とにかく映画が好きなんです【本館】

とにかく映画が好きで、特にアメリカ映画大好きです このブログは、ネタバレありの映画鑑賞日記です。主にハリウッド映画と韓国映画をメインに感想を書いています


タグ:北野武



ビートたけし北野武)、西島秀俊主演の映画「女が眠る時」の舞台挨拶付き試写会に行ってきた。

一人の小説家・健二が、旅先で初老の男性と若い女性のカップルと出会い、巡らせる思い…。


満足度 評価】:★★★★☆

ビートたけし北野武)は、舞台挨拶の際に「とても難解な映画です。あなた自身の解釈で観てください」と言っていた。

私は、難解な映画というよりも、「あぁ、これはこういうものなのか」と感じる映画だと思った。

すると、「次はどうなるの?」「次は??」と先が気になって、最後まで楽しく観られた。

もしも、この映画が気になっているのなら、是非、自分なりの感性でどう見えるか感じて欲しい作品。


「女が眠る時」予告編 動画





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キャスト&スタッフ


出演者

ビートたけし
…(「ゴースト・イン・ザ・シェル」、「アウトレイジ ビヨンド」、「アウトレイジ」、「HABNA-BI」、「座頭市」、「その男、凶暴につき」など)

西島秀俊
…(「人魚の眠る家」など)

〇忽那汐里

リリー・フランキー
…(「凶悪」、「バクマン。」)

〇小山田サユリ

新井浩文
…(「アウトレイジ ビヨンド」、「バクマン。」など)

〇渡辺真起子


監督

〇ウェイン・ワン


2016年製作 日本映画



あらすじ


作家の健二(西島秀俊)は、編集者の妻、綾(小山田サユリ)と共に海辺のホテルに宿泊することに。

そこで、初老の男性、佐原(ビートたけし北野武))と、若い女、美樹(忽那汐里)と知り合う。

健二は、その二人のことが気になり、彼らの様子を観察し始めるのだが…。


女が眠る時0



感想(ネタバレあり)


つい、いろんなことを想像してしまうカップルがいる


これ、分かるなぁと思いながら観ていた。

たとえば、地方に旅行に行って、泊まっているホテルのレストランですんごいおっさんと、めちゃくちゃ若い女子が二人で楽しそうにご飯を食べている現場に遭遇したとき

瞬時に「この二人の関係は??」って妄想する



かなり余計なお世話だし、ジロジロ観ちゃいけないのわかっているけど、つい観ちゃう。

最初は「きっと仲の良い親子なんだろう」からスタートして、「いや、実は上司と部下で恋の逃避行」まで妄想は突っ走る。



この映画は、まさに、そんな私の妄想で出来上がっていた

スランプの小説家・健二(西島秀俊)が出くわした、佐原(ビートたけし)と美樹(忽那汐里)。

健二も、奥さんと佐原と美樹について考えているうちに、妄想が広がってきた。



そこで、二人のことをいろいろ探っているうちに、どれが妄想で、どれが現実なのか、自分でも境界が分から無くなっていった

それはもちろん、私の勝手な解釈だけど、そう思いながら観ていると、健二の妄想の暴走っぷりがすごく楽しかった



女が眠る時



暇人の考えることにはろくなことがない


日頃から、人間って、暇な時には、いろいろよからぬことを考える生き物だと思っている

小説家 健二も同じで、暇人だから、いろいろよからぬ方向へ妄想が広がっていく。

そして、健二はその妄想を小説にする。



そこから、今起きている出来事が、小説の中のものなのか、現実なのか境界が分からなくなってくる。



それが最も顕著だったのは、4日目「嵐の午後」

その日は奥さんと外食の約束をしていて、出かけようとする健二のタクシーに、美樹が乗り込んでくるところ。

これは、もう完全に健二の希望的妄想以外の何物でもない



まず、見ず知らずの健二のタクシーに美樹が乗り込んでくることは無い!!

妄想です。目を覚ましましょう。



さらに、嵐の中で自殺しようとする美樹を健二が助けて抱擁する。

いやいや、見ず知らずのあなたに美樹が助けを求めることはない!!

その、「かわいそうな彼女を、自分が助けるんだ」っていう、男性特有のヒーロー願望が面白い



なぜ、彼女を可愛そうな子だと思いこむ??なんで、助けようと思う??

目を覚ましましょうよ。と思った瞬間に、スエット姿でPCに向かう健二が登場する。

これで、健二が佐原と美樹を主人公にした小説を書いていて、周りが見えなくなるぐらいに没頭していたことが分かる。



この嵐のシーンでは、妄想と現実の境界が無くなっているのがすごく面白かった



翌日、健二の妄想通り、美樹が行方不明になる。

美樹に自殺願望があるんなら、刑事さんに本当のことを言いましょうよ。健二さん。

本当の話じゃなくて、妄想だから言えないんですよね。



女が眠る時2



なぜ、そこまでピュアさを求めるのか


結局のところ、美樹が「無防備に寝ている姿」を撮り続ける佐原にしても、嵐の中、彼女を自殺から守りたい健二にしても、美しい女性にピュアさを求めすぎている。

自分の好きな女は、誰よりも純粋でピュアなものだと思いたい願望



ビックリなのが、美樹のクローゼットには白い服しかない。

下着も、もちろん白オンリー。

それは明らかに美樹に純潔を求めている



美樹が行方不明になったことに対して、「彼女が今の生活に美樹が絶えられなくなったのか」、それとも「佐原が殺したのか」と健二の妄想は続く。

実際のところ、美樹は外に男を作って出て行っただけ。



本当は外に男を作って出て行っただけなのに、男性が妄想を織り交ぜて小説にすると、こんな風に話が膨らんでいくのだ。

結局、健二が書いた佐原と美樹の物語は、大ヒットする。



最後、振り向きざまの佐原の笑顔が印象深い。

そもそも、佐原自体も現実に存在せず、健二が作り出した人間だったのかもしれない

あの笑顔は、めでたく小説がヒットしたから、「もう大丈夫(小説家として)だな」の笑顔だったのか。

最後は、この映画らしく、私たちに妄想させて終了していった。




女が眠る時3



ピタリとはまるキャスティングが良い


初老の男性・佐原を演じるのは、ビートたけし北野武)。

その恋人・美樹には忽那汐里。

小説家・健二には西島秀俊。

健二の妻に小山田サユリ。

この4人のキャスティングが、それぞれにピタリとはまっていて面白い

演出の力なんだろうなぁ。



監督は「スモーク」「ジョイ・ラック・クラブ」のウェイン・ワン。

いまだに、「スモーク」というと、私にはトム・ウェイツの声が聴こえてくる。

今回は、「スモーク」とは全然違う映画だったけど、これはこれで面白かった。






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北野武主演・監督の「アウトレイジ 最終章」を映画館で観た。

日本のヤクザの抗争を描く「アウトレイジ」三部作 最終章。


満足度 評価】:★★★★☆

相変わらず面白かった。

私は毎度、このシリーズを通して、日本の社会で起きていることを見るのだけど、今回は「グローバル化に飲みこまれる日本」だった。

では、日本は全てを奪われてしまうのか…。

そうではない。日本にもまだ希望はあると、北野武は希望を残す。


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キャスト&スタッフ


出演者

ビートたけし
…(「ゴースト・イン・ザ・シェル」、「女が眠る時」、「アウトレイジ ビヨンド」、「アウトレイジ」、「HABNA-BI」、「座頭市」、「その男、凶暴につき」など)

西田敏行
…(「アウトレイジ ビヨンド」、「ザ・マジックアワー」など)

…(「鈴木家の嘘」など)

ピエール瀧
…(「孤狼の血」、「怒り」、「凶悪」など)

…(「検察側の罪人」など)

大杉漣
…(「HANA-BI」など)

〇塩見三省

〇白竜
…(「HANA-BI」、「その男、凶暴につき」など)

〇金田時男

監督・脚本・編集


北野武
…(「アウトレイジ」、「HABNA-BI」、「座頭市」、「その男、凶暴につき」など)


2017年製作 日本映画



アウトレイジ最終章



あらすじ


かつて、山王会の一派で大友組会長だった大友(ビートたけし)は、山王会元会長の葬式で刑事の片岡を殺害。

その後、韓国フィクサーである張会長(金田時男)の庇護の元、子分の市川(大森南朋)と共に、韓国の済州島で裏社会を仕切っていた。

ある時、大友が仕切る店へ大阪 花菱会の花田(ピエール瀧)がやってきていちゃもんを付けた上、大友の子分の一人を殺したことから、大友は日本へ帰る決意をする。



アウトレイジ最終章3



感想(ネタばれあり)


グローバル化が進む裏社会と韓国へ雲隠れしていた大友


アウトレイジ」では、二か国語を操り、株で利益を出すという、これまでの典型的なヤクザにはいなかった新人類ヤクザを登場させたことで、古き良きヤクザの終了を描き、

続く、「アウトレイジ ビヨンド」では、どこにも所属しないヤクザが大暴れし、ヤクザという枠を超えたフリーランスの時代がやってきたことを描いていた。

このシリーズの面白さは、日本の社会状況をそのままヤクザの世界に反映させている部分にあって、ここに描かれる組織の中で起きている問題は、一般企業の中でも起きている問題でもあった。



今回の「最終章」では、ヤクザたちの抗争の中に、韓国フィクサー・張グループが登場する。

元々、東京の裏社会は山王会のシマだったのだが、張グループが勢力を広げ、今では裏社会のみならず、経済界、政界も顔がきく大物へと成長していた。



主人公の大友は、前作で刑事の片岡を殺してから張会長の世話になり、済州島に身を隠していたが、花菱会の若手に子分を殺されたことがきっかけで、日本に帰ってくることになった。

また、大友はどの組にも属さないフリーランスのヤクザの身なのだが、かつて世話になった恩は決して忘れないという『仁義の男』である。

しかし、昨今のヤクザ界では、その『仁義』という言葉も忘れられており、大友は古いタイプのヤクザとなってしまった。



アウトレイジ最終章4


お家騒動で勢力を縮小していく花菱会



面白かったのは、それぞれのヤクザの腹の内とだまし合い。

特に、「花菱会」の内部抗争。

先代が亡くなった際、本来の掟でいえば「若頭」であるはずの西野(西田敏行)がそのまま会長に昇格するはずが、なぜか、証券会社を定年退職したばかりの娘婿の野村(大杉漣)がその場に居座ることになる。

これは、西野にとって面白くない。

さらに、これまで「ドラッグの販売禁止」だった掟を破って大儲けしている花田が頭角を現す。



これを一般企業で例えるなら、社長が退職することになり、次は副社長の時代か…。

と思っていると、どこからか、畑違いの会長の娘婿がやってきて、訳も分からないくせして「あーだこーだ」と騒ぎ立てる。

さらに、『副業禁止』のはずなのに、副業で人脈を広げた若手が売り上げトップになって、幹部からチヤホヤされる。

そんな事態。



しかし、花田は実績を上げているだけに、誰も何も言えない。

必要なのは、生き抜くためのしたたかさや、あざとさなのだ。



当然、これには組の者たちのモチベーションは下がるわけで、内部分裂が起きる。

じゃぁ、いっそのこと、「会長派」のメンツを一気に始末しようかと考えるが、自分の手を汚したくないし、内部分裂にしちゃうと外からは「弱体化」に見えてよろしくない。

そこで、花菱会に恨みを持っている大友の『仁義』をうまいこと利用して、暴れてもらおうと考える。



まぁ、なんともセコイというか、汚いというか…。

その結果、花菱会の数は一気に減ってしまったけれども、幹部たちは、目の上のたんこぶである会長や花田も厄介払いできたし、組も昔のスタイルに収まって満足している…。



しかし、そのお家騒動をしている間に、張グループは順調に稼ぎを増やして勢力を広げている

そんなんで、日本のヤクザはこのまま存続できるのか…。

そこが、この『最終章』のテーマになっている。



アウトレイジ最終章2


韓国フィクサー 張がすることをただ見ているだけの日本のヤクザ



東京と大阪のヤクザ同士の抗争の中で、最も大きな勢力を誇るのは韓国フィクサーの張である。

日本のヤクザの会長や幹部たち、例えば西野や野村が小さなことでギャースカ騒ぎ立てていることに比べ、張はどっしりと構え、目の前に銃を持ったチンピラが立っても、一切動じない。

むしろ、銃を持って構えているチンピラの方が、丸腰の張を見てビクついて硬直してしまっている。

さすが、多くの修羅場を乗り越えてきた張には「何をしても勝てない」威圧感がある



その張が象徴するのは、ヤクザの世界に進出するグローバル化である。

この映画の中でも、張は香港や中国の土地取引の指示を韓国語で出す。

すると、指示を出された手下は韓国語で聞き、英語で取引をする。

そんな彼らは、東京を拠点にして世界の土地ころがしをしているという印象だった。



その様子を、花菱会の西野や花田は口をあんぐりとしながら「なんだ、あいつら英語しゃべってるぞ」と言って眺めている。

これには呆れて笑ってしまった。

同じ土俵で戦っているという意識がない

君たちが口をあんぐりと開けている間に、相手はどんどん金を稼いでいるんだよ。

そのうち、あんたたちのシマも買収されちゃうんだよ。



よく、日本人の土地やマンションを中国人グループが買い占めているという話をニュースで見る。

彼らは違法に奪ったわけではない。

合法的に買っているのである。

そんな中国人に対して、「土地やマンションを買うな」と言っても無駄。

買われたくないなら、自分たちが実力をつけ、相手を出し抜くしかない。

呆れるほどに日本人は『お人好し』なのである。



もっと賢く常に世界の動きを見るべきで、うかうかしていると、日本固有の物など、何ひとつない世界に様変わりしてしまうかもしれない。



アウトレイジ最終章5


「世界を知ること」が日本の若者への希望になる



それでは、グローバル化の波が押し寄せて、「仁義の男」大友もいなくなってしまったら、日本のヤクザは終了ということなのか。

という疑問に対して、この映画は最後に希望を持たせる。



韓国で大友が数年間育てた市川(大森南朋)は、大友のDNAを引き継ぐ者であり、済州島の裏社会でもまれた国際感覚を持つヤクザである。

そのために、市川の命を助け、先に済州島へ帰らせたのである。

これまでの北野作品であれば、「全員死亡」という終わり方もあったと思うけど、あえてそれをせず、花菱会の幹部や市川を残したのは、

「また、日本だって死んじゃいねーよ」

というメッセージなのでは。



しかし、そこには、ヤクザ界だけでなく、経済界だって明らかに弱体化している日本の姿がある。

日本がバブルで経済界が元気だった時、ヤクザの世界も一番忙しかったことを思えばよく分かる。

ヤクザは金がある人たちに寄生する生き物。

日本人の元気が無ければ、自然と衰退するようにできているのだ。



ということは、市川がヤクザ界の希望なら、北野武がこれからの日本の希望として、若者に「もっと世界を見ろ」と言っているのでは。

市川のように韓国と日本を股にかけて活躍するぐらいのバイタリティと逞しさが必要だということ。

それは、自身、世界の股にかけている『世界のキタノ』だからこそ、説得力があるのだと思う。

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北野武 監督「アウトレイジ ビヨンド」をWOWOWで観た。

前作『アウトレイジ』から2年。その後、関東で勢力を拡大させる山王会と、それをけん制する関西の花菱会の抗争を描く。


満足度 評価】:★★★★☆

人気シリーズ第2弾。

『アウトレイジ 最終章』のために鑑賞。

ここで描かれるのは、ヤクザを突き動かす原動力や、どんなに時代が変わっても守り通さなければならない仁義

そして、旧態依然とした組織を離れ、フリーランスとして生きていく新しいスタイルを見た作品だった。


「アウトレイジ ビヨンド」予告編 動画





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キャスト&スタッフ


出演者

ビートたけし
…(「アウトレイジ 最終章」、「ゴースト・イン・ザ・シェル」、「女が眠る時」、「アウトレイジ」、「HABNA-BI」、「座頭市」、「その男、凶暴につき」など)

西田敏行
…(「ザ・マジックアワー」など)

〇三浦友和
…(「アウトレイジ」など)

加瀬亮
…(「鈴木家の嘘」、「モリのいる場所」、「沈黙-サイレンス-」、「アウトレイジ」、「永遠の僕たち」、「硫黄島からの手紙」、「誰も知らない」、「それでも僕はやってない」など)

小日向文世
…(「サバイバルファミリー」、「アウトレイジ」、「ザ・マジックアワー」など)

桐谷健太
…(「彼らが本気で編むときは、」、「バクマン。」、「くちびるに歌を」など)

新井浩文
…(「泣き虫しょったんの奇跡」、「バクマン。」など)


監督・脚本・編集

北野武
…(「アウトレイジ 最終章」、「アウトレイジ」、「HABNA-BI」、「座頭市」、「その男、凶暴につき」など)


2012年製作 日本映画



アウトレイジビヨンド



あらすじ


あれから2年。

山王会の会長が殺されてから2年。

当時No.2だった加藤(三浦友和)が会長となり、急激に力をつけた石原(加瀬亮)がNo.2となり、ますます勢力を拡大させていた。

山王会が勢力を拡大させていることに警察は頭を悩ませていたが、マル暴の片岡(小日向文世)は刑務所で死んだと噂されていた元大友組 組長の大友(ビートたけし)を出所させ、2年前のツケを払うように仕向けるが大友は思うように動かない。

そこで、片岡は堅気になってくすぶっていた木村(中野英雄)を大友に引き合わせる…。



アウトレイジビヨンド5



感想(ネタばれあり)


ヤクザの世界も『組織』から『個』へ



前作『アウトレイジ』から2年後の世界。

現在公開中の『アウトレイジ 最終章』の予習のために観た。

誰から見ても、どこから見てもヤクザ映画なんだけど、私としては、彼らの人間模様を中心とした人間ドラマとして観るのが好き。

まるで『ヤクザの世界』をのぞき見している気分になる。



前作の『アウトレイジ』では、「ヤクザの世界も能力主義の時代がやってきた」ことが描かれていた。

参考:「アウトレイジ」古き良き時代のヤクザ終了。能力を持った個人がのし上がる時代が到来。北野武 監督・脚本・編集【感想】

本作は、それから2年後の世界。

ついに、ヤクザの世界もITの時代なんだなと思いながら、この作品を見始めたら、全てがひっくり返されてリセットされてしまった。



「ふざけんな、なにが株だITだ!ヤクザは所詮ヤクザじゃねーか」

っていう監督のぼやきが聞こえてきそうな、ヤクザ:リターンズな作品だった。

ただし、これまで重要だった、組長、若頭、幹部、手下っていう肩書や縦社会は完全に崩壊していく

元大友組 組長の大友は、どこにも所属しないままヤクザの世界を荒らしまわっていく

これらからの時代はヤクザの世界も『組織』ではなく、『個の力』の時代なのである



アウトレイジビヨンド3


2つの巨大な組織をけしかけて、潰し合いを目論む警察



関東で最も大きな組織の山王会では、No.2である石原による指示の元、株やヘッジファンドで金儲けをし、勢力を拡大させていた。

関西No.1の花菱会は、旧態依然のヤクザ組織を維持し、新しいスタイルで勢力を拡大させていく山王会をよく思っていなかった。

さらには、警察も巨大化する山王会に頭を抱えていた。



そんな二つの組織を利用して、うまいこと出世しようと考えたのが小日向文世演じるマル暴の片岡である。

片岡の目的は、「山王会と花菱会の勢力を縮小させること」。

そのためには、山王会と花菱会を互いに戦わせればいいと考え、台風の目になるように、刑務所にいる大友を予定よりも早く出所させる。

そして、片岡の策略どおり、これまで均衡を保ってきた緊張が一気に解かれ、殺し合いが始まっていく…。



どこにでも、余計なことを言う奴がいる

Aさんには、「Bさんがあなたの悪口を言っていたよ」と言い、Bさんには「Aさんがあなたの悪口を言っていたよ」と言う、AさんとBさんがケンカを始めると、けしかけた本人は、「何も知らないよ」って感じの涼しい顔をしている。

この片岡こそ、そんなタイプの人間だった。



大友には「先輩、先輩」と言って慕っているようなフリを見せ、良い後輩ぶって、出所にもお迎えに行ったりして、でも、腹の底では、大友を『山王会を潰す駒』として利用しようとしている

しかし、大友はそんな片岡をなかなか信用しようとしない。



アウトレイジビヨンド2


時代が変わっても守り通すのが「仁義」



どんな人にも、「絶対に越えてはいけない線」っていうのがある。

昔ながらのヤクザである大友にとって、それは「仁義」だった

大友にとって、木村は杯を交わした時に、「仁義を守る仲」になっていて、そうなった以上は、木村に何かあれば大友が復讐するのが当たり前。



そもそも、刑務所から出た大友は、ヤクザに世界に戻るつもりはなく、裏社会を牛耳る韓国人 張の世話になろうと思っていた。

しかし、そんな大友を再びヤクザの世界に連れ戻したのは、その「仁義」だった。

刑務所の中で大友の腹を刺しておきながら、それを謝罪し、杯を交わした木村との間には「仁義」ができた。

だから、その木村との仁義を守るためにも大友は山王会へ復讐に行く。



本当だったら、もう忘れた世界だったのに、「仁義」が彼を呼び起こす

そして、その「仁義」が先代の復讐を遂げさせる



刑事の片岡は、大友がそんな昔かたぎのヤクザだと知っていたから、くすぶっている木村をけしかけ、大友との間に「仁義」を作らせる

そして、その「仁義」を利用して山王会をかき回し、勢力が弱まったところをアピールして出世を目論む

しかし、自分こそが一番賢い人間だと有頂天になっている片岡には、最後に地獄が待っている。



アウトレイジビヨンド4


古い組織を捨て、フリーランスで生きていく時代



前作の『アウトレイジ』がヤクザの世界に実力主義が到来した話だとしたら、今回の『アウトレイジ ビヨンド』では、ヤクザの世界にも組織に属さないフリーランスの時代が到来する。



前作では山王会の傘下だった大友組の組長・大友。

そのNo.2が親分を裏切って山王会にクーデターを起こし、大友は刑務所へ。

大友組は事実上の解散となる。

そして、今回刑務所から出てきた大友は、山王会の世話になることなく、ふらついていた木村と手を組んで暴れまわる。



本来なら、縦社会の厳しい組織であるヤクザの世界で、フリーランスが切り込む余地などないはずなのに、大友は掟破りなどお構いなしに切り込んでいく

それは、ビジネスの世界でも同じで、これからの時代は組織にしがみつくのではなく、組織に属していなくても、腕があれば自分の力で道を切り開けることを示している



これまで目障りだった片岡を生かしておいたのは、利用価値があったからこそ

しかし、これからの時代は国や警察を利用しなくても、自分の力だけで生きていける

むしろ、古臭いしがらみを捨てて、新しい時代を切り開いていく

そう思ったからこそ、片岡と決別したのだと思った。



そして、『アウトレイジ 最終章』は、それから5年後の世界を描く。

どこの組織にも属さず、フリーのヤクザである大友は、次に何をしでかすのか。

とても楽しみである。


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北野武ビートたけし)主演・監督・脚本・編集の映画「アウトレイジ」をWOWOWで観た。

初めは「ちょっとしたいざこざ」で終わるはずだったヤクザの組同士の抗争が、どんどん大きくなってやがて生き残りゲームにまでなっていく様を描く。

満足度 評価】:★★★★☆

日本のヤクザならではの風景(年功序列にトップダウン)を観ているのが楽しかった。

ヤクザたちの本音、建て前、腹のうち。誰もが周りから頭一つ抜ける瞬間を虎視眈々と狙っている。

最後に生き残るのは誰か。濃厚な人間関係の中にある生き残りゲームをじっくりと堪能した。



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キャスト&スタッフ


出演者

ビートたけし
…(「アウトレイジ 最終章」、「ゴースト・イン・ザ・シェル」、「女が眠る時」、「アウトレイジ ビヨンド」、「アウトレイジ」、「HABNA-BI」、「座頭市」、「その男、凶暴につき」など)

〇椎名桔平

加瀬亮
…(「鈴木家の嘘」、「モリのいる場所」、「沈黙-サイレンス-」、「アウトレイジ ビヨンド」、「アウトレイジ」、「永遠の僕たち」、「硫黄島からの手紙」、「誰も知らない」、「それでも僕はやってない」など)

〇小日向文世
…(「アウトレイジ ビヨンド」など)

〇北村総一郎

〇杉本哲太

〇石橋蓮司

國村隼
…(「かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-」、「泣き虫しょったんの奇跡」、「パンク侍、斬られて候」、「哭声/コクソン」、「アウトレイジ」、「天空の蜂」など)

〇三浦友和
…(「アウトレイジ ビヨンド」など)

監督・脚本・編集

北野武
…(「アウトレイジ 最終章」、「アウトレイジ ビヨンド」、「HABNA-BI」、「座頭市」、「その男、凶暴につき」など)


2010年製作 日本映画


あらすじ


暴力団山王会の会長である関内(北村総一郎)は、傘下である池元組の組長(國村隼)が村瀬組の組長(石橋蓮司)と兄弟の仁義を交わしていることが気に入らない。

そのことを山王会若頭の加藤(三浦友和)が池元に伝えると、池元は自分の傘下の大友組の組長(ビートたけし)に「村瀬組とちょっとしたいざこざを起こしているように見せて欲しい」と言う。

大友は手下のチンピラを使い村瀬組のチンピラを痛めつけるが、それをきっかけに村瀬組と池元組の抗争が次第に大きくなっていってしまう…。

アウトレイジ

感想(ネタバレあり)


ヤクザも企業も骨組みは似た者同士


この映画「アウトレイジ」で描かれるのは、ヤクザの組同士の抗争。

誰かが痛めつけられると、その報復があり、そのたびに上の人間同士で話をつけようとする。

しかし、話が大きくなってくると、上の人間たちの間での話も変わってきて、下の人間はそれに良いように振り回され、抗争はますますエスカレートしていく。

この人間の動きは、面白いことに大企業の構図と良く似ている。

部長や課長が会議で聞いた話を持ってきて、「緊急でよろしく」とか言われる。

こちらは、抱えている業務を後回しにしてまで片付けると、「あれ、やっぱりなくなったから」とか言われちゃう。

指示された側としては、「えぇぇぇーーあんたが指示出したんだから、最後まで責任持ってよーー」って言いたくなる。

そして、面倒くさくなると、さらに後輩たちにその業務を回してしまう。

なんてことが日常茶飯事で起きている。

それは、ヤクザにしろ、企業にいろ、全てがトップの気分で変わり、下は上の人間の言うことに絶対服従という、全く同じ体質から起きることだ。

アウトレイジ4

ちょとしたいざこざからスタートしたサバイバルゲーム


そして、映画「アウトレイジ」では、この組同士の抗争がだんだんとエスカレートしていく。

途中からは、「最後に誰が生き残るのか」というサバイバルゲームの様相を呈す。

これは面白かったなぁ。

本音と建て前、腹のうちと上っ面。

昔からある兄弟、親子の仁義をクソ真面目に守った人間はバカをみる。

むしろ、周りの動きを眺め、考え、虎視眈々と出世のチャンスを狙った賢い人間がのし上がる。

「今まで世話になった人」に仁義を通す時代は終わり、いち早く自分のポジションを確立した人間が勝ち残る。

ヤクザの世界も古き良き時代は終わり、新しい時代がやってきたようだ。

アウトレイジ5

新時代のヤクザ=バイリンガルの金庫番


その「新時代のヤクザ」を象徴しているのが、加瀬亮演じる石原だ。

私は彼の存在が、この映画「アウトレイジ」の中で一番面白かった。

彼はバイリンガルでネイティブの英語を話すだけでなく、組の金庫番、カジノの仕切り、株の運用までやってしまう。

つまりは、うまいことやれば、組の金を使えてしまう存在だ。

バイリンガル、カジノ、金庫番に株の運用なんて、これまでのヤクザのイメージとは大きく違う姿を見せている。

これこそが、これからのヤクザの姿なのか。

はぁ。なるほどなぁと思った。

今までみたいに腕っぷしが強いだけのバカは、ヤクザの中でも上に上がれないという訳か。

「ゴッドファーザー」でも、ボスに最も信頼された人間は数字に強い人間だったっけ。

そして、石原はその頭の良さを最大限に活用し、多くのステップを飛び越えて山王会のNo.2にまでのし上がる。

石原はヤクザの世界の「新人類」なのだ。


アウトレイジ6

意外なことにとても分かりやすい北野作品


監督・脚本・編集は北野武

この映画で意外だったのは、北野作品の割に登場人物がとても多いこと。

それに、正面からヤクザの世界を描いていることだった。

なんだか、この監督は人と違う視点を持ている人で、斜め上からとか、背後から物事を捉えているイメージだったけど、この映画はド正面から撮っているのが、逆に新鮮で面白かった。

「ほぉ、日本のヤクザって、こういう構造しているんだね」というのが、とても分かりやすく描かれていたのが印象的だった。

北野武の作品が分かりやすいなんて!!意外だけど、なんだかとてもありがたいような気もする(笑)

アウトレイジ2

ヤクザも企業も構造改革の時代がやってきた


これまで、ヤクザにしろ、日本の企業にしろ子会社をたくさん作って手広く自分の島を広げてきた。

子会社たちは本部の言われるままに動き、その上下関係が揺らぐことはなかった。

しかし、そんな時代はもう終わりだ。

この映画「アウトレイジ」のラスト、周りの人間が死んでしまい自分だけが生き残った大友は、命をかけて仲間の敵をうとうとする。

しかし、その大友に向かい、小日向文代演じる丸暴の刑事 片岡は「ヤクザもそんな時代じゃないでしょう」と吐き捨てる。

結局、大友は片岡のお縄になるが、片岡は「ヤクザの大物を逮捕した」ことを手柄にして出世をしたかっただけだった。

それは、片岡のセリフを借りれば「警察もそんな時代じゃないでしょう」

いや、片岡は時代じゃないことを知っているからこそ、さっさと出世して逃げ切るのだ。

袖の下をもらうなんてことが簡単にできなくなる時代がやってきたからだ。

ヤクザも企業も古い時代の構造に終わりを告げようとしている。

これから生き残るのは、時代を読み取る感性と、それを実現するスピードだ。

ぼんやりしていると、いつの間にか、自分のいた場所に違う人が座っている…なんてことが起きるかもしれない。

アウトレイジ3


 ↓ さて、この先の展開はどうなるのか…続編「アウトレイジ ビヨンド」の予告編はこちら




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北野武監督の映画「HANA-BI」をWOWOWで観た。

ある事件で相棒が下半身不随になったり、亡くなったりしたことをきっかけに辞職。余命わずかの妻を連れて旅に出た男の話。

満足度 評価】:★★★★☆

久しぶりに観た。重かったなぁ。重いけど好きなんだなぁ。この映画。

北野武は長生きしたくないのかな…。そんなことを考えた映画だった。


「HANA-BI」予告編 動画





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キャスト&スタッフ


出演者


…(「鈴木家の嘘」など)


〇寺島進

…(「その男、凶暴につき」など)

〇芦川誠


監督


1997年製作 日本映画




あらすじ


ある凶悪犯の貼り込みをしていた際に、相棒の堀部(大杉漣)は下半身不随、同僚の田中(芦川誠)は撃たれて死亡、中村(寺島進)も負傷する事件が起きてしまう。

西(ビートたけし)は犯人を射殺するが、その後辞職してしまう。

その後、西は暴力団から借金をし、盗難車をパトカーに改造し、銀行強盗をし、強奪した金で妻(岸本加代子)と旅に出る。

実は、西の妻は重病人で余命わずか。

彼らにとっては、これが最後の夫婦旅行だった…。



HANA-BI



感想(ネタバレあり)


自由に感じ取っていいよというスタンスの映画


好きだなぁ。この映画。

何が好きかって、セリフがあまりないところが良い。

余計な説明をせず、「この画面を観て、自由に感じてください」っていう感じのスタンスが良い。

絵画とかのアート作品を観ている感覚に近いかな。

この映画のそういうところが好き。


主人公の西は、元刑事。

凶悪犯を追っている事件で、同僚たちが死亡、下半身不随、負傷となるなか、自分だけが元気に生き残った時、彼は辞職し、残りの人生を考え始める。

というのも、西の妻は重病人。

余命わずかな上、子供を先に亡くしていた。

そして、彼は妻の担当医から旅行に行くことを勧められる。



HANA-BI2



金がない → 暴力団から借金 → その金で銀行強盗


ここからが北野流と言うのか、非常にユニークと言うのか…。

旅行に行くためにお金が必要になった西は、暴力団に借金をし、その金を元手に銀行強盗をする。

スケールの大きさが普通の感覚の人と違うよね。

サラ金に金を借りようとか、ちょっと人をだまして金とっちゃおうとか、そういうセコイレベルではない。

さらに、そのお金を自分だけで使ったりしないところがまた粋なんだ。

下半身不随になった元相棒には絵画セットを、亡くなった同僚の奥さんにはまとまったお金を送っている。

そこからは、「自分だけがのうのうと生きていて申し訳ない」という声が聴こえてくる。

それもまた、これ見よがしにやるのではなく、密やかに、あしながおじさんのように郵送しているあたりが、照れ屋の北野武の色が出ていたように思う。



HANA-BI3



西が最後に観たかったのは「妻の笑顔」


そして西は、残りのお金を使って、妻との最後の旅行に出かける。

西が最後にしたかったのは、豪華絢爛な旅ではなく、「妻の笑顔」を観ることだったように思う。

子供を亡くし、以来、入院していた妻は、それまでどれだけ彼に笑顔を見せていたのだろうか。

トランプのカードを当てるゲーム、2人で一緒に撮った写真、深い雪の中に落ちちゃったこと。

彼らにとっては、場所ではなく、一緒に楽しい時間を過ごすことが、何よりも大切なことだと分かる。

しかも、そんなことは、2人でイチイチ口にしなくても理解し合えているところがまた良い。

彼が次に何をしようとしているのか、何をしたいと思っているのか。

何も言わなくたって分かっている。

その全てが、最後に唯一妻がつぶやくセリフ「ごめんね。ありがとう」に集約されている。



HANA-BI4



人生で最も輝ける時を終えたら…


2発の銃弾音を聴いて観終わった時、必死に真面目に細々と生きる人生より、ドドーンと打ち上がっては、一瞬にして消えてしまう花火のように、「一瞬の華」を求めて生きた男の人生だと感じた。

それは、西にとって長い間観ることがなかった妻の笑顔がその華であり、美しい華を眺めた後は、同僚たちが見守る中で自ら人生を終えていく。

銀行強盗をしてまで集めた金の使い道。

妻を長生きさせるための治療費ではない。

どうせ長生きできないのなら、一花咲かせて良い思いをしてから死のう。

そう思ったんだろうか。

花の美しさが一瞬で終わってしまうように、枯れた花に水をあげても生き返らないように、人生の輝けるときは一瞬。

その一瞬のために、私たちは毎日必死に生きているんだとしたら、キレイに咲かせて散ろう。

あとは死ぬのを待つ人生なんかいらない。

北野武は、そんな風に人生の終わり方を考えたのかなと思った。




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北野武ビートたけし)監督、主演の映画「座頭市」をWOWOWで観た。

目の不自由な按摩の市が、実は凄腕の浪人であり、やくざに支配された小さな村を救う時代劇。

満足度 評価】:★★★★☆

面白かったなぁ。

殺陣のシーンがシャープで切れ味がよく、常にバックで流れるテンポの良いリズムで最後までウキウキワクワクしながら楽しめた。

この映画を観るのは2回目か、3回目だけど、何度観てもやっぱり面白いと思う。

出演ビートたけし、浅野忠信、夏川結衣、大楠道代、橘大五郎、大家由祐子、ガダルカナルタカ、岸部一徳、石倉三郎、柄本明

監督北野武 2003年製作 日本映画


「座頭市」予告編 動画





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あらすじ


盲目の按摩、座頭市(北野武ビートたけし))は、杖をつきながら、町から町へと渡り歩いていた。

ある時、小さな村に立ち寄った時、そこでは、ヤクザの頭、銀蔵(岸部一徳)が全てを支配しようとしており、賭場がその勢力に対抗し、空気の張り詰めた緊張状態にあった。

さらに、銀蔵は用心棒として凄腕の浪人、服部源之助(浅野忠信(「幼な子われらに生まれ」))を雇い、勢いを増していた。

その様子を知った市は、罪のない村人たちが虐げられた生活を送っていることが気になっていた…。


座頭市

感想(ネタバレあり) よくあるありがちな話を楽しくかっこ良く見せる映画


いやーー。この映画は、何度観てもかっこいい!!

久しぶりに観て、やっぱりかっこいい映画だと思った。

ストーリーはとても単純でありがち。

ヤクザの抗争に巻きこまれ、虐げられた生活を送っている村人たちを、目の見えない座頭市が彼らの代わりに悪者を倒し、その悲惨な生活から救うというお話。

時代劇が得意ではなく、あまり観ない私でさえ、「あぁありがちだ」と思うんだから、きっと多くの日本人が途中まで観たところで、「よくある話だな」と思うはず。

日本人でなくたって、この手の話は昔の西部劇にもよくあったパターンだから、世界中の人たちからも、古典的なよくある話として捉えられるのかもしれない。

では、そんな「よくある話」を、どれだけ面白く、魅力的なエンターテインメントに変えていくのか。

そこが、演出の肝であり、監督の腕の見せ所になってくる。


座頭市2

殺陣のシーンが何度観てもかっこいい


私が、この映画で最も面白いと思ったのは、「殺陣のシーンのかっこよさ」だ。

殺陣のないシーンでは、「早く殺陣を見せてくれ」とソワソワしてしまったぐらい、殺陣のシーンが面白い。

時代劇のよくある殺陣のシーンだと、1人の達人が真ん中にいて、その周りを丸く敵が囲み、1人ずつその達人に向かって行くというシーンが多い。

私は、いつもあれを観ながら、他の人たちがその隙に切りに行けるのに…と思いながら観ていた。

ところが、この「座頭市」は違う。

3、4人が一気に座頭市を切りに行く。

「背中から切りつけるのは卑怯者のすること」というタブーを破り、堂々と背中から切りに行く(笑)

なぜなら、ヤクザたちは卑怯者だからだ(笑)

それに対し、市は、一度に3、4人を相手にし、一気に切りつけ、石灯籠まで切ったり、木の扉越しに人を切ってしまう。

背中から切り付けてきた奴には、後ろに向かって刀をズバッと差し込む。

全て、相手の3歩先を読み、相手よりも早く手を出す。

それは、彼が盲目であり、音に集中することで、場所と動きに集中した結果だ。

もう、この全ての殺陣の演出のかっこ良さ。

それだけでも、この映画を何度でも観たいと思わせるエンターテインメントがあった。

座頭市3

生活音がリズムになる。時代劇をテンポよく見せる魔法の素


そして、もう1つ。この映画を面白くしているは、「音」だ。

「殺陣」は、盲目の人が音に集中した結果の動きだったように、この映画全体が「音」を大切にしている。

クワとスキで畑を耕す音。

雨の日に水たまりを歩く音。

薪割りの音。

そしてラストシーンのタップダンスまで、全ての音を打楽器にみたて、リズムを作り出し、映画のテンポを上げている。

一般的に、時代劇は話がスローテンポだ。

それが私の時代劇が苦手な理由の1つだ。

ところが、これは、その随所に流れてくる「音」と「リズム」のおかげで、すごくテンポが良くスピード感がある作品のように見えてくる。

これは、北野武の演出の上手さだ。

常にタップダンスのようなタタン、タタンという音を聴いていると、なんだかウキウキしてくる。

これが、この映画を観ていて私の心を躍らせた魔法の1つだ。


座頭市4

誰もが知っている話を、どれだけ面白く見せるか


世界中、どの国にも、誰もが知っている「お約束」の誰もが知っている物語っていうものがある。

その話は、たいてい、何度も映画化されている。

イギリスでいえば、シェークスピアの戯曲は誰もが知っていて、いろんな演出家が舞台化したり、映画化したりしている。

そういう、「誰もがよく知っている話」を「どうやってお客さんを楽しませるか」というのが、演出家にとっての腕の見せ所となってくる。

この「座頭市」でいえば、北野武流の血しぶき舞い散る派手な殺陣と、生活音をリズムに変えたテンポの良さが光っていた。

それらの演出が成功し、常にドキドキ、ワクワクする映画に仕上がっていた。

ってことは、使い古された映画でも、演出次第でいくらでも楽しくすることができるってことを証明してしまった作品だったんだねぇ。

いや~面白かった。

そして、ちょっとタップダンスが習いたくなったよ(笑)





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北野武監督、主演の映画「その男、凶暴につき」をWOWOWで観た。

暴力団に一人で立ち向かう警察官を描く。

満足度 評価】:★★★★☆

ビートたけしの薄気味悪さ、次に何が起こるか分からないストーリー展開の緊迫感に目が離せない作品だった。

大好き。

出演ビートたけし、白竜、川上麻衣子、岸部一徳、佐野史郎

監督北野武 1989年製作 日本映画

「その男、凶暴につき」予告編 動画





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あらすじ


我妻(ビートたけし)は、精神科に入院していた妹(川上麻衣子)と二人暮らしの警察官。

犯罪者を検挙するためには手段を選ばず、時には暴力を振るってでも罪を吐かせてしまう。

我妻が所属する警察署へ新任の署長としてやってきた吉成(佐野史郎)は、出世街道を歩むことに必死であり、問題児の我妻は目の上のたんこぶだった。

そしてある時、我妻の管轄で覚せい剤の売人が殺される事件が発生する…。

その男凶暴につき


感想(ネタバレあり) 我妻とは一体何者なのか


主人公の我妻は警察官。

しかし、この警察官、清廉潔白ではない

賄賂はもらうし、多少の悪には目をつぶり、カッとなったら暴力が止まらない

ボコボコ殴って、ガンガン蹴りを入れる。

それが、大人だろうと、未成年だろうと関係ない

しかし、そんな我妻の裏には、精神状態が崩壊してしまった妹を保護するという優しいお兄さんの顔がある。

この我妻という男、一体何者なのか。

まさに人間そのものであり、この映画の面白さの全てだった。

その男凶暴につき2

人は人を殺すときに笑顔になるものなのか


この映画の中で最も印象に残るのは、その我妻の笑顔だった。

笑顔というのは、本来楽しい時に出るもの。

心から楽しいと思える時、人は笑顔になる。

しかし、この我妻は「暴力を加えている時」に笑顔になる

容疑者を車で追い、今にも轢きそうになっている時や、別の容疑者と差し向かいで情報を吐かせようとしている時、不敵な笑顔を浮かべる。

なぜ笑顔?

目の前にいる人間が死にそうになっているのに。

人を殺してしまうという恐れはないのか

これは、登山者にとってのクライマーズハイのような高揚感から来るものなのだろうか。

その薄気味悪さを観ているこちらは、我妻に対するさらなる恐怖を感じ、彼が警察官であることを忘れてしまう。

その男凶暴につき3

理性のブレーキがかからない人間とは…


また、彼の暴力もハンパない。

こちらが「もう、やめて!」と思うぐらい相手を痛めつける。

ビンタを打ち過ぎて、顔から血が溢れ出る。

「人間はどこまで凶暴になれるのか」

そんな姿を見せつけられているような恐ろしさだった。

普通の人は、「これ以上やったら死んでしまう」という理性のストッパーを持っている

しかし、この我妻にはそのストッパーがない

また、相手も簡単にくたばらない。

人間は、そう簡単に人は殺せないし、簡単に死なない。

その極限の姿がそこにはある。

その男凶暴につき5

倫理観や理性をなくした人間のリアリティ


そんな「凶暴な男」我妻を描いたこの映画。

彼が、「人間の理解の範囲を超えた」ところにいるために、次の行動が読めず、先の展開が分からない。

「えっ!?」と思い、心に残っているシーンがある。

清弘(白竜)に対し、許容範囲を超える尋問をしたために、クビになってしまった我妻。

仕事のなくなった彼が映画館の前を歩いている時、清弘に襲われ取っ組み合いのケンカに。

そこへ偶然通りかかった女子2人。

清弘が発砲した銃の流れ弾がその女子に偶然、命中して亡くなってしまう。

人が1人亡くなっているのに、我妻も清弘も、そんなことお構いなしでそこからいなくなってしまう。

もしも、これがアメリカ映画だったら、主人公の警官は、すぐさま救急車を呼び、その女子を助け、間一髪のところで命が助かるだろう。

それがアメリカの必要不可欠な倫理観だからだ。

しかし、この映画には倫理観も理性もない

実際、人を殺そうと思っている人間に倫理観も理性もないだろう。

そのリアリティが、この映画の怖さであり面白さだと思った

その男凶暴につき4

死に対する恐れを超える


常識的な人が「人を殺すという」想像ができないは、本来持っている「理性」が、人間の凶暴性にストップをかけているから。

その理性が「人間」と「野生動物」の大きな違いだ。

ならば、「人殺し」は理性を超えたところに存在しており、その「人殺し」を捕まえるのなら、こちら側も「理性」を超えてしまえばいいというのが我妻

そんな風に描かれているように見えた。

死に対する恐れを超えた存在

それならば彼らを題材にしている北野武本人も、理性を超える瞬間がある人なのかもしれない。



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