ある日突然、妻を交通事故で亡くした男が、喪失感と向き合い、心を含めた全てを破壊し、再生していく物語。
【満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)
心が壊れた時は、全てを分解してもう一度組み立て直せば良いという考え方が面白いと思った。
悲しみの感じ方は人それぞれ。悲しみからの立ち直り方も人それぞれで良い。
「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」予告編 動画
(原題:Demolition)更新履歴・販売情報
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キャスト&スタッフ
出演者
〇ジェイク・ギレンホール…(「ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた」、「ライフ」、「オクジャ okja」、「プリズナーズ」、「エヴェレスト3D」、「ミッション:8ミニッツ」、「サウスポー」、「ムーンライト・マイル」、「遠い空の向こうに」、「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」、「ブロークバック・マウンテン」)
〇ナオミ・ワッツ
…(「チャック~”ロッキー”になった男~」、「ヴィンセントが教えてくれたこと」、「追憶の森」、「ヤング・アダルト・ニューヨーク」、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」、「21g」、「キング・コング」)
〇クリス・クーパー
…(「カーズ/クロスロード」(声の出演)、「夜に生きる」、「8月の家族たち」、「ザ・タウン」、「シービスケット」、「遠い空の向こうに」など)
監督
〇ジャン=マルク・ヴァレ…(「私に会うまでの1600キロ」、「ダラス・バイヤーズクラブ」など)
2015年製作 アメリカ映画

あらすじ
金融会社の会社員デイヴィス(ジェイク・ギレンホール)は、交通事故で妻を亡くしてしまう。
しかし、そのことに対して悲しみを感じないデイヴィスは「妻を愛していなかったんだ」と思うようになる。
そんなデイヴィスを不審に思った義父フィル(クリス・クーパー)は彼に対し、
「お前は心が故障している。機械が故障したら全てを分解して組み立て直す。心も機械と同じだ。心が故障した時は、一度全てを分解して組み立て直す必要がある」と語りかける。
それ以来、デイヴィスは周りにある物を、次から次へと分解し始めるのだが…。

感想(ネタバレあり)
「悲しい時は、涙を流して悲しむべき」と言うのは悲しみの押し売りだ
悲しみの押し売りが嫌いだ。
例えば、ある「感動作」に対し、「この映画を観て泣かない奴は人間じゃない」とか「人として欠陥がある」と言い切る人がいる。
余計なお世話だと思う。
悲しみの感じ方は人それぞれで、瞬間湯沸かし器のように急激に涙に襲われる時もあるし、しばらく時間が経ってからジワジワくる悲しみもあるし、口にできない悲しみもある。
それを、自分と同じように感じないからダメ人間と言い切ってしまう、その感覚が私には分からない。
そういう「悲しみの押し売り」をする人たちからすると、この映画の主人公デイヴィスは、明らかにダメ人間であり、欠陥人間である。
デイヴィスは、妻を交通事故で亡くしてしまう。
しかし、その事実を聞いても、涙が出てくるワケではない。
葬式だって、いつもと変わらない日常だった。
そんなデイヴィスを気に入らない義父は、彼に対し「お前の心は壊れている。一度、分解して組み立て直す必要がある。」と言う。
彼こそが、人をそっとしておくという配慮ができない「悲しみの押し売り屋」だ。
ところが、そんな彼のデリカシーのない一言は、デイヴィスが悲しみと向き合うきっかけになった。

心が故障した時は、全てを壊してもう一回組み立て直せば良い
私は、妻を亡くした悲しみと向き合えないデイヴィスの姿を観て、
「この人は心に大きな壁ができている人だな」と思った。
たとえ、夫婦間の愛情が冷めていたとしても、毎日言葉を交わし、顔を合わせていた人がいなくなって悲しくないはずがない。
ただ、その「亡くなったこと」が受け入れられていないだけだと思った。
彼の本当の悲しみは、心にできた大きな壁の向こうにあるんだけど、そのことに本人が気付いていない。
ベルリンの壁が崩壊したように、いつか適切な時期が来て、その壁が崩壊するのを待つしかないなと思った。
しかし、その壁を壊す瞬間が思ったよりも早く来たのは、義父の「心を分解して組み立て直せ」と言った一言があったからだった。
デイヴィスは、妻との思い出の品を次から次へと壊し始め、心の壁を少しずつ薄くしていった。
そして、なんと最後は家までも…。もうここまでくると笑いがこみ上げてくる。

仕事も家族も一切絡まない友人は癒しの存在
全ての思い出を壊した後に必要なのは、それを組み立て直し、再生していく作業だ。
そのお手伝いをしたのが、シングルマザーのカレンと息子のクリスだ。
彼らの何が良いって、仕事もプライベートも一切絡みがないところ。
心の整理をして再出発する時に、こんなに都合の良い知り合いは他にいない。
自分の両親にも、妻の両親にも、会社の同僚にも息が詰まるし、ストレスになるだけ。
でも、一切関係のないカレンとクリスは、デイヴィスが書いた苦情の手紙の内容だけで、素性の分からない彼を認めてくれ、気遣ってくれる。
これ、すごく良く分かる。
私も仕事で辛い時は、仕事も家族も一切絡まないプライベートの友達がすごく癒しになるし、彼らと会っている間は嫌なことを忘れられる。
だから、そういう友人関係は大切にしないといけないなと思う。
デイヴィスにとって、カレンとクリスの存在は、すごく癒しの存在だったんだろうなぁというのが、良く分かる。

ふとした瞬間にやって来る悲しみのダムの決壊
そして、デイヴィスが全てを破壊して、心が整い始めた時、彼の目に妻の付箋紙が目に入る。
それが、心の壁が決壊する瞬間だ。
「雨の日は会えない、晴れの日は思い出す」
そして、いつも気付いたことは付箋にメモして貼っていた妻の癖を思い出し、自然と涙が溢れだす。
ようやく、彼は新しい人生をスタートすることができた。
2人の思い出が詰まったメリーゴーランドを組み立て直し、新たな人生を歩み始める。
悲しいことが起きた時、実感がわかなくて涙も出ない時がある。
でも、しばらくして1人になった時、堰を切ったように涙が溢れだす瞬間がある。
この映画が描いているのは、そんな瞬間だ。
その時は、悲しみを感じていないのではない。
悲しみに気付いていないだけだ。
そんな時は、1つずつ思い出をたどり、心を分解してみると良い。
すると、心の壁の向こうにしまった悲しみに出会えるから。
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