とにかく映画が好きなんです【本館】

とにかく映画が好きで、特にアメリカ映画大好きです このブログは、ネタバレありの映画鑑賞日記です。主にハリウッド映画と韓国映画をメインに感想を書いています


タグ:トレヴァンテ・ローズ



サンドラ・ブロック主演の映画「バード・ボックス」をNetflixで観た。

見ただけで自殺してしまいたくなってしまう「何か」に支配された世界。

二人の子供のために、「何か」が襲ってこない楽園を目指す主人公マロリーを描くサスペンス映画。


満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

突然現れた「何か」に支配され、人類消滅のディストピアを描くサスペンス。

「見てはいけない」と言われたら逆に見たくなるもので、その欲望が人類を滅亡に追い込む。

スッキリしない感はあるが展開がスリリングで最後まで楽しめた。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『バード・ボックス』予告編 動画

(原題:Bird Box)



更新履歴・公開、販売情報

・2019年8月21日 Netflixにて鑑賞。

・2019年8月22日 感想を掲載。

現在、Netflixにて配信中。



原作本:「Bird Box」【洋書】

Bird Box: The bestselling psychological thriller, now a major film (English Edition)





キャスト&スタッフ


出演者

サンドラ・ブロック






監督

スサンネ・ビア
…(「真夜中のゆりかご」など)


2018年製作 アメリカ映画



映画「バード・ボックス」



あらすじ


ある日、突然、世界は「見たら死にたくなってしまう何か」に支配されてしまう。

出産を間近に控えたマロリー(サンドラ・ブロック)は、その場に居合わせた人々と共に避難し、外に出る時は目隠しをして生活をするが、やがて、共同生活をする人々が一人ずつ消えていく…。

それでも、マロリーは子供たちを守るため、「何か」の攻撃を受けずに暮らしていけるという楽園を目指し旅に出るのだが…。



映画「バード・ボックス」サンドラ・ブロック



感想(ネタばれあり)


「決して見てはいけません」という誘惑に勝てるか


昔話の「鶴の恩返し」でも書かれている通り、人は「見てはいけません」と言われると、余計に見たくなってしまう生き物である。

最初のうちは我慢できても、そのうちになぜか「ちょっとぐらいは大丈夫だろう…」と思ってしまう。

この映画は、そんな人間の好奇心を我慢できるストイックな人だけが生き残る世界を描いたサスペンスだった。



ある時、世界は「見たら自殺したくなる何か」に支配されてしまう。

それが見えないからこそ恐ろしく、常にハラハラドキドキしながら話は進んでいく



中には、観ても平気な人たちがいる。

彼らは、心に「闇」を抱え、「何か」に操られ、心優しい人々に声をかけ、「何か」を見るように促すのだ。

そして、世界はその「何か」と「闇」に支配されていく…。



つまり、この世界では、目の前で人が死んでいくことをなんとも思わないような、鈍感な人間だけが生き残っていくのだ。



では、そんな世界の中で生き残っていくにはどうすれば良いのか。



映画「バード・ボックス」ジョン・マルコヴィッチ



危機的な状況の中で、希望は自然と共存する生活にある


「百聞は一見に如かず」と言うけれど、私たちは日頃使っている五感の中で、最も頼りにしているのが「視覚」である。

この映画を観て、日頃から視覚に頼り過ぎる生活をしていることに気付いた。

「それを見たら死ぬ」と言われたら、どう生活したらいいか分からない。



どこに潜んでいるのか分からないから確認することもできず、目隠しをして生活するしかない。

が、もしも、今すぐ目隠しをする生活をしろと言われても感覚が全くつかめず、それだけでも恐怖しかない。



その中で人々の希望となるのが「鳥」だ。

人間よりも視覚が発達した鳥は「何か」の存在をイチ早く察知し、鳴き声で危険を知らせる



この映画が私たちに伝えたいことは、そこにあると思った。

どんなに発達したセキュリティシステムがあっても、どんなに優秀な軍事システムがあっても、自然の猛威である「何か」に勝つことはできず、そこで頼りになるのは「自然の中で生きている鳥」なのだ。



私たち日本人にとって身近なことで考えてみると、「大きな地震」がやって来るとき、科学の力である程度予知することはできても、地震を止めたり、迫ってくる津波を防ぐことはできない。

その後も、物流がストップしたり、家が崩壊して避難生活を強いられるかもしれない。



そんな時一番強いのは、海岸から遠く離れた地盤の固い田舎町で自給自足の生活をしている人々だ。

それこそ、その周辺に住んでいる動物たちの異変で、地震がくることを察知できるかもしれない。



危機的な状況になった時は、日頃から自然と共に共存して生活することが、都会にいるよりも有利になるのだ。



映画「バード・ボックス」トレヴァンテ・ローズ



「愛情」は人間の武器である


鳥は視覚に優れ、人間には見えない波長が見えるという。

それが、今回は武器になり、人間に危険と安全を知らせるセンサーとなる。



では、人間の武器はなんだろうか

鳥にはなく、人間にはあるもの。

それは、「愛する人を守りたい」という愛情だと思った。



トムが愛するマロリーと子供たちを守ったのも、マロリーが子供たちを守るために、「何か」の誘惑に負けず、一切目隠しを外さなかったのも、全て「愛する人を守りたい」という愛情からきている。

つまり、人々が好奇心や欲望に打ち勝つことができるのは「愛情」であり、その中でも「母の愛」は最強なのだ。



だから、愛情を持たず闇を抱えた者たちは、奴らの手先となり、「愛」を知っている者たちは奴らに抵抗して死んでいく。

鳥は危険を察知することができても、仲間を守ることはできない。

しかし、人間は愛情という感情で愛する人を守ることができるのだ。



豊かな感情は、人間だけに与えられた武器なのだ。



映画「バード・ボックス」サンドラ・ブロックと鳥



鳥と共存して生活することの意味


日頃から鳥は環境の変化に敏感だと言われている。

その昔、カナリアは毒ガス感知器に使われていた。

(オウム真理教の家宅捜査にサリン検知器としてカナリアがいた記憶がある)



ということは、鳥たちが住めないような都会は、それほど空気が汚染されているということである。



この映画で「なぜ鳥?」と思う人もいるかもしれないが、この映画の怪物に限らず、鳥たちは日頃から私たちに危険を知らせてくれているのだ。

マロリーがたどり着いた楽園のように、鳥たちが安全に暮らしている場所は人間も安全に暮らせる場所であり、常日頃から共存して生活するべきなのだ。



地球温暖化が進み、いつ、甚大な災害に襲われるか分からない今、私たちは、自然と共存することを再び考えるべき時に来ているのだと感じた作品だった。




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ボイド・ホルブルック主演の人気SFシリーズ最新作「ザ・プレデター」を映画館で観た。

宇宙のハンター「プレデター」と人間との戦いを描く。



満足度 評価】:★★★★☆

楽しかった!

ツッコミどころ満載で、B級SFアクション映画の王道!の面白さ!

動きが読めないプレデターの面白さはそのままに、これまでとは違う、新しい一面を見せてくれたのも楽しかった!

何も考えたくない時に観たい作品。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『ザ・プレデター』予告編 動画

(原題:The Predator)



更新履歴・公開、販売情報

・2018年9月14日 映画館にて鑑賞。

・2018年10月1日 感想を掲載。

・2019年6月22日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。詳しい作品情報につきましては、下記、公式サイトをご参照ください。
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キャスト&スタッフ


出演者

ボイド・ホルブルック
…(「LOGAN/ローガン」、ドラマシリーズ「ナルコス」など)


〇オリヴィア・マン

〇トーマス・ジェーン

〇キーガン=マイケル・キー


〇スターリング・K・ブラウン


監督

シェーン・ブラック
…(「ナイスガイズ!」など)


2018年製作 アメリカ映画



映画「ザ・プレデター」



あらすじ

元特殊部隊員のマッケンナ(ボイド・ホルブルック)は、麻薬カルテルとの戦いで入ったジャングルにいた際、墜落してきた宇宙船と、プレデターの姿を見る。

その時、プレデターは追ってきた政府に拘束され、マッケンナはプレデターの所有物を拾い、翌日、自宅に送り届ける。

マッケンナの自宅では、彼の息子で秀才の小学生ローリー(ジェイコブ・トレンブレイ)が、それを「パパからのプレゼント」だと勘違いし、荷物を開けてしまう。

ところが、それは、プレデターをおびき寄せる発信機になっていて…。



映画「ザ・プレデター」ボイド・ホルブルック、ジェイコブ・トレンプレイ



感想(ネタばれあり)


この映画の感想は、私が「ぴあ映画生活」に掲載したものをご紹介します。


ザ・プレデター (2018)


★★★★ [80点] 「B級SFアクションど真ん中で楽しい!」


ツッコミどころ満載で「B級SFアクション映画の王道」みたいな作品だったけど、楽しかったなぁ。

地球に、あのプレデターが再びやってくる。

あの得体の知れない怪力プレデターが暴れまわる。

それだけでも十分楽しいんだけど、今回は、進化系とか、動物系とか、数種類登場して楽しませてくれる



それに対するマッケンナ(ボイド・ホルブルック)は、米軍イチのスナイパー。

彼のゲーム好きな彼の息子(ジェイコブ・トレンブレイ)がプレデターと交信しちゃって、さぁ大変!

パパは息子を救うことができるのか!?



プレデターの動きが予測不可能で、どこから出てくるかわからないし、すごく動きが早くて、かなり容赦ないところが良い!

王者の貫禄たっぷりで、あのドレッドヘアも相変わらず(笑)

力は強いけど、ちょっと頭が弱い感じもまた良い!(笑)



アクションの合間のドラマパートはジョークいっぱいで笑えるし、ジェイコブくんは相変わらずピュア度高めで抱きしめたくなる(笑)

ボイド・ホルブルックは「LOGAN/ローガン」よりも見せ場多めでカッコいい!

歴代プレデターにありがちなマッチョなヒーローではなく、ちょっとイカれてるけど、息子想いのスマートなパパっていう立ち位置も良い!



見始めてから

うぁぁぁぁぁ

うぉぉぉぉぉ

ぐわぁぁぁぁ

えぇぇぇぇぇ

と思っている間に終わってしまう107分!(笑)



頭の中が、グチャグチャしてるときは、こういうB級アクションでスッキリしたい!!

ぜひ、脳の柔軟体操にお使いください(笑)

プレデターさんが、凝り固まった脳みそをブチ抜いてくれると思うよ



続編はあるのかなぁ~?

ヒットすればあるだろうね~



Posted by pharmacy_toe on 2018/09/16 with ぴあ映画生活


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クリス・ヘムズワース主演「ホース・ソルジャー」を試写会で観た。

2001年に起きた『9.11 同時多発テロ』の翌日、アルカイダ掃討のためにアフガニスタンへ向かった12人の陸軍特殊部隊の実話を描く。



満足度 評価】:★★★★☆

戦闘シーンは迫力満点で見応えがあり、彼らの戦いはズシンと重みが残り、思いのほか感動した映画だった。

いつの時代も、誰にも知られることなく命がけで戦っている人たちがいるんだと改めて思い知らされる実話の映画化。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「ホース・ソルジャー」予告編 動画

(原題:12 Strong)



更新履歴・公開、販売情報

・2018年4月15日 試写会で観た感想を掲載。

・2019年4月7日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。


DVDで観る:「ホース・ソルジャー」

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原作本:「ホース・ソルジャー」(上)

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キャスト&スタッフ


出演

クリス・ヘムズワース
…(「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」、「マイティ・ソー バトルロイヤル」、「ラッシュ/プライドと友情」、「白鯨との闘い」、「ゴーストバスターズ」、「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」、「パーフェクト・ゲッタウェイ」、「アベンジャーズ」など)

マイケル・シャノン
…(「シェイプ・オブ・ウォーター」、「ノクターナル・アニマルズ」、「ラビング 愛という名前のふたり」、「ドリームホーム 99%を操る男たち」、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」、「マッド・マザー 生贄の少年」など)

マイケル・ペーニャ
…(「運び屋」、「アントマン&ワスプ」、「素晴らしきかな、人生」、「アントマン」、「大いなる陰謀」、「フューリー」など)

トレヴァンテ・ローズ
…(「ザ・プレデター」、「ムーンライト」など)

…(「アメリカン・アサシン」など)

〇エルサ・バタキー

〇ウィリアム・フィクナー


監督

〇ニコライ・フルシー


2018年製作 アメリカ映画



映画「ホース・ソルジャー」



あらすじ


2001年9月11日 アメリカで同時多発テロが起きる。

その時、陸軍大尉のミッチ・ネルソン(クリス・ヘムズワース)は、現場から退いて管理職に異動したばかりだった。

しかし、居てもたってもいられなくなったミッチは、自分の特殊部隊のチーム 12人を招集し、アルカイダが潜伏していると言われているアフガニスタンへと向かうことを志願する。

翌日には許可が下りたミッチたちチームは、隣国のウズベキスタンへと向かう…。



映画「ホース・ソルジャー」クリス・ヘムズワース



感想(ネタバレあり)


9.11 同時多発テロ直後に起きた実話の映画化


近年で、時代の流れを変えた事件というのが2つあると思っている。

1つは1989年に起きた「ベルリンの壁」の崩壊。

この時を境に 資本主義 VS 共産主義 の戦いである冷戦が終了した。



もう1つは、2001年9月11日にアメリカで起きた「同時多発テロ」。

この時を境に、世界で起きている戦争が「国 VS 国」から、「国 VS テロ組織」という形へと変化していく。

たとえば、この映画のような「米軍 VS アルカイダ」や、「国連軍 VS ISIS」など。



それぐらい「9.11 同時多発テロ」というのは世界に衝撃を与えた事件だった

この映画は、その「世界の歴史を変えた事件」の中で、テロ組織「アルカイダ」を追い詰めていった米軍特殊部隊の実話を描いている。

彼らが戦っていたのはアフガニスタンではなく、そこに潜伏するテロ組織であり、これまでの戦争とは明らかに戦い方が違っている。

ただ、アフガニスタンに降り立ってテロ組織を潰せばいいというわけではない。



その彼らが、「どう戦っていくのか」という戦略の立て方、山岳地帯での戦い方の難しさ、リーダーの人間性などを見ているのがとても興味深く面白い映画だった



そして、この戦いは極秘の中で行われたため、しばらく人に知られることがなく、長い時間を経ての映画化となった。



映画「ホース・ソルジャー」マイケル・ペーニャ、マイケル・シャノン、クリス・ヘムズワース


アルカイダの敵対組織「北部同盟」を利用する米軍


いくら特殊な訓練を受けた有能な戦士たちだからといって、12人の兵士では、5万人いるといわれるアルカイダと戦えるはずがない

そこで陸軍の参謀が考えた戦略が、現地でアルカイダと敵対している組織 北部同盟と手を組むことだった。



私は、その戦略には複雑な気持ちになった。

なぜなら、そうやって、米軍が現地の組織に金と武器を与え、利用できるだけ利用し、利用価値が無くなったところでポイ捨てした結果、捨てられた組織の中からアメリカを恨み、テロリストが生れていくケースが多いからだった。



そんな私の心配を見越したからだろうか、ミッチ率いる部隊がアフガニスタン入りした頃、アルカイダが現地の女性や子供たちにどれだけ酷いことをしていたのかを映し出す。

その蛮行の残酷さだけでも目をそらしたくなるものであり、「アルカイダを全滅させる」という彼らの目的を正当化するのに十分、説得力を持ったものだった。



これは、これまで行ってきた朝鮮半島やベトナムのように、北と南の間で線が引かれ、国が北部と南部に分かれて戦うのではなく、アフガニスタンに潜伏するテロ組織「アルカイダ」と、彼らに家族を殺された者たちからなる「北部同盟」との対立を利用して、米軍が北部同盟を支援しながら「アルカイダ」を掃討しようする作戦なのである。

「北部同盟」は、ミッチ率いる米軍にとって、アルカイダの潜伏先へ案内するガイドであり、共に手を組んで戦う同士でもあるのだ。



映画「ホース・ソルジャー」クリス・ヘムズワース



勝利へと導く「馬」と「リーダー」


その戦いの中で、彼らを勝利に導く立役者となったのが、「馬」と「頼りになるリーダー」だった。



それは、この映画の邦題からもわかるけれど、なぜ「馬」だったのか

米軍が手を組んだ北部同盟がそれほど予算を持っていない組織だということもあるけれど、アフガニスタンという国は山岳地帯であり、大きな道路はアルカイダに支配され、彼らに気付かれないように近づくには、その崖の中を行かなければならない

そのための「馬」だった。



今どきの戦いで馬!?と思うけれど、実際に映画を観てみると、なるほど、確かに馬でなければ通れないようなところばかりで、馬がいなければこの作戦は成功しなかっただろうと思える。



そして、現地の土地勘もなく、言葉が通じない組織と手を組み、生まれてからこれまで乗ったこともない馬に乗ることになってしまった兵士たちのモチベーションを上げ、チームを導いていったのがリーダーのミッチだった。

ミッチは、陸軍の参謀が「6週間かかる」と言ったところを「3週間で終わらせる」と言って、その役を得た経緯があった。

だから、彼には「急がなければいけない」理由があり、本部からしばしば「成果を出せ」とせっつかれていた



それでも、彼はメンバーの健康状態を気遣い、一人もかけることなくアメリカへ帰ることを約束し、自分のチームだけでなく、北部同盟のメンバーたちのことも気遣う。

さらに、戦闘状態になれば誰よりも先頭に立って部隊を率いる姿は、「憧れるリーダー像」の全てを兼ね備えていた



ミッチが最後まで「全員でアメリカに帰る」と言い続けたからこそ、部下たちは彼を信じてついて行ったのだと思ったし、作戦を成功させることができたのだと思った。



映画「ホース・ソルジャー」クリス・ヘムズワース



「愛国心」や「正義」を押し売りしない戦争映画


よくある戦争映画でうんざりしてしまうのは、「威圧感たっぷり」の上官が出てきて「愛国心」だの「正義とはなんぞや」と講釈をのたまうことで、そういう場面を見るたびに「あぁアメリカって…」と思ってしまう。

しかし、この映画に好感を持ったのは、そういう「愛国心と正義の押し売り」がなかったところ



「9.11 同時多発テロ」のテレビ中継を見て、事件を引き起こしたテロ組織に腹を立て、その報復のためにアフガニスタンに降り立った彼らだけど、いざ戦闘となれば「早くこんなことを終わらせて家に帰ること」が彼らの目標となる。

そして、彼らにとっての最優先事項は、愛国心でも正義でもなく、目の前にいる仲間たちを守りたいという思いだった。

そんな彼らの姿が、とてもリアルで等身大のような気がして良かった



敵を目の前にした彼らが、一番大事なのは「生きるか死ぬか」であり、「仲間と一緒に国に帰ること」であり、「お国のため」ではない

それこそが、現場で戦っているひとたちの思いなんだろうし、だからこそ、必死になって戦っているのだというところに私はとても感動した。



もちろん、優秀な彼らの頭や心の中には「9.11で犠牲になった人たちのために」という思いも当然あっただろうけど、いざ、現地について戦うとなった時に、頭に出てくるのは国で待ってくれている家族のことだろうし、早く帰りたいという思いだろうと思う。



映画の後半は、本当に目の前でミサイルが飛んでいるかのような迫力満点の戦闘場面が続き、それだけでも圧倒される。

そこには「どんなことをしてでも、全員が国へ帰るんだ」という思いを抱えたリーダーが先頭に立って向かっていったからこそ、あの場面は生れるのだし、感動するのだと思った。



どんな状況下でも、彼らのように「世の中に知られることなく」命がけで戦っている人たちが世界には大勢いるのだと思える作品になっている。



最後に、米軍のリーダーミッチと、北部同盟のリーダー ドスタム将軍は、いまだに親友関係が続いているという字幕が流れてホッとした。

それは、北部同盟は「アメリカに利用されるだけ利用されて捨てられた人たち」ではないことを示すメッセージだと思ったからだった。

ということは、あの少年兵たちもテロリストにならず立派な大人になったんだろうと思いたい…。




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アカデミー賞で作品賞を受賞した映画「ムーンライト」を試写会で観た。

黒人の貧困層で育った少年が母親の依存症、育児放棄、そして自身のセクシャリティに悩みながら成長していく物語。


満足度 評価】:★★★★☆(4.5)

主人公のシャロンはとても無口な少年で、時折放つ言葉には彼の強い思いが込められていた。

その彼の静けさが持つ「感情の温存」がとても良く、最後の最後に放った一言には思わず自然と涙が溢れてしまった。

映像の美しさと感情を描く繊細さがずば抜けて素晴らしい作品だった。

「ムーンライト」予告編 動画

(原題:Moonlight)




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キャスト&スタッフ


出演者

ナオミ・ハリス
…(「われらが背きし者」、「007 スカイフォール」など)

マハーシャラ・アリ
…(「スパイダーマン:スパイダーバース」(声の出演)、「アリータ:バトル・エンジェル」、「グリーンブック」、「キックス」、「ドリーム」、ドラマシリーズ「ルーク・ケイジ」、「ハウス・オブ・カード 野望の階段」など)

トレヴァンテ・ローズ
…(「ザ・プレデター」、「ホース・ソルジャー」など)

ジャネール・モネイ
…(「ドリーム」など)

…(ドラマシリーズ「キャッスルロック」など)

〇アシュトン・サンダース

監督・脚本

〇バリー・ジェンキンス

製作総指揮

ブラッド・ピット
…(<出演作>「マネー・ショート」、「フューリー」、「ワールド・ウォー・z」、「イングロリアス・バスターズ」、<製作>「ビューティフル・ボーイ」、<製作総指揮>「オクジャ okja」など)ト


第89回アカデミー賞(2017年) 作品賞・脚色賞・助演男優賞 受賞作品

2016年製作 アメリカ映画



ムーンライト



あらすじ


小学生のシャロンはマイアミにある貧困層の黒人たちが暮らす街で育った。

ある時シャロンは、学校の帰り道で同級生にいじめられ廃墟に逃げ込むが、そこは麻薬の密売が行われている場所だった。

その時、そこから助け出してくれたのはドラッグディーラーのフアン(マハーシャラ・アリ)だった。

それ以来、シャロンは薬物依存症で育児放棄を繰り返す母(ナオミ・ハリス)から逃げるようにフアンの家へと通うようになり…。



ムーンライト3


感想(ネタバレあり)


悲惨な現実を背景にした美しくも切ない初恋の物語


話は至ってシンプルな青春物語である。

少年シャロンが高校生になり初恋をする。

しかし、不運な事件があって好きな人と離れ離れになってしまう。

大人になってから再会するが、彼はうまく思いを伝えることができない…。



しかし、この映画がよくある青春映画と大いに違うのは、シャロンが育った環境だ。

少年シャロンは貧困層の黒人ばかりが暮らす街で母親と二人暮らしをしているが、母は薬物依存症である。

たびたび薬に溺れ、育児放棄をする母から逃げ、父親代わりとなるフアンの家に身を寄せるが、フアンはドラッグディーラーである。



貧困層、母子家庭、ドラッグ、薬物依存、育児放棄、家出…。

悲惨な生い立ちのオンパレード

日本の子供たちとは明らかに違う世界がそこに描かれていた。



彼らが暮らす街では、小学生たちが歩いている道のど真ん中で昼間から普通にドラッグを売っている。

そして、またその側でジャンキーたちがドラッグを使用している。

シャロンの母親もそのジャンキーの1人。



そしてまた、シャロンはゲイだからという理由で同級生たちからイジメられる。

これは明らかに警察が見捨てた町



「ドラッグは体に悪いからやめましょう」なんてスローガンは何の役にも立たない。

本気でやめるなら、全てを捨てて街を出なければならない。

そんな悲惨な環境を背景に、胸を締め付けられるような初恋の思いを奇跡の美しさで描いたのが、この「ムーンライト」という映画である



ムーンライト2



無口だから、その思いを瞳にのせて


本当に好きな人の前に立つと上手に話すことができない

いつもの自分らしく接することができない。

きっとそんな経験は誰にも心当たりがあることだと思う。



なぜだろう。

本当に好きだという思いは、言葉にすることが難しい。

嫌いなことに関してははいくらでも言葉にできるのに。



主人公のシャロンは無口な青年だ。

言葉が少ないのは、心にある思いをうまく表現できないから



1つ言葉を発しては、しばらく時間を置いて、気持ちをためてからまた言葉にする。

母親のことや、自分のセクシャリティのこと、日頃悩んでいることをうまく言葉にすることができない。

うまく言葉にできないのは、シャロンは人よりも繊細で、1つ1つの物事に対する思いが強いから



私はそんなシャロンの無口がとても好きだった。

口で多くを語らない分、目が彼の思いを語る

「目は口程に物を言う」のだ。



フアンを父親のように慕う気持ち、ケヴィンに対する愛情、母に対する恐れ。

シャロンを三世代に分けて描く中、それぞれ全く別の俳優が演じているにも関わらず、なんだか面影があるのは、三人とも同じ目をしているからだった。

それぐらい、この映画は「目の力」を非常に重要視した作品だった。



ムーンライト5



尊敬する父親のようなフアンとの出会い


シャロンにとって幼少期に出会ったフアンの存在は大きかったと思う。

ドラッグ依存症で育児放棄(ネグレクト)の母親と二人暮らしのシャロン。

そんな中で出会ったフアンはシャロンの父親代わりだった。



いつも大きく包容力があり、シャロンを気遣ってくれる。

「自分はゲイかもしれない」と悩むシャロンを正面から受け止めてくれたのもフアンだった。

常にドラッグに溺れ、自分を罵るような母親と暮らしていたら、女性そのものを嫌ってしまうのも当然なのかもしれない。



海に連れていってくれ、泳ぎを教えてくれたフアン。

それ以来、シャロンは海が大好きな場所となる。



その後、フアンは亡くなってしまうが、シャロンはフアンのような男性を目指すようになる

大人になったシャロンの行動を見ていると、フアンはシャロンにとって尊敬すべき父親のような存在だったんだろうなと思う。

そんなシャロンの姿も、この映画を切なくしている要素の1つだった。



ムーンライト4



何年経っても変わらない思い


高校生になると、シャロンは同級生のケヴィンに恋をする

しかし、心を通わせたかと思った直後に離れ離れになってしまう

ケヴィンに会うことができなかったシャロンだったが、数年経っても彼への思いは変わっていなかった。



それなのに、大人になっても無口なシャロンはその思いを伝えることができない。

その姿が非常に歯がゆく切ない。

そして、何時間も歯がゆい時間を過ごし、打ち解けた頃、シャロンは勇気を出して告白する。



このシャロンが心に募る思いを打ち明けたシーンで、私は「あぁ良かった」と思いホッとした。

うまく告白できない弟を、イライラしながら見守っている感じだろうか。



ムーンライトが照らす海辺での大切な一夜の思い出。

きっと、シャロンはあの時の幸せを胸に肉体改造をし、イジメられない身体を作り、厳しい社会を生き抜いてきたんだろう。



会えなかった間にいろいろあったことをイチイチ言わなくても、その思いが伝わる心のこもった告白だった。

その時のシャロンを観ながら、思わず涙が溢れてしまった。

それは、彼らの未来には幸があるに違いないと思えるラストシーンだった。





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