クリストファー・プラマー主演、アトム・エゴヤン監督の映画「手紙は憶えている」を試写会で観た。

アウシュビッツで家族を殺された90歳の男性ゼヴ。妻に先立たれた彼は、家族の復讐を果たすための旅に出る。


満足度 評価】:★★★★★

手紙の中に書かれた「忘れてはいけないこと」は、観客に対する、「忘れないで欲しい」というメッセージだった。

戦後70年が経ち、私たちの記憶の中からナチスの存在が薄れていくこと。

それが最も恐ろしいことだと私には思えた。

※感想には重要なネタバレを含みます。映画をご覧になってからお読みになることをおススメします。

「手紙は憶えている」予告編 動画

(原題:REMEMBER)




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キャスト&スタッフ


出演

クリストファー・プラマー
…(「ゲティ家の身代金」、「Dear ダニー 君への歌」、「ドラゴンタトゥーの女」)

ブルーノ・ガンツ
…(「ハイジ アルプスの物語」、「ヒトラー~最期の12日間~」、「リスボンに誘われて」など)

〇マーティン・ランドー

監督

アトム・エゴヤン
…(「白い沈黙」、「デビルズ・ノット」、「スウィート ヒアアフター」など)


2015年製作 カナダ・ドイツ合作映画

あらすじ


90歳のゼヴ(クリストファー・プラマー)はアウシュビッツで家族を殺されてしまった過去を持つ。

同じ高齢者向け病院で暮らす友人のマックス(マーティン・ランドー)もまた、アウシュビッツで家族を殺されていた。

妻に先立たれたゼヴは、以前よりマックスと約束していた「家族への復讐を果たす旅」に出発する。

しかし、ゼヴはアルツハイマーであり、日を追うごとに記憶が薄れて行っていた。

マックスは身体が不自由なため、ゼヴと共に旅へ行くことができない。

そのため、マックスはゼヴに、容疑者の名前を記した手紙を託す。

その手紙さえあれば、途中で記憶をなくしても目的を果たすことができるようにと…。

手紙は憶えている


感想(ネタバレあり)

 

アウシュビッツで家族を殺された老人ゼヴ。復讐の旅に出る


そうか。第二次対戦が終わってから70年。

ナチスの生き残りの中で、まだ幸せな生活を送って生きている人もいるのか。

彼らは既に過去の人。そう思っていたので、まだ現在進行形だったこと自体が驚きだった。

主人公のゼヴは90歳。アルツハイマーを患い、日々記憶が薄れている。

アウシュビッツで家族を殺されてしまい、その後、カナダへ移住し生き延びてきた。

ゼヴの友人マックスも同じく、アウシュビッツで家族を殺されていた。

2人は、死ぬまでに家族の復讐を果たそうと誓い合い、共にその計画を立てていた。

そして、ゼヴの妻が亡くなり、彼はマックスが「ナチスの生き残りへの復讐計画」について書いた手紙を持ち、旅へ出る。

手紙は憶えている4

ナチスがやってきたこと。そして、新たに生まれるネオナチ


そこからスタートする「ゼヴの復讐の旅」は、ナチスがしてきたことや、これからのナチスを示すものだった。

例えば、ゼヴが訪ねた容疑者の1人は、ユダヤ人ではなく、同性愛者だという理由で収容所へ送られてしまった人の1人だった。

その彼を容疑者だと思ったゼヴは、泣きながら謝罪する。

そして、もう1人。

容疑者の家を訪ねた時、容疑者は既に亡くなっていた。

しかし、その息子はナチスの信奉者となっていた。

ナチスの料理番だったという父が大切に持っていたナチスの品々を受け継ぎ、大切に保存し、鉤十字の旗を部屋に飾っている。

その旗は「ナチスの水晶の夜(ナチスによる反ユダヤ暴動が起きた日)」で使われたものだという。

そして、ゼヴがアウシュビッツの生き残りだと知ると「薄汚いユダヤ野郎!!」とまくしたてる。

その激しさから、ゼヴはそのネオナチになった息子を撃ち殺してしまう。

この2件の出来事は、今から思えば、全てマックスのシナリオ通りだったことだと分かる。

ゼヴが涙ながらに謝罪したことも、そして謝罪された側はとても顔が引きつっていたことも、ネオナチの信奉者を撃ち殺したことも。

手紙は憶えている3


ナチスの生き残りはどうやって生き延びたのか


そして、最後にナチスの生き残りが登場する。元ナチスの親衛隊。

本当だったら戦犯で裁判にかけられていたはずの人間だ。

それが、なぜアメリカで生き延びていたのか。

彼らは名前を変え、腕にアウシュビッツで収容されたことを示す番号を彫り、自分はユダヤ人であると偽装してい生きていた。

この妙にリアルな偽装の方法は、誰か実際にそうやって生き延びていた元ナチスがいたからなのだろうか。

自分たちがバカにして蔑み、人間以下だと言っていたユダヤ人になりすまして生きている。

プライドのかけらもない人たち。

そして、ゼヴは自分の本当の生い立ちを知る。

彼こそが、ゼヴの探すナチスの生き残りルディ・コランダーであったのだ。

そして、彼の中では、その当時の出来事が全て記憶の彼方へと行ってしまっていた。

これは衝撃だった。まさかと思った。

ゼヴは家族が観ている目の前で、最後の容疑者を殺し、自分も息子が観ている前で自殺してしまう。



手紙は憶えている2



家族を殺されたユダヤ人の執念が復讐を完結させる


一番の衝撃だったのは、それが全てマックスの描いたシナリオだったこと。

当時のドイツから逃げてきた人たちを訪ね、自分たちが何をしてきたのかをゼヴに教え、最後には自殺へと追い込む。

マックスにとっては、ゼヴによる同性愛者への謝罪、ネオナチの射殺、そして、生き残りの射殺と自殺、そして今後予想される家族への非難。

全てが計算通りであり、マックスによる家族の敵討ちだった。

そして想像する。

マックスが病院へ入り、初めてゼヴを見た時、ゼヴがアルツハイマーだと知った時、マックスのことを全く覚えていなかった時、どんな気持ちがしただろうか。

そして、彼の顔を見るたびに殺された家族を思い出したに違いない。

それでも友人のフリをして、ひたすら復讐の機会を待っていた。

その執念と怨念の全てが、最後のゼヴの銃弾には込められていた。



手紙は憶えている5



そして、私たちが忘れてはいけないこと


戦後70年経ち、生き残ったナチスの頭の中から第二次大戦の記憶が薄れようとしている。

そんなことがあってはならないと、思い出させるために書いたマックスの手紙。

そして、それは、観客である私たちに対して、「忘れないで欲しい」という願いを込めて書いた手紙のように見えた。

この映画の脚本を書いたベンジャミン・オーガストは、まだ30代であり、これが脚本家デビュー作なんだとか。

すごいなぁ。

誰か家族や親戚にアウシュビッツから避難してきた人でもいるんだろうか。

「手紙は憶えている」公式サイトによれば、2016年の現在でも、ナチスの生き残りが逮捕されたり、裁判にかけられてりしている。

忘れてはいけない。

まだ、彼らは生きている。







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