ケヴィン・クライン主演の映画「パリ3区の遺産相続人」を観た。

一文無しのニューヨーカーが、パリにある父親の遺産であるアパートへ相続するために訪ねると、そこには92歳のおばあさんが暮らしており、フランスの住宅制度「ビアジェ」が邪魔をして簡単に相続できないことが分かり…。

満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

正直言って、コメディタッチのもっとお気軽な作品かと思っていたら、結構、内容の重い作品だった。

好き勝手生きるのは自由だけど、そのせいでパートナーや子供たちを巻きこんで、大切な人たちに与える心の傷は他人が思うより深いなと思った。

「パリ3区の遺産相続人」予告編 動画

(原題:MY OLD LADY)




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キャスト&スタッフ


出演者

〇ケヴィン・クライン
…(「美女と野獣」、「幸せをつかむ歌」、「海辺の家」など)

〇マギー・スミス
…(「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」など)

〇クリスティン・スコット・トーマス
…(「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」、「フランス組曲」、「海辺の家」など)

〇ドミニク・ピノン
…(「天才スピヴェット」、「アメリ」など)

監督・脚本

〇イスラエル・ホロヴィッツ

2014年製作 アメリカ、イギリス、フランス合作映画

パリ3区の遺産相続人


あらすじ


一文無しのマティアス・ゴールド(ケヴィン・クライン)は、亡くなった父の遺産を相続するためにパリを訪れていた。

父が彼に遺したのは一軒の古い庭付きのアパート。

彼はそれを売却してしまおうと思っていたのだが、そこには92歳になるマティルド・ジラール(マギー・スミス)が住んでいた。

そのアパートはそもそも彼女のものであり、フランスの法律「ビアジェ」に則って、マティアスの父が買った物だった。

「ビアジェ」によれば、そのマティアスはマティルドが亡くなるまで年金を払い続けなければならず、マティルドが亡くなった時、ようやく彼のものになると知り唖然としてしまう…。

パリ3区の遺産相続人4


感想(ネタバレあり)


フランスで高齢者の居住空間を保証する制度「ビアジェ」


フランス映画の素晴らしいところって、映画が社会を反映する鏡になっているところ。

社会背景として、その当時に起きている社会問題を描かれている作品がとても多い。

だからフランス映画を観ていると、フランスで今問題になっていることが良く分かる。

最近でいえば、最も多く取り上げられているのが移民問題だった。

そして、その次に増えているのが、パリを中心に起きている高齢化社会。

今年観たフランス映画「92歳のパリジェンヌ」も、パリの高齢化社会で起きる尊厳死について考えさせる作品になっていた。

そして、この「パリ3区の遺産相続人」もまた、パリの高齢化社会を扱っている作品だった。

まず、この映画を見始めてつまづくのが、パリの住宅制度「ビアジェ」だ。

「ビアジェ」とは、70歳以上の高齢者が家を売却する場合、家を購入した人間は、その持ち主の高齢者に対し、毎月年金を払わなければならず、また、その高齢者は、その家に住み続けることができる。

買主は、売主が亡くなってはじめて、その家を手に入れることができる。というもの。

これまではコストが高くつくために、買主はビアジェの家を敬遠してきたが、近年の高齢化社会に伴い、ビアジェが注目されているという。

その制度を理解するまでちょっと時間がかかったけど、70歳以上の高齢者は、死ぬまで住む場所が保証される制度なんだね。

パリ3区の遺産相続人3

57歳にして初めて知る「父のセカンドハウス」


その「ビアジェ」という制度を使って、マティアスの父は92歳の老婆・マティルドのアパートを買っていた。

マティルドが暮らすアパートを相続したマティアスは、彼女に対し、彼女が亡くなるまで年金を払い続けることとなった。

遺産を受け取って売り払うつもりが、逆に年金を払い続けるコストが必要になった。

そして、さらに、マティアスは、マティルドと父のかつてのただならぬ関係を知ってしまう。

父が家族よりもパリを愛していて、常にアメリカからパリへ通っていたのは、パリに家族よりも愛する人がいたためだった。

その愛する人を一生守り抜くために、マティアスの父はマティルドの家を「ビアジェ」で購入し、その家をわざわざマティアスに遺産として遺していた。

これは、マティアスに父とマティルドの関係を知らせるためだったのか…。

マティアスは、父の人生の全ても遺産として引き継ぐこととなった。


パリ3区の遺産相続人2

父の身勝手な愛が妻と息子の心につけた傷


しかし、マティアスは父が思っている以上にマティルドのことで心を痛めていた。

マティアスは父との関係がうまくいってなかった。

その理由がマティルドにあったんだと57歳にして初めて知る。

マティアスと母は父に愛されてないと思い続け、母は拳銃自殺、マティアスも自殺を図る。

父はマティアスを愛しているつもりでも、その心がパリにあったことをマティアスは感じ取っていた。

そして、その思いはマティアスと母を深く傷つけていた。

これ、57歳になって知るっていうのは、なかなか重い話だよね。

まさか、こんなところに第2の家があったとは…。

しかも、自分の心の傷の元となっているマティルドに対し、これからも年金を払い続けないといけないとは…。


パリ3区の遺産相続人5


何も言わぬ父からの遺言と託された母娘


しかし、57歳だからこそ受け入れられた問題だとも言える。

当時のマティルドとの関係を理解し、マティルドの娘であるクロエの心の痛みを知って受け入れる。

互いに愛し合い、新しい家族となる。

そのマティルド、マティアス、クロエの新しい関係こそが、マティアスの父が望んでいたことのように思う。

今までマティアス苦労させたのは、この素晴らしい母娘のためだったんだと、父から告白されたような思い。

その遺産は、マティアスへのお詫びだったのか…。

しかし、マティアスの父とマティルダの間に何があったのかを、全てマティルダに語らせるなんて、それはちょっとマティアスの父の無責任さを感じるな。

かつて、こんなことがあったけど、ごめん、母と娘をよろしくな。

そんなぶっきらぼうな男の人の不器用さを感じる話だった。

結局、マティアスがクロエに惹かれてしまうのも、父を許した結果であり、その母娘に惹かれる理由が分かってこそなんだと思った。

しかしなぁ。もっとジタバタして、俺の人生を返してくれって、もっと言ってもよかったようにも思う。

その辺が57歳という大人の反応なんだろうなぁ。





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