ドイツ映画「ヒトラー暗殺、13分の誤算」をWOWOWで観た。
1939年。1人の男がヒトラー暗殺を企てるが、わずか13分の誤差で失敗に終わってしまう。その後、ナチスに捕らえられた彼がなぜ、ヒトラー暗殺に至ったかを描く。
【満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)
小さな田舎町に住む家具職人がヒトラー暗殺を企てた実話。
それが、わずか13分という誤差で作戦に失敗してしまうのだが、それもまた運命。
1人の男性の勇気ある行動に驚かされる作品だった。
◆DVDで観る:「ヒトラー暗殺、13分の誤算」
◆ネット配信で観る:「ヒトラー暗殺、13分の誤算」(字幕版)
◆参考:「ヒトラーを殺す42の方法」 DVD
〇カタリーナ・シュットラー
〇ブルクハルト・クラウスナー
…(「パリよ、永遠に」、「リスボンに誘われて」など)
〇ヨハン・フォン・ビューロー
…(「5%の奇跡~嘘から始まる素敵な人生~」)
2015年製作 ドイツ映画
1939年11月8日。
ドイツのミュンヘンではヒトラーの演説が行われた。
しかし、その13分後、演説の会場が爆破される。
逮捕されたのは、ゲオルク・エルザー(クリスティアン・フリーデル)ドイツの田舎町に住む家具職人だった。
逮捕したナチスの幹部たちは、エルザーを拷問し、彼に協力した人間たちの名前を吐かせようとするが、エルザーは単独で計画したと言い…。
2015年は、戦後、70年という節目の年であり、と同時に、ドイツにとってはヒトラー没後70年の年だった。
そのため、ヒトラーが登場する作品が多く製作された年でもあった。
その中で、この作品はヒトラーの暗殺をテーマとしている。
これまで、ヒトラーの暗殺について描かれた作品は数多くあるが、この映画は、これまで製作されてきたヒトラー暗殺モノとは一味違う。
例えば、ヒトラー暗殺を扱った映画で有名な作品といえば、トム・クルーズ主演の映画「ワルキューレ」がある。
その「ワルキューレ」は、トム・クルーズ演じるナチス幹部が、仲間を募り実行するも失敗してしまう映画で、いわゆる内ゲバものだった。
その「ワルキューレ」に代表されるように、「ヒトラー暗殺」と言えば、内ゲバ、もしくは、反ナチスの勢力や、外国人がヒトラーを暗殺するのがよくあるパターンだった。
しかし、この映画はそれらの作品とは少々毛色が違う。
何が違うのかといったら、実行犯のプロフィールが他と明らかに違う。
特に、背後に大きな政治勢力も持たない、田舎町に住む家具職人が単独で暗殺を企てている。
なぜ、政治的背景もない一般人が暗殺を企てようと思ったのか。
どうにも、その理由を知りたくなる作品だった。
その暗殺の実行犯エルザーは精密機械を製作することが得意な家具職人だった。
ナチスが台頭する前は、それなりの給料をもらって自由な生活を謳歌していた。
しかし、ナチスが権力を握るようになってからドイツには暗雲が立ち込めるようになる。
街中でナチスの党員たちは大きな顔をして威張り腐り、ユダヤ人の友人はナチスに連れ去られ、街中にさらし者にされているユダヤ人もいた。
そして、どんどん生活は困窮していく。
エルダー自身の生活もどんどん貧しくなっていき、それが自分の母親や、恋人の生活を苦しめていた。
その全てがヒトラーのせいだとエルダーは考えた。
今、英仏を相手に戦争を起こしても、国は全滅してしまう。
幸せだった頃の昔の生活に戻りたい…。
その思いから、エルダーは暗殺を考えるようになる。
「生活を取り戻したい」というこのエルダーの執念が、彼のすごいところだと思う。
目の前で苦しんでいる友人を見ていることが辛い、耐えられない。
その思いだけで、世の中を変えようと思うことができるだろうか。
人を暗殺するには、物凄いエネルギーが必要になる。
ただその辺にいる人を暗殺しようという訳ではない。
他でもないヒトラーだ。
そのヒトラーを暗殺しようと思ったその原動力が、「世の中を変えたい」と思う正義感だったのだとしたら。
彼は、とても強い意志と、正義感の持ち主だったのだろうと思う。

しかし、その計画は失敗し、彼はナチスに捕らえられてしまう。
ナチスはエルザーの暗殺計画が複数の人間による計画だと思い、徹底的に拷問をする。
それが4年間も続く。
ここが、「ヒトラーがエルザーを恐れていた」とされる理由だった。
もしも、エルザー程の精巧な時限爆弾を、彼の仲間が作れるとしたら、次は暗殺を防ぐことができない。
しかも、彼はどこかの反体制グループには所属していない、ただの小市民だ。
こんな人間が次から次へと出てきたらたまらないとヒトラーは考えたのだろう。
ヒトラーは、いつ自分が殺されるか分からないと怯え、第二のエルザーの誕生を誰よりも恐れていた。
だからこそ、長い時間拷問をして、徹底的に分析をしていた。
結局、最後まで誰もヒトラーを暗殺することができなかった。
もしも、エルザーの時限爆弾があと13分速かったら。
世界は変わっていたのかもしれない。
しかし、たまたまその日はいつもより13分速く演説が終了してしまう。
本当に、人生って皮肉に満ちていて、悲しいものだと思ってしまう。
それが、ヒトラーの悪運の強さであり、世界に定められた宿命だったのだと思う。
きっと、何かの理由があって、その時、ヒトラーは生かされた。
そう思った。
だから、その生かされたヒトラーから、私たちは何かを学び、二度と彼のような人間が生まれない世の中を作らなければいけない。
そうしないと、家族や恋人、友人たちのために命がけで世界を変えようと思ったエルザーの思い、第二次大戦で犠牲になった多くの人たちの思いは報われないからだ。
〇「ワルキューレ」
実際にあったヒトラー暗殺計画の映画化。トム・クルーズ主演作品
〇「ヒトラー~最期の12日間~」
第二次大戦末期。ソ連に侵攻され自害を決意するヒトラーの姿を描く。ブルーノ・ガンツ主演映画【感想】
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◆ネット配信で観る:「ヒトラー暗殺、13分の誤算」(字幕版)
◆「ヒトラーを殺す42の方法」 DVD
1939年。1人の男がヒトラー暗殺を企てるが、わずか13分の誤差で失敗に終わってしまう。その後、ナチスに捕らえられた彼がなぜ、ヒトラー暗殺に至ったかを描く。
【満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)
小さな田舎町に住む家具職人がヒトラー暗殺を企てた実話。
それが、わずか13分という誤差で作戦に失敗してしまうのだが、それもまた運命。
1人の男性の勇気ある行動に驚かされる作品だった。
目次
「ヒトラー暗殺、13分の誤算」予告編 動画
(原題:ELSER /英題:13 MINUTES)更新履歴・公開、販売情報
・2016年12月1日 WOWOWで観た感想を掲載。
・2019年4月17日 NHK BS プレミアムでの放送に合わせて加筆・修正。
現在、DVD、ネット配信、共に販売中。
◆DVDで観る:「ヒトラー暗殺、13分の誤算」
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◆ネット配信で観る:「ヒトラー暗殺、13分の誤算」(字幕版)
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◆参考:「ヒトラーを殺す42の方法」 DVD
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キャスト&スタッフ
出演者
〇クリスティアン・フリーデル〇カタリーナ・シュットラー
〇ブルクハルト・クラウスナー
…(「パリよ、永遠に」、「リスボンに誘われて」など)
〇ヨハン・フォン・ビューロー
…(「5%の奇跡~嘘から始まる素敵な人生~」)
監督
…(「ヒトラー ~最期の12日間~」)
2015年製作 ドイツ映画

あらすじ
1939年11月8日。
ドイツのミュンヘンではヒトラーの演説が行われた。
しかし、その13分後、演説の会場が爆破される。
逮捕されたのは、ゲオルク・エルザー(クリスティアン・フリーデル)ドイツの田舎町に住む家具職人だった。
逮捕したナチスの幹部たちは、エルザーを拷問し、彼に協力した人間たちの名前を吐かせようとするが、エルザーは単独で計画したと言い…。

感想(ネタバレあり)
小市民が単独でヒトラーを暗殺する極めて稀な実話
2015年は、戦後、70年という節目の年であり、と同時に、ドイツにとってはヒトラー没後70年の年だった。
そのため、ヒトラーが登場する作品が多く製作された年でもあった。
その中で、この作品はヒトラーの暗殺をテーマとしている。
これまで、ヒトラーの暗殺について描かれた作品は数多くあるが、この映画は、これまで製作されてきたヒトラー暗殺モノとは一味違う。
例えば、ヒトラー暗殺を扱った映画で有名な作品といえば、トム・クルーズ主演の映画「ワルキューレ」がある。
その「ワルキューレ」は、トム・クルーズ演じるナチス幹部が、仲間を募り実行するも失敗してしまう映画で、いわゆる内ゲバものだった。
その「ワルキューレ」に代表されるように、「ヒトラー暗殺」と言えば、内ゲバ、もしくは、反ナチスの勢力や、外国人がヒトラーを暗殺するのがよくあるパターンだった。
しかし、この映画はそれらの作品とは少々毛色が違う。
何が違うのかといったら、実行犯のプロフィールが他と明らかに違う。
特に、背後に大きな政治勢力も持たない、田舎町に住む家具職人が単独で暗殺を企てている。
なぜ、政治的背景もない一般人が暗殺を企てようと思ったのか。
どうにも、その理由を知りたくなる作品だった。

彼を強く動かしたのは「世の中を良くしたい」という思い
その暗殺の実行犯エルザーは精密機械を製作することが得意な家具職人だった。
ナチスが台頭する前は、それなりの給料をもらって自由な生活を謳歌していた。
しかし、ナチスが権力を握るようになってからドイツには暗雲が立ち込めるようになる。
街中でナチスの党員たちは大きな顔をして威張り腐り、ユダヤ人の友人はナチスに連れ去られ、街中にさらし者にされているユダヤ人もいた。
そして、どんどん生活は困窮していく。
エルダー自身の生活もどんどん貧しくなっていき、それが自分の母親や、恋人の生活を苦しめていた。
その全てがヒトラーのせいだとエルダーは考えた。
今、英仏を相手に戦争を起こしても、国は全滅してしまう。
幸せだった頃の昔の生活に戻りたい…。
その思いから、エルダーは暗殺を考えるようになる。
「生活を取り戻したい」というこのエルダーの執念が、彼のすごいところだと思う。
目の前で苦しんでいる友人を見ていることが辛い、耐えられない。
その思いだけで、世の中を変えようと思うことができるだろうか。
人を暗殺するには、物凄いエネルギーが必要になる。
ただその辺にいる人を暗殺しようという訳ではない。
他でもないヒトラーだ。
そのヒトラーを暗殺しようと思ったその原動力が、「世の中を変えたい」と思う正義感だったのだとしたら。
彼は、とても強い意志と、正義感の持ち主だったのだろうと思う。

第二のエルザーに恐れ、怯えていたヒトラー
しかし、その計画は失敗し、彼はナチスに捕らえられてしまう。
ナチスはエルザーの暗殺計画が複数の人間による計画だと思い、徹底的に拷問をする。
それが4年間も続く。
ここが、「ヒトラーがエルザーを恐れていた」とされる理由だった。
もしも、エルザー程の精巧な時限爆弾を、彼の仲間が作れるとしたら、次は暗殺を防ぐことができない。
しかも、彼はどこかの反体制グループには所属していない、ただの小市民だ。
こんな人間が次から次へと出てきたらたまらないとヒトラーは考えたのだろう。
ヒトラーは、いつ自分が殺されるか分からないと怯え、第二のエルザーの誕生を誰よりも恐れていた。
だからこそ、長い時間拷問をして、徹底的に分析をしていた。

間に合わなかった13分にも、きっと理由がある
結局、最後まで誰もヒトラーを暗殺することができなかった。
もしも、エルザーの時限爆弾があと13分速かったら。
世界は変わっていたのかもしれない。
しかし、たまたまその日はいつもより13分速く演説が終了してしまう。
本当に、人生って皮肉に満ちていて、悲しいものだと思ってしまう。
それが、ヒトラーの悪運の強さであり、世界に定められた宿命だったのだと思う。
きっと、何かの理由があって、その時、ヒトラーは生かされた。
そう思った。
だから、その生かされたヒトラーから、私たちは何かを学び、二度と彼のような人間が生まれない世の中を作らなければいけない。
そうしないと、家族や恋人、友人たちのために命がけで世界を変えようと思ったエルザーの思い、第二次大戦で犠牲になった多くの人たちの思いは報われないからだ。
関連記事 ヒトラー暗殺
〇「ワルキューレ」
実際にあったヒトラー暗殺計画の映画化。トム・クルーズ主演作品
〇「ヒトラー~最期の12日間~」
第二次大戦末期。ソ連に侵攻され自害を決意するヒトラーの姿を描く。ブルーノ・ガンツ主演映画【感想】
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