見から外れ、ファイは優しさを失わず、実母を殺された恨みを抱き、ソクテに牙をむいたのだ。

親を知らずに育ったソクテは、自分だけの息子を育てようとしたのだが、結局、その息子に仕返しをされることになってしまったのだ。



だが、優しさを失わずに育ったファイではあったが、平気で人を殺す悪魔としての部分も併せ持つ二面性がある人間へと育ってしまう。

それは、ファイは優しい母と、悪魔のようなソクテの間に生れた子供だということを表している。

その二面性がとても切ない作品だった。



韓国映画「ファイ」チョ・ジヌン



都市開発の裏で埋もれていく貧しい人々


ソクテが長年妬み続けた牧師夫婦は、再開発予定地に住んでいた。

ファイが帰ってくると信じていた夫婦は、そこに居座り続けていたのだ。

そのため、退去命令に従わない夫妻は、都市開発を進めたい市長からも妬まれていたのだ。



都市開発によって美しく変貌した町は、街の繁栄を象徴しているかのように見える。

ところが、その裏には貧しい人々が置き去りにされ、そこから、確実に悪の芽が育っているのだ。



そんな都市開発の表と裏を舞台にすることで、「政治は、貧乏人を追い出し、街の見た目を美しくすることに金をかけるより、貧しい人々を救い、犯罪を減らすことを優先するべきだ」と訴えているように見える。



最後にファイが市長を暗殺した場面が、その思いを象徴している。



ファイは、貧しい人々が幸せそうな人を妬んだ結果生まれた子供であり、その子供が犯罪者として育ち、市長を殺すのだ。

もしも、政治が都市開発よりも、格差社会に埋もれていく貧しい人々を救済することを優先していたら、ファイのような子供は生まれなかったはずだ。



ファイには何も罪がない。

しかし、大人たちの事情に巻き込まれ、悲運の人生を送ることになってしまった。

今回の悲劇の一員でもあった市長を殺した後、何も言わず黙々と片づけて立ち去っていくファイの姿が切なかった。



いつまでも優しさを失わない大人になって欲しいと願いながら、その背中を見つめてしまった。



Twitterでも、映画情報や海外ドラマの情報を発信しています~




Instagramでも映画のレビューを日々更新しています~






↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村






















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


キム・ミニ主演、パク・チャヌク監督の韓国映画「お嬢さん」を試写会で観た。

日本統治下の朝鮮で、ある詐欺師が富豪の日本人令嬢をたぶらかして結婚し、財産を奪い取るという計画を立てる。

その計画に乗った1人の孤児が、令嬢の侍女としてお屋敷に入り込んだのだが…。


満足度 評価】:★★★★☆(4.5)

変態たちが集う豪邸を舞台にした痛快なエンターテインメント作品だった。

その変態も見せかけの表面的なものであり、その裏側では抑圧された世界に閉じ込められた女性たちがうめき声をあげていた。

エロティックな女たちにドキドキし、滑稽な男たちに笑い、先の読めない展開に何度もダマされた

そして最後には、檻を飛び出した彼女たちの幸せな開放感に溢れていた。


「お嬢さん」予告編 動画

(原題:아가씨)




ネット配信で観る:「お嬢さん」(字幕版)

お嬢さん(字幕版)

新品価格
¥500から
(2018/1/19 11:22時点)



DVDで観る:お嬢さん <スペシャル・エクステンデッド版&劇場公開版>2枚組 Blu-ray

お嬢さん <スペシャル・エクステンデッド版&劇場公開版>2枚組 [Blu-ray]

新品価格
¥5,458から
(2017/6/25 11:24時点)



キャスト&スタッフ


出演者


…(「1987、ある闘いの真実」など)

ハ・ジョンウ
…(「1987、ある闘いの真実」、「トンネル 闇に鎖(とざ)された男」、「群盗」、「テロ、ライブ」、「ラブ・フィクション」、「ベルリンファイル」、「チェイサー」など)

チョ・ジヌン
…(「悪魔の倫理学」、「最後まで行く」など)

ムン・ソリ
…(「悪魔の倫理学」、「ザ・スパイ シークレットライズ」、「オアシス」など)

キム・ヘスク
…(「黄泉がえる復讐」、「王の運命(さだめ) 歴史を変えた八日間」、「善惡の刃」、「トンネル 闇に鎖(とざ)された男」、「ソウォン/願い」、「カンチョリ オカンがくれた明日」など)

監督・脚本

〇パク・チャヌク
…(「JSA」、「オールド・ボーイ」、「親切なクムジャさん」など)

原作

〇サラ・ウォーターズ著・「荊の城」


原作本「荊(いばら)の城」上

荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)

新品価格
¥1,296から
(2017/2/18 14:32時点)



原作本「荊(いばら)の城」下

荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)

新品価格
¥1,296から
(2017/2/18 14:32時点)




2016年製作 韓国映画



韓国映画「お嬢さん」


あらすじ


日本統治下にあった1930年代の朝鮮。

孤児で詐欺師一家に育てられたスッキ(キム・テリ)は、藤原伯爵を名乗る詐欺師(ハ・ジョンウ)と手を組み、日本人の令嬢・秀子(キム・ミニ)から莫大な財産を奪う計画を立てる。

そこでスッキは、秀子が叔父、上月(チョ・ジヌン)と共に暮らす豪邸で秀子の侍女として住み込み、伯爵は秀子をそそのかし、ゆくゆくは秀子と結婚し、日本へ連れて行ってから財産を奪った後、精神病院に入れてしまう計画だったのだが…。



韓国映画「お嬢さん」キム・ミニとキム・テリ


感想(ネタバレあり)


なぜ、昭和初期の日本が舞台だったのか


映画の舞台は1930年代、昭和初期の日本。

朝鮮の人里離れた豪邸に富豪たちが集まり、夜な夜な朗読会が開かれる。

ここで読まれるのは普通の小説ではない。

エロティックな描写が満載の官能小説だ。



それを一家の令嬢・秀子に読ませ、男たちはジッと聞いている…。

まさに、官能小説フェチな変態のための朗読会だ。



私はその変態ぶりを観て、この当時に活躍した日本を代表する小説家、谷崎潤一郎や江戸川乱歩を思い出した

彼らの世界観が、この映画にはふんだんに溢れて出ている



みずみずしい桃に「ぶしゅっーー」っと音を立てながらかぶりつく伯爵、地下室でうごめく大ダコ、秀子の口に指を入れ、出し入れさせながら歯を磨くスッキ。

その全てのエロティシズムが、谷崎潤一郎であり、江戸川乱歩の世界観を感じさせていた



それは、彼らの世界観を表現するために、時代背景を彼らの活躍した昭和初期にし、わざわざ日本語のセリフを多用したのではと思うほどだった。

谷崎潤一郎や江戸川乱歩の香りに導かれながら、ここにはめくるめく変態の世界が広がっている

この映画は、世界各国の映画祭や映画賞で非常に高い評価を得ている作品ではあるけど、もしかしたら、日本人が最もこの世界観を受け入れやすい国民なのかもしれない。



韓国映画「お嬢さん」キム・ミニ


観客をダマすための三部構成


この映画は、観客をダマすための三部作で構成されている。



第一部は、「お嬢さん」の侍女になったスッキの視点から描かれ、「えっ??この先どうなるの??」というところで終了している。

そこで、第二部は、その続きから新たな世界が展開されるんだろうな…と期待する。

ところが、その期待はあっさりと裏切られる。



第二部が始まったところで、物語は、また最初に戻る。

第二部はお嬢さんからの視点で、物語の裏側が描かれる

また、同じことの繰り返しかと思いきや、この映画は、この第二部が異常に面白い。



第一部は前菜でしかなく、第二部がお腹いっぱいのメインディッシュだった。

全ての事柄には裏があったのだ。



豪邸に閉じ込められ、夜な夜な変態な伯爵たちのために読書をしていた「お嬢さん」。

「お嬢さん」は、そんな変態の館を出たいと思っていた。



そこへ現れた救いの天使「スッキ」と、良いカモの「藤原伯爵」。

彼らのおかげでお嬢さんに脱出のチャンスが巡ってきた。

これは、「お嬢さん」の性奴隷からの解放を描いていたのだ。



そしてついに、お嬢さんがスッキの手を握り初めて家の敷居を越えた時、彼女の顔に現れた満面の笑みが何よりも印象的だった。



それだけでは終わらない。



第三部では、「お嬢さん」による叔父様と伯爵への復讐が描かれる。

ただ脱出するだけではなく、最後には落とし前をキチンとつけている

第一部で始まった物語が、第二部で全部覆され、「あ~騙された」と思っていると、第三部では、これまで恵まれなかった彼女たちに幸せが訪れる。

この三部までの構成が、全く想像がつかなくて、先の読めない展開に最初から最後までドキドキしっぱなしだった。



韓国映画「お嬢さん」ハ・ジョンウとキム・ミニとキム・テリ



虐げられて育った女性たちの復讐の物語


さっきもちょっと書いたけど、この三部構成を通して思ったのは、「抑圧された女性たちの解放」だった。



常にエロティックな描写がある本の朗読を強制させられる秀子。

彼女は、官能小説フェチたちの性奴隷だった。



そして、孤児であり、幼い頃から人をダマすことを教えられて育ったスッキ。

詐欺師たちの道具のように扱われていた彼女も、まるで奴隷のような生活を送っていた



そんな彼女たちが出会い、愛し合い、男たちをダマす計画を立てる。

力で戦ったら負けてしまう彼女たちは、色気で勝負する。



それは【秀子版】「上手な男の落とし方」だった。

キスをする、触らせる、伯爵の前で裸になる。

でも、最後まではいかせない。



そこは徹底的にじらす。じらす。じらす。

とことんじらした末、伯爵が自分に夢中になった瞬間が、復讐の機が熟した時

そこから全てが急展開する。



あの口移しのワインのシーンは、ドキドキしっぱなしだった。



韓国にしろ、日本にしろ、現代になっても女性の地位がまだまだ低く、家庭にしばられ、自由な生活を送れない女性たちがたくさんいる。

そんな女性たちへのメッセージのような映画だった。



どんな状況下であっても、勇気を持って自分の喜びを追及すれば、超えられない壁はない。

その向こうには、誰にも邪魔できない幸せがある。

だからこそ、女性たちよ、抑圧された世界から立ち上がれ!

そんなポジティブなメッセージを感じた作品だった。

いや~すごい映画だった。




韓国映画「お嬢さん」ハ・ジョンウとキム・ミニ


女性たちを解放したいと思ったのは、パク・チャヌク自身なのか


監督は「オード・ボーイ」のパク・チャヌク。

常に唯一無二の存在であり、誰にも真似できない世界観を持っている。



インタビュー記事を読んだところでは、パク・チャヌクは、原作「荊の城」を読んだ時に侍女がお嬢さんの歯を磨く場面を読んで映像化したい!と思ったそう。



ところが、この映画「お嬢さん」と「荊の城」では、ラストが違うのだという。

この「お嬢さん」では、パク・チャヌク監督自身が「こうなったらいいなぁ」という願望を込めてラストを書いたらしい

だから、完全な原作というよりも、インスパイアされたと言った方が近いらしい



なる程、虐げられて育った女性たちが解放されたら良いなぁと思っていたのは、パク・チャヌク自身だったのか

そんなことを言われたら、「荊の城」のラストが気になり、原作が読みたくなってしまった。



そして、これまでパク・チャヌクといったら、痛いとか、グロいというイメージが先行していた。

(もちろん、「オールド・ボーイ」のせいだけど…)

それが今回は、そのイメージを払拭し(多少痛いシーンはあるけれど)、痛快で、爽快な作品に仕上がっていたのが、パク・チャヌクの新しい魅力かと思った。



これまでの「暗」のイメージが一転して「明」に変わったぐらい、ガラリと変わった世界を観た気分になった。

となると、この「お嬢さん」を経たパク・チャヌクが次に見せてくれるのは、どんな世界のなのか…

次回作が、早く観たくなってきた…。




原作本「荊(いばら)の城」上

荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)

新品価格
¥1,296から
(2017/2/18 14:32時点)



原作本「荊(いばら)の城」下

荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)

新品価格
¥1,296から
(2017/2/18 14:32時点)





Twitterでも映画や海外ドラマの情報を発信しています~





ゆるめの映画ネタはこちら→「とにかく映画が好きなんです」【別館】

映画のコラムやイベントに参加した話、音楽やご飯ネタなども掲載しています。

この【本館】よりも、もっとユルッとした裏アカです。

こちらも、ぜひ。
 ↓





↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





ネット配信で観る:「お嬢さん」(字幕版)

お嬢さん(字幕版)

新品価格
¥500から
(2018/1/19 11:22時点)



お嬢さん <スペシャル・エクステンデッド版&劇場公開版>2枚組 Blu-ray

お嬢さん <スペシャル・エクステンデッド版&劇場公開版>2枚組 [Blu-ray]

新品価格
¥5,458から
(2017/6/25 11:24時点)


















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


韓国映画「悪魔の倫理学」(原題:「怒りの倫理学」)をWOWOWで観た。

多額の借金を抱えた女子大生が殺されるが、彼女の部屋には4人の男が出入りをしており…。

【満足度】:★★★☆☆(3.5)

面白かったなぁ。ある殺された女子大生の死が引き起こす、「怒りの連鎖反応」

欲を言えば、もうちょっと切れ味が欲しかったところだけど、まぁ、これはこれで良いんじゃないかなとも思う。


「悪魔の倫理学」予告編 動画

(原題:분노의 윤리학(怒りの倫理学))





「悪魔の倫理学」DVD

悪魔の倫理学 [DVD]

新品価格
¥3,175から
(2016/2/22 00:06時点)




あらすじ


女子大生のジナ(コ・ソンヒ)は、多額の借金を抱え、その返済のためにモデルやホステスのバイトをしてお金を稼いでいる。

今の恋人は中年の大学教授ステク(クァク・ドウォン)だが、彼には資産家の妻がおり不倫の関係だ。

そのジナが恋人のステクと自宅で会った日の夜、ジナの家に忍びこんでいた元カレのヒョンス(キム・テフン)は、ステクとジナの関係を知り、怒りを爆発させ、勢いでジナを殺してしまう…。

ジナの隣人の警察官ジョンフン(イ・ジェフン)は、以前よりジナの家に盗聴器をしかけており、毎晩ジナの声を聴いて録音し、後々、その声で興奮するという趣味があった。

その夜、いつもようにジナの声を聴いていたジョンフンは、ヒョンスがジナを殺してしまったことを知り、音もしっかり録音していた。

しかし、翌朝、事件の通報を受けた警察が逮捕したのは、恋人の大学教授テスクだった…。

悪魔の倫理学


感想(ネタバレあり) 「怒りのスイッチ」の連鎖反応


「怒りのスイッチ」ってあるでしょう。

「それ言っちゃだめじゃん」「それやっちゃだめじゃん」ってことを言ったりやったりして、誰かの怒りを爆発させてしまうスイッチ。

冷静な立場の人からすれば、「あぁ、なんでそんなことしちゃうかなぁ~」と思うけど、スイッチとなった本人は、我も忘れる程に必死になっている場合が多いから、それがスイッチだなんてことに気付かない。

この映画は、その怒りのスイッチが連鎖反応のように次から次へと押されていって、「最終的に一番強いのは誰か」っていうお話。

悪魔の倫理学2

「嫉妬」、「金」、「奪取」 みんな自分の大事な物を奪われた時に怒りは爆発する


一番最初のスイッチは、「嫉妬」

殺された女子大生のジナと大学教授の関係を知って、元カレが怒りまくって彼女を殺してしまう。

2番目のスイッチは、「金」

多額のの借金を抱えたジナが殺されたことで、借金取りが怒る。

3番目のスイッチは「奪取」

ジナの声を宝物にしていた変態警察官は、その宝物が奪われたことで怒りが爆発し、手製の拳銃を持って殴り込み。

悪魔の倫理学3

妻は「夫の裏切り」が何より許せなかった


ここまで来て、元カレと、借金取りと、変態警察官の三つ巴か??

と、思ったところで、大学教授の妻が登場!!

借金取りの計算では、教授の妻に真犯人である元カレを差しだせば、ジナの借金が帰ってくると思っていた。

しかし、妻は夫が無実だろうと実刑だろうとお構いなし!!(笑)

むしろ、刑務所の中で暮らせばいいじゃない!!的な雰囲気すら感じる(笑)

これが、大きな計算違い!!(笑)

もう既に、妻は、夫が不倫をして「結婚の時にした約束」を破ったことが発覚した時に、「怒りのスイッチ」が入ってブチ切れていてた。

だから、事件がどうなろうと関係なかった(笑)

それどころか、「知り過ぎた男」の借金取りを殺し、真犯人の元カレを逃がし、夫とは離婚。

いや~、やっぱりさぁ、世の中、強いのは金持ちと女だよね。

この奥さんは、両方持っちゃってるから最強だよね。

と、思ったら、最後の最後に、もう一回どんでん返しがあった(笑)

いや~、いいなぁ。

私も、こんな奥さんみたいにクールに生きられたらいいなぁと思う。

悪魔の倫理学4

韓国人気俳優たちの共演


主演の変態警察官を演じるのは、「建築学概論」のイ・ジェフン

借金取りには、「お嬢さん」「最後まで行く」のチョ・ジヌン

元カレのヒョンスには、「アジョシ」のキム・テフン

教授役には、「アシュラ」「哭声/コクソン」のクァク・ドウォン

そして、教授の妻に「お嬢さん」「オアシス」「ザ・スパイ」のムン・ソリ

ムン・ソリは、安定の演技力が良いなぁ。

悪魔の倫理学5

世の中、一番強いのは金、一番やっかいなのは純愛


この映画を観ていると、やっぱり、世の中一番強いのは、金と女だなぁとつくづく思う。

と同時に一番やっかいなのは、「純愛」なんだなぁとも思う(笑)

教授も、元カレも、隣の変態警察官もジナに対する恋心がなければ、そもそもこんな事件は起きなかった。

毎日ニュースで流れている殺人事件も、大抵はきっかけが恋心だったりするじゃない。

世の中の全てを精算するのはお金かもしれないけど、世の中を複雑に、そして面白くしているのは「恋心」なんだなぁとしみじみと思った映画だった。

欲望は、全てを手に入れるより、ほどほどが調度良い。





↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村



「悪魔の倫理学」DVD

悪魔の倫理学 [DVD]

新品価格
¥3,175から
(2016/2/22 00:06時点)













WOWOW_新規申込 はこちら









このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


イ・ソンギュン主演の韓国映画「最後まで行く」をWOWOWで観た。

ある刑事が、自分が起こしたひき逃げ事件を隠蔽。しかし、その事件を目撃していた人間がいた…。

面白かったなぁ。この映画~。

ハラハラドキドキしながら手に汗握るサスペンス映画ながら、笑うところもしっかりあるエンターテイメント映画だった。

【満足度】:★★★★☆


「最後まで行く」予告編 動画

(原題:끝까지간다)





「最後まで行く」 DVD

最後まで行く [DVD]

新品価格
¥3,175から
(2016/2/17 00:45時点)




あらすじ


ゴンス刑事(イ・ソンギュン)は、母の葬儀を抜け出し、職場の警察署へ向かう途中に何者かを車でひいてしまう。

飲酒運転であった上、ひかれた男が死んでいたために、とっさの判断で死体を自分の車に乗せ、その場を走り去る。

その直後に、飲酒運転の検問にかかるが、自分が刑事であることを明かし、葬儀の帰りだからとその場をやり過ごす。

しかし、その翌日、警察に「事件を見ていた」という匿名の通報が公衆電話からあり、同じ人間から「事件を知っている」という電話がゴンスにかかってくる…。

最後まで行く

感想(ネタバレあり) 偶然の一致?それともどこかに原作がある??


面白かったなぁ~!!

最初から、最後までハラハラドキドキして、「次は何?」「どうするの??」なんて思いながら楽しめた映画だった!!

しかし、すごく驚いたことに、先日観たアメリカ映画の「ダウト・ゲーム」と話の大筋が全く一緒だった。

これは、もしや、どちらかがどちらかをパクったのか??それともリメイク??

と疑ってみたのだけど、製作年が両作共2014年で全く一緒だったので、その可能性は薄い。

偶然か??

それにしては、とても話が似ているので、どこかに原作でもあるんだろうか??

しかし、映画の面白さで言うと、こっちの韓国映画「最後まで行く」の方が断然面白かった。

「怖い!」「痛快!」「笑える!」そして、「最後にどんでん返し!!」という娯楽映画の最も必要かつ、重要な点をキッチリと抑えたエンターテインメント作品だった。


最後まで行く6

汚職、賄賂、横領まみれの刑事たち


舞台は、警察。登場人物は刑事たち。

それにしちゃ~、マフィアの抗争観ているみたいな作品だった。

つまり、警察にまともな人間がいない!!(笑)

主人公のゴンスも、賄賂をたんまりともらって、ため込んでいるような悪徳刑事。

そんな奴が主人公で、ひき逃げ事件を起こし、いつ逮捕されるから分からない状況になっているのを見て、「あぁ、ついに天罰がくだったんだなぁ」と思っていた。

ところが、そこへ、ゴンスを超える悪徳刑事パク・チャンミンが登場する。

元も麻薬課のパク・チャンミンは麻薬を横領し、その麻薬を混ぜた酒を出すパブを経営。

客は、中毒になってなんども通うようになり、店は大儲け。

店の経営について、ヤクザと敵対したところで、金とドラッグを持って業界から消える。

いや、その前に、韓国の公務員は副業持ってもいいの??

いや~、マジでやってることがマフィアだから(笑)

絶対に刑事じゃない!!(笑)

最後まで行く5



公務員の賄賂事情と年功序列が社会悪の一つの現実


この映画は、エンターテインメント作品でありながら、そういう現代の韓国事情をキッチリと描いているところも、作品を面白くしている要素の一つ。

韓国の歴代大統領たちの行く末を見ていると、どれだけ賄賂社会なのかが良く分かる。

だから、きっと公務員たちも相当な賄賂をもらっているんだろうなぁというのは想像つくけど、この映画みたいに、刑事の机の中から大量の札束が出てきたりするのと、あまりにもあからさまで笑える。

すごいよなぁ。

警察の机の引き出しに札束だよ。札束(笑)

堂々としすぎだろ。

それだけじゃない。

韓国は、日本よりも厳しい年功序列社会。

下っ端警察官は、年上の刑事に厳しくあたることができず、ゴンスは、そのおかげで何度か危機を乗り超えることができた。

いや~、これ間違ってるよね。絶対に間違ってる(笑)

年上だろうと、年下だろうと、悪い者は、悪いんだから、ちゃんと最後まで追及しましょうよ(笑)

最後まで行く4


長男は死んだ母親にすがって尻拭いを請う


そして、韓国の墓場問題。

未だに土葬がメインの韓国だけど、墓場にする土地が減る一方で、最近では火葬にする家庭も増えている。

しかし、この映画では、その土葬がゴンスを救うことになる。

棺の中に、死体も一緒に入れてしまうとは。

墓掘り業者も、「なんで、こんなに重いんだ」と言いながら、なぜ、開けようとしない!?(笑)

それに、ゴンスが自分のひき逃げの尻拭いを死んだ母親にお願いするあたりは、これまた韓国にありがちの、長男に弱い母親を表しているようで、すごく面白い(笑)

「オンマ~、親不孝な息子でごめん」って。ごめんじゃ済まねーよ(笑)

この辺の韓国事情をちょいちょい織り交ぜてるところが、すごく面白くて、そのブラックジョークに、ちょいちょい笑わせてもらったわ~。

最後まで行く3

死闘を繰り広げるイ・ソンギュン vs チョ・ジヌン


主人公のゴンスを演じるのは、イ・ソンギュン

イ・ソンギュン、好きなんだなぁ。

今回も、常にイラついて、ブチ切れる寸前のゴンスが良かった!!

いつも、イラついて焦っている感じが、イ・ソンギュンらしくて良いんだなぁ。

映画に出ているイメージはあまり無いけど、これを機会に、映画の出演を増やして欲しいなぁ。

他の出演は、「王様の事件手帖」、「修羅の華」、韓国ドラマ「コーヒープリンス1号店」「パスタ~恋ができるまで~」

そして、ゴンスと対立する麻薬王(?)パク・チャンミンを演じたのは、チョ・ジヌン

いや~、怖かった~。チョ・ジヌン。

何やっても死なないから、ターミネーターかと思った(笑)

他の出演作に「お嬢さん」「群盗」など

最後まで行く2


地道に全うに生きる人生がバカらしくなる(笑)


やっぱりさぁ、人間悪いことできないよねぇ。

たった一回のミスが、命取りになることだってあるよね。

これからは、地道に全うに生きていったらいいよね

なんて思いながら、映画が終わろうとしていた時、最後の最後に大どんでん返しがあった。

これで、すべて覆った(笑)

やっぱり、「棚からぼた餅」だよね(笑)

最後の最後まで驚かせてくれる映画だった。



↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村



「最後まで行く」 DVD

最後まで行く [DVD]

新品価格
¥3,175から
(2016/2/17 00:45時点)











WOWOW_新規申込 はこちら








このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック