とにかく映画が好きなんです【本館】

とにかく映画が好きで、特にアメリカ映画大好きです このブログは、ネタバレありの映画鑑賞日記です。主にハリウッド映画と韓国映画をメインに感想を書いています


タグ:ブラッドリー・ウィットフォード



メリル・ストリープトム・ハンクス主演の映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」を試写会で観た。

1971年のアメリカで「ベトナム戦争に勝ち目がない」とシンクタンクが分析した文書を当時のニクソン政権が隠ぺいし、その文書を手に入れた「ワシントン・ポスト紙」が政府の圧力がありながら掲載に向けて戦った実話を描く


映画「ペンタゴン・ペーパーズ」


満足度 評価】:★★★★☆(4.5)

新聞社同士のスクープ合戦にハラハラドキドキし、主人公であるキャサリンの葛藤に共感した作品だった。

そして「報道の自由」とは、一体、誰のためのものなのかを改めて考えさせられた作品。



この感想には映画の結末に関わるネタバレを含みます。映画をご覧になってからお読みください。


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」予告編 動画

(原題:The Post)




更新履歴

・2018年3月6日 試写会で観た感想を掲載。

・2020年1月5日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。




キャスト&スタッフ


出演者

メリル・ストリープ
…(「メリー・ポピンズ リターンズ」、「マンマ・ミーア!ヒア・ウィーゴー」、「マダム・フローレンス!夢見るふたり」、「未来を花束にして」、「幸せをつかむ歌」、「イントゥ・ザ・ウッズ」、「8月の家族たち」、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」、「ジュリー&ジュリア」、「大いなる陰謀」、「母の眠り」、「プラダを着た悪魔」など)

トム・ハンクス
…(「ハドソン川の奇跡」、「インフェルノ」、「ブリッジ・オブ・スパイ」、「ウォルト・ディズニーの約束」、「キャプテン・フィリップス」、「幸せの教室」、「天使と悪魔」、「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」など)

ボブ・オデンカーク
…(「インクレディブル・ファミリー」(声の出演)、「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」、ドラマシリーズ「ベター・コール・ソウル」、「ブレイキング・バッド」など)

〇サラ・ポールソン

〇トレイシー・レッツ

ブラッドリー・ウィットフォード
…(「ゲット・アウト」、「アイ・ソー・ザ・ライト」など)

ブルース・グリーンウッド
…(「ニュースの真相」、「白い沈黙」、「ドローン・オブ・ウォー」、「パパが遺した物語」、「エレファント・ソング」、「デビルズ・ノット」、「スター・トレック イントゥ・ダークネス」「スター・トレック」など)

〇マシュー・リス

…(ドラマシリーズ「GLOW ゴージャス・レディ・オブ・レスリング」など)


監督

スティーヴン・スピルバーグ
…(「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」、「ブリッジ・オブ・スパイ」、「リンカーン」、「マイノリティ・リポート」、「アミスタッド」、「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」、「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」、「レイダース/失われたアーク<聖櫃>」など)


2017年製作 アメリカ映画




あらすじ


1971年、ニクソン政権下のアメリカ。

ベトナム戦争が長期化し、反戦運動が沸き起こる中、政府が委託したシンクタンクであるランド社は「ベトナム戦争でアメリカの勝ち目なし」という調査結果報告文書「ペンタゴン・ペーパーズ」を提出するが、政府はこれを隠ぺいする。

大手新聞社 NYタイムズはこの文書の一部を極秘に入手して掲載するが、ホワイトハウスから発行差し止めの通告を受ける。

地方紙であるワシントン・ポスト紙はNYタイムズにスクープを奪われるが、独自のルートで残りの全文を手に入れる。

NYタイムズが発行差し止めを受けている中で、それをワシントン・ポストが掲載すれば独占スクープとなるのだが、「法廷侮辱罪」で訴えられる可能性もあり、編集長のベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)は、社主のキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)に判断を仰ぐことになり…。


映画「ペンタゴン・ペーパーズ」



感想(ネタバレあり)


「強いアメリカ」のために犠牲になっていく兵士たち


現在のアメリカ トランプ政権では、大統領がTwitterや記者会見で特定の新聞社や報道局を名指しし「フェイク・ニュースだ」と非難することが度々あり、記者会見場から新聞社や報道局が締め出されるという事態も起きている。

これは明らかに、マスコミがトランプ政権から「報道の自由」を奪われているのである。



その、トランプ政権によるマスコミ締め出しと同じようなことが、今から45年以上も前のニクソン政権でも起きていた。

スピルバーグ監督は、その当時のできごとを通して「『報道の自由』とは、一体誰のためのものなのか」を現代のアメリカに訴えかけている



これは、1970年代、冷戦時代のアメリカで起きた実話である。

1955年から始まったベトナム戦争は長期化し、1971年頃には反戦運動が巻き起こっていた。

アメリカから委託を受けたシンクタンクのランド社は、その30年も前からベトナム戦争について調査・分析を行い、「ベトナム戦争に勝ち目なし」という文書(ペンタゴン・ペーパーズ)をアメリカ国務省(通称:ペンタゴン)に提出していた。



しかし、アメリカの歴代大統領はそのペンタゴン・ペーパーズの存在を知りながら隠ぺいしてきた



なぜ、隠ぺいしたのか。

「それでもベトナム戦争を続けるべき」という理由が3つあった

1.資本主義を守るため

2.南アジアの経済発展を支援するため

3.偉大なるアメリカは負けてはいけない

という3つの理由だったのが、中でも3番目の「アメリカは負けてはいけないから」という「見栄」がその理由の大半をしめていた



歴代の大統領たちは「アメリカは敗戦した」と認めたくないために、終戦を先送りし、延々と続けていたのだ。

これには、思わず目がテンになってしまった。



そんなソ連との意地の張り合いのために、多くの人たちがベトナムで犠牲になっていたなんて。



そのペンタゴン・ペーパーズの全文を入手したワシントン・ポスト紙は単独のスクープ記事として掲載すべきと考えるが、そこには、越えなければならない政府の圧力があった



映画「ペンタゴン・ペーパーズ」


全文を手に入れろ!新聞社同士のスクープ合戦


現在だったら、ニュースはネットで流れてくるもので、スマートフォンさえあれば、最新のニュースをいつでもどこでも手に入れることができる。



しかし、インターネットが普及してなかった当時は、新聞のスクープ合戦が過激だった

その「ネタの奪い合い」は、この映画の面白さの一つである。



面白かったのは、ワシントン・ポスト紙がインターンの若者をNYタイムズに走らせ「明日の一面に何を載せようとしているのか探ってこい」という指令だった。

郵便配達のフリをした若者が得てきた情報で、ワシントン・ポストは、NYタイムズがペンタゴン・ペーパーズの一部を手に入れたことを知る。



ところが、その記事があだとなり、ホワイトハウスはNYタイムズ発行の差し止めを裁判所に請求する。

ワシントン・ポスト紙としては、ライバルのNYタイムズに完全に出し抜かれたと思っていたのに、ホワイトハウスのおかげでスクープのチャンスが巡ってきたのだ。



「ペンタゴン・ペーパーズ」のような文書があるという情報を入手しながら、実際の文書はNYタイムズが先に得ていたために諦めていたのに、そのNYタイムズが発行停止。

もしも「ペンタゴン・ペーパーズ」の全文を手に入れれば、単独スクープをワシントン・ポストがものにできる!!



しかし、もしも裁判所が「発行差し止めを棄却」すれば、NYタイムズはすぐに掲載するだろう。

だから、ワシントン・ポスト紙がその千載一遇のチャンスをものにできるまでの時間は限られていた

なんとしてでも、早急に全文を手に入れたいワシントン・ポスト紙は、記者の一人であるベン(a.k.a ソウル・グッドマン(ボブ・オデンカーク))が、かつてシンクタンクのランド社で働いていたことから、そのつてをたどって文書の全文を手に入れるのである。



この、実話なのにまるでドラマのような展開には、私もワクワクドキドキ、胸を躍らせながら観ていた



しかし、「全文を手に入れたからこれで安泰」というわけではなかった

NYタイムズが「発行差し止め」を請求された記事を、ワシントン・ポスト紙が掲載するということは「法廷侮辱罪」に当たるという。

そのため、弁護士たちは全力で記事の掲載を阻止しようとし、その決断は会長の判断に任された。



映画「ペンタゴン・ペーパーズ」


アメリカ新聞社史上初の女性発行人の葛藤


反政府的な記事の掲載を反対したのは弁護士だけではなかった。

その当時、ワシントン・ポスト紙はワシントンDCの地方紙でありながら株式を公開したばかりだった。

そこで、政府を批判するするような記事をの載せれば、株の評価が下がりかねない…。

そう思った取締役たちは記事の掲載を反対する。



そのとき、社長になったばかりのキャサリンは、アメリカでは新聞社史上初の女性発行人だった。

元はと言えば、キャサリンの父が買収した新聞社だった。

父の死後は、キャサリンの夫が受け継ぐが、その夫が急死してしまう。

しかも、その夫は自殺で亡くなったと伝えられている。

(参考:Wikipedia ワシントン・ポスト



それまで「子供を育てることに幸せを見出していた」ような主婦だったキャサリンが、夫が突然いなくなったことで、社長になり「もしかしたら廃刊にまで追い込むかもしれない」ような決断を迫られる。



「このとき、キャサリンの胸の内はどんなだったのだろうか」と思った。

確かに、読者が激減し、株主が離れていく事態になるかもしれないけれど、「もしも、目の前に国民に知らせるべき記事があったら、父や夫だったら、どうするか」と思ったのではないか



キャサリンは編集長のベンと話をするとき、父と夫の思い出話が多かった。

そして、いつも夫の最後の日を思い出すと語っている。

それは、彼女が悩んだ時に頼りにしたのは彼らの言葉だったからではないのか



夫から息子へと社長業を引き継ぐ間のつなぎの社長として、キャサリンは存在していたのかもしれないけれど、だからといって、父と夫が作り上げた現在のワシントン・ポスト紙のカラーを変えてはいけない

読者と株主を失っても、「ワシントン・ポスト紙らしさ」を失ってはいけないとキャサリンは考え、結論を出したのではと思った。



私は、そのキャサリンの「掲載するかしないかの葛藤」にとても共感した

もう彼女は新聞社のお嬢さんでも、奥さんでもなく、社長であり「方向性の決断」を迫られている。

そして、決断をくだした後は、腹をくくり、一切の抗議を受け付けない姿が凛として、とてもかっこよかった

その瞬間、彼女はワシントン・ポスト紙の「お飾りではない」事実上の社長になったのである。



この映画では、それまで素人だったキャサリンを主役にしたことで、「素人の目線」で物語が語られているので、当時の政治を知らなくても楽しめるエンターテインメント作品になった

誰が見ても理解できるし、自然と「報道の自由」について考える作品になっている

その辺りの「見せるうまさ」がこの映画のスピルバーグ監督らしさなのだと思った。



映画「ペンタゴン・ペーパーズ」


「報道の自由」とは国民のためにあり、統治者のためのものではない



そうして、ワシントン・ポスト紙はトップページに「ペンタゴン・ペーパーズ」の存在をスクープし、その後、他社もワシントン・ポスト紙に追随する記事を掲載。

「政府によるペンタゴン・ペーパーズの隠ぺい」は社会問題へと発展する。



けれど、ワシントン・ポスト紙はNYタイムズと共に「ペンタゴン・ペーパーズ」の掲載差し止めの件で、裁判所に呼び出される。



そして「勝訴」を勝ち取る

その時の判決の理由が感動的だった。

「報道の自由」とは、報道を守るために作成されたものであり、国民に付与するものである。統治者に付与するものではない



たとえ、国の統治者が報道を差し止めようとも、報道の自由によって守られ、国民には知る権利があるのである。



だから、たとえトランプ大統領が「フェイク・ニュースだ」と言って、マスコミを締め出そうとしても、マスコミには報道の自由があり、国民はその報道を見たり読んだりする権利があるのだ。



ワシントン・ポスト紙はこの報道によって注目を浴びた直後、「ウォーターゲート事件」でスクープ記事を書き、再び注目を浴びるが、「反体制的な新聞」として政府と対立するようになる。

今後、株式に上場したばかりの地方紙が世界を変えることになるである。



それは、キャサリンが父と夫から教えられたことを忠実に守り、彼らが信じて編成した編集部を彼女も同じく信じたことから生まれたスクープだったように思う。

たとえ政府に嫌われても、拒絶されても「伝えるべきこと」があり、それが世界を変えるのだと改めて思った作品だった。



そして、この後、ワシントン・ポスト紙は「ウォーターゲート事件」でスクープ報道をする

この映画も、民主党本部に何者かが盗聴器を仕掛けている場面で終了している。



ワシントンDCのFBI本部にいるディープスロートは、この「ペンタゴン・ペーパーズ」の件を見てワシントン・ポストを選んだのだろう。

この「ペンタゴン・ペーパーズ」が持ち込まれた時は、株主が離れるとか、読者が減ると心配されたのがだが、実際は勇気を持ってスクープ報道をしたことで、次のスクープが舞い込んできたのだ。

その成功は「どんな圧力にも屈してはいけない」という「報道があるべき姿勢」を私たちに教えてくれる。



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ジョーダン・ピール監督作の「ゲット・アウト」を映画館で観た。

人種差別をテーマに扱ったホラー映画。


満足度 評価】:★★★★★

「この先、こうなるだろうなぁ」という予想を完全に覆し、全く真逆の世界を見せる。

しかし、その「こうなるだろうなぁ」という予想は、観客の中にある差別意識が勝手に生み出したものである。

結局、この映画から思い起こす「人を虐げる差別」とは、それぞれの観客の頭の中に潜在的に植え付けられた意識の中にある

映画を観てから、この感想をお読みください

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「ゲット・アウト」予告編 動画

(原題:Get Out)



更新履歴・公開、販売情報

・2017年11月9日 映画館で観た感想を掲載。

・2019年8月25日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。


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キャスト&スタッフ


出演者

ダニエル・カルーヤ
…(「ボーダーライン」など)

〇アリソン・ウィリアムズ

ブラッドリー・ウィットフォード
…(「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」、「アイ・ソー・ザ・ライト」など)

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
…(「バリー・シール/アメリカをはめた男」など)

キャサリン・キーナー

…(「アンクル・ドリュー」など)

監督・脚本・製作

〇ジョーダン・ピール


2017年製作 アメリカ映画



映画「ゲット・アウト」



あらすじ


付き合い始めてから4カ月たったクリス(ダニエル・カルーヤ)とローズ(アリソン・ウィリアムズ)は、ローズの実家で行われる親戚の集いに出席するため、クリスは初めてローズの両親と対面することになった。

しかし、ローズは白人のため、「両親に嫌われるのでは」という不安を抱えるクリスと、何も心配はいらないと言うローズ。

ローズの家に着くと、脳神経外科医の父ディーン(ブラッドリー・ウィットフォード)と、精神科医の母ミッシー(キャサリン・キーナー)に歓迎されたクリス。

裕福な彼女の家は豪邸で、黒人女性のお手伝いさんと、黒人男性の庭師がいるような大きな家だった。

そして、しばらくすると、そのお手伝いさんと庭師の様子がおかしいことにクリスが気付くのだが…。



映画「ゲット・アウト」



感想(ネタばれあり)


人種差別をテーマにしたホラー映画


この作品に私は見事にだまされた!!

できることなら、なるべく予備知識なしで見て欲しい。

そして、この感想も映画を観終わってから読んで欲しい。



私は常に、何も先入観がない状態で映画を楽しみたいので、映画を観る前にあまり予習はしない派である。

この映画も、事前に知っていたのは『人種差別』をテーマにしたホラー映画ということだけ。

しかし、そこからして既に私はこの映画のトラップにかかっていたということが、後で分かる。



物語は、黒人男性クリスと白人女性アリソンのカップルの物語。

クリスは彼女の自宅に招待され、初めて挨拶するのに、彼女はクリスが黒人だとは両親に言ってないと言うので、もしかして両親に「嫌われるのでは…」と思い、緊張している。

最近では、黒人男性と白人女性のカップルなんて、そんなに珍しくないイメージがある。

しかし、ただでさえ『彼女の両親に挨拶する』ことに緊張するのに、相手が裕福な白人家庭となると、そりゃあ誰だって緊張するんだろうなぁとクリスの気持ちを思いやった。



そして、彼女の実家に到着してみると、そこは豪邸であり、周囲には彼女の実家以外の家がないという素晴らしい景色。

さらに、黒人のお手伝いさんと、庭師までいる。

それからしばらくして、クリスは、その家のお手伝いさんと庭師の様子がおかしいことに気づく…



映画「ゲット・アウト」


「きっと黒人たちは虐げられ、奴隷にされているに違いない」と先の展開を推測


この映画の前半部分では、ほとんど事件が起きない。

冒頭で黒人男性が誰かにさらわれる映像があるのと、アリソンが運転する車で鹿を轢いてしまう事故があった。

この時、警察は運転していないクリスにまで運転免許証の提示を求めたので、この辺は人種差別的な土地柄なのでは…と思った



それ以降は、後半まで何も起きない。

しかし、アリソンの実家で働く黒人のお手伝いさんと庭師の様子がなんとなくおかしい

話したいことがあっても、話せないという雰囲気を匂わせている。



そこで私は彼らの様子を見て、「いくらアリソンの両親が差別意識はない」と言ったって、お手伝いさんと庭師を使ってるじゃないのと思う。

やっぱり、これが裕福な白人社会の現実なんだろうなぁと考える

きっと、このアリソン一家に酷い目にあっているから、様子がおかしいんだな。

彼らも虐げられているから、そのことを言い出せないんだな…と、この先の展開を想像していた



さらにその時、私の頭の中には、「これは『人種差別』をテーマにしたホラー映画なんだ」という予備知識があった

だから、きっとおとなしくしている黒人たちは、何か言ってはいけない驚くべき事情があるんだろうと考えた。



そう考えていると、彼ら裕福な白人家庭が集まる親戚同士の『懇親会』が開催された。

その中に、若い黒人男性アンドリューがひとり混じっている。

そのアンドリューが、白人男性のような話し方をすることにクリスは驚きつつも、その人がかつて会ったことがある人だということに気づく。



その時、クリスはそのことを親友のロッドに電話で話し、ロッドが調べた結果、そのアンドリューが行方不明者だということが分かる。

そして、その時、クリスも、クリスの親友のロッドも、私も「ここでは黒人が誘拐されて、人体実験されて、奴隷にされているんだ!!」と確信する。

だから、クリスはアリソンを連れて、そこから早く逃げなきゃ!!と思った。

ロッドの「性奴隷」はちょっと言い過ぎだとしても(笑)、彼の言っていることはほぼ間違いない!!と思った



映画「ゲット・アウト」


「白人たちは、黒人たちに憧れている」という差別


しかし、後半になって、それらは、私の『人種差別に対する思い込み』からきた空想であることが分かる。

実際にそこで起きていたことは、完全に真逆の出来事だった。



これは「黒人に憧れて、黒人になりたい人たちの話」なのである!!

同じ『人種差別』でも、私が思っていた『差別』とは、全く逆方向の差別が行われていた。



確かに、誰も「黒人は下等だ」なんて一言も言っていない。

むしろ、お父さんは「オバマ最高!もう一期あったら、確実にオバマに投票してた」と言っていたし、いきなり体を触ってくるおばさんもいた。

さらに、クリスの写真を見たことがあると言っていた男性は、クリスの写真の才能を絶賛していた。

彼らは、「黒人に憧れている」のだ。



それが分かった瞬間に、「えーーーーーっっっそっちーーーーーーーー!?」って思った。

完全にやられたと思った

「黒人だから奴隷にされている」とか、「黒人だから虐げられている」と考えたのは、私の頭の中にある『差別意識』と『黒人差別に対するステレオタイプ』が作り出した妄想である。

映画は、私が思うよりもずっと先を歩いている



優れた脳外科医の父は、黒人たちの素晴らしい身体と自分たちを融合させ、長生きする方法を考えた。

それが、脳移植だった。

だから、そこにいる黒人たちは、黒人なのに、白人のような話し方をして、白人のような振る舞いをする。



また、この中で、日本人が1人出てきて、白人のような話し方で、白人のような振る舞いをするが、あれは完全に「自分も白人の仲間だと思っている」日本人に対する皮肉である。



映画「ゲット・アウト」


虐げられるのも、崇められるのも差別であり、地獄


結局、この映画は、オープニングの映像から不穏な雰囲気を作り出し、親友のロッドを使って観客を誘導し、その目を欺いた上で、話を逆転させ、「黒人の身体を崇め、黒人になりたい人たち」を登場させる

黒人たちはこれまで「虐げるのをやめろ!」と訴え続けてきたが、そこで「崇め奉られることも地獄」であることを知る。

私たちは、虐げられ、なじられることが差別だと思い込み、この映画の中でもそれが起きていると錯覚するが、そのどんでん返しにより、「崇められ信奉されること」も差別であり、苦痛であることを知る。



映画の前半で「きっと、この先、黒人が洗脳されて、奴隷にされるんだろう」と思った世界は、私の頭の中にある『差別意識』が生み出した妄想

なぜ、私は、「黒人たちを捕まえて洗脳し、奴隷にしている」なんて考えたのか。

それは、私の頭の中にある黒人差別に対する偏見と思い込みが生み出した幻想である。

その人のことを知りもしないで、「あぁ、あの人は差別されているんだな、虐げられているんだな」と勝手に思うこと自体が、差別であり、偏見であることを思い知らされる



しかし、それにしても、こんなにトリッキーな映画は初めて見た。

私が映画を観て、予測した世界は、私の頭の中にある偏見が生み出しているものだったなんて。



アリソンは、黒人男性の身体を品定めするただの兵隊で、父の後をジェレミーが継ぎ、裕福な白人たちによる黒人男性たちの人身売買は、この後も続けられていくはずだった

なるほどなぁ。

結局のところ、虐げられても、崇められても地獄ということ

本当の差別の無い世界とは、上に見ることも、下に見ることもせず、何事も平等に扱うということ。



それは、女性蔑視の視点で考えて見れば良くわかる。

「あいつはブス」という差別もあれば、「あの人は美しすぎる」という差別もある。



こんな展開を予想していなかった??

それは、あなたの中の人種差別への思いが、ストーリーを勝手に作り上げただけだよね??

そんな風に映画から語りかけられている気がした。





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トム・ヒドルストン主演の映画「アイ・ソー・ザ・ライト」を映画館で観た。

1950年代にアメリカで大ヒットしたカントリー歌手ハンク・ウィリアムスの短すぎる生涯を描く。

満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

ハンク・ウィリアムスという人は、トップに立つにはあまりにも繊細過ぎる人だと思った。

小さな田舎町のマイナーな歌手が、急激にスターになってしまったために、周りの環境についていけなくなった精神面が引き起こす悲劇。

その切なさが心に残る作品だった。


出演トム・ヒドルストンエリザベス・オルセン、チェリー・ジョーンズ、ブラッドリー・ウィットフォード、マディー・ハッソン

監督:マーク・エイブラハム 2015年 アメリカ映画


「アイ・ソー・ザ・ライト」予告編 動画

(原題:I SAW THE LIGHT)




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あらすじ


1944年アメリカ・アラバマ州。

カントリー歌手ハンク・ウィリアムス(トム・ヒドルストン)は、歌手志望のオードリー(エリザベス・オルセン)と結婚する。

やがて、ハンクは歌手として成功し、2人の間に息子も生まれ生活も豊かになっていく。

しかし、ハンクが全国を周るツアーに出るようになると、オードリーは常に家にいな彼を責めるようになり、ハンクも満たされない思いから逃げるように酒に頼るようになる…。

アイ・ソー・ザ・ライト

感想(ネタバレあり)


あまりも早すぎた成功が生んだ悲劇


未だにアメリカでは「偉大なカントリー歌手の1人」と称えられるハンク・ウィリアムス。

この映画では、29歳という若さでこの世を去ってしまった彼の生涯を描いている。

美談にするわけでもなく、ハンクの肩を持つわけでもない。

良いところも、悪いところもありのままのハンクを描いているように見受けられるのが、この映画の良いところだと思った。

ハンク・ウィリアムスという歌手がどれ程偉大な歌手だったのかについては、正確な数字を伝えるためにWikipediaから引用する。

ハンク・ウィリアムズ(Hank Williams、本名:ハイラム・キング・ウィリアムズ、Hiram King Williams、1923年9月17日 - 1953年1月1日)は、カントリー音楽の歴史において最も重要な人物のひとりと見なされている、アメリカ合衆国のシンガーソングライター、音楽家。

1947年から、29歳で亡くなった1953年の最初の日までの短い間に、ウィリアムズは、「ビルボード」のカントリー&ウェスタン・チャートにおいて、1位になった11枚を含め、トップ10入りした35枚のシングル盤を録音した(このうち5枚は、ウィリアムズの死後にリリースされた)。

 「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第27位。「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第74位。「Q誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第59位。

Wikipedia「ハンク・ウィリアムス」より

ということで、なんと、わずか6年間でチャート1位が11枚!トップ10入りが30枚!

その数字だけでも、彼がどれ程急速にトップに上り詰めたのかが良く分かる。

しかし、ハンクという人はトップに立つにはあまりも若すぎただけでなく、繊細過ぎた人だったとこの映画を観て思った。


アイ・ソー・ザ・ライト5

日々の辛い生活を支えたのは家庭ではなく、酒とドラッグ


それでは、ハンク・ウィリアムスはなぜ破滅の道を歩むようになってしまったのか。

1943年。彼は20歳という若さで歌手志望のオードリーと恋に落ち結婚する。

初めは互いに歌手で成功する夢を見ていたが、ハンクが成功するにつれ、2人の関係はギクシャクし始める。

彼らの関係が壊れていく様子を見ながら、ハンクがあまりにも早く成功しすぎたため、2人とも周辺の環境の変化についていけなくなったと思った。

ハンクが悪い、オードリーが悪いではなく、2人とも生活に順応していくのに精一杯だった。

田舎町のローカルなカントリー歌手だったハンクが、急激に売れ始め、見知らぬ友人が増え、酒やドラッグが簡単に手に入り、前よりも大きな家に住むようようになる。

憧れの生活を手に入れたはずが、どうしていいか分からないことが増え、若すぎるためにどう対処していいのか分からない。

そして、オードリーは1人で子育てすることを愚痴るようになり、ハンクはその苦情から逃げるように、その場限りの快楽に頼るようになっていく。

ハンクもオードリーもお互いが、もう少しずつ歩み寄っていたら、状況は全く変わっていたはずだ。

それができないのが若さであり、ハンクが破滅の道へと歩んでいく一番の原因だったように見えた。


アイ・ソー・ザ・ライト2

破滅が生み出した歌が人々に愛されるという皮肉


そして、ハンクとオードリーは離婚を決意する。

きっかけは、ハンクが脊椎の手術を受けた時にオードリーが彼の看病をしなかったことだったが、そうなる前に2人のの関係は終わっていた。

本当は、ハンクが歌うことを休まざるを得なかった期間、2人の関係を見直す良いチャンスだった。

しかし、すっかり関係が冷え切ってしまった2人にとっては、余計に関係を悪化させるだけの時間になってしまった。

もしかしたら、その脊椎の異常が発覚するのがもう少し早かったら、2人の関係も変わっていたのかもしれない。

でも、2人の関係を見ていると、問題なのは文句ばかり言っているオードリーだけでなく、「歌うこと」以外は何も知らないハンクが、仕事の疲れや忙しさから逃げるように酒やドラッグに頼っていた生活にも大いに問題があった。

それは、ハンクの意志の弱さ、辛いことに耐えられない繊細さが原因だったように思う。

もちろん、酒とドラッグに頼る生活は身体も蝕んでいく…。

どう考えても、ハンクは破滅の道を歩んでいたのに…。

どうして誰も彼にアドバイスできなかったのか…。

それがとても残念で仕方がない。

でも、もしかしたら、その破滅的な私生活が、彼の素晴らしい歌を生み出したのかもしれないと思うと、それもまた切ない。

アイ・ソー・ザ・ライト3

ピュアで繊細なハンク・ウィリアムスを演じたトム・ヒドルストン


ハンク・ウィリアムスを演じるのは、イギリスの俳優トム・ヒドルストン

現在、イギリスに限らずアメリカでも人気上昇中の俳優トムヒさん。

この映画を見始めた時に、アメリカの伝説的なカントリー歌手をイギリス人が演じるというのが不思議だったんだけど、アメリカでは反発はなかったんだろうか…。

彼は、この映画「アイ・ソー・ザ・ライト」の中で歌も披露しているが、トム・ヒドルストンがこのハンク役に選ばれたのも分かる気がする。

トム・ヒドルストンの細やかな演技が、ハンク・ウィリアムスをピュアで繊細な人物に作り上げている。

私の中で、トム・ヒドルストンと言ったら「マイティ・ソー」シリーズのロキのイメージしかなかったんだけど(笑)

この映画「アイ・ソー・ザ・ライト」を観て、ガラリと印象が変わった。

彼が、今、「世界で最もモテる男の1人だ」という理由が分かった気がする。

ウルウルとした大きな瞳で歌を歌いあげる姿に、実物のハンク・ウィリアムスもそうやって女性たちをメロメロにさせたのでは…と思ってしまった。

それに、高音で澄み渡る歌声が良い!ぜひ、ミュージカル映画もやって欲しい!と思った。

トムヒに限らず、今、アメリカで大人気の新世代のイギリス俳優たち。

ベネディクト・カンバーバッチ、エディ・レッドメイン、ジャック・オコンネル、ドーナル・グリーソンなどなど。

演技がうまいのはもちろん、1人1人が非常に多彩なところが魅力だ。

きっと、今後も彼らの勢いは増すばかりと思われる。

トム・ヒドルストンの他の出演作には、「クリムゾン・ピーク」、「アベンジャーズ」など

アイ・ソー・ザ・ライト4

夫がトップスターになっていく事実を受け止められない妻オードリーを演じたエリザベス・オルセン


ハンク・ウィリアムスの妻、オードリーを演じたのはエリザベス・オルセン

彼女もトムヒと同じく、マーベルコミック映画「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」でいきなりメジャー街道に上がってきた女優だ。

残念ながら、今のところトムヒとエリザベス・オルセンがマーベル映画で共演したことはないけど。

エリザベス・オルセンは海外ドラマ「フルハウス」に出演していたオルセン姉妹の妹。

自然で等身大の女性を演じることが多い。

この映画「アイ・ソー・ザ・ライト」でも、家を留守がちなスターを夫に持つ妻のブチ切れ感が良く出ていてた。

一見、オードリーは悪妻だけど、彼女に同情する人も多いはずだ。

そんなエリザベス・オルセンの他の出演作には、「ウインド・リバー」、「GODZILLA ゴジラ」、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」、「恋するふたりの文学講座」など

アイ・ソー・ザ・ライト7

人生経験が足りなままに成功する人々の墜落人生


成功したいという気持ちはきっと誰もが持っている欲望の1つだけど、人生経験がないままに、いきなり成功してしまうと、「どんな環境でも自分を見失わずにいること」がとても難しいことだというのが良く分かる。

ハリウッドで子役の頃に成功してしまった人たちの多くが潰れしまうのも、そこが原因かと思う。

そうなると、周りにいる大人たちが的確なアドバイスをすることが大切なんだろうと思うけど、トップに立ってしまった人間が周りのアドバイスを受け入れるというのもなかなか難しい。

でも、あれだけ多くの人から愛された歌を歌っていた人が、そんな風にあまりにも短い人生を終えていってしまうのもなんだか、とても残念だ。

あぁ。とても切ない映画だった。





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