第二次大戦中の沖縄で、宗教上の理由から「銃を持たずに」従軍し、「誰一人も殺すことなく多くの兵士を救った」という、ある衛生兵の実話を映画化。
監督は俳優のメル・ギブソン。
【満足度 評価】:★★★★★
1人でも多くの敵を殺すことよりも、1人でも多くのけが人を救った兵士が真の英雄であるという、この映画のテーマが何より素晴らしいと思った。
戦場でいつ敵に襲われるか分からない「丸腰の」衛生兵が、「あと1人助けさせてください」と神に願いながら、戦地に残るけが人を探して回るその姿には心が打たれる。
いつ、どこでテロに遭遇するか分からない時代だからこそ、この「銃を捨てる勇気」の大切さを考えたい。
「ハクソー・リッジ」予告編 動画
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キャスト&スタッフ
出演者
〇アンドリュー・ガーフィールド…(「アンダー・ザ・シルバーレイク」、「ブレス しあわせの呼吸」、「沈黙-サイレンス-」、「ドリームホーム 99%を操る男たち」、「アメイジング・スパイダーマン」シリーズ、「ソーシャル・ネットワーク」、「大いなる陰謀」など)
〇サム・ワーシントン
…(「崖っぷちの男」、「ターミネーター4」、「サボタージュ」、「エベレスト3D」、「アバター」、ドラマシリーズ「マンハント:ユナボマー」など)
〇ヴィンス・ヴォーン
…(「人生、サイコー!」、「インターンシップ」、「ジュラシック・パーク」、「二重逃亡」など)
〇テリーサ・パーマー
〇ヒューゴ・ウィーヴィング
…(「移動都市/モータル・エンジン」、「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」、「ホビット」シリーズ、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ、「マトリックス」シリーズなど)
〇レイチェル・グリフィス
…(「ウォルト・ディズニーの約束」など)
監督
〇メル・ギブソン2016年制作 オーストラリア、アメリカ合作映画

あらすじ
第二次大戦中のアメリカ。
デズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)は兵器工場で勤務していたため、兵役義務は終えていたのだが、周りの友人たちが戦地へ行くのを観て、自ら入隊を志願する。
陸軍への従軍が決まったデズモンドは早速厳しい訓練が始まるが、信仰心から人を殺せないため、「銃を持つこと」を拒否する。
彼の信念は軍法会議にかけられるが、元第一次大戦の兵士であった父(ヒューゴ・ウィーヴィング)の助けもあり、「戦地で銃を持たない」ことが認められ、最前線の沖縄へ衛生兵として出征することになるのだが…。

感想(ネタバレあり)
「銃を捨てた」ことで第二次大戦の英雄となったデズモンド・ドス
「戦場の英雄」と言われたら、どんな人を想像するだろうか。
軍服に勲章をたくさんぶら下げて「〇〇と〇〇で、何百人の敵を相手に戦いました」とか、
「〇〇の戦いで現地のゲリラをせん滅しました」とか、「〇〇の独裁政権を倒しました」とか…。
私はそんな風に「国のためにたくさんの敵を倒しました」と胸を張って言うような人を想像してしまう。
この映画は第二次大戦時に沖縄の戦いで英雄となったデズモンド・ドスについて描かれている。
しかし、彼はこれまでいわゆる「英雄」とされてきた人たちとは明らかに違う。
まるで地獄のような第二次大戦の最前線で、彼は銃を捨て「1人も人を殺すことなく」75人もの兵士を助けた衛生兵である。
なぜ、メル・ギブソン監督は今の時代にデズモンド・ドスのような人物を描こうとしたのか。
そんなことを考えながらこの映画を観た。

周りから責められても信念を曲げない勇気
デズモンド・ドスという人は、とにかく変わった人だった。
第二次大戦中、米兵たちが「打倒ジャップ!!」と言っている中、米軍に志願入隊しておきながら
「私は人を殺したくありません」「銃を持ちません」と言いきった。
その信念のせいで訓練キャンプでは血まみれになる程のいじめに遭い、「ドスを戦地に連れて行くかどうか」で軍法会議にかけられる。
それでも彼は、妥協することなく、信念を曲げることなく「私は銃を持ちません」と言い続けた。
結局、上からの指示でドスは銃を持たずに、衛生兵として従軍することが許された。
周りの仲間たちや上司たちから「臆病な腰抜け野郎」と言われながらも、最前線の沖縄ハクソー・リッジへ向かう。
現実の沖縄ハクソー・リッジは地獄のような状況だった。
地面は兵士たちの死体で埋まり歩く場所すらもない。
そして、どれだけ攻撃しても攻撃しても日本兵が襲ってくる。
そんな中でもドスは信念を貫き、銃を持たず、日本兵に銃口を向けることなく、ケガしてしまった兵士を助けることに集中する。
その後、米軍の戦況が悪化して一旦退避となる。
ところが、ドスはUターンして怪我した兵士の救助に向かって行った。
陽が落ちて辺りが暗闇になっても救助を続け、1人救うと「どうかもう1人救助させてください」と神に祈り続け、もう1人救うという救助作業を続けた。

戦場で貫き通した信念と神の声
デズモンド・ドスのセリフで、私の心に強く残っているものがある。
それは、上官から「なぜ、人を殺せないのに入隊を志願したのか」という問いかけに対するドスの回答だった。
「戦場は皆が殺し合いをする場所です。皆が殺し合いをするのなら、私はその中で人を救いたい。
皆が殺し合っているのなら、一人ぐらい助ける人がいても良い」
彼の中には、戦争に人を殺しに行くという概念がない。
それがとても衝撃だったので、私の心に焼き付いたセリフだった。
なぜ、彼はそこまでして暴力や銃を嫌うのか。
その理由は、彼の生い立ちにあった。
幼い頃に兄弟げんかをしていた時に、レンガのブロックで兄の頭を殴ってしまい気を失わせてしまったこと。
第一次大戦の帰還兵だが、それ以来酒浸りになりDVの常習だった父を一度銃で殺しそうになってしまったこと。
それらの「人を殺しそうになった」経験をした時に彼を救ったのが神の教えだった。
そこから「汝の隣人を殺すべからず」という教えを守り通すことに決めた。
そのため、彼はハクソー・リッジの断崖のてっぺんに立ち、撤退命令が出ていたにも関わらず、怪我して動けない兵士たちを置いていくことができず、「私はどうするべきか」と神に問いかけると、兵士の助けを求める声を聞き、戦地へと戻っていった。
「沈黙-サイレンス-」で神に問いかけ、沈黙しか帰って来なかったアンドリュー・ガーフィールドが、今度は神の声をしっかりと聞いて自分の揺るぎない信念を確信していた。
それはまるで、「沈黙-サイレンス-」の続きを観ているようだった。
援護してくれる味方もいなければ、もしもの時に自分の身を守る銃もない。
それでも、彼は1人でも多くの兵士を助けたくて戦地へ戻っていった「勇気と信念」の人だった。

今の時代に通じるデズモンド・ドスからの教え
結局、彼はハクソー・リッジの戦いで75人もの兵士を救ったという。
ドスがハクソー・リッジの崖から助けた兵士たちの中には日本兵もいたという。
(日本兵はその後間もなく亡くなってしまったそう)
私は、この今の時代に、彼のような銃を持たず、人の命を助けた「真の英雄」を描くことにとても意味があると思った。
最近、特に欧米諸国では、いつテロに遭遇するか分からない時代になってしまった。
ニュースで流れる映像に恐怖を感じ、一般市民までも「銃を持って自分の身を守らねば」と思ってしまうような事件が増えている。
しかし、恐怖に対して武装したり、テロの犠牲者が報復をすれば負の連鎖が続き、テロが増えていくばかりだ。
そんな時代だからこそ「銃を捨てる勇気」を持ち負の連鎖を断ち切ることが必要である。
テロに屈しないからこそ、銃を捨て、愛する人たちとの幸せな時間を大切にする気持ちが何よりも大切である。
1人1人が幸せになることが、世界平和への道なのではないかとこの映画を観終わった時に思った。
私たちは過去の出来事から常に何かを学び、成長していくべきである。

「ハクソー・リッジ」はどこにある?日本での名称は??
この映画の舞台となっている「ハクソー・リッジ」という地名は、“ハクソー=のこぎり”、“リッジ=崖”の意味であり、沖縄県浦添市にある浦添城跡の丘をそう呼んだのだそう。
日本軍はそこを「前田高地」と呼んでいた。
昨年の秋にアメリカで公開されてから、この浦添城跡が観光名所になっているようで、多い日には一日数百人も訪れるのだとか。
その詳しい話については ↓ この朝日新聞の記事に掲載されている。
朝日新聞(asahi shimbun)@asahi
沖縄戦激戦地に米軍人続々 映画ハクソー・リッジの舞台 https://t.co/5x3ffSIZnL
2017/06/15 16:42:07
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