1950年の朝鮮戦争当時に、国連軍が戦況を変えたオペレーション・クロマイト作戦を描くアクション映画。
【満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)
アクション映画としては迫力もあったし、十分楽しかった。
主人公を家族思いの青年たちにすることで、彼らに共感しやすく作られていて、戦争について描かれているのに、とても入りやすくて分かりやすいし、さすが、作りがうまいなぁと感心しながら観ていた。
韓国サイドから描かれた作品なので、それなりに盛られた作品だろうし、国連軍が主導した『オペレーション・クロマイト作戦』を裏で支えていた韓国兵がいたこともよく分かった。
でも、大国の対立によって朝鮮半島を分断された国民の悲痛な思いなどは、ここには描かれていない。
そこは、あえて排除したような雰囲気さえ感じる。
確かに、北朝鮮と韓国の間にある38度線は、国連軍が勝手に引いた国境線かもしれないが、そこに対する北朝鮮・韓国の首脳たちの考えはどこにいったのか。
アクション映画としては楽しい作品だったけれど、戦争映画としては物足りなさが残る作品だった。
「オペレーション・クロマイト」予告編 動画
(原題:인천상륙작전(仁川上陸作戦)/英題:Operation Chromite)更新履歴・販売情報
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キャスト&スタッフ
出演者
〇イ・ジョンジェ…(「観相師-かんそうし-」など)
〇イ・ボムス
〇リーアム・ニーソン
…(「トレイン・ミッション」、「沈黙-サイレンス-」、「フライト・ゲーム」、「ラン・オールナイト」、「誘拐の掟」、「96時間」、「96時間 リベンジ」、「96時間/レクイエム」、「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」など)
〇チン・セヨン
〇パク・チョルミン
監督
〇イ・ジェハン2016年製作 韓国映画

あらすじ
1950年の朝鮮半島。
ソ連とアメリカの対立により勃発した朝鮮戦争により、釜山周辺を除くほとんどの地域がソ連側が支援する北朝鮮側に支配されていた。
マッカーサー(リーアム・ニーソン)を指揮官とした国連軍は、この劣勢を逆転するため、朝鮮半島に連合軍兵士たちを上陸させる「オペレーション・クロマイト作戦」を実行するため、北側に8名の韓国兵をスパイとして送り込んだ。
チャン・ハクス大尉(イ・ジョンジェ)はスパイたちのリーダーとしての役割を担い、仁川で北朝鮮軍を指揮するイム・ゲジン(イ・ボムス)の元へと向かう。

感想(ネタばれあり)
今の韓国を導いた「オペレーション・クロマイト」作戦
舞台は1950年の朝鮮戦争。
ソ連から支援された北朝鮮軍とアメリカをはじめとした連合国軍に支援された韓国軍が朝鮮半島で戦争を行っていた。
その当時は北朝鮮軍が優勢で、釜山・大邱周辺の一部地域を除き、半島の大半を北朝鮮側が支配していた。
その北朝鮮側が優勢だったという話は、この映画を観て初めて知った。
最初から最後まで互角に戦っていたのだと思っていた。
その劣勢を逆転させるために、マッカーサーは北朝鮮に支配されていた仁川から連合軍の兵士を上陸させる「オペレーション・クロマイト作戦」を計画する。
しかし、仁川は入り組んだ地形をしていて海岸から上陸するのが困難な上に、満潮・干潮の差が激しく、多くの機雷が設置されていたため、連合軍の幹部は仁川から上陸することに反対していた。
それでも、マッカーサーが仁川上陸にこだわったため、連合軍はその機雷の位置を把握しなければならなかった。
そこで、連合軍は、韓国軍から8人のスパイを北朝鮮に送り込み、機雷の設置海図を手に入れようと考えた。
この映画では、連合軍が行った「仁川上陸(オペレーション・クロマイト)作戦」の影で、その作戦の実現を命がけで叶えた韓国軍兵士たちと、それを助けた一般市民の志願兵たちの姿が描かれている。

戦争をエンターテインメントするアクション映画としての楽しさ
戦争映画と聞くと、「悲惨だし、悲しいし、辛い」と思う人もいるかもしれないけど、この映画は、戦争映画というよりも、アクション映画として十分楽しめる。
ガンアクションや、カーチェイス、ロケット砲や手りゅう弾など、当時使われていた武器のほとんどが登場し、迫力も十分で、絶え間なく繰り返されるアクションシーンは飽きさせない。
たとえ、そこが戦場であっても、エンターテインメントとして見せてしまう上手さは、さすが韓国映画だなと思った。
イ・ジョンジェ演じる主人公のハクスは連合軍が北朝鮮に送り込んだスパイだ。
彼の行動一つをとっても、「ちょっとしたことでバレるかもしれない」と思うとドキドキするし、目が離せない。
また、ハクスたち韓国軍側のスパイは、国や大義のためよりも「母親・家族・友人を守りたい」という『誰もが抱くような気持ちで』作戦に挑んでいるため、そこに、とても親近感がわくし共感できる。
そんな彼らとは対照的に、イ・ボムス演じる北朝鮮側の大将ゲジンは、気に入らない人間や裏切り者(韓国兵)を容赦なく殺している冷酷な独裁者として描かれている。
そのゲジンとハクスの対立は、アクション映画のヴィランと、その独裁政治から国民を解放するヒーローそのままで、誰が見ても、ヒーローを応援するように作られている非常に分かりやすい作品である。
この北朝鮮の大将ゲジンがホントにしぶとくて、どんなに殺そうと思っても、なかなか死なないところは、まるで『ダイ・ハード』を見てるようで、やっぱり、これは人を楽しませるエンターテインメントなアクション映画なんだなと思った。

戦争映画としての物足りなさ
エンターテインメント作品としては十分楽しめるけど、後半になって、物足りなさが出てくる。
というのも、朝鮮戦争について、韓国と北朝鮮の思惑がここでは一切描かれない。
そもそも、ソ連とアメリカの間にあった冷戦に翻弄されたことを、北朝鮮や韓国の幹部たちはどう考え、韓国の司令部は国連軍とどう連携していたのか。
そして、朝鮮人という同じ人種でありながら、敵味方として戦うことを、どう考えていたのか。
その『朝鮮戦争について、最も知りたいこと』が、この映画からはごっそりと抜け落ちている。
その両国の思いを象徴しているのが、ハクスとゲジンの対立なんだろうけど、そもそも、国民は大国たちの覇権争いに巻き込まれた被害者。
そのことについてどう思っているのか、韓国は北朝鮮をどう見ていたのかを知りたいのに、そこは一切描かれない。
最後の最後になってゲジンが「共産主義は、みんなを幸せにするんだよ!」と吐き捨てるように言うセリフがあるけど、「うわ、最後の最後にそんなこと言うんだ」と思った。
そのゲジンの言い方は、共産主義を心から信奉しているというより、国から押し付けられた思想といった感じがしたからだった。
だから、共産主義はダメだと言いたいのか。
それにしては、あまりも短絡的ではないのか。
ゲジンの人間性はどこにあるのか。
でも、その辺の描き方がいかにも韓国側が描いたヴィラン(悪役)といった感じがしたことが物足りなかったし、その当時、その仁川で支配されていた国民たちの本当の腹の内が知りたいと思った。
韓国軍の兵士たちに守りたい家族がいたように、北朝鮮側にも家族がいたはずだから。
この映画を観ていると、今の国境である38度線だって国連が中国からの圧力を受けながら勝手に決めた線だと分かる。
その38度線に対し、マッカーサーは異議を唱えるけど、肝心の韓国国民の声は聞こえてこない。
朝鮮半島で起きている戦争なのに、その責任をただ国連だけになすりつけているような印象を受けた。
だから、私は、この映画は戦争映画としては物足りないと思った。
聞きたいのはマッカーサーの意見ではなく、大切な国土を分断された国民たちの声なのだ。
そう思いながら思い出したのは、パク・チャヌク監督の『JSA』だった。
あの映画には、分断された国境と韓国、北朝鮮、両方の兵士たちの思いと、そんな彼らを中立地帯から見た兵士の複雑な思いがキチンと描かれていた。
それを思うと、やっぱり、あの映画は素晴らしい映画だったんだなと思う。
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いまだに終結しない北朝鮮問題の影響か
結局、韓国軍兵士たちの命がけの戦いがあって、『仁川上陸(オペレーション・クロマイト)作戦』は成功し、それから3年後、朝鮮戦争は休戦する。
しかし、私は、あまりにも都合よく描かれていたことに、なんとなく悶々としたまま観終えることとなった。
戦争にヒーローなどいない。
悲しみの兵士たちはどこへ行ったのか。
それは、これが韓国側の視点で描かれているから、仕方ない部分もあるのだろう。
それに加え、韓国にとって、北朝鮮問題はまだ終結していない問題であり、依然として『そこにある危機』なのである。
国としても『太陽政策』を掲げているうちは、北朝鮮側を『完全な悪として描く』ことに抵抗があるのだろう。
でも、だからこそ、現実を観る視点が必要なのだと思うし、きちんと『北朝鮮が目指したもの』が見えないと朝鮮問題は描けないのではないかと思うし、この映画を作った意義がないのではないかと思う。
もともと北朝鮮が目指したものを知ってこそ、この問題を解決する糸口が見えるのではと思う。
現実逃避した先に答えはない。
しかし、正直言って、よくこの映画にリーアム・ニーソンが出たなぁと思った。
彼の出るシーンは、おそらく、ほぼスタジオで撮影できるシーンばかりだから、そんなに難しいことはなかったかもしれないけど、彼が出ることで、マッカーサーの持つ権威が表現できたので、キャスティングして正解だったと思う。
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ガンホ、カン・ドンウォン、ハ・ジョンウ、ビョンホンが今の韓国映画界のトップ4だという記事
2017/09/28 18:56:50
海外市場も考えれば、今後はそこにコン・ユも入ってくるんじゃない?
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