イム・シワン主演の韓国映画「ワンライン/5人の詐欺師たち」を映画館で観た。

一番、金を稼ぐのは誰だ!? 5人の個性あふれる詐欺師たちが騙しあい、金を奪い合う詐欺エンターテインメント。


映画「ワンライン/5人の詐欺師たち」


満足度 評価】:★★★★☆

これは面白かった!

貧富の差が激しいといわれる韓国の格差社会を描きつつ、貧困層で暮らす人たちはどうすれば金を手にすることができるのかを描き、それが誰もが楽しめるエンターテインメント作品になっているのが良かった。

韓国は、こういう社会情勢を盛り込んだ娯楽作品を作るのが、本当にうまい。


この感想にはネタバレを含みます。作品をご覧になってから、お読みください。



「ワンライン/5人の詐欺師たち」予告編 動画

(原題:원라인)





キャスト&スタッフ


出演者


〇チン・グ

〇イ・ドンフィ

〇パク・ビョンウン

〇キム・ソニョン

アン・セハ
…(スウィンダラーズ」、あなた、そこにいてくれますか」、「名もなき復讐」など)


監督
〇ヤン・ギョンモ

2017年製作 韓国映画





あらすじ



大学生のミンジェ(イム・シワン)は、人から金を奪い取る詐欺の才能を詐欺師 チャン課長(チン・グ)から見いだされ、チャン課長の詐欺グループに仲間入りする。

彼らは銀行から他人名義で受けた融資をかすめ取る「銀行融資詐欺」で大金を集めていた。

しかし、彼らの行動は警察や検事に目をつけられたため、グループは解散。

ミンジェは親友と共にネットを使った詐欺サイト ワンライン・ローンをスタートさせ、チャン課長は表舞台から姿を消す。

そして、同じグループで詐欺をしていたパク室長(パク・ビョンウン)と、ソン次長(イ・ドンフィ)はチャン課長が御法度と言っていた「自動車ローン詐欺」で荒稼ぎをはじめ…。



ワンライン5人の詐欺師たち3



感想(ネタバレあり)


銀行から金を奪え!!「融資詐欺」



これは面白かった!

韓国の社会事情を描きつつ、それをエンターテインメントにしていて、いろいろ考えながらも楽しめる作品になっていた

その背景にある社会情勢がわからなくても、娯楽作品として楽しめるのが良い

韓国は、そういう社会情勢を映画に盛り込むのが本当にうまいと、いつも思う。



この映画の中で描かれる社会情勢とは「格差社会」のことである。

富める者と貧しい者の差が激しい韓国では、低所得者層の人間がどんなに頑張っても、楽な暮らしをすることができず、一生、底辺のままという人が多いと言われている。

主人公の詐欺師たちは、そんな彼らに目をつけて銀行からお金を奪うという詐欺の方法を思いつく。



たとえば、日常生活の中で、子供の教育費や、医療費などで生活費が足りなくなってしまった…。

そんな時。

私たちは、銀行へお金を借りに行く。



それがもしも、ちゃんとした企業に勤めている人ならば、その「会社の名前」を信用して銀行はお金を貸してくれる。

しかし、勤め先が零細企業だったり、借りた本人が個人事業主だったり、ただの主婦だったり、無職だった場合は、審査の結果、銀行はお金を貸してくれないこともある。

なぜなら、もしも、彼らに貸したお金が帰って来なかった場合は、銀行側の損失になってしまうからだ。



この映画に登場する詐欺グループは、その銀行の融資に目を付けた

低所得者層で銀行からお金を借りたくても借りられない人たちを集め、「言われた通りにすれば、お金を借りられます」と言って、融資の手助けをする。

そして、融資の審査の書類には、勤め先として大手企業の名前を書かせる。

その連絡先の電話番号の先には、詐欺師が待っている。



その後、銀行から電話がかかってくると、「今、会議で席を外しています」と言い、その人がそこで働いているふりをすれば、銀行は間違いなく、その会社の社員だと信用する。

しかし、そのお金を彼らは横からかすめ取って逃げてしまうのだ。



彼らのポイントは、「困っている人を手助け」し、融資を受けたい人たちからは一銭も金を奪わないというところにある。

あくまでも、標的は銀行なのだ。



そのため、グループのリーダーであるチャン課長は「車・家・保険のローン」を使ってだますことを禁止している。

車や家は、そのものが納品されてきてしまうため、物をさばかなくてはならない。

保険は、被保険者の身体を危険にさらすことになってしまうからだ。



だから、チャン課長は「誰も傷つかない」銀行を標的にし、詐欺を続けていた

しかし、その新手の詐欺に気付いた警察は、彼らの行方を追い始め、その結果、刑事に顔が割れてしまったチャン課長はグループの解散を決める。



ワンライン5人の詐欺師たち2



貧しい者は、真面目に働き続けても貧しいまま…韓国の貧困事情



そんな彼らの詐欺行為の裏にあるのは韓国で問題になっている「格差社会」である

貧富の差が激しく、社会の底辺にいる貧乏な人間はどんなにがんばっても貧乏なままであり、どんなにあくせく働いても「富」のグループに入ることはできない。



そのたとえとして出てくるのが、イム・シワン演じるミン代理の両親の話である。

幼い頃から体が弱かったミン代理は、父親から腎臓を一つ移植されるが、それでも健康は回復しなかったため、父は、もう一つの腎臓も息子に移植してしまう。

(そんなことが可能なのか…??)

ようやく息子は健康になれたが、家族は貧しい生活を強いられることになった

そのため、体がボロボロになっても父は家族のために必死になって働くが、一向に生活はよくならない



そんな家族を見て育ったミン代理は、真面目に働くことのバカらしさを知り、詐欺をしてお金をだまし取るようになる

「どんなに真面目に働いたって生活はよくならない」と彼は言う。



しかし、家族はそんなミン代理が「稼いできた」金には一切手を付けようとせず、その後も細々と生活を続けていた。

それでも、ミン代理は詐欺をやめようとしないが、「保険ローン」に手を付けたことで、自分の家族と同じような境遇の人たちを苦しめていたことに気付く

それで、彼はチャン課長と共に、彼らにお金を返す方法を考え始めるのだ。



高額医療費が貧しい人たちを苦しめる問題は、韓国だけでなく、アメリカや他の国でも問題視されていて、よく映画やドラマの題材になっている。

このミン代理の場合は、「お父さんが命がけでミン代理の命を助けたのは詐欺師に育てるためではないし、人様から奪ったお金は使えない」というところに心が痛む。

それは、人として当然の倫理観である。



しかし、三流大学在籍のミン代理が家族を養えるような一流企業に就職できるのかと言えば、その望みも薄い

だったら、詐欺師の才能を発揮した方が良いのではと思えてしまうところに、韓国格差社会のジレンマがよく表れている



ワンライン5人の詐欺師たち5



金が回るところにしか回らない仕組み



それでは、なぜ、「貧」のグループにいる人たちは、どんなに働いても「富」のグループに入れないのか

それは、同じくミン代理のセリフの中に、その状況を説明している部分がある。



ミン代理は、インターネットでワンライン・ローンを運営して、登録してきた人たちの個人情報を使って、お金をかすめ取り大金を得るのだが、そこで気付いたのが

どんなにお金を稼いでも物を買ってしまえば、それで終わり」という仕組みだった。

「1億ウォンを稼いだら車を買い、10億ウォン稼いだらアパートを買い、100億ウォン稼いだらビルを買う。それで終わり」



そう彼は言うのだが、そこに「上流社会にしか金が回らない」仕組みがある

富を築いた者たちが買うのは、高級車、高級アパート、一等地のビルであり、その金は一流企業へと流れていく

その下請けとなる工場や、建築現場で働いている人たちにわたる金など微々たるものである。



本来ならば、売れた車やアパートについて、様々な企業が下請けとなって共同で関わっているはずだが、韓国のように「財閥グループ」が強い国では、そこに参入していくことも難しい。



その一方で、人をだますだけだまして、お金を稼ぎ続けるパク室長やソン次長は稼いだ金を自分の箪笥の肥やしにするか、または、それを銀行の頭取や、検事へのワイロに使うことばかりを考えている

本来、「金は天下の回り物」のはずが、韓国では「富」の間でだけ回っているのだ。

だから、「貧」の人たちが必死に働いてのし上がろうとしても、そもそも「富」のグループにいなければ金は回ってこない

その仕組みをわかっているミン代理は、真面目に働いても金持ちになれないし、お金を使うのもバカらしいと思うようになる。



ワンライン5人の詐欺師たち4



貧しい人たちには富の再分配を…「ダマされたひとたちへの救済策」



そのミン代理から「保険ローン」に手を出したことを聞いたチャン課長は、詐欺に遭った人たちを「救わなければいけない」と考えた。

これまでは、銀行から金を奪い取っていたのが、「保険ローン」に手を付けたことで、ただでさえ病気で苦しむ人々をからだった。



そこで、彼が考えたのが「富の再分配」である。

パク室長やソン次長が稼ぐだけ稼いだ金を、だましてしまった人々に対して再分配していく。

最後にこの「再分配」があったからこそ、この映画は良かったなと思えた



欧米では、セレブリティと呼ばれる高額所得者たちには「ノブレス・オブリージュ」という考え方が定着していて、たくさんお金を稼いだら、その分チャリティや寄付をするのが常識になっている。

それは義務ではないが、もしも、怠った場合は社会的に非難されることになる。

その活動の結果、医療費が安くなる人もいるし、出世のチャンスを得る場合もある。



私は、最後にチャン課長が一件ずつお金を配っている姿を見て、それは、「富」のグループにいる人たちに対して「富の再分配」を提案しているのだと思った。

車では登れない急な上り坂の階段の上にある家に住んでいるような貧しい生活をしている人たちに、富める者たちができることは何か

この映画は、そこを問いかけているのではと思った。



もちろん、そんなことを考えなくても十分楽しめる娯楽作品になっているけれど、詐欺師を主人公にして描きつつ、だまされている人たちの経済事情、さらには貧乏から抜け出せない被害者たちに対する救済策まで提示しているところが良いなと思った

韓国は、こういう社会事情をエンターテイメント化するのが本当にうまいなと思った。



Twitterでも映画や海外ドラマの情報を発信しています~






↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





Amazonプライムで観る:「ワンライン/5人の詐欺師たち」(字幕版)

ワンライン/5人の詐欺師たち(字幕版)

新品価格
¥500から
(2018/9/6 15:13時点)



DVDで観る:「ワンライン/5人の詐欺師たち」

ワンライン/5人の詐欺師たち [DVD]

新品価格
¥3,163から
(2018/9/6 15:14時点)