反乱軍の戦士レイがファーストオーダーとの戦いのために、伝説のジェダイ ルーク・スカイウォーカーを探し当て、そこから新たな冒険が始まる。

【満足度 評価】:★★★★★
私は、この「最後のジェダイ」が大好きである。
どんなに批判が多くても、私のその思いは変わらない。
それはなぜなのか。
その理由を書いてみた。
この記事の中にはネタバレがあります。映画をご覧になってからお読みください。
目次
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」予告編 動画
(原題:Star Wars:The Last Jedi)更新履歴・公開、販売情報
キャスト&スタッフ
出演者
〇デイジー・リドリー…(「ピーターラビット」(声の出演)、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」など)
〇ジョン・ボイエガ
…(「デトロイト」、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」など)
〇アダム・ドライヴァー
…(「ブラック・クランズマン」、「ローガン・ラッキー」、「パターソン」、「沈黙-サイレンス-」、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、「あなたを見送る7日間」など)
〇オスカー・アイザック
…(「サバービコン 仮面を被った街」、「The Promise/君への誓い」、「X-MEN:アポカリプス」「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、「ドライヴ」、「インサイド・ルーウィン・デイビス 名もなき男の歌」、「ワールド・オブ・ライズ」、「アレクサンドリア」、「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」、「極悪の流儀」など)
〇マーク・ハミル
…(「ブリグズビー・ベア」、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」、「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」、「スター・ウォーズ/エピソード6 ジェダイの帰還」など)
〇キャリー・フィッシャー
…(「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」、「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」、「スター・ウォーズ/エピソード6 ジェダイの帰還」など)
〇アンディ・サーキス
…(「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、<監督のみ>「ブレス しあわせの呼吸」など)
〇ドーナル・グリーソン
…(「グッバイ・クリストファー・ロビン」、「ピーターラビット」、「バリー・シール/アメリカをはめた男」、「レヴェナント/蘇りし者」、「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」、「FRANK-フランク-」、「不屈の男 アンブロークン」、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、「ブルックリン」など)
〇ローラ・ダーン
…(「ドリーム・ホーム 99%を操る男たち」「遠い空の向こうに」、「私に会うまでの1600キロ」、「きっと星のせいじゃない」、「ジュラシック・パーク」シリーズなど)
〇ベニチオ・デル・トロ
…(「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」、「ロープ 戦場の生命線」、「ボーダーライン」、「ガーディアンス・オブ・ギャラクシー」など)
〇ケリー・マリー・トラン
監督・脚本
〇ライアン・ジョンソン…(ドラマシリーズ「ブレイキング・バッド」(第5シーズン)など)
2017年製作 アメリカ映画
あらすじ
スノーク最高指導者(アンディ・サーキス)率いるファーストオーダーに追い詰められつつある反乱軍は、伝説のジェダイの騎士 ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)の助けを求め、レイア指揮官(キャリー・フィッシャー)は戦士レイ(デイジー・リドリー)をルークの元へと向かわせる。
その間、反乱軍は少ない兵力でファーストオーダーに立ち向かうが、まるで歯が立たず、逃げようにも追跡されてしまう。
そこで、ファーストオーダーの追跡装置を破壊しようと考えたフィン(ジョン・ボイエガ)は、整備士のローズ(ケリー・マリー・トラン)と共に、ファーストオーダーの戦艦に侵入する計画を立てるが、そのためには侵入コードを突破できるコードブレイカーが必要であることが分かり…。

感想(ネタバレあり)
賛否両論別れた「最後のジェダイ」。私は絶賛派。
2回観た。この映画が大好きだと思った。
いきなり始まったオープニングの戦闘シーンで、ポーがBB8と共にX-ウィングで戦う姿を観ると、その昔、R2-D2を乗せてXウィングで帝国軍に向かっていったルークのことを思い出し、
そのR2とルークの初めての出会いを思い出させるホログラムや、ヨーダが登場するサプライズもあり、すっかりポンコツになってしまったファルコン号が、今でもカッコ良く空を突き抜ける姿には胸が躍る。
それらのシーンには、様々な懐かしさも含め、これまでの「スター・ウォーズ」に対するオマージュを感じ、あぁやっぱりスター・ウォーズは良いなぁと感じる。
ところが公開後のファンの様子を見ると、その評価は賛否が真っ二つに割れていた。
なぜなら、そうやってこれまでの「スター・ウォーズ」を受け継いだ部分よりも、今までの「常識」をぶち破った「見たことのないスター・ウォーズ」を描いた部分が多かったからだった。
それはまさに、CMのナレーションにある通り「誰も知らないスター・ウォーズがここにある」の言葉通りなのだが、結果としてそれが多くのファンの反発を買うことになってしまった。
しかし、私はまさにそんな「新生スター・ウォーズ」の部分が大好きで、新しい時代と、これまでの伝統が融合しているからこそ、この映画は面白いのだと感じた。
「スター・ウォーズ」は世相に流されない永遠の神話であり続けるべき。
という長年のファンの気持ちもわからなくもないけれど、あらゆる物事が変化していく時代の激流の中で、何も変わらずに踏みとどまることができるのか。
いつか時代に押し出される時がくるのなら、これまで時代を引っ張ってきた「スター・ウォーズ」だからこそ、率先して新しい世界観を見せていくべきではないのか。
そして、ここから新しい時代が幕を開ける。
それはとても素晴らしい幕開けだった。
この感想文は、「私の『最後のジェダイ』が大好きな理由」である。

スカイウォーカー家の終焉にみる時代の流れ
この長い歴史を持つ「スター・ウォーズ」をこれまで支えていたのは、スカイウォーカー家の物語だった。
将来有望だったジェダイの騎士 アナキン・スカイウォーカーが暗黒面に落ちてダースベイダーとなり、代わりにその息子ルーク・スカイウォーカーがジェダイを引き継ぎ、娘レイアは姫として君臨する。
ところが、レイアの息子であり、ルークの甥であるカイロ・レンとスノークが率いるファーストオーダーにより、再び宇宙は暗黒面に支配されようとしていた。
カイロ・レンの師匠だったルークはカイロが暗黒面に落ちて以来、姿を消してしまう。
そこで、この『最後のジェダイ』では、その後姿を消してしまったルークを反乱軍に連れ戻し、宇宙に平和を取り戻そうとしていた。
この映画が公開されるまで、多くのファンが期待していたのは『レイはルークの娘説』だった。
カイロ・レンがダークサイドに落ちても、きっとレイがスカイウォーカー家の一員としてジェダイを復活させるに違いないと多くの人が希望を期待していた。
しかし、そんな妄想は見事に打ち破られる。
レイはスカイウォーカー家となんの縁もゆかりもない『ただの人』だったのだ。
一方で、カイロ・レンはレジェンドと言われる両親を持ち、「二世」という重圧に苦しみもがき、スノークにその苦しみを見透かされ、暗黒面へと落ちていく。
そのことを自分の中で処理できずに、それを師匠であるルークのせいにして反抗を続け、「スカイウォーカー家の一員である」という呪縛から逃れるように、伝説の英雄である父・ハン・ソロを殺してしてしまう。
それで呪縛から逃れられたと思いきや、そうもいかず、「父を殺した」という思いが、その後も心を悩ませ続けている。
『最後のジェダイ』のカイロ・レンは憂鬱に囚われていた。
新たなフォースの使い手であるレイの登場により、心を乱されたカイロは、師匠であったスノークを殺し、レイと共にファーストオーダーでもジェダイでもない「新しい何か」を作り出そうとしていた。
ところが、そのレイにも突き放されてしまう。
そして、カイロのかつての師匠 ルークは、カイロをジェダイに育てられなかったことを後悔し続け、最後の仕事としてカイロと対決、反乱軍の生き残りたちの命を救い、姿を消してしまう。
ルークがカイロに最後に見せたかったのは「救うべき命の大切さ」である。
ジェダイ界のエリートだったはずのカイロは、悪にもなり切れずジェダイにも戻れない。
レジスタンスの希望だった伝説の騎士ルークは、その一生を終えてしまう。
ライトサイドにいて、最もジェダイとしての強いフォースを持っているのは「雑草出身」のレイのみとなった。
これは、「スカイウォーカー家の崩壊」を示している。
フォースとは、スカイウォーカー家だけが持つものではないのだ。
血統も何も関係のない奴隷の人たちにも備わっている。
それが示すのは、エリート制度の崩壊である。
素晴らしい血統や、学歴がなくても、たとえ貧しい家の出身でも、本人のやる気さえあれば、トップの座を勝ち取ることができる。
ケネディ一家の子供たちが何をするにも大騒ぎだった時期があった。
しかし現代では、ある特定の血統や一族が優遇されるようなことがあれば、批判の対象になってしまう。
トランプファミリーが批判されているのを見ればよくわかる。
アメリカからロイヤルファミリーが姿を消していくように、「スター・ウォーズ」からもスカイウォーカー家の血統が消えようとしていくのは自然な流れのように思う。
また、スカイウォーカー家の物語は、ジョージ・ルーカスと父の関係を表していると言われている。
その意味でも、このシリーズはジョージ・ルーカスの世界から脱却し、新たなフェーズに入ったのだと言える。
ジョージ・ルーカスの命に限りがあるように、永遠に続くものなど、どこにもないのだ。

新しい時代を切り開く女性たち
「新生スター・ウォーズ」で、新しい時代を切り開いていくのは、元奴隷の子供たちと女性たちだった。
それもまた、私の心を熱くした。
前回のエピソード7でフォースが覚醒したレイは「ルークの娘だ」と言う大方の予想を裏切り「酒代のかわりに」捨てられ、奴隷として育てられた悲しい過去があったことが明らかになった。
かつて、アナキン・スカイウォーカーも子供の頃は奴隷だった。
スカイウォーカー家の終焉と共に登場してきたレイは、ジェダイの遺志を継ぐものであり、新たな時代の希望となる。
そして、「最後のジェダイ」の新キャラクターとして登場するのが、整備士のローズだった。
彼女もまた、姉と共に幼い頃から鉱山でファーストオーダーに奴隷として働かされていた。
姉と共に反乱軍で働くことを夢見ながら、初めてフィンに会った時は「真のヒーローに会えた」と大喜びをする。
ローズにそんな過去があったからこそ、カジノ惑星カント・バイトで出会った少年テミリ・ブラックの気持ちがよくわかるのである。
テミリ・ブラックにとっては、ローズと出会ったことが希望となり、それが奴隷の子供たちへと広がっていく。
アジア系である彼女の起用が批判の元になっているが、私は彼女のキャラクターが大好きだった。
真面目で賢く優しい彼女は、とても愛らしいキャラクターだった。
ファーストオーダーと戦う反乱軍を指揮するのも女性たちだった。
レイア・オーガナに英雄・ホルド提督(ローラ・ダーン)。
ホルド提督が指揮官として最後まで反乱軍を守る姿は、何度見ても泣いてしまう。
また、レイアも思った以上に活躍してくれて、どのシーンも涙出てしまう。
キャリー・フィッシャーが亡くなってしまったことで、これが最後のレイアになるかもしれないが、どの場面も風格が感じられ、ルークとの再会は特に、涙なくして観られない。
また、ファーストオーダーでストームトルーパーを指揮するキャプテン・ファズマも女性だった。
それぞれが自分自身と戦い、常にベストを尽くし、観る者を感動させる。
まさに、新しい時代の幕開けを感じさせる活躍だった。
これに対して、ポリティカル・コレクトネス(参照:Wikipedia ポリティカル・コレクトネス)に配慮しすぎだという反論も聞こえてくる。
そうだろうか。
2017年の映画界は女性たちの活躍が目立った年だった。
「ワンダーウーマン」や「アトミック・ブロンド」などの、女性が主役のアクション映画や、「ドリーム」のように黒人女性たちの苦悩が描かれた作品が高く評価された。
それらのできごとに触発され、ハリウッドで活躍する女性たちが「男性たちから受けた性被害」について勇気を持って告発し、これまで権力者たちが多くの女性たちにパワハラ、セクハラを行っていたことが明らかになる。
それが一大ムーブメントとなって世界中に広がった年でもある。
その革命的な2017年に公開されたこの映画で、女性たちの活躍が描かれなかったら「時代遅れのスター・ウォーズ」として多くの人たちから批判されたに違いない。
人種に関しても同じで、フィンやローズの活躍がなかったら「ホワイトウォッシュなスターウォーズ」だと言われることは目に見えている。
これは、今までのコアなファンだけを喜ばせる作品ではなく、「より多くの人々に愛される」作品を目指した結果だと言える。
それは、常に先頭に立って走らなければならない映画だからこその「改革」なのだ。
どの映画よりも「あるべき姿」を見せてこそ、常にトップを走っている映画なのだと言える。

40年の流れの中で変わっていく戦争のカタチ
そして、この「最後のジェダイ」の中で、最も感動し、最も印象的で心を打たれたのは戦争への考え方が変わったことだった。
一番最初にこの映画「スター・ウォーズ」が作られたのは1978年だった。
その頃、世界は冷戦にあり、民主主義と共産主義で真っ二つに割れていた。
「スターウォーズ」も時代を反映し、明らかに共産主義を意識した帝国軍(=悪)と、それに対抗する民主主義の反乱軍(=善)の対立はとてもわかりやすかった。
しかし、40年も経つと時代は変わり、ベルリンの壁は崩壊し、善悪の境界線も変わっていく。
アメリカでは911のテロが起こり、その後も欧米の各地でテロが発生。
「悪をなすテロリストは国内にいる」時代へと突入する。
この「最後のジェダイ」では、その構図を反映し「身内からの反乱」を描く。
反乱軍では、オスカー・アイザック演じる「血の気の多い」戦闘員のボーが、ホルド提督に反乱を起こす。
さらに、ファーストオーダーではスノークの忠実な部下、カイロ・レンがクーデターを起こす。
その中で、ボーの反乱に対しホルド提督とレイアが「まったく、やんちゃで困っちゃうわね」ぐらいでおさめ、彼の失敗に対して「寛容さ」を示しているところがとても良かった。
体制に対して反旗を翻したり、抗議を行った人たちに対して寛容であるべきだというのが、そこから伝わってくるからだった。
多くの人たちからの「ボーの今回の行動は、稚拙すぎる」という批判を聞くけれど、彼の行動にはそれなりの意義があったと私は思う。
そして、今回、最も印象に残っているのは、ローズの「大事なことは、敵を憎むことよりも、愛する人を守ること」というセリフだった。
これは何度聞いても涙があふれてしまう。
しかし、時代は変わった。
ひとりの無謀で命知らずのヒーローが生れることよりも、その無謀な作戦の結果、多くの犠牲を出してしまうことを嘆くべきなのである。
欧米がこれまで多くの敵国を攻撃してきた結果、そこで暮らしていた国民たちが欧米各国を憎むようになり、「反乱分子のテロリスト」となって、各地に潜みテロを起こす時代になってしまった。
そこから学ぶべきは、思想の違う相手を憎んで攻撃することよりも、自分の仲間たちを愛し助けることなのである。
正直、「スター・ウォーズ」がそんなメッセージを発信するとは思っていなかったので、かなりビックリした。
だからこそ、これは「誰も知らないスター・ウォーズ」なのだ。
今までと180度方向転換していると言っても過言ではない。
しかし、10年後にこの「最後のジェダイ」を見返せば、きっと、「あれは自然な流れだったね」と思われる作品になっていると確信している。
いつか世の中の流れにさからえない時がやってくるなら、自ら先頭を切って方向転換をしていく。
たとえ、それが多くのコアなファンを失うような痛みを伴う結果になってしまっても。
それが、トップを走り続ける「スター・ウォーズ」の役目であると自覚しているような作品だと思った。
本当に最高だった。
私は、この方向転換を大歓迎したい。
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