アンドリュー・ガーフィールド主演の映画「ドリームホーム 99%を操る男たち」をWOWOWで観た。
サブプライム住宅ローンによって住宅を買ったものの、その後のリーマンショックによりローンを返済できなくなり、住宅は銀行に差し押さえられてしまった家庭から、その住宅を取り上げてしまう不動産屋の姿を描く。
【満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)
彼らのやっていることのどこまでが合法で、どこからが違法なのかがピンとこないところがあり、全てを理解したとは言えないけど、「いかに汚いことをして富裕層の人間になるか」ということはよく分かった作品だった。
◆「ドリーム ホーム 99%を操る男たち」 DVD
…(「アンダー・ザ・シルバーレイク」、「ブレス しあわせの呼吸」、「ハクソー・リッジ」、「沈黙-サイレンス-」、「アメイジング・スパイダーマン」シリーズ、「ソーシャル・ネットワーク」、「大いなる陰謀」など)
〇マイケル・シャノン
…(「ホース・ソルジャー」、「シェイプ・オブ・ウォーター」、「ラビング 愛という名前のふたり」、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」、「マン・オブ・スティール」、「マッド・マザー 生贄の少年」など)
〇ローラ・ダーン
…(「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」、「遠い空の向こうに」、「私に会うまでの1600キロ」、「きっと星のせいじゃない」、「ジュラシック・パーク」シリーズなど)
2014年製作 アメリカ映画

デニス・ナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)は、小学生の息子コナーと母(ローラ・ダーン)の3人暮らし。
デニスは大工仕事をしながら家族の生活費と3人で暮らす家の住宅ローンを支払っている。
しかし、その頃起きたリーマンショックにより、住宅の建築が中断し、それまでの施工費が支払えないなどの事態が頻発。
デニスにも給料が支払われないという状況になり、住宅ローンが支払えない状態が続いていた。
そして、ついにデニスの家は銀行に差し押さえられ、不動産仲介業者のリック・カーバー(マイケル・シャノン)から「この家は銀行のものだから、今すぐ退去しろ」と言われてしまう…。

2001年にノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・E・スティグリッツの言葉
「世界中の富の4分の1をたった1%の最富裕層が所有しており、残り99%は貧困である」
が、この映画のネタ元になっている。
◆元ネタ「世界の99%を貧困にする経済」
映画のタイトルである「99 HOMES(原題)」や「99%を操る男たち」にある99とは、その言葉に基づいた貧困層のことを示している。
主人公のデニスは大工の仕事をしていた。
しかし、2008年に起きたリーマンショックにより経済が悪化。
銀行へ住宅ローンが支払えない状況になると、家を差し押さえられ、その後、家は不動産屋のリック・カーバーに立ち退くよう言われてしまう。
なんとしてでも、長年住んだ家を取り戻そうとしたデニスは、彼から家を奪いに来たリックの下で働くようになる。
そこでデニスは、リックに「勝者になるには1%の中に入らなければならない」と教えられ、合法と違法の狭間のギリギリのところで、荒稼ぎをすることを覚えるようになる。
この映画では、ジョセフ・E・スティグリッツの言う「1%の富裕層」になるためには、リックを例にして、「どれだけ他人の不幸に無関心でいられるか」が必要であるかが描かれている。

この映画で描かれているのはアメリカの法律での話。
なので、どこまでが合法で、どこからが違法なのかがちょっと理解できず。
しかし、ローンが焦げ付いた家を回る不動産屋リック・カーバーの姿は、日本でも1980年代に問題になった「地上げ屋」と良く似ていた。
地上げ屋の場合は、土地の持ち主が借金を返済できなくなったワケでなく、ただ高価な土地が欲しかっただけという違いはあるものの、何も分かっていない弱者に対し、高圧的な態度で家や土地を取り上げていく様子は非常によく似ている。
さらに、この映画でとても不思議だったのは、「市民の味方」のはずの警察官が不動産屋と一緒になって退去命令を行使していたところ。
ローンを払えなくなった人が家を追いだされてしまうのは当然としても、その人たちを路上にさらし、路上から追いだされた家を呆然と観ている人たちをそのまま放置し、それが当たり前だと思っているその態度がとても不思議だった。
家を追われた人たちの救済よりも、むしろ、家から人々を追い出す不動産屋のバックアップをしている。
そんな雰囲気に見えた警察官たちの人でなし感に唖然としてしまった。
きっと、騒ぎにならないように、退去がスムーズにいくようにと警察官がいるんだろうけど、「さっさと追いだして仕事を終わらせようぜ~」って感じがして、見ていて気分が悪かった。
家を追いだされた人たちは、明日から住むところがなくなってしまうというのに。
その警察官たちの態度から、現実の厳しさをヒシヒシと感じることになった。

その後、リック・カーバーは強制退去させた家をきれいにして、再び売れる状態にしていく。
そこでデニスの大工としての腕が役に立ち、彼はカーバー不動産でNo.2にまでのし上がっていく。
さらには、強制退去させる役目もデニスが担うようになる。
しかし、その時、デニスは現実と立ち向かうようになる。
自分と同じく家を追われた人々を、長年住んだ家から追い出すという良心の呵責。
「裁判所命令があるから」という理由で、苦労して買ったマイホームから即刻退去させるという暴挙。
ここで、この映画は、デニスの選択について、観客に問いかける。
「他人の不幸に痛みを感じない」人は1%の富裕層。
その時、「ごめんなさい。私が違法なことをして強制退去させているんです」と正直に打ち明けたら、残りの99%。
あなたなら、どっち??
いや、私はむしろ、最初からこんな「不動産仲介業」なんて仕事はできないから、文句なしで残りの99%だけど(笑)
実際、過去にそんな「不動産仲介業」の知り合いがいたけども、ガツガツし過ぎてて、私にはついていけない世界だったことを思い出した。
そして、デニスの選択も99%の貧困層。
もしかしたら、リック・カーバーも共に引きずり込む程の選択をする。
正気や家族を失ってまで、1%の富裕層になるべきなのか…。
そう、この映画は問いかけている。

とはいっても、アメリカの不動産関係の法律について、所々??と思うところがあり、この「不動産搾取」の現実の全ては理解できていないのかもしれない。
しかし、この映画が2014年に製作されたとなると、この不動産不況はアメリカでまだまだ続いているということなのか。
しかも、来年からアメリカでトランプ大統領が生まれるとなると、「強い者が生き残る経済」は益々加速するように思う。
何せ、不動産王のトランプなんだから、この辺の締め付けはさらに厳しくなるのではないかと思ってしまう…。
1%の富裕層にいるトランプには、99%の貧困層の気持ちが理解できると思えないしね…。
99%の人の暮らしを思いながら政治をするとも思えないし…。
なんてことを考えながら観た映画だった。
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◆「ドリーム ホーム 99%を操る男たち」 DVD
◆元ネタ「世界の99%を貧困にする経済」
サブプライム住宅ローンによって住宅を買ったものの、その後のリーマンショックによりローンを返済できなくなり、住宅は銀行に差し押さえられてしまった家庭から、その住宅を取り上げてしまう不動産屋の姿を描く。
【満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)
彼らのやっていることのどこまでが合法で、どこからが違法なのかがピンとこないところがあり、全てを理解したとは言えないけど、「いかに汚いことをして富裕層の人間になるか」ということはよく分かった作品だった。
「ドリームホーム 99%を操る男たち」予告編 動画
(原題:99 HOMES)◆「ドリーム ホーム 99%を操る男たち」 DVD
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キャスト&スタッフ
出演者
〇アンドリュー・ガーフィールド…(「アンダー・ザ・シルバーレイク」、「ブレス しあわせの呼吸」、「ハクソー・リッジ」、「沈黙-サイレンス-」、「アメイジング・スパイダーマン」シリーズ、「ソーシャル・ネットワーク」、「大いなる陰謀」など)
〇マイケル・シャノン
…(「ホース・ソルジャー」、「シェイプ・オブ・ウォーター」、「ラビング 愛という名前のふたり」、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」、「マン・オブ・スティール」、「マッド・マザー 生贄の少年」など)
〇ローラ・ダーン
…(「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」、「遠い空の向こうに」、「私に会うまでの1600キロ」、「きっと星のせいじゃない」、「ジュラシック・パーク」シリーズなど)
監督
〇ラミン・バーラニ2014年製作 アメリカ映画

あらすじ
デニス・ナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)は、小学生の息子コナーと母(ローラ・ダーン)の3人暮らし。
デニスは大工仕事をしながら家族の生活費と3人で暮らす家の住宅ローンを支払っている。
しかし、その頃起きたリーマンショックにより、住宅の建築が中断し、それまでの施工費が支払えないなどの事態が頻発。
デニスにも給料が支払われないという状況になり、住宅ローンが支払えない状態が続いていた。
そして、ついにデニスの家は銀行に差し押さえられ、不動産仲介業者のリック・カーバー(マイケル・シャノン)から「この家は銀行のものだから、今すぐ退去しろ」と言われてしまう…。

感想(ネタバレあり)
1%の富裕層と99%の貧困層
2001年にノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・E・スティグリッツの言葉
「世界中の富の4分の1をたった1%の最富裕層が所有しており、残り99%は貧困である」
が、この映画のネタ元になっている。
◆元ネタ「世界の99%を貧困にする経済」
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映画のタイトルである「99 HOMES(原題)」や「99%を操る男たち」にある99とは、その言葉に基づいた貧困層のことを示している。
主人公のデニスは大工の仕事をしていた。
しかし、2008年に起きたリーマンショックにより経済が悪化。
銀行へ住宅ローンが支払えない状況になると、家を差し押さえられ、その後、家は不動産屋のリック・カーバーに立ち退くよう言われてしまう。
なんとしてでも、長年住んだ家を取り戻そうとしたデニスは、彼から家を奪いに来たリックの下で働くようになる。
そこでデニスは、リックに「勝者になるには1%の中に入らなければならない」と教えられ、合法と違法の狭間のギリギリのところで、荒稼ぎをすることを覚えるようになる。
この映画では、ジョセフ・E・スティグリッツの言う「1%の富裕層」になるためには、リックを例にして、「どれだけ他人の不幸に無関心でいられるか」が必要であるかが描かれている。

裁判所も警察も貧困層の味方にならない現実
この映画で描かれているのはアメリカの法律での話。
なので、どこまでが合法で、どこからが違法なのかがちょっと理解できず。
しかし、ローンが焦げ付いた家を回る不動産屋リック・カーバーの姿は、日本でも1980年代に問題になった「地上げ屋」と良く似ていた。
地上げ屋の場合は、土地の持ち主が借金を返済できなくなったワケでなく、ただ高価な土地が欲しかっただけという違いはあるものの、何も分かっていない弱者に対し、高圧的な態度で家や土地を取り上げていく様子は非常によく似ている。
さらに、この映画でとても不思議だったのは、「市民の味方」のはずの警察官が不動産屋と一緒になって退去命令を行使していたところ。
ローンを払えなくなった人が家を追いだされてしまうのは当然としても、その人たちを路上にさらし、路上から追いだされた家を呆然と観ている人たちをそのまま放置し、それが当たり前だと思っているその態度がとても不思議だった。
家を追われた人たちの救済よりも、むしろ、家から人々を追い出す不動産屋のバックアップをしている。
そんな雰囲気に見えた警察官たちの人でなし感に唖然としてしまった。
きっと、騒ぎにならないように、退去がスムーズにいくようにと警察官がいるんだろうけど、「さっさと追いだして仕事を終わらせようぜ~」って感じがして、見ていて気分が悪かった。
家を追いだされた人たちは、明日から住むところがなくなってしまうというのに。
その警察官たちの態度から、現実の厳しさをヒシヒシと感じることになった。

富裕層になるためには、良心を捨てるべきなのか…
その後、リック・カーバーは強制退去させた家をきれいにして、再び売れる状態にしていく。
そこでデニスの大工としての腕が役に立ち、彼はカーバー不動産でNo.2にまでのし上がっていく。
さらには、強制退去させる役目もデニスが担うようになる。
しかし、その時、デニスは現実と立ち向かうようになる。
自分と同じく家を追われた人々を、長年住んだ家から追い出すという良心の呵責。
「裁判所命令があるから」という理由で、苦労して買ったマイホームから即刻退去させるという暴挙。
ここで、この映画は、デニスの選択について、観客に問いかける。
「他人の不幸に痛みを感じない」人は1%の富裕層。
その時、「ごめんなさい。私が違法なことをして強制退去させているんです」と正直に打ち明けたら、残りの99%。
あなたなら、どっち??
いや、私はむしろ、最初からこんな「不動産仲介業」なんて仕事はできないから、文句なしで残りの99%だけど(笑)
実際、過去にそんな「不動産仲介業」の知り合いがいたけども、ガツガツし過ぎてて、私にはついていけない世界だったことを思い出した。
そして、デニスの選択も99%の貧困層。
もしかしたら、リック・カーバーも共に引きずり込む程の選択をする。
正気や家族を失ってまで、1%の富裕層になるべきなのか…。
そう、この映画は問いかけている。

これからも富裕層による貧困層からの搾取は続く…
とはいっても、アメリカの不動産関係の法律について、所々??と思うところがあり、この「不動産搾取」の現実の全ては理解できていないのかもしれない。
しかし、この映画が2014年に製作されたとなると、この不動産不況はアメリカでまだまだ続いているということなのか。
しかも、来年からアメリカでトランプ大統領が生まれるとなると、「強い者が生き残る経済」は益々加速するように思う。
何せ、不動産王のトランプなんだから、この辺の締め付けはさらに厳しくなるのではないかと思ってしまう…。
1%の富裕層にいるトランプには、99%の貧困層の気持ちが理解できると思えないしね…。
99%の人の暮らしを思いながら政治をするとも思えないし…。
なんてことを考えながら観た映画だった。
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