米ソ冷戦の中、アメリカ、ソ連双方のスパイの交換のために、交渉役に選ばれた一人の弁護士の実話を描く。
【満足度 評価】:★★★★☆
素晴らしい映画だった~。ラストではちょっと泣いてしまった。
「正義」について考えさせられる映画。
目次
「ブリッジ・オブ・スパイ」予告編 動画
(原題:BRIDGE OF SPIES)更新履歴・公開、販売情報
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キャスト&スタッフ
出演者
〇トム・ハンクス…(「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」、「インフェルノ」、「ハドソン川の奇跡」、「ウォルト・ディズニーの約束」、「キャプテン・フィリップス」、「幸せの教室」、「天使と悪魔」、「ダ・ヴィンチ・コード」など)
〇マーク・ライランス
…(「レディ・プレイヤー1」、「ダンケルク」、「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」など)
〇アラン・アルダ
監督
脚本
〇コーエン兄弟…(「ヘイル、シーザー!」「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」、「トゥルー・グリッド」、「ノーカントリー」、「ファーゴ」など)2015年製作 アメリカ映画
受賞歴
〇 2016年 アカデミー賞 助演男優賞(マーク・ライランス) 受賞
〇 2015年 トロント映画批評家協会賞 助演男優賞(マーク・ライランス) 受賞
〇 ボストン映画批評家協会賞 2015 助演男優賞(マーク・ライランス) 受賞
〇 ニューヨーク映画批評家協会賞 2015 助演男優賞(マーク・ライランス) 受賞
〇 第50回 全米批評家協会賞 助演男優賞(マーク・ライランス) 受賞

あらすじ
大手弁護士事務所で保険会社の顧問弁護士をするジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)は、上司からの命令で、FBIに逮捕されたソ連のスパイ、ルドルフ・アベル(マーク・ライランス)の弁護を任される。
その弁護が自分の専門外であることや、その弁護を引き受けることで世間から自分だけでなく家族も非難されることを考え、躊躇していたドノヴァンであったが、「君にしかできない」という上司の説得の元、引き受けることに。
そして、実際に引き受けてみると、ドノヴァンの弁護に関わらず、判決は「死刑」であることがほぼ確実のものとなっていた…。

感想(ネタバレあり)
敵国のスパイであったとしても、一人の人間として人権を保護する
この映画が素晴らしいなぁと思うところは、逮捕されたソ連のスパイ、アベルについて、たとえ彼が敵国のスパイであったとしても、彼を「アカ」というフィルターに通さずに、一人の人間として最初から最後まで描ききっていたところだった。
弁護人として選ばれたドノヴァンは、アベルの経歴について一切調べようとしないし、彼がアメリカでしてきたことについて聞こうとしない。
それは、ドノヴァンが弁護人としてアベルの人権を尊重し、裁判で必要となる情報以外は必要としないためだった。
必要なのは、アベルがアメリカで一般市民と同じように生活していたことと、彼を逮捕するに当たり、FBI当局の不当な扱いはなかったかどうかのみ。
アベルがアメリカで誰に会い、何を話し、何をしてきたのかっていうことは、担当弁護士じゃなくたって知りたいところ。
しかし、ドノヴァンにとっては、アベルは依頼人であり、今回の仕事はアベルの人権を保護することが目的であり、アベルの経歴を調べるのは、ドノヴァンのやることではない。
ただし、その最後まで「アベルの人権を保護」することに関しては、どの国にいようとも、徹頭徹尾自分の主張を曲げずに貫き通す強さも同時に持っている。
すごいね。こんな立派な弁護士がいるんだね。

ドノヴァンはアメリカにとって誤算?
なぜ、アメリカはアベルの弁護人として、全く畑違いのドノヴァンを選んだのか。
形式的な裁判を簡単に済ませるためだったのではないか。
冷戦が最も激化する中で逮捕されたソ連のスパイなんて、さっさと死刑にすればいい。
そう思っていたはずだ。
ところが、ドノヴァンは国の期待以上の仕事をしてしまう。
これは国にとって大いなる誤算だったと思う。
しかし、彼がアベルを死刑にしなかったことでパワーズとの交換という好機を得る。
さらには、東ドイツに留学していた学生フレデリック・プライヤーまで解放することになる。
これまた、国にとって大誤算だ。
西側から勝手に東側に留学へ行った「アカ」の学生なんて保護する義務はない。
CIAはそんな雰囲気だった。
きっとCIAからしたら、「やっかいな奴を交渉人に選んでしまった」と思ったに違いない。
この件をきっかけに、その後もドノヴァンは、政府から依頼され、人質や捕虜を解放する交渉人として活躍するようになるのだ。

その国の「思想」を押し付けない「正義」のあり方
そんな、人権派弁護士の鑑のようなドノヴァンの活躍を見ながら思ったことがある。
もしも、ドノヴァンが今も生きていて、グァンタナモ収容所の現状を見たらどう思うだろうか。
彼は、この事件を解決した後、ケネディ大統領の命を受け、キューバで不当に逮捕、拘留されていたアメリカ人たちを解放したという。
当時、キューバがアメリカ人にしていたのと同じことを、アメリカがアラブ系の人たちにもしていると思わないだろうか。
この映画でいう本当の「正義」とは、思想が違う人物の発言や行動を問いただし、その正誤を正すものではなく、憲法で定められた人権を正しく守ることにある。
それならば、グァンタナモで拘留されているアラブ系の人たちの人権は正しく守られているのだろうか。

依頼人の人権を守り通すことが平和的解決への道だった
この映画の中で、最も印象に残ったのは、ラストでドノヴァンが無事に帰宅するシーン。
家族はてっきり、仕事の付き合いでロンドンまで「鮭を釣りに行っていた」と思い、お土産に「マーマレード」を買ってきて欲しいとリクエストしていた。
疲れ切ったドノヴァンは、家について安心して倒れ込むように寝てしまった。
その緊張感が取れて、安心しきった様子を見ながら、私は泣いてしまった。
その時、家族もお父さんについて勘違いしていただけでなく、テレビも勘違いしていたように思う。
ドノヴァンは、世界平和のために東ドイツで働いていたわけではない。
あくまでも、依頼人の人権、他国で不当に拘束されているアメリカ人たちの人権を守るという仕事に最後まで忠実だっただけだ。
しかし、その最後まで自分の考えを貫き通す強さゆえに、アベルに「不屈の男」と言われ、最後まで信頼されたんだろう。

どこから見ても死角なしの出演者と製作スタッフ
主役のドノヴァンを演じるのは、トム・ハンクス。
アメリカの正義といえば、トム・ハンクスという暗黙の了解のような鉄板のイメージ。
だから、間違えはないけど、想像を超えることも無い。
逮捕されてしまうソ連のスパイ、アベルにマーク・ライランス。
私、初めましてだと思うけど、イギリスの舞台俳優さんのようで。
この映画で、既に多くの助演男優賞を受賞している。
スパイといったら、ジェームズ・ボンドみたいな人を想像してしまうけど、マーク・ライランスだからこその普通っぽさ。
だからこそ、妙にリアルな感じがとても良かった。
監督は、スティーヴン・スピルバーグ。
最近は、「ジュラシック・ワールド」とか「トランスフォーマー」みたいに、製作総指揮の仕事が多いような気がするけど、久しぶりにスピルバーグの映画を観た!って感じがしたなぁ。
さらに、脚本はコーエン兄弟が担当。
シリアスな話なのにも関わらず、時々、思わず、クスッと笑ってしまうところとか、ドノヴァンが数字に関することは何度も繰り返すところとかは、コーエン兄弟カラーかなぁと思いながら観ていた。
例えば、東ドイツにいきなり現れたアベルのウソの家族たちや、東ドイツのヒルトンホテルでドノヴァンがCIAに嫌味のように大量の朝ごはんを注文するところとか。
スピルバーグと一緒に仕事するのは、始めただと思うけど、今回は成功だったように思うので、これからもコラボして欲しいなぁと思う。

正義のヒーローは、実はすぐ隣にいる??
日本では、まずあり得ないことだけど、映画館を出て真っ先に思ったことは、もしも電車で隣に座っている人がスパイだったら??
とか、私の目の前で新聞を読んでるおじさんが、世界平和の立役者だったら??だった(笑)
でも、笑い事ではなく、日々の仕事を誠意を持って忠実にこなしていくことが、もしかしたら、世界平和につながるかもしれないっていうのはあるかもしれないよね。
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