とにかく映画が好きなんです【本館】

とにかく映画が好きで、特にアメリカ映画大好きです このブログは、ネタバレありの映画鑑賞日記です。主にハリウッド映画と韓国映画をメインに感想を書いています


タグ:山崎努



蒼井優 主演の映画「長いお別れ」を映画館で観た。

ある日、お父さんが認知症になってしまった家族の姿を描く。


満足度 評価】:★★★★☆

いつか私もこうなると思いながら観た。

家族が認知症になるって大変なことなのに、どんな時も決して悲観的にならず、前向きだったから救われた。

家族がいればなんとかなる。

そう思える映画だった。家族への視線が温かいところが良い。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


『長いお別れ』予告編 動画




更新履歴・公開、販売情報

・2019年6月8日 映画館にて鑑賞。

・2019年7月10日 感想を掲載。

現在、全国順次公開中。詳しい劇場情報につきましては、下記公式サイトをご確認ください。
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キャスト&スタッフ


出演者


〇竹内結子

〇松原智恵子

…(「検察側の罪人」、「モリのいる場所」など)


…(「響-HIBIKI-」など)

〇中村倫也

〇杉田雷麟

〇蒲田優惟人


監督

〇中野量太


2019年製作 日本映画



映画「長いお別れ」



あらすじ

お父さん(山崎努)の誕生日に、アメリカから帰国した長女(竹内結子)と次女(蒼井優)が再会し、久しぶりに家族が集まる。

その時、母は娘たちに対して父が認知症になったことを告げる。

娘たちはそのことに驚きながらも、少しずつ父の認知症と向き合っていく。



映画「長いお別れ」蒼井優、竹内結子



感想(ネタばれあり)


この映画の感想につきましては、私が「ぴあ映画生活」に掲載したものをご紹介します。


長いお別れ (2019)


★★★★ [80点]「人生に行き詰まった時、受け皿になるのが家族」


認知症というテーマを扱いながら、心がほのぼのと温かくなる映画だった。



仕事を引退して、お母さんと二人暮らしのお父さんが、ある日、認知症になってしまう。

これは、そのお父さんの介護をめぐる家族の物語だ。



私は、両親の近くで暮らす独身の次女・茉美(
蒼井優)の視点で、この映画を観た。

きっと、私もいつか茉美のような立場になる時がやってくると思ったからだ。



では、家族が認知症になってしまった時の介護には、どんなイメージがあるだろうか

きっと多くの人が、キツイ、臭い、危険という3Kを思い浮かべるのではと思う。

私も、その覚悟をしなきゃいけないと、日々思い始めている。



しかし、この映画は、そんな時でも悲観的にならず、時にはコミカルに、そして前向きに描かれていたので、その姿にとても救われた



基本は、お母さんがお父さんの世話をする老々介護。

でも、お母さんが一人で解決できない時は、近くに暮らす娘がかけつけ、場合によっては、ロスに暮らす長女もかけつける。

お母さんがダメなら次女が、次女も長女もダメならヘルパーさんや、デイケアを頼れば良い。

場合によっては、施設を頼ることも選択肢の一つだ。



もちろん、各家庭の経済事情もあるだろうが、大切なことは、全てを一人で背負い込もうとしないことだ。

お母さん一人だけが頑張らない

大変な時は「大変だから助けて欲しい」と言うこと

そのために家族はいるのだ。



その家族への視線がとても温かく、優しいところが良かった



人生、思い通りにいかないこともある。

歳をとったら認知症になる

そうやって、人生に行き詰まった時、受け皿になるために家族はいるんだ。



甘えたい時は、甘えても良い

その温かくて優しい思いに救われた映画だった。

最後に「長いお別れ」の意味がわかって、すごくジーンとした。



そうか

そう思えば、悲しくないかな


Posted by pharmacy_toe on 2019/06/17 with ぴあ映画生活




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木村拓哉、二宮和也主演の映画「検察側の罪人」を試写会でで観た。

ある殺人事件をめぐる二人の検察官の対立を描く。


満足度 評価】:★★★★★

見応えありの傑作!

「上司が絶対」とか「忖度」という悪しき慣習が、殺人事件を捜査する検察の現場に持ち込まれたら。

ベテランと若手、2人の検事の心理的駆け引きに緊迫感があって目が離せない。

サスペンスや法廷モノ好きな人におススメ。



目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「検察側の罪人」予告編 動画





更新履歴・公開情報


・2018年7月30日 試写会にて鑑賞

・2018年8月10日 感想を掲載

・2018年8月24日 全国ロードショー

・2019年6月22日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。


現在、DVDを販売中。詳しい作品情報につきましては、下記公式サイトをご参照ください。
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キャスト&スタッフ


出演者

〇木村拓哉

…(「硫黄島からの手紙」など)

〇吉高由里子

…(「アウトレイジ 最終章」など)

〇平岳大

〇大倉孝二

〇八嶋智人

…(「モリのいる場所」など)

〇酒匂芳



監督



2018年製作 日本映画



映画「検察側の罪人」



あらすじ



都内で起きた殺人事件の担当になったベテラン検事の最上(木村拓哉)は、補佐役として若手検事の沖野(二宮和也)を指名し、橘(吉高由里子)が沖野付きの事務官となって、容疑者の聴取を始める。

すると、その容疑者の中にかつて時効が成立した殺人事件の容疑者だった松倉(酒匂芳)が浮上し、最上は松倉の聴取を執拗に行う。

明らかに「クロである」という雰囲気を漂わせた松倉に対し、沖野も証拠となる証言を引き出そうとするが、最上の捜査方法に疑問を抱き始め…。



映画「検察側の罪人」



感想(ネタバレあり)


カリスマ的ベテラン検事と将来を期待される若手検事


「地検」とか、「検察」と言われると、ちょっと敷居が高い気がしてしまう。

なにせ、彼らはいつも世の中で起きているできごとと法律を照らし合わせ、世にはびこる悪を裁くために働いているような人たちだ。

きっと、私のような凡人とは頭の出来が違うんだろうなと思ってしまう。



この映画は、私たちが目にすることのない、そんな「地検の裏側」を描いている。

当たり前だけど、検事も普通の人たちで、部署の中には一般の会社と同じように上司と部下の上下関係があるし、社内恋愛だってある

むしろ、そうやって、彼らの日常を一般人の日常に近づけることで、地検の中で起きている問題を身近な問題にし、観客に向かって「あなたならどうするのか」と考えさせる

そこに、この映画の面白さがあるのだ。



主人公は、2人の検事。

1人はカリスマ的ベテラン検事の最上(木村拓哉)。

そして、もう一人は将来が期待される若手検事の沖野(二宮和也)。

沖野にとって最上は「あこがれの先輩」であり、「神的な存在」である



沖野は、一見、やる気がなさそうで、果たして検事としての仕事ぶりはどうなのかと疑問視されるタイプなのだが、最上は周りの反対を押し切って「きっと成果を出すに違いない」と沖野を難しい事件の担当に指名する。

実際、沖野は見た目以上に仕事ができるタイプの人間なのだ。

最上は、そんな沖野の良さを誰よりも見抜いていた。



しかし、果たしてその判断が最上にとって良かったのか、悪かったのか。

沖野を引き抜いたことで、最上は最後の最後まで頭を悩まされることになる。



映画「検察側の罪人」


ベテランと若手の間を引き裂くのは「法律」と「忖度」


この映画に緊迫感を与え、とても面白いサスペンスにしているのは、その2人の検事の心理的駆け引きである。



地検にとって、何よりも重要なことは「法律にのっとった正義」である。

しかし、困ったことに、この世には「法律で裁けない悪」というものが存在する。

最上と沖野はその「法律で裁けない悪」に直面してしまい、葛藤するのだ。



そのじりじりとしたジレンマが、観ているこちらもなんとも悩ましく、私だったどうするだろうか…と考えながら先に進んでいく。



その中で、最上も沖野も「それぞれの思う正解」を導き出すのだが、それが互いに真逆の方向を向いていた。

そこで2人を分けたのは「法律」だ。

法律がどうあろうと、容疑者の松倉を「クロ」にしたい最上と、法律を守って正しく裁きたい沖野



これまでカリスマ的手腕で悪を裁いてきた最上が、「法律がどうあろうと」松倉をクロにしたいと思い、そんな最上には、「どうしても譲れない理由」があったのだ。

しかし、若手のホープである沖野は、そんな「最上の理由」を理解したうえで、それでも最上のやり方が間違っていると思い、最上と対立する立場に身を置くことになる。



ところが、沖野は憧れの先輩である最上を前にすると、意見を主張することができず、最上の暴走を止めることができない

沖野の前に、日本に古くからある「上司の意見は絶対」とか「忖度」という悪しき慣習が立ちふさがり、上に意見を通すことができないのだ。



映画「検察側の罪人」


第二次世界大戦の「インパール作戦」の血が、ここによみがえる


それは、きっと社会人なら誰でも身に覚えがあることだろうと思う。



例えば、日頃から目をかけてもらい、かわいがってくれ、その人本人の人柄もとても尊敬できるカリスマ的な憧れの先輩がいるとする。

ある日、その人がいきなり理不尽なことを言い出したら、どうするだろうか。

今まで、そんなことはなかったのに…。



そしたら、「それは間違っているなぁ」と思いつつも、「なんか辛いことでもあったかな」と自分を納得させつつ、面倒になることを避けるために「見て見ぬふり」をしながら、スルーしてしまう。

きっと、多くの人にそんな経験があるはずだ。



しかし、ここは地方検察庁であり、「法を守らなければならない場所」なのだ。

相手のことを「忖度」していたら、裁かれるべき人間が野放しになってしまう。



その日本人の「上司を敬う」気持ちが、物事を悪い方向へ導く事例として登場するのが、「インパール作戦」である

インパール作戦とは、1944年の第二次世界大戦でインド北東部の都市インパール攻略を目指した日本軍の作戦だ。

軍内部で反対的な意見があったものの、その時の中将の強硬な主張によって実施され多くの被害者を出したとされる。

それ以来、「インパール作戦」とは「無謀な作戦の代名詞」として引用されているのだ。

(詳しい内容は、Wikipedia「インパール作戦」へ)



最上の祖父は、そのインパール作戦の数少ない生き残りであり、松重豊演じる武器商人の祖父は、そのインパール作戦の犠牲者である。

無謀な作戦の生還者は、孫の代になっても無謀な作戦を強行させようとし、犠牲者の孫は「喜んであなたの犬になります」と言って、その作戦を強行突破する

こういうのを血は争えないというのだろうか



日本の社会の体質というのは「第二次世界大戦」の頃からちっとも変っていないのだ。

「忖度」や「上司の命令が絶対」という体質は、部下を間違った方向に誘導し、死ななくていい人間を殺してしまう



映画「検察側の罪人」


希望を探してみるけれど…


さらに問題なのは、最上の心情が理解できるところだ。

そもそも「日本に時効がなければ…」と思ったら、やるせない気持ちになってしまう。

そこでも、なかなか法律が変わらないという日本の現状が裏目に出ている。



だがそれでも、検事という仕事は「感情」ではなく、「法律」で善悪を決める人々なのだ。

検事が法律を守らなければ、日本は無法地帯になってしまう

この「忖度」は、一般の会社で起きていることなら人の命が関わるようなことはないだろうが、それが「地検」で起きると、「法律で裁くべき善と悪」が揺らいでいくのだ。



もしも、そこで沖野のような若手の意見が通り、「日本も変わりつつある」と思えれば希望ある。

しかし、沖野が外に出てしまったことで、ますます地検の内部は不透明になり、その背景では政治家と大企業の癒着や、右傾化する社会を描き、ますます「上に意見を言いにくい社会」になっていることを描いている。

最上の友人で政治家の秘書官をしている丹野(平岳大)がその日本の背景で起きていることを象徴している。



そこで、「果たして、この世に『ものが言える社会』はやってくるのか」と考えてしまう

そう思うと、暗澹たる気持ちになってしまう

私も、ニノと一緒に雄叫びを上げたい気分になった…




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山崎努主演の映画「モリのいる場所」を映画館で観た。

実在した画家の熊谷守一と奥様が豊島区にある自宅で暮らす日々を描く。


満足度 評価】:★★★★☆

昭和ののんびりとした時間の中で過ごす画家の熊谷守一と奥様。

彼らの家の庭が、モリにとって世界の全てであり、そこは宇宙とつながっている。

画面からはマイナスイオンが溢れ、心が浄化された。

目の前にあるものの素晴らしさに気付かされる温かい作品。


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想



「モリのいる場所」予告編 動画




更新履歴・公開情報


・2018年5月14日 映画館で「モリのいる場所」を鑑賞

・2018年6月15日 感想を掲載。

・2019年3月17日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信共に販売中。



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キャスト&スタッフ


出演者

…(「検察側の罪人」など)



〇吉村界人

…(「悪と仮面のルール」など)


〇吹越満

〇池谷のぶえ

〇三上博史


監督

〇沖田修一


2018年製作 日本映画


モリのいる場所




あらすじ


1974年の東京。

画家の熊谷守一(通称:モリ)(山崎努)は、池袋にある自宅から一歩も外に出ない生活を送っていた。

妻の秀子(樹木希林)と共に暮らす彼の元には、毎日多くの人たちが訪れる。

しかし、そんな客人に構わず、モリは午前中は庭にいる虫や鳥たちの観察をし、午後は寝て、夜はアトリエにこもるというマイペースな生活を続ける。

カメラマンの藤田武(加瀬亮)は、そんな彼の元を頻繁に訪れては、庭の自然を観察するモリの写真を撮り続ける。



モリのいる場所5




感想(ネタバレあり)


何が起こるわけでなく、ただモリが自宅の庭で過ごしているだけの日々に心が癒される


私が子供の頃、我が家にはインターネット、パソコンはもちろん、テレビゲームすらなかった。

そんな私にとっての遊び場の一つが、我が家の裏にあるちいさな丘だった。

なんの手入れもされていないその裏山は、雑草が生え放題で、近所で暮らす子供たちがそこへ登ってはちょっとした冒険を楽しんでいた。



この映画「モリのいる場所」を観て、私はその頃の裏山に生える雑草の匂いを思い出した

その茂みの中には、タンポポなどの花々が咲き、蝶々やトンボなどの虫たちが飛んでいて、私たちはそこで野草や昆虫に興味を持つようになった。

あの頃、人々は日常生活の中で自然と共存していたのだ。



1970年代、画家の熊谷守一(通称:モリ)は東京都池袋にある自宅で暮らしていた。

Wikipediaによれば、1956年 モリが76歳の時、軽い脳卒中で倒れてしまう。

それ以来、モリは自宅の敷地から出ることなく、自宅の庭の中で晩年を過ごしたという。

この映画は、そんなモリが1977年に97歳で亡くなる数年前の日常を描いたものである。

(参照:Wikipedia 熊谷守一



そこには、昭和ののんびりとした時間が流れ、その庭がモリの世界の全てであり、モリにとっては宇宙への入り口だった。



何が起きるでもない。

モリは無口であまりコミュニケーションが得意ではないのにも関わらず、毎日、多くの人々が彼の元を訪ね、絵を描いてもらえなくても、看板を書いてもらえなくても、奥様と雑談をして満足げに帰っていく。

ただただ、そんな穏やかで平和な日々の描写である。



しかし、私は、そんな日常の風景からあふれ出るマイナスイオンのシャワーを浴び、モリと奥様の穏やかな日々に心が浄化した思いがした

これは、ギスギスとした日々に心が疲れてしまっている人にこそ、観て欲しい作品である。



モリのいる場所3




彼の「アトリエ」は「学校」


モリの一日は、とてものんびりとしている。

朝ご飯を食べると、縁側から庭へと出て、庭の観察を始める

アリの動きや、見たことがなかった石に目を輝かせて、それをじーーーっと眺めている。

それをスケッチするのでもなく、ただただ眺めている



時には、午前中にお客さんが訪ねてきて、モリが対応することもあるけれど、たいていは奥様やお手伝いの美恵ちゃん(池谷のぶえ)が対応してくれる。



そして、お昼ご飯を食べると、午後は寝る時間だ。

お昼寝なんていうかわいいもんじゃない。

本気で寝る時間だ。



なぜなら、モリは、夜に「学校」に通っているからだ。

夕飯を食べ終わると、奥様が「そろそろ学校の時間ですよ」という。

すると、モリは「そうだな」と言って席を立つ。

彼が「学校」と呼んでいるのは「アトリエ」のことだ。



午前中に観察した植物や虫、猫などをこの時間に描いているのだ。

「仕事」じゃなくて「学校」っていう言い方がいいなぁと思った。

そこには、学ばせてもらっているという気持ちがこもっている

その言葉に、モリの「絵を描く」という行為に対する気持ちが表れている



私も、これからは学ばせてもらっているという気持ちを込めて、映画館を学校だと思うことにしようか。

いつまでも、多くの人たちから「絵を描いて欲しい」「看板を書いて欲しい」と言われるのは、そういう謙虚さにあるんだろうと思った。



そして、朝が来ると「行ってきます」と言って、庭へ出て行く。

そこから、また、ゆったりとしたモリの冒険が始まるのだ。

なんて素敵な毎日だろうと思う。



モリのいる場所4




電話しかなかった時代のゆったりとしたコミュニケーション


モリは決してコミュニケーションがうまいタイプではない

無口でぶっきらぼうで、人の言うことを聞いているのか、いないのかよく分からない。

よくいるタイプのちょっと頑固なおじいさんだ。



それでも、それなりに家族以外の人たちとコミュニケーションが取れていた。

いきなり訪ねてきたお客さんが、旅館の看板を書いてくださいと言ったり、親バカな人が息子の絵を見せたり。

そんなお客さんの対応は、たいてい、奥様とお手伝いさんの美恵ちゃんがするのだけど、気が向くとモリも対応してくれる。



それは、その頃が「アナログな時代」だったからなのではと思う。

今だったら、LINEや、メールやFAXが殺到して、あれやこれや言ってアポを取ったりするんだろうけど、この頃は電話しかなく、電話の場合は、モリが「外へ出たくない」の一言で断ってしまうことがある。

なんてったって、文化勲章だって断った強者だから。



だから、モリに本当にお願いしたいことがあれば、直接訪ねてくるしかない

断られたら、また出直せばいい

そんな人との付き合いの間にも、ゆったりとした時間が流れていた



今は、有線の電話以外にも、スマホやインターネットがあって、常に誰とでもつながることができる。

科学が進歩して、携帯電話やインターネットが普及したおかげで、その頃よりもすごく便利になったし、人と会うのもとても楽になったと思う。

ただ、人々の生活が楽になった分、テクノロジーにそういったゆったりした時間の流れを奪われてしまったように思う。

科学の進歩による恩恵は計り知れず、それを否定するつもりは一切ないけれど、目の前に広がる庭に宇宙を感じるような時間も大切だったんだなと、しみじみ思った。



かといって、いまさら「すべてをオフラインにして電波をデトックスしろ」と言われても、既に電波中毒の携帯依存症になっている私にはそんなことはできない。

残念ながら、せいぜい映画館で映画を観ている間と寝ている間ぐらいしかオフラインにできないのだ。



モリのいる場所2




高度経済成長期の到来と共に失われたモリの宇宙


この映画には、魅力的なところがたくさんある。

ゆったりと流れる時間、ギスギスしていない人間関係、微笑ましいモリと奥様の仲の良さ。

それらは、アナログな時代だからこそ培われたものだった。



しかし、そのゆったりした時間の流れにも終わりがやってきたことを感じさせるところで、この物語は終了する

高度経済成長期がモリの家にもやってきて、隣にビルが建ち、モリの宇宙である庭に日影ができるようになるのだ。

そこで、モリは苦労した掘った池を埋めることになってしまう。

庭で日が当たるのは、そこだけになるからだった。



日が当たるところには、野草が生えているべきだと、モリは考えたのだろうか。



池を埋め、予定通りビルが建つと、モリの生きていた時代も終わりを告げる

それから数年後、モリは亡くなってしまう。

私は、三上博史演じる宇宙人に宇宙へ連れて行ってもらったのだろうと思った。



昭和というアナログな時代だったからこそ、モリのような画家が思う存分才能を発揮できたのだろうと思う。



今でも、池袋にヤモリがいたり、サンショウウオがいたりするんだろうか。

それはちょっと厳しいように思う。



田舎の町だったら、いまだに、そんなモリのような生活もできるだろうけど、出版社の人たちやカメラマンたちが毎日のように通ったりするのは難しい。

やっぱり、モリは昭和の東京が生んだ画家なのだ。



私も全てをオフラインにして「電波デトックス」をするのは、なかなか厳しいけれど、この映画に出会って、モリと奥様の生活を観ている間は、スクリーンからあふれるマイナスイオンを感じて、すごく癒された

モリは、今も三上博史と一緒にどこかで虫や鳥の観察をしているのでは…と思っている。



時には、こんな風にアナログな時代の映画を観て、わずかな時間の間だけでも電波中毒から癒されることがとても大切な時間に思った。

毎日を仕事に追われ、ギスギスとした日々に疲弊してしまっている人にこそ、ぜひ、見て欲しい一本だ。

これを観たら、「アリの生活」に興味を持って、緑のある生活の素晴らしさに気付くかもしれない。




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