とにかく映画が好きなんです【本館】

とにかく映画が好きで、特にアメリカ映画大好きです このブログは、ネタバレありの映画鑑賞日記です。主にハリウッド映画と韓国映画をメインに感想を書いています


タグ:戦争



クリント・イーストウッド監督の映画「父親たちの星条旗」をNHK BSプレミアムで観た。

第二次世界大戦。アメリカの勝利の象徴として使われた「星条旗を立てる米兵たち」

その写真が撮られた硫黄島の戦いと、写真が有名になったその後の話を描く。



映画「父親たちの星条旗」



満足度 評価】:★★★★☆

戦争の英雄とは何か。本当に平和で住みやすい世の中とは何かについて考えさせられた。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「父親たちの星条旗」予告編 動画(日本語字幕なし)

(原題:FLAGS OF OUR FATHERS)



更新履歴・公開、販売情報

・2016年8月6日 NHK BS プレミアムで観た感想を掲載。

・2019年8月5日 NHK BS プレミアムでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。



見逃しちゃった?でも大丈夫!映画「父親たちの星条旗」は、現在U-NEXT で配信中

本ページの情報は2019年8月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

Amazon Primeで観る:「父親たちの星条旗」(字幕版)

父親たちの星条旗(字幕版)

新品価格
¥199から
(2018/7/28 23:03時点)



DVDで観る:「父親たちの星条旗」

父親たちの星条旗 [Blu-ray]

新品価格
¥864から
(2019/8/5 15:05時点)



「父親たちの星条旗」オリジナル・サウンドトラック

「父親たちの星条旗」オリジナル・サウンドトラック

新品価格
¥9,980から
(2016/8/6 12:36時点)



原作本「硫黄島の星条旗」

硫黄島の星条旗 (文春文庫)

新品価格
¥1,028から
(2016/8/6 12:39時点)




キャスト&スタッフ


出演者

〇ライアン・フィリップ

〇ジェシー・ブラッドフォード

〇アダム・ビーチ

…(「崖っぷちの男」、「ディファイアンス」など)





監督

クリント・イーストウッド


2006年製作 アメリカ映画




あらすじ


1944年、第二次大戦の末期。

アメリカと日本は硫黄島で決戦を迎えていた。

米軍は、これまで戦争を経験していない若い兵士たちの多くを硫黄島へ送るが、予想以上の苦戦を強いられてしまう。

数日間の死闘の末の穏やかなある日。米兵たちは硫黄島の摺鉢山の頂上に星条旗を立てる。

そして、その際に撮った写真が本土に渡ると、それは戦意高揚の材料として使われ始める。

しかし、硫黄島での苦戦はその後も続いていた…。




感想(ネタバレあり)


摺鉢山に星条旗を掲げる米兵たち


あぁこの写真は硫黄島で撮ったものなのかと、真っ先に思った。



父親たちの星条旗2



この映画では、この「摺鉢山に星条旗を掲げる米兵たち」の写真について描かれている。

これはいかにも「米軍が硫黄島で勝利しました」と言いたげな写真だが、実際には、この星条旗を立てた後も硫黄島ではアメリカと日本の死闘が続き、この写真に写っている6人も、その多くがその後の戦闘で亡くなっている。



幸運にも、この戦闘で怪我をしたが軽症だった者、運よく最後まで命が助かった者のみが、本土に帰ることができた。

まさに、そこは地獄のような有様だった。



映画「父親たちの星条旗」



「国債買ってよキャンペーン」に利用される英雄たち


そして、彼らが運よく本土に帰った頃、この写真は戦意高揚の象徴としてあまりにも有名になっていた



この星条旗を掲げた小隊のメンバー3人、ドク(ライアン・フィリップ)、レイニー(ジェシー・ブラッドフォード)、アイラ(アダム・ビーチ)は英雄として迎えられる。

彼らは3人で全国を周り「国債を国民に買うよう促すキャンペーン」に使われるようになってしまった。



しかし、実際の硫黄島の戦闘は苦戦続きで、多くの仲間を失った彼らは英雄扱いをされることに戸惑いを感じていた

しかも、その中でもアイラはその写真にも写っておらず、「同じ小隊で生き残ったから」という理由で、その写真のメンバーとして祀り上げられていた。

それはきっと、米軍側がネイティブアメリカンが1人いた方が、「自由なアメリカ」の象徴になると考えたからだろう。



たちまち英雄となった彼らは、3人で全国を周り、国債の宣伝をし、戦争の資金集めの手伝いをさせられることに。

その「嘘の戦意高揚作戦」のプレッシャーに押しつぶされたアイラは自分自身を見失い、日々、泥酔するようになってしまう。



しかし、他の2人を含め、米軍の国債キャンペーンのスタッフたちは、そんなことはお構いなしだった。

今見れば、この時の「国債買ってキャンペーン」がなんてバカバカしいことかと思うけど、当時のアメリカの資金難は尋常じゃなかったんだろうなと思う。



人々に注目してもらうために作られた英雄

そこに違和感を持たずにはいられなかった



映画「父親たちの星条旗」



人種差別を受ける「英雄」


そんな中、私にとって、最も印象的なシーンがある。

それは、街にあるバーの前の道路で仁王立ちになったアイラが椅子を振り回し、大暴れしているシーンだった。



日頃から泥酔していたアイラだったので、スタッフたちは「あいつ、また暴れてる。なんとかしろ」程度の対応しかしなかった。

しかし、その後、ドクがアイラにその理由を尋ねると、彼は「入店を拒否された」と答えた。



これは衝撃だった。

全米各地を英雄として巡っていた彼らが、「ネイティブアメリカンだから」という理由で入店を拒否される



アメリカのように自由で平和な資本主義を広めるために世界で戦っている彼らが、本土へ帰れば差別を受けている

彼の生活が一向に良くならないのなら、なぜ、何のために彼らは戦っているのかと言わざるを得ない場面だった。



映画「父親たちの星条旗」



生き残るのが英雄なのか、戦場で命を落とせば良かったのか


そして、そのプレッシャーに苦しみ、ほぼ毎日泥酔していたアイラのセリフがとても印象的だった。

俺はただ弾をよけていただけなのに。なんで英雄にされるんだ



運よく命が助かっただけで、英雄ではない。

これは、多くの兵士たちが思う現実だろう。



多くの亡くなった兵士たちとなんの違いもないのに。なぜ、自分は英雄なのか

そのことに悩まされ続けたアイラは、その後、孤独な死を遂げてしまう。



戦争でせっかく助かった命、生き延びた命だったのに、本土に帰ってきてから悩まされ続け、辛い思いをし、命を落としてしまうなんてあまりにも悲しすぎる彼の生涯だった。



映画「父親たちの星条旗」



表面ではなく、その裏側を知る努力


そして思う。英雄とは、一体何なのか。

人を一人でも多く殺した者が英雄なのか。

それとも悲惨な状況の中、逃げ続け、命からがら助かった者が英雄なのか。



米軍から「英雄」と言われ、資金集めに散々利用された結果、それまで生活が変わらず、差別を受けていたものが差別を受け続けるのであれば、ただの戦意高揚の道具だとしか言いようがない。



私たちは、つい、テレビやラジオで政府が垂れ流す情報をそのまま鵜のみにしてしまうことが多々ある。

しかし、その裏にある真実とは何かということに目を向け、耳を傾けないと、世の中は簡単に間違った方向に動いてしまう。

そのことを強く感じた映画だった。




関連記事


硫黄島の戦いについて考える


「硫黄島からの手紙」
第二次大戦の硫黄島の戦いを日本側の視点から描く。戦争が引き裂く、個人、家族、友人たちについて。渡辺謙主演、クリント・イーストウッド監督映画【感想】



見逃しちゃった?でも大丈夫!映画「父親たちの星条旗」は、現在U-NEXT で配信中


本ページの情報は2019年8月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。





↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





Amazon Primeで観る:「父親たちの星条旗」(字幕版)

父親たちの星条旗(字幕版)

新品価格
¥199から
(2018/7/28 23:03時点)



DVDで観る:「父親たちの星条旗」

父親たちの星条旗 [Blu-ray]

新品価格
¥864から
(2019/8/5 15:05時点)



「父親たちの星条旗」オリジナル・サウンドトラック

「父親たちの星条旗」オリジナル・サウンドトラック

新品価格
¥9,980から
(2016/8/6 12:36時点)



原作本「硫黄島の星条旗」

硫黄島の星条旗 (文春文庫)

新品価格
¥1,028から
(2016/8/6 12:39時点)


















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


オスカー・アイザック主演の映画「The Promise/君への誓い」を試写会で観た。

1914年、第一次世界大戦当時に実際に起きた、オスマン帝国によるアルメニア人虐殺を描く。


満足度 評価】:★★★★☆

第一次世界大戦当時にこんなことが起きていたなんて知らなかった。

三角関係から始まって主人公たちに感情移入し、やがて戦争がやってくると、その戦争がまるで自分に起きていることのように感じた。

後半は涙なくしては観られなかった。


この感想にはエンディングに関するネタバレが含まれています。映画をご覧になってからお読みください。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「The Promise 君への誓い」予告編 動画

(原題:The Promise)



更新履歴・公開、販売情報

・2018年1月31日 試写会で観た感想を掲載。

・2019年2月17日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。

ネット配信で観る:「THE PROMISE 君への誓い」(字幕版)

THE PROMISE 君への誓い(字幕版)

新品価格
¥400から
(2019/2/17 16:04時点)



DVDで観る:「THE PROMISE 君への誓い」

THE?PROMISE 君への誓い?Blu-ray?豪華版

新品価格
¥5,055から
(2019/2/17 16:06時点)





キャスト&スタッフ


出演者

オスカー・アイザック
…(「サバービコン 仮面を被った街」、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」「X-MEN:アポカリプス」「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、「ドライヴ」、「インサイド・ルーウィン・デイビス 名もなき男の歌」、「ワールド・オブ・ライズ」、「アレクサンドリア」、「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」、「極悪の流儀」など)

シャルロット・ルボン
…(「ザ・ウォーク」、「マダム・マロリーと魔法のスパイス」など)

クリスチャン・ベール
…(「バイス」、「リベリオン」、「マニシスト」、「3時10分、決断の時」、「マネー・ショート 華麗なる大逆転」、「ファーナス/訣別の朝」、「ザ・ファイター」など)

〇アンジェラ・サラフィアン


〇ジャン・レノ

ショーレ・アグダシュルー
…(ドラマシリーズ「パニッシャー」など)



監督

〇テリー・ジョージ

2016年製作 スペイン・アメリカ合作映画



映画「The Promise 君への誓い」




あらすじ


1914年のオスマン帝国。

小さな田舎町で育ったアルメニア人のミカエル(オスカー・アイザック)は医者を志すも、医大に入学する金が無く、地元の有力者の娘・マラル(アンジェラ・サラフィアン)と婚約し、彼女の持参金でイスタンブールにある医大に入学する。

「必ず戻ってくるから、その時に結婚しよう」と約束して。

イスタンブールでは、同じくアルメニア人のアナ(シャルロット・ルボン)と、アメリカ人ジャーナリストのクリス(クリスチャン・ベール)のカップルと出会う。

その頃、オスマン帝国は第一次世界大戦に参戦し、戦場へ取材に向かうクリスはイスタンブールを離れることが多く、ミカエルとアナは恋に落ちる。

また、その頃、イスタンブールではアルメニア人を排斥する動きが始まっていた…。


映画「The Promise 君への誓い」オスカー・アイザック



感想(ネタバレあり)


ホロコースト以前、第一次世界大戦当時に起きたアルメニア人大虐殺


ナチスドイツによるユダヤ人大虐殺(ホロコースト)と言われれば、きっと誰もが聞いたことがあり、酷い話だと思うことだろう。

そして、みな、その話を聞いたときには「もう、二度とこんな酷いことは起きないように」と願うのだが、人間は過去から学ぶことができず、その後も、人種差別や迫害、虐殺はいつも世界のどこかで起きている



今回、この映画で描かれるのは、ホロコースト以前の1914年にオスマン帝国で起きたアルメニア人大虐殺である。

私は、オスマン帝国でそんなことが起きていたなんて知らなかった。



しかも、多くの犠牲者(150万人)を出しておきながら、トルコは現在も、その事実を認めようとしていないという。

ということは、きっと私だけでなく、多くの人にとってこれが「初めて知ること」なのかもしれない。

それだけでも、この映画の存在意義があり、より多くの人に見て欲しい理由の一つである。



「虐殺」にはとても暗くて重いイメージがるし、悲惨なできごとを扱っているけれども、この映画は人間の感情面にフォーカスをあてていて、とても感情移入しやすく、見やすくできている

なので、身構えることなく観て欲しい作品なのだ。



映画「The Promise 君への誓い」クリスチャン・ベール、オスカー・アイザック



主人公たちに感情移入することで、戦争がより身近になる


物語の中心となるのは、主人公たちの三角関係である。

医学生のミカエルと、ミカエルが世話になっている叔父の家で家庭教師をしているアナ。

そして、アナのボーイフレンドでアメリカ人ジャーナリストのクリス。



ミカエルとアナは、共にアルメニア人だったことから意気投合。

ジャーナリストのクリスは戦場に出向いて家を空けることが多く、アナは寂しい思いをしていたことでミカエルと恋に落ちるようになる。

しかし、ミカエルには故郷に婚約者がいるのだが、アナに言い出せずにいた。



アナの気持ちわかるなぁ。

自分が「よそ者」の土地で同郷の人に会うと、それだけで嬉しくなってしまうし、恋に落ちる確率も高くなる気がする。



ミカエルとアナの間には、クリスの入り込めない感情のつながりのようなものがあり、やがてミカエルとアナを見守るようになる。



この「好きな人に恋人がいる」ことからスタートする三角関係は、きっと誰にとっても経験のある感情なのではないかと思う。

付き合っているパートナーがいながら、新たに出会った人を好きになってしまったり、恋人が他の人へ気持ちが揺らいでいってしまうこととか…。

観客は「あぁ、その気持ちわかるわぁ」と主人公たちに共感し、感情移入していく



そこで戦争が起き、彼らの仲を引き裂いていく

その時には、彼らに既に感情移入していたため、観客にとって「戦争や虐殺」という、本来なら遠くの世界で起きているようなことが、まるで自分の身に起きているような身近なこととして伝わってくる



好きな人がある日突然姿を消したり、兵士として戦場に送られてしまったり。

そんな胸を引き裂かれるようなことが、この映画の中で起きている。



この映画の試写会に参加した時、監督のトークイベントがあり、その中で「『ドクトルジバゴ』のようなクラシックな恋愛映画を参考にした」と言っていた。

監督がそう言うように、これは昔からある、とてもクラシックな描き方だけど「戦争を身近に起きているできごと」として観客に感じてもらうように、導入部分に恋愛を描いているのだ。



もしかしたら、「戦争映画に恋愛感情はいらない」と思った人もいるかもしれないけれど、そこがあったからこそ、後半の戦争部分がより心に迫ったのだと思う。



映画「The Promise 君への誓い」シャルロット・ルボン、クリスチャン・ベール、オスカー・アイザック



ひとりの人間の勇気ある行動が、多くの命を助ける姿に感動


戦争が起き、アルメニア人排除の動きが高まり、ミカエルはトルコ軍に徴兵されてしまう。

本来なら、医学生は免除されるはずなのに「アルメニア人だから」という理由で、無理やり連れていかれてしまう。

そして、ミカエルは他の強制収容されたアルメニア人たちと共に重労働をさせられる。



そこでアルメニア人による暴動が起き、その隙を狙ってミカエルは脱走し、故郷へと向かう。

そんなミカエルを助けたのは、クリスだった。

クリスからしたら、ミカエルは恋人を奪った相手。

しかし、クリスはミカエルを憎むどころか、自分の命を投げ出して助けようとする。



当然、心中は穏やかではなかったに違いない。

内心、クリスはミカエルを憎んだことだってあったはずだ。

しかし、クリスはアナの恋人である前に、一人の人間であり、平和と正義を望むジャーナリストなのだ。

そして、クリスはアメリカ大使館に助けを求める。

その行動が、後々ミカエルの命を助けることになる。



大使館はクリスをオスマン帝国軍からクリスを解放。

クリスはオスマン帝国からフランスへ脱出。

クリスからアルメニア人たちが虐殺されていることを知ると、フランス軍はオスマン帝国へアルメニア人たちを助けに向かう。



戦争が始まってから、クリスの「アルメニア人たちを助けたい」という思いには何度も感動して号泣してしまった

「目の前にいる人を助けずにはいられない」という、居ても立っても居られない感じがとても良かった。



実際には、そんな簡単に大使館もフランス軍も動かないかもしれない。

しかし、問題はそこではなく、ここで示しているのは、1人の善意が行動を起こすことで大勢の人を助けることができるということなのだ。

他国(クリスはアメリカ人)の人も、目の前で悲惨なことが起きていたら、傍観者にならずに行動を起こせば多くの人を救うことができる。

戦争を反対することも、ジャーナリストが戦場で起きていることを告発するのも、「善意の行動」の一つである。



しかし、なぜ、いつの時代も

人種が、思想が、肌の色が違うからと言って、異なる人を排除しようとするのだろうか。

そして、なぜ、いつまで経っても、人は学ぼうとしないのか



これは、第一次世界大戦当時を舞台にした映画だけれども、現代に通じる物語なのである。

この映画の中で、クリスの勇気ある行動が多くの人々を助けたように。

誰かの勇気ある行いが、多くの人を助けることができるかもしれないという可能性や希望を感じることができる



もちろん、きれいごとだけではなく、それと同時に多くの善人たちが理不尽に殺され、亡くなっていくことも、戦争の側面として描かれている。



だからこそ、こういうことは二度と繰り返してはいけないのである。



映画「The Promise 君への誓い」オスカー・アイザック



「生き延びること」が復讐になる



その中で、とても印象に残ったセリフがある。

それは、家族を殺されてしまったミカエルが怒りに震え「復讐したい」と言った時に、アナがミカエルに言ったセリフである。

あなたが生き抜くことが、彼らへの復讐になるのよ



そのセリフが、この映画の全てを表しているように思った。



たとえ、酷い仕打ちにあって、悔しい思いをして、向かってくる相手を殺したとしても、何の解決にもならない

彼らはその上の人たちから動かされている兵隊に過ぎない。

「虐殺してやる、滅亡させてやる」と言って向かってくる相手に悔しい思いをさせたいなら、生き延びて、豊かな人生を送り、民族を繁栄させるのが一番なのである。



「暴力」では何も解決しないのだ。

そのことについて、我々はそろそろ過去から学んでも良いのではと思う。



その後のミカエルの人生は、私たちに希望を与えてくれる

たくさん悲しいことがあったけれど、生きていればきっといいことがある

そう思えるミカエルの人生だったと思う。



本当に世の中から、このような理不尽なことで亡くなる人が一人もいなくなるような時代がくればいいなと思う。




Twitterでも映画や海外ドラマの情報を発信しています~。







↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村



ネット配信で観る:「THE PROMISE 君への誓い」(字幕版)

THE PROMISE 君への誓い(字幕版)

新品価格
¥400から
(2019/2/17 16:04時点)



DVDで観る:「THE PROMISE 君への誓い」

THE?PROMISE 君への誓い?Blu-ray?豪華版

新品価格
¥5,055から
(2019/2/17 16:06時点)






















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


エミール・クストリッツァ主演・脚本・監督の映画「オン・ザ・ミルキー・ロード」を試写会で観た。

戦争中の村で、ミルクを戦地に運んでいた男が、その村にやってきた花嫁に恋をして逃避行をするコメディ映画。



満足度 評価】:★★★★☆

旧ユーゴスラビア出身のクストリッツァ監督による、山奥の小さな村を舞台にしたおとぎ話。

この映画には動物がたくさん出てきて、私たちを笑わせてくれるけれど、

その動物たちの行動をよく見ていると、そこには、戦争の悲惨さを伝えるメッセージが込められている



西側が正義だと主張して行っていた軍事行動は、東側の人たちからしたら、ただの暴挙でしかない

思わずハッとするような、その事実に気づかされた作品だった。

ユーゴスラビア出身のクストリッツァ監督だからこそ描けた作品。

目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「オン・ザ・ミルキー・ロード」予告編 動画

(原題:ON THE MILKY ROAD)




更新履歴・公開、販売情報

・2017年9月5日 試写会で観た感想を掲載。

・2018年11月7日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。



DVDで観る:「オン・ザ・ミルキー・ロード」

オン・ザ・ミルキー・ロード [DVD]

新品価格
¥3,013から
(2018/11/7 15:45時点)



ネット配信で観る:「オン・ザ・ミルキー・ロード」(字幕版)

オン・ザ・ミルキー・ロード(字幕版)

新品価格
¥2,500から
(2018/11/7 15:46時点)



原作本「夫婦の中のよそもの」

夫婦の中のよそもの

新品価格
¥2,268から
(2017/9/5 19:31時点)



エミール・クストリッツァ監督作「アンダーグラウンド」Blu-ray

アンダーグラウンド Blu-ray

新品価格
¥12,128から
(2017/9/5 19:34時点)



エミール・クストリッツァ&ノースモーキング・オーケストラ「ウンザ・ウンザ・タイム」

ウンザ・ウンザ・タイム

新品価格
¥2,401から
(2017/9/5 19:35時点)




キャスト&スタッフ


出演者

〇エミール・クストリッツァ

〇モニカ・ベルッチ




監督・脚本

〇エミール・クストリッツァ


2016年製作 セルビア・イギリス・アメリカ合作映画



オン・ザ・ミルキー・ロード




あらすじ


戦地へミルクを運ぶ仕事をしているコスタ(エミール・クストリッツァ)は、村一番の兵士・ジャガの元に花嫁としてやってきた美女(モニカ・ベルッチ)と恋に落ちてしまう。

ジャガは花嫁と、コスタはジャガの妹と結婚することになっていた。

彼らの結婚式の当日、村は多国籍軍からの砲撃を受け、多くの村人が殺され、コスタは花嫁を連れ逃亡しようとするが、多国籍軍の兵士に見つかり、二人は追われることになってしまう。



オン・ザ・ミルキー・ロード4





感想(ネタバレあり)


クストリッツァ監督は、旧ユーゴスラビアの出身である


この映画を監督したエミール・クストリッツァは、東欧の旧ユーゴスラビア出身

他民族国家の旧ユーゴスラビアは、冷戦後の1990年代に各民族が対立し、長い間紛争を繰り返してきた

Wikipediaによれば

この国家は、後に『七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、二つの文字、一つの国家』と言われる程の多様性を内包していた。

Wikipedia「ユーゴスラビア紛争」より

と言われる程の多様性だった。



また、そのWikipediaのページによれば、

その紛争は、NATO、国連軍の介入により終結した

と書かれている。



その、「ユーゴスラビアは民族同士の対立による紛争を繰り返してきた」ことと、

「紛争はNATO、国連軍の介入によって終結した」という二つのできごとを頭の片隅に起きつつ、

この映画を観ると、いろいろなことが見えてくる。



いつもハリウッド映画ばかりを観て、「西側からの主張」が自分の正義の中心にあった私には、紛争の中の人(クストリッツァ監督)が描くこの物語にハッとさせられた

そして、未だに、国連軍や、平和維持軍、アメリカなどが「正義のため」に行っている戦争で犠牲になるのは、なんの罪もない国民たちで、彼らにとって大国の『正義』は、ただの暴挙でしかない。



オン・ザ・ミルキー・ロード5


隣村との和平協定は、人間同士の結婚のようなもの


この物語を構成しているのは、『寓話』である。

私たちが幼い頃によく読んだイソップ物語のように、よくいる平凡な村人と動物たちが、この『オン・ザ・ミルキー・ロード』をリードしていく。



主人公のコスタの住む村では、いつも隣の村と戦争をしていた。

そこへ、ハヤブサが飛んできて、ヘビをくわえて飛んでいく。

これは、弱肉強食を示していて、その映像のすぐ後には、ヘリコプターが飛んできて食料を落としていく。

つまり、この時のハヤブサはNATO・多国籍軍を示し、ヘビは弱者である村人たちを示す

ここから、NATO軍は早くから、村人たちの行動を制御しようとしていたことがうかがえる。



その後、コスタの住む村は、隣の村と和平協定を結ぶことになる。

それを、この映画では人間同士の結婚で表現している。

人々は、「これで、長い冬も終わり、私たちも幸せになる」と喜んでいたのもつかの間、

再びNATO・多国籍軍のヘリコプターがやってきて、村人たちを1人残らず殺してしまう。

NATO・多国籍軍にとっては、村同士が争っている方が都合がよく、その和平協定が『裏切り』でしかなかったからだった



NATO・多国籍軍による攻撃は、多くの無実の人々を殺し(映画の中では羊たちで表現されている)、気付いた時には、村中が焼け野原になっていた。

(後半部分で、羊たちがいなくなった後、上空からの俯瞰の映像で、多くの焼け跡が表現されている。)



オン・ザ・ミルキー・ロード3


ただ空襲が終わるのを黙って待ち続けた国民たち


クストリッツァ監督は、その中で、戦争の悲惨さを動物たちをモチーフにして表現している。



たとえば、真っ白なアヒルが牛の血で真っ赤に染まる場面の後には、必ず悲惨なことが起きたり

無抵抗で何の害もない羊の群れが地雷で犠牲になるが、その羊の群れとは、何も知らない善良な国民のことを示している



そして、ヘビが人間たちに恐怖を知らせる使いとして登場する。

もしも、目の前に大きなヘビがいて、身体に巻き付いてきたら、誰だって「怖い!!」と思うだろう。

だからといって、無茶にほどこうとすると、逆に殺されてしまう。

ただじっとして、ヘビが過ぎ去るのを待てばいい。



これは、戦争での実体験を示していて、目の前に大きな恐怖があった時、無理にそこから動こうとしてはいけない。

動かず、何も言わずに、ただ、恐怖が過ぎ去るのを、じっと待てばいい

コスタはヘビに巻き付かれた時に、その恐怖感から逃げ出そうとするが、ただじっとヘビとのにらみ合いを続けたことで、戦火を逃れ、ヘビに命を助けられる。

空襲に襲われたら、ただただそこで、じっとして過ぎ去るのを待つしかない



隣の村との和平が進み、コスタが住む村には、待ちに待った休戦が宣言される。

しかし、NATO・多国籍軍により和平協定は破綻し、村は破壊され、残された国民が、復興のために細々と暮らす生活がやってくる。



ラストで、羊たちが大勢殺され、焼け野原となった場所へと石を運び続けるコスタ。

羊たちの大虐殺は、NATO軍による大虐殺を示す

その場所は、愛する人が殺された場所でもあった。

コスタが運ぶ石は、殺された人の数



その後、映像は上空からの俯瞰映像になるが、そこに、おびただしい数の石が並べられていることが分かる。

コスタは、15年間、石を並べ続け、死者たちに哀悼の意を捧げている

どれだけ多くの人が、ユーゴスラビアで犠牲になったことか

白い石の色がそれを示し、広かった国土も、ほんのわずかな大きさになってしまったことも分かる。

その空からの映像を見て、胸が締め付けられる思いで、この映画を観終えることとなった。



オン・ザ・ミルキー・ロード2



どんな理由があっても、他人のケンカに首を突っ込んではいけない


私が、この映画を観て衝撃だったのは、ユーゴスラビアの人たちは、『平和維持軍』と名付けられたNATO・多国籍軍に、村をめちゃくちゃにされたと考えていることだった。

彼らが来なくても、自分たちの力で和平協定を結ぶことができたのに、それをめちゃくちゃにしたのはNATO・多国籍軍だったということ。



確かにそれは、当人同士の結婚について、見ず知らずの他人がやってきて、「そんなものは、裏切りだ!!」と言っているようなもので。

その表現のうまさに、思わずハッとしてしまった。



本来だったら、戦争の最中であっても歌って踊る陽気な人たちなのに、多くの村人が殺されてしまった後は、ただ黙々と復興に向けた作業を行っている姿はとても切ない。

本当だったら、飲めや歌えのどんちゃん騒ぎをしている人たちのはずなのに…。



しかし、亡くなった人たちを取り戻そうとしても、時計を止めることはできない。

(この時計がとても強烈で、止めようものなら怪我をする噛みつき時計…)

西側による分断により、多くの国民を失い、国土は狭められることになったけれども、亡くなった人への思いを忘れずに、前に進み続けるしかない。



この寓話の教訓は、どんな理由があれ、他人のケンカに首を突っ込むなということ

小さな民族同士の対立について、正当な理由をでっち上げ、大国が軍事介入をしたところで、悲しい思いをするのは無垢で善良な国民である。



西側諸国からすると、きっと今では平和に暮らしているんだろうと、思い上がった正義で旧ユーゴスラビアの人々を見てしまうけれど、当人たちは、その悲しみから、まだ抜け出せずにいた。

熊だって餌を与えれば、人間と仲良くすることができるのに、なぜ、人間同士は戦争をしてしまうのか。

その、戦争による一人一人の命の軽さが胸を締め付ける作品であり、

旧ユーゴスラビア出身の、クストリッツァ監督による、西側への皮肉がタップリと込められた寓話だった。




Twitterでも映画・海外ドラマ情報を発信しています~







↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





DVDで観る:「オン・ザ・ミルキー・ロード」

オン・ザ・ミルキー・ロード [DVD]

新品価格
¥3,013から
(2018/11/7 15:45時点)



ネット配信で観る:「オン・ザ・ミルキー・ロード」(字幕版)

オン・ザ・ミルキー・ロード(字幕版)

新品価格
¥2,500から
(2018/11/7 15:46時点)



原作本「夫婦の中のよそもの」

夫婦の中のよそもの

新品価格
¥2,268から
(2017/9/5 19:31時点)



エミール・クストリッツァ監督作「アンダーグラウンド」Blu-ray

アンダーグラウンド Blu-ray

新品価格
¥12,128から
(2017/9/5 19:34時点)



エミール・クストリッツァ&ノースモーキング・オーケストラ「ウンザ・ウンザ・タイム」

ウンザ・ウンザ・タイム

新品価格
¥2,401から
(2017/9/5 19:35時点)


















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


エマ・トンプソンブレンダン・グリーソン主演の映画「ヒトラーへの285枚の葉書」を映画館で観た。

第二次世界大戦のベルリン。

戦争で息子を殺された中年夫妻が、ペンと絵葉書を使い、ナチスを批判し続けた実話の映画化。



満足度 評価】:★★★★☆

仕事をしている人なら、職場での会議の時や、学生なら、クラス全員が参加する学級会の席など、日常生活の中で「それは、間違っています。考え直しませんか?」と言うことが、とても難しい時がある

そんな時、「明らかに私の意見が正しいけど、面倒だし、早く終わりたいから、ここは黙っておこう」と思うことがある。

しかし、そんな『面倒』を通り越し、どうしても意見を言わなければならない時もあって、そういう時は、相手が大きければ大きい程、強いパワーが必要とされる。

この映画では、『息子を殺された苦しみ』を正義を貫くパワーに変え、ナチスに立ち向かって行った夫妻の実話が描かれている。


「ヒトラーへの285枚の葉書」予告編 動画

(原題:ALONE IN BERLIN)




更新履歴・販売情報

・2017年8月6日 映画館で観た感想を掲載。

・2018年7月1日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVDが販売中。



DVDで観る:「ヒトラーへの285枚の葉書」

ヒトラーへの285枚の葉書 [DVD]

新品価格
¥3,354から
(2018/7/1 16:15時点)



原作本「ベルリンに一人死す」

ベルリンに一人死す

新品価格
¥4,860から
(2017/8/6 19:09時点)



参考「ヒトラーに抵抗した人々 - 反ナチ市民の勇気とは何か」

ヒトラーに抵抗した人々 - 反ナチ市民の勇気とは何か (中公新書)

新品価格
¥950から
(2017/8/6 19:12時点)



キャスト&スタッフ


出演者

エマ・トンプソン
…(「美女と野獣」、「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」、「ロング・トレイル!」、「二つ星の料理人」、「ウォルト・ディズニーの約束」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」、「パイレーツ・ロック」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」など)

ブレンダン・グリーソン
…(「ロンドン、人生はじめます」、「パディントン2」、「夜に生きる」、「アサシン・クリード」、「未来を花束にして」、「ある神父の希望と絶望の7日間」、「白鯨との闘い」、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」、「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」など)

ダニエル・ブリュール
…(「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」、「黄金のアデーレ 名画の帰還」、「コロニア」、「二つ星の料理人」、「フィフス・エステート/世界から狙われた男」、「誰よりも狙われた男」「ラッシュ/プライドと友情」など)

監督

〇ヴァンサン・ペレーズ


2016年製作 ドイツ・フランス・イギリス合作映画

ヒトラーへの285枚の葉書

あらすじ


1940年 第二次大戦中、対仏戦争で勝利を収めたと戦勝ムードに湧いていたドイツ・ベルリン。

労働者階級であるクヴァンゲル夫妻の元に届いた一通の手紙。

それは、息子の戦死を伝えるものだった。

悲しみに打ちひしがれ、善良で無実の息子を殺すような戦争は間違っていると考えるようになる。

そして、夫のオットー(ブレンダン・グリーソン)は、ナチスを批判する文章を絵葉書に書き、町中の公共施設に起き始める。

やがて、妻のアンナ(エマ・トンプソン)も、オットーの活動を手伝うようになる。


ヒトラーへの285枚の葉書3


感想(ネタバレあり)


「間違っている」ことを「間違っています」と言う勇気


大切に育てた一人息子が、夢と希望を抱いて希望の会社に就職して喜んでいたのもつかの間、過酷な労働に耐えきれず、過労死してしまったとしたらどうするだろうか。

息子の命は、もう帰ってこない。



それでも、相手が大きな会社で勝ち目がなかったとしても、息子が間違っていなかったことを証明するために、その会社を訴えようと思うのではないだろうか。

その時、両親の心を支えるのは、『同じ過ちを他の人に繰り返して欲しくない』という思い。

たとえ誰も味方になってくれなくても、裁判で負けたとしても、『現状を訴え、周りの人たちに知らせること』に、とても意義があるし、『他の人たちを救いたい』という思いが、希望となり、生きがいになる



この映画の主人公であるクヴァンゲル夫妻は、戦争で大切な一人息子を失ってしまった

やはり、彼らも『ナチスドイツが間違っている』と思い、『この悲しみを早く終わらせる』ために

毎日、毎日、匿名のポストカードで『ナチスは間違っている。戦争を終わらせろ!』と訴え続けた

そんな彼らの勇気ある行動に、私は涙があふれ続けた。



現在の平和な国で暮らす私たちですら、「この会社は間違っています」と訴えることがとても難しいのに、

戦時中、周りはナチスを強く信じている人たちばかりの中で

あのナチスドイツを訴え続けた夫妻の勇気はどれ程のものだったか



しかし、彼らはそんなプレッシャーに押しつぶされるどころか、自分たちの反戦運動に生きがいを感じ

ナチスのために生活していた頃よりも、人間らしさを取り戻していくようになる。

やはり、人間は『正しいことをしている時』が、一番イキイキとする時なのではと思う。



ヒトラーへの285枚の葉書5



自分たち以外みんな敵!!の中で行われたナチスとの戦い


クヴァンゲル夫妻は、「ナチスの体制は間違っている」「戦争をいますぐやめるべき」という、

ナチスを批判する文章をポストカードに書き、ベルリン市内のさまざまな公共施設に置き続けた

それは、約2年間の間で、285枚になったという。

しかし、その大多数(9割以上)が、市民によって警察に届けられている。



それは、当時の9割以上の市民が、『ナチスを批判する者は、逮捕しなければならない』と感じ、通報したという結果である。

つまり、多くの市民が、当時のナチスが掲げていた『ユダヤ人を殺せ』『政府批判をするものは殺せ』『戦争で世界征服しよう』というスローガンを何も疑うことなく、強く信じていたということだ。



そんな中、クヴァンゲル夫妻は『誰も味方してくれない』という孤独を感じながらも、ナチス批判をする活動を続けていた

夫妻が誰にも知られないように、そっとカードを置くシーンでは、

それを見ている私まで、なんだか共犯者になったような気分になってドキドキし、一人でも多くの人に、彼らの声が届くようにと思いながら観ていた。



でもきっと、通報した人たちの中にも、そのカードの内容に共感しながらも、『通報しなければ、自分が殺される』という恐怖心から、警察へ届けた人たちもいたはず

それも含めての孤独なのだが、そう思うと、やはり彼らの勇気と意志の強さには頭が下がる



ヒトラーへの285枚の葉書4



ナチスのために働くことが正しいことだと信じていた警部の気づき


当時のベルリンで孤独を感じていたのはクヴァンゲル夫妻だけではない。



小鳥を飼いながら、帰らぬ夫の帰りを待っていたユダヤ人のおばあさん。

そのおばあさんを、家の中に隠そうとした判事。

彼らも、ナチスの「ユダヤ人迫害」を間違っていると思いながら、ひっそりと生活していた。




また、クヴァンゲル夫妻を追い続けた警部(ダニエル・ブリュール)も、捜査をしていくなかで、ナチス幹部の自分勝手で理不尽な態度に疑問を感じるようになっていた。

その警部がクヴァンゲル夫妻を逮捕した時、夫妻はあっさりと罪を認め、なおかつ堂々としていた

その夫妻の態度に警部は打ちのめされる。



夫妻は、息子を失った時に、『もう生きている意味がない』と語っている

彼らには、もうこれ以上失うものがない

だから、堂々としているし、自ら進んで死刑台へと向かうのだ。

彼らが死刑宣告をされた時の晴れやかな顔がとても印象的だった。



その一方で、警部はナチスの行動を間違っていると思い始めていた。

そこで、彼は夫妻のポストカードを改めて読み返し、彼らの言葉に共感し、自ら命を絶ってしまう。

彼らの思いに共感した以上、もう警部としては生きていけないと思ったのだろう。



誰も表立った味方をしてくれなくて、クヴァンゲル夫妻は孤独だったかもしれないが、

ユダヤ人を助けようとした判事や警部たちのようすを見ていると、

カードを見つけて、通報しなかった僅かな人たちも含め、心の奥底では賛同していた人たちは確実にいたし、それが、この映画の正義であり、希望なんだろうと思った。

クヴァンゲル夫妻の思いは、必ず誰かの心に届き、響いている



ヒトラーへの285枚の葉書2



「これは間違っている」と訴え続けることの大切さ


人は洗脳されると感覚が麻痺してしまい、正しいものが正しいと判断できなくなる

この映画では、当時のベルリンで9割以上の国民がナチスドイツに洗脳されていたことになる。

だから、だれもクヴァンゲル夫妻に賛同しないし、後に続かないし、味方しない。



ということは、ナチスのような独裁政権が力を握る前に、『間違っていることは、間違っている』と意見を言い続けることと、その意見を聞き入れる耳を持つことは非常に大切なことなんだと教えられた。



戦争で大切な息子が殺された時に「戦争なんかあるから息子は殺されたんだ」と思うのは、正常な人としての反応だと思うし、「お国のために戦ったんだだから仕方がない」と思うのは、国に洗脳されてしまった人の反応だと思う。

しかし、たとえ、洗脳されてしまったとしても、善良な国民には罪はない

その状態を作り出した戦争と政治に問題がある



「戦争で息子を殺されるという悲しみを、他の人たちの味あわせてはいけない」というクヴァンゲル夫妻の願いは

こうして映画化されることで、世界中に伝えられ、これからも語り継がれていくことだろう。

彼らの闘いは、今も続いている






↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





原作本「ベルリンに一人死す」

ベルリンに一人死す

新品価格
¥4,860から
(2017/8/6 19:09時点)



参考「ヒトラーに抵抗した人々 - 反ナチ市民の勇気とは何か」

ヒトラーに抵抗した人々 - 反ナチ市民の勇気とは何か (中公新書)

新品価格
¥950から
(2017/8/6 19:12時点)




















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


ヘレン・ミレン主演の映画「アイ・イン・ザ・スカイ」を試写会で観た。

6年間追い続けたテロリストをケニアで発見した英米軍合同作戦本部。英軍はドローンからのミサイル攻撃を命令するが、そこには無実の少女がいて…。

満足度 評価】:★★★★☆

最初から最後まで緊張感が途切れない展開、1人の無垢な少女に対する軍部の葛藤。

そして、最後の選択には涙が溢れてしまった。

「現代の戦争はカメラ越しに行われている」という現実にも驚かされる映画だった。

「アイ・イン・ザ・スカイ」予告編 動画

(原題:EYE IN THE SKY)




ネット配信で観る:アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(字幕版)

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(字幕版)

新品価格
¥500から
(2018/2/18 15:52時点)



DVDで観る:「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」Blu-ray

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 [Blu-ray]

新品価格
¥3,854から
(2018/2/18 15:53時点)



参考図書:CIAの秘密戦争――「テロとの戦い」の知られざる内幕

CIAの秘密戦争――「テロとの戦い」の知られざる内幕

新品価格
¥2,376から
(2016/11/30 00:33時点)



キャスト&スタッフ


出演者

ヘレン・ミレン
…(「ロング、ロング・バケーション」、「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」、「マダム・マロリーと魔法のスパイス」、「黄金のアデーレ 名画の帰還」、「消されたヘッドライン」、「クイーン」など)

アーロン・ポール
…(「トリプル9 裏切りのコード」、「パパが遺した物語」、ドラマシリーズ「ブレイキング・バッド」)

アラン・リックマン
…(「ベルサイユの宮廷庭師」、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」、「ギャラクシー・クエスト」、「ダイ・ハード」など)

バーカッド・アブディ
…(「キャプテン・フィリップス」)

監督

ギャヴィン・フッド
…(「エンダーのゲーム」、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」)

2015年製作 イギリス映画



アイ・イン・ザ・スカイ



あらすじ


キャサリン・パウエル大佐(ヘレン・ミレン)は、6年間追い続けてきたイギリス人テロリスト2名と、アメリカ人テロリスト1名が、ケニアのナイロビにある民家に集まるという情報を得る。

その情報に基づき、ミサイルを搭載した無人爆撃機で空から監視を続け、その民家の近くにはアフリカ人の地上部隊を配備。

アメリカのラスベガスでは、無人偵察機(ドローン)からいつでもミサイルを発射できるように、空軍兵士スティーヴ・ワッツ(アーロン・ポール)が待機していた。

そして、全員の準備が整い、その民家に標的のテロリストが現れ、ミサイルのボタンを押そうとした時、その場に1人の少女が現れる。

急遽、パウエル大佐とフランク・ベンソン中将(アラン・リックマン)は、少女が犠牲になるのを覚悟の上で、攻撃するべきか、しないべきかの審議を開始するのだが…。



アイ・イン・ザ・スカイ2



感想(ネタバレあり)


ドローンにバグbot 最先端の戦争はモニター越しに行われる


この映画で描かれているのは、現代の戦争の姿。

地上にいる人間からは目視できない程の高さを飛ぶ無人偵察機(ドローン)

そして、そのドローンが監視する民家の上空。



さらには、その民家に入り込む鳥や虫の形をした監視カメラ「バグbot」

そして、ドローンやバグbotが送り込む映像をすぐに解析し、誤射を極力なくす

そして、解析の結果を受けて、そこから命令する軍幹部。



これまで考えていた戦争の現場とは、全く違う現場がここでは描かれていた。

現場で手足を失う者はなく、作戦は会議室で紅茶を片手にクッキーを食べながら行われ、極端にミスと犠牲を減らした実戦がそこで繰り広げられている。

その全てが衝撃的で、驚かされることばかりだった。



現在の戦争とは、wifiがつながるところだったらどこからでもミサイルを飛ばすことができ、敵に重大なダメージを与えることができる。

戦闘機も、操縦士もスナイパーも必要ないのだ。



アイ・イン・ザ・スカイ3



戦争がテレビゲーム化していくことへの危機感


それは、ちょうど一年程前の映画「ドローン・オブ・ウォー」でも描かれていた。

ドローン・オブ・ウォー」では、イーサン・ホーク演じる空軍のパイロットが戦闘機に乗って戦地へ行くことを希望していた。

しかし、彼は、ドローンの操縦が任務となってしまう。

そこではプレハブの中で、まるでテレビゲームをするようにミサイルのボタンを押すだけで、テロリストを殺すという日々が続き、精神的に病んでいってしまう姿が描かれていた。

ドローン・オブ・ウォー(字幕版)

新品価格
¥300から
(2018/2/18 16:04時点)





この映画では、そのドローンが、テロリストとの闘いの中でのどれだけ重要で必要とされているのかが描かれていた。

ドローン・オブ・ウォー」よりも、もっと大きな視野で描かれている作品のように見えた。



しかし、どちらの作品にも言えるのは、ミサイルのボタンを押す人間は現地のアフリカから遠く離れた地球の裏側にいるということ。

そして、遠く離れたところから攻撃することで、「人を殺す」ということに鈍感になっていくことへの危惧や、皮肉が描かれている。

だから戦争は起きてはいけないと世間は思うのか、それとも、この「モニターに向かってボタンを押すだけ」の行為がどんどんエスカレートしていくのか。



アイ・イン・ザ・スカイ4



母性、雑念を凌駕する6年間の執念


かといって、この作戦に関わっている人間がみな「とにかくミサイルのボタンを押せ」と思っているワケではない。

この映画の肝は、彼らの「本当に押していいのか」という葛藤にある。



ボタンを押せば、確実に少女が死ぬ確立が高い。

しかし、だからといってボタンを押さなければ、80人以上の人間が死ぬテロ事件が起きる可能性が高い。

ならば、1人の少女を犠牲にすることもやむなしと軍部は考える。



そんな中、作戦本部の中で最高の指揮権を握るパウエル大佐を支えていたのは、「テロリストを追ってきた6年間の執念」である。

これは、彼女が女性であるということがミソである。

母性が強い女性を指揮官にし「目の前で純粋無垢な少女が死んでいくこと」を彼女に想像させる。

だからこそ、誰よりも葛藤していたのはパウエル大佐だったはず。



しかし、彼女はその雑念の全てを振り払って作戦の遂行に思いを集中させる。

彼女をそこまで強くしたのは、テロリストを追い続けてきた執念である。

何度もテロを起こされ、悲惨な状況を目にし、なんとかこのテロを起こした犯人を捕まえてやる。

この一瞬の迷いでテロリストを逃がすわけにはいかない。

だから、多少、安全性の数字を変えても、とどめを刺すんだ。



その集中力と、執念があるからこそ、彼女はそのポストに座っているのだ。

決して、彼女が冷たい人間だという訳ではない。

彼女の背中には、その6年間に見てきた犠牲者たちへの思いと、テロリストを抹殺する任務がのしかかっていた



アイ・イン・ザ・スカイ5



そして私たちは考える。テロとの戦いは正しいのかと


そして、そんな作戦本部の任務を観ている観客も自身の倫理観について問われていく

映画として、この作戦が正しいのか正しくないかの明言はしない。

彼らがしたことについて描き「この結末が正しいのか」という判断は観客にゆだねている



罪もない少女を見殺しにするなんて許せないとか、いや、これで良かったんだとか…。

私は、散々泣いた後、あと5分待てなかったのか…と思った。



いや、でも、もしかしたら、あと5分待っていたら、テロリストはどこかの広場で自爆テロを起こし、もっと多くの犠牲者が出ていたのかもしれない。

だから、パウエル大佐の判断が最も正しかったんだと思う。



でも、やっぱり、どうにかならなかったのかと思ってジタバタするし、この後、きっとあの少女のお父さんはテロリストに協力する人間になっているんじゃないかと思った。

過激派に加わり、「アメリカは悪魔」と声高に叫んでいるんじゃないかと思う。



そうやって、テロリストを一人殺したところで、また新しいテロリストが生まれていくのだ。

だから、こんな戦争はやめてしまえと思う。

ハイテクの武力で制圧した気になっても、テロリストはなくならない

それは、パウエル大佐もベンソン中将も承知なんだと、彼らのラストの浮かばれない表情を観て思う。

こんなこと、いつまで続けていくんだろうか。


関連記事

ドローンによる戦争について考える

「ドローン・オブ・ウォー」パイロットは戦闘機を操縦しなくなりモニターの前でボタンを押すだけ。ゲームのスキルが重宝され命の重さは軽くなる。イーサン・ホーク主演映画【感想】






↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





ネット配信で観る:アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(字幕版)

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(字幕版)

新品価格
¥500から
(2018/2/18 15:52時点)



DVDで観る:「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」Blu-ray

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 [Blu-ray]

新品価格
¥3,854から
(2018/2/18 15:53時点)



CIAの秘密戦争――「テロとの戦い」の知られざる内幕

CIAの秘密戦争――「テロとの戦い」の知られざる内幕

新品価格
¥2,376から
(2016/11/30 00:33時点)




















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


アルゼンチン映画「トゥルース・オブ・ウォー」をWOWOWで観た。

1982年にアルゼンチンとイギリスの間に起きた「フォークランド紛争」と、兵士たちの心に残る傷について、アルゼンチン側からの視点で描く。

劇場未公開の作品をどこよりも早く放送する「WOWOWジャパンプレミア」の一本。



満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

「フォークランド紛争」について、初めてアイルランド側から作られた作品を観た。

ここには、戦争から帰ってきた兵士たちや、戦争で家族を亡くした家族たちの思いも描かれていて「戦争が人々に与える影響」について、改めて考えさせられる作品になっている。

そして、そこで傷ついた人たちの思いは決して風化させてはいけないものである。


「トゥルース・オブ・ウォー」予告編 動画

(原題:Soldado Argentino solo conocido por Dios)







キャスト&スタッフ


出演者

〇マリアーノ・ベルトリーニ

〇フローレンシア・トレンテ

〇セルジオ・スコーラ

監督・製作・脚本

〇ロドリゴ・フェルナンデス・エングラー


2016年製作 アルゼンチン映画



トゥルース・オブ・ウォー



あらすじ


美大生として進学を考えていたファン(マリアーノ・ベルトリーニ)は、軍人で友人のラモン(セルジオ・スコーラ)の妹アナ(フローレンシア・トレンテ)と婚約する。

しかし、そのことを知ったラモンはまだ若すぎる二人に激怒する。

それから間もなくフアンも入隊を志願し、ラモンと共にフォークランド諸島へ向かう。

しかし、そこでは不安が思っていた以上に悲惨な現実が待っていた。



トゥルース・オブ・ウォー2



感想(ネタバレあり)


1982年に起きたフォークランド紛争とは



この映画は1982年に起きた「フォークランド紛争」を舞台に描かれている。

しかし、「フォークランド紛争」と言われてもイマイチぴんと来ない。



フォークランド諸島とは、アルゼンチンから東500㎞沖の大西洋に浮かぶ島々のこと。

1982年当時、その島々はイギリスに領有権があった。

しかし、当時のアルゼンチン軍事政権が「古来からの領有権」を主張し、フォークランド諸島に侵攻。



それを受けて、イギリスのサッチャー首相は英軍をフォークランド諸島へ派兵し、アルゼンチン軍へ攻撃を行い、アルゼンチンとイギリスの間で開戦となる。

その戦いは3か月続いた後、アルゼンチンが降伏して終結する



私はこれまで「フォークランド紛争」といったら、イギリス側の視点で描かれたものを観てきた。

例えば、メリル・ストリープ主演の「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」では、財政難が続くイギリスでこの問題が起き、「弱腰な姿を見せてはいけない」というサッチャーが、兵士たちをアルゼンチンに容赦なく送り込む姿が描かれている。

そのサッチャーの容赦なさが「鉄の女」と言われるゆえんであるが、その裏では、この紛争で命を落としてしまった兵士たちの遺族への心配りをしていたサッチャーの姿も描かれていた。



この映画は、そのサッチャーの敵側、アルゼンチンの兵士たちの視点から描かれていたので、私からするととても新鮮なものだった。



この映画では、

「戦場へ行った者たち」「戦争から無事に帰ってきた者たち」「家族を失った遺族たち」

の3本の柱を中心にして、「フォークランド紛争」の戦前・戦中・戦後を通して全体像がわかる構成
になっている。



そして、全体を通して「フォークランド紛争とは何だったのか」を考えさせられる作品になっている。



トゥルース・オブ・ウォー3


戦場で身体に傷を負った者と心に傷を負った者



主人公の青年フアンは「戦場に行った者たち」である。

彼は、恋人の兄であり、友人のモランが軍人だったこともあって、志願兵としてフォークランド諸島へ出征する。

ところが、戦場は想像以上に壮絶で、いつ殺されるかわからないような状況だった。



どれだけ攻撃しても英軍に歯が立たないアルゼンチン軍は、多くの兵を失い撤退を余儀なくされる。

フアンは撤退する途中で、足を撃たれた仲間のスアレスを置き去りにしてしまったことを悔やみ続ける

結局、フアンはイギリス軍の捕虜になってしまうのだが、そこで仲間からラモンが戦場で亡くなったことを知らされ衝撃を受ける。



その後、本土に帰国したフアンだったが、スアレスとラモンのことが頭から離れず、恋人アナの元へ帰れなくなってしまう

彼らが亡くなったのはフアンのせいではなく戦争のせいなのに、どうしても責任を感じてしまう

地元から離れ、新しい土地で美大生として再出発しようとするが、何も続かず学校へ通い続けることができない。



それから数年後、恋人のアナがフアンを訪ねてくる。

始めはアナの訪問に戸惑いながらも、そこから少しずつ自分を取り戻していくフアン



そうして、アナと会って当時の兵隊仲間と会ううちに、スアレスと再会することができた。

フアンとスアレスは「戦争から無事に帰ってきた者たち」である。

スアレスは両足の膝から下を失っていたけれども、彼なりに前向きに生きていた



フアンとスアレスは、国の無謀な作戦で紛争に行かされた兵士たちを象徴している。

本来ならば、国が責任を持ち手厚くケアをすべきなのだが、その時の軍事政権が民間へと変わり責任を負おうとしない。

その結果、フアンとスアレスは自身で心身のケアをして生きていくしかない

フアンの場合は、周りの人たちが立ち直るきっかけを与えてくれたけど、それもなく、永遠に苦しむ人もいるのではと考えさせられる。



トゥルース・オブ・ウォー4


遺体を回収してもらえない遺族の思い



そのフアンの恋人アナは「家族を失った遺族たち」である。



戦争が終わり、ラモンが現場で亡くなったことは分かったものの、誰も何があったか教えてくれない。

フォークランド諸島では、戦場で亡くなった兵士たちに対し、それが誰の遺体なのかわからないまま「神のみぞ知る」存在として葬られている(日本でいう無縁仏のようなもの)と聞かされる。



これにはちょっと驚いた。

遺体を回収するどころか、どこで亡くなったかも特定してもらえない

いくらイギリスとの外交がうまくいってないとしても、最低限、国でやるべきことがあるはずなのに。



むしろ、1982年当時20代で戦場へ行かされた若者たちは、生きていれば50代、60代になり遺族たちも高齢になっていく。

そんな遺族たちのためにフォークランド諸島で眠る彼らたちのことを忘れないためにも、この映画が作られたように思う。

今すぐにでも、遺骨の特定ができるように願いを込めて。



いてもたってもいられないアナは、「避けられている」と分かっていてもフアンの元を訪ね、何か知っていることはないか、軍部に知り合いはいないかと尋ねる。

しかし、フアンもまた、モランのことで苦しんでいたことを知る。



そうしてアナが様々な場所へ足を運ぶことで、ラモンの最後を知ることができる。



戦争が終わってから何年も苦しんでいるフアンやアナの様子を見ていると、戦争というのは、終結したときや任務が終わったら終了ではなく、その後のPTSDなどの心のケアも含めて、出征した人たちや家族にとっての「終わり」がやってくるんだなと思った。

それに、国が戦争を始めて命令した以上は、その最後まで責任を持つべきだと感じる。



トゥルース・オブ・ウォー5


30年経って風化させてはいけない痛み



彼らの思いを観ていると、今さらながら、戦争とは無慈悲で理不尽なものだと痛感する。



1982年に起きた紛争が、なぜ今になって描かれているのか

それは、30年以上たった今も、彼らの心に残る思いや遺骨の問題が解決できていないことを示している。



当時の軍事政権が無謀だったというのはよくわかる。

しかし、国として侵攻して若い兵士たちを送った以上は、国として責任を負う義務があるはずだが、それが果たされていないように感じた。



この映画は、最後に「フォークランド紛争で戦った英雄たち」に捧げられている

それは、決して彼らの戦いを美化するものではない

むしろ、戦場についた瞬間に帰りたくなってしまう若者たちの姿がそこにあった。



そしてそこには、30年以上たった今も、彼らの心の問題や遺族たちの苦しみが解決していないことが感じられ、国のために戦った彼らの存在を決して忘れてはいけないという強い意志を感じた

1人の兵士の死が友人や遺族など多くの人たちを苦しめることになる戦争は、どんな理由があっても、決してあってはいけないことだと感じさせる作品である





↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村






















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


ブログネタ
映画の適当な感想 に参加中!
ブルース・ウィリス、コリン・ファレル主演、グレゴリー・ホブリット監督「ジャスティス」を見た

ナチスの捕虜収容所を舞台に、3人のアメリカ人と、1人のドイツ人が対立する話。

終始緊張感があって、見ごたえのある作品だった。

しかし、見終わった後には、「あぁブルース・ウィリスらしい作品だなぁ」と思ったのが、いいことだったのか、そうではなかったのか・・・

「ジャスティス」予告編 動画(日本語字幕なし)

(原題:Hart's war)




「ジャスティス」 Blu-ray

ジャスティス Blu-ray

新品価格
¥2,480から
(2015/8/3 15:56時点)



「ジャスティス」のパンフレットを販売しています


あらすじ


1944年12月。第二次大戦中のベルギー。
連合軍に所属するアメリカ人のハーツ中尉(コリン・ファレル(「ロブスター」「クレイジー・ハート」「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」))は、任務中にドイツ軍に囚われ、捕虜収容所へ送り込まれる

収容所では、マクナマラ大佐(ブルース・ウィリス)が連合軍の兵士たちを指揮していた。
到着するなり、マクナマラ大佐と面会したハートは、中尉であったにも関わらず、上級士官の兵舎でなく、下士官兵舎へ行くよう言われてしまう。
その理由が分からず、マクナマラから嫌われていると感じるハーツ

数日後、新たに2人の空軍兵士が送り込まれてきた。
スコット(テレンス・ハワード(「二重逃亡」など))と、アーチャーは、上級パイロットであったにも関わらず、ハーツと同じ下士官兵舎へとやってきた。
なぜなら、彼らは2人とも黒人だったからだ・・・

そして、その収容所で、次々と事件が起こり始める・・・

ジャスティス

感想(ネタバレあり) 仲間同士の対立から生まれる緊張感


ブルース・ウィリス演じるマクナマラ大佐が『何を考えているのか』について追いながら見ていると、この映画に出ててくる4人の男たちの対立が見えて、それに合わせて緊張感がどんどん増していって、面白くなっていった

マクナマラは、非常に口数が少なく、決して自分の思いを口にしようとしない

だからこそ、ハーツは「嫌われているのでは・・・」と疑心暗鬼になり、見ているこちら側も、「何を考えるのだろう・・・」と気にし始める

実際のところ、実戦経験も無く、洞察力無く、拷問や誘惑に屈しやすいハーツはマクナマラに嫌われていた

その上、マクナマラは、あまりにも若くて、真っ直ぐすぎるハーツを利用していた

ハーツはハーツなりに、自分の正義を押し通そうと必死だっただけ

それが、マクナマラにしてみれば、予想外の邪魔者となり、ハーツがもがけばもがくほど、マクナマラの首がしまっていた


ジャスティス2

対立の間に立つ敵と、敵のような扱いを受ける味方


この二人の対立の間に立たされたのが、2人。

1人目は、ドイツ軍ワーナー大佐

自分の部屋にスコットを読んで、裁判について入れ知恵をしたり、イエール大学に留学していた過去を話したり、ハートに対しては、すごく優しい

しかし、この収容所ではライバル的存在のマクナマラに対しては、対照的に厳しく接し、マクナマラとハートの二人が対立して、連合軍そのものが分裂するのを楽しんでいるように見える

そして、もう1人が黒人パイロットのスコット

アメリカ国民として、戦争に勝つために、兵士になりパイロットになったのに、実際に現場へやってくると、そこでは戦争の実戦よりも厳しい人種差別問題が起きていた

殺人事件の容疑者とされ、マクナマラからあてがわれた弁護士は、イエール大法学部学生のハーツだったと分かった時に、マクナマラが彼にとって味方ではなく、死を確信したに違いない。


ジャスティス3

ラスト ナチはその程度で許してくれただろうか・・・


そんな4人の対立軸の間にに飛び交う視線や、緊張感を見ているのが楽しかったけれども、ラストのラストにマクナマラが取った行動はどうなんだろうか・・・

念願の兵器工場の爆破をし、部下たちを逃がし、「これは、すべて私の責任だから、私を殺せ」と言うのは、かっこいいかもしれない

でも・・・もし、実際に収容所で大脱走があって、兵器工場爆破なんてことがあったら、そんなもんでは済まないのではないか・・・

相手の指揮官が、アメリカに理解のあるドイツ人だったとして、ナチはナチ

逃げた、逃げないに関わらず、そこにいたアメリカ人はみんな殺されてしまったのではないか・・・

ワーナー大佐でさえ、責任を問われ、生死が危うい状況になったのでは・・・と思う

大事件が起きた割に、あまりにものん気な終わり方だったような気がしてならない・・・



すべの下士官たちのために、アメリカが貫き通す正義のために、自分を犠牲にするマクナマラの姿は、映画「アルマゲドン」にもつながる、非常にブルース・ウィリスらしい姿だった

ただ、それだけのための、ブルース・ウィリスをかっこ良く見せるためだけの映画だったような印象が残ってしまう

戦争は、決してかっこいいものではない

最後にヒーローはいらない

途中までが、非常に面白かっただけに、残念だった




↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

ジャスティス Blu-ray

新品価格
¥2,480から
(2015/8/3 15:56時点)



ジャスティス デラックス版 [DVD]

新品価格
¥1,430から
(2015/8/3 15:57時点)





「ジャスティス」のパンフレットを販売しています







 ↓ WOWOW_新規申込 はこちらから












このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


2006年制作の映画「パンズ・ラビリンス」をWOWOWで観た。

1944年フランコ独裁政権が続くスペインで自由を求めるレジスタンスによる内戦を背景に、1人の少女が地底の国を目指す冒険を描くダークファンタジー。


満足度 評価】:★★★★★

これは稀にみる素晴らしい映画だった。

戦争とおとぎ話という、全く相反するものを同時進行で描くことで、戦争が人々の心に及ぼす悪影響やその悲惨さを浮き彫りにさせる映画だった。

悲惨で厳しい現実を忘れさせ、人々を夢と幻想の世界にいざなうのがファンタジーなんだとしたら、まさにこれこそがファンタジーだと思った。


「パンズ・ラビリンス」予告編 動画

(原題:EL LABERINTO DEL FAUNO /英題:PAN'S LABYRINTH)




「パンズ・ラビリンス」Blu-ray

パンズ・ラビリンス [Blu-ray]

新品価格
¥2,411から
(2017/3/16 11:47時点)



ノベライズ「パンズ・ラビリンス」

パンズ・ラビリンス

中古価格
¥1から
(2017/3/16 11:48時点)



「パンズ・ラビリンス」オリジナル・サウンドトラック

パンズ・ラビリンス オリジナル・サウンドトラック

新品価格
¥1,100から
(2017/3/16 11:49時点)



キャスト&スタッフ


出演者

〇イバナ・バケロ

セルジ・ロペス
…(「タンゴ・リブレ 君を想う」など)

〇マリベル・べルドゥ

監督・脚本

ギレルモ・デル・トロ
…(<製作総指揮のみ>:「MAMA」、「永遠のこどもたち」)

2006年制作 メキシコ、スペイン、アメリカ合作映画

第79回アカデミー賞(2006年)撮影賞 美術賞 メイクアップ賞 受賞作品

パンズ・ラビリンス


あらすじ


1944年のスペイン。

フランコ独裁政権とそれに対抗するレジスタンスによる内戦が激化している中、少女オフェリア(イバナ・バケロ)は母がスペイン軍のビダル大尉と再婚し、母と大尉の間に子供が生まれるため、大尉が駐在している山奥の別荘へ。

そこは、対レジスタンスとの戦いの最前線であった。

大尉は政府軍の指揮をとっているのだが、「反乱分子は全て殺す」という彼の非道なやり方は村人たちを恐怖に陥れていた。

そんな日々に怯えていたオフェリアだったが、その村で暮らすようになって出会った妖精に案内された森の中で、奇妙な姿をした妖精のパンと出会う。

パンはオフェリアに「あなたこそが、地底王国の女王様だ」と言い、

「満月の夜までに3つの試練を乗り越えれば、あなたに地底王国への扉がひらきます」と言う。

オフェリアはパンの言うまま、3つの試練に立ち向かうのだが…。

パンズ・ラビリンス3


感想(ネタバレあり)


少女が幻想を見た理由


舞台は1944年のスペイン。

人々は貧しさの中、独裁政権に怯えていた時代。

主人公の少女オフェリアが暮らす山奥の村では、アンダーグラウンドに潜伏するレジスタンスと政府軍の間で内戦が激化していた。

オフェリアの母の再婚相手であるヴィダル大尉は明らかに「独裁者」であり、彼の言うことを聞かないレジスタンスたちを次々と殺していた。

村の人々はそんな「独裁者」と政府軍を恐れ、不安な日々を過ごしていた。

オフェリアもまた、常に恐怖に怯え、幼いながらも世の中に不安を感じていた…。

そんなオフェリアをいつも助けてくれたのは、おとぎ話の世界だった。

毎日、本を読んではおとぎの国に心をときめかせ、森の中を飛ぶ昆虫たちを本気で妖精だと信じていた。

オフェリアが出会った森の中のおとぎの国は、悲しいできごとや辛いことを忘れさせてくれる癒しの場所だった。


パンズ・ラビリンス2

戦争への恐怖と不安が生み出す奇妙な世界


私たちが精神的に不安な時はよく悪夢を見る。

それはたいていダークで怖くて恐ろしく、まるでホラー映画でも観ているかのような時もある。

精神的に不安定な時に見た夢や幻想は、私たちの精神状態を如実に反映したものとなる。

ヴィダル大尉の独裁が続く日々に不安を感じながら過ごしていたオフェリア。

彼女がそこで観た幻想「地底王国」と案内人のパン、そして彼女に与えられた試練の奇妙さと不気味さは、彼女の精神的な不安定さを反映したものである。

オフェリアが森で一番最初に出会ったカマキリのような昆虫の形をした妖精。

そして、彼女が受ける試練の中で出会う目玉のくりぬかれた怪物や、巨大なカエル。

それらの全てがどこか薄気味悪い。

それは、オフェリアの精神状態が常に不安定で、恐怖を感じて生きているからだ。

そんな精神状態の時に、総天然色のディズニーワールドのような世界は登場しない。

目の前に美味しそうな食べ物があっったとしても、それを一口でも食べようものなら殺される。

そんな恐ろしい日々を暮らしているオフェリアだからこそ見た幻想だった。


パンズ・ラビリンス5

地上よりも希望と夢に溢れた「アンダーグラウンド」


この当時のスペインでは、自由を求める市民たちは「アンダーグラウンド」にこそ希望を求めていた。

ビダル大尉の下女として働くメルセデスたちが行っていた「地下活動」のレジスタンス。

そして、その世事を敏感に感じ取ったかのように、オフェリアは「地底王国」に夢と希望を探す。

共に地上の生活から身を潜めていた人々。

その時には絶望しか感じられない日々でも、地下には夢と希望が眠っている。

人々はそう信じていたに違いない。

そして、メルセデスもオフェリアも様々な試練を乗り越え、自由がある夢の国を手に入れようとしていた。

戦争とおとぎ話とは、一見相反するものに感じられるが、現実世界で起きていることを感じ取ったオフェリアの頭の中で生み出されたのが「地底王国」だった。

オフェリアの母が出産で苦しむ姿を恐れ登場した巨大カエル。

義父の恐ろしさに怯える心が生み出した、目のくりぬかれた地底の番人。

生まれたばかりの弟を守るという愛を試された最後の試練。

その全てが、「戦争の恐ろしさ」に怯えていたオフェリアが見た奇妙で薄気味悪い幻想だった。

そこには、戦争や家庭内のDVが幼い心に与える悪影響を見ることができる。



パンズ・ラビリンス4


少女が夢見るファンタジーが浮き彫りにする「戦争への恐怖」


この映画はそうやって、戦争とファンタジーという全く相反する2つのものを並行して描くことで、戦争の悲惨さをより際立たせた作品だった。

そして、彼女が最後の試練を乗り越えて得た結末…。

「オフェリアは殺されてこそ、幸せだった」

オフェリアは死んだからこそ、夢の国への扉をひらくことができた

彼女はそのまま義父の恐ろしさに怯えながら生きていても幸せにはなれない。

むしろ、彼女の幸せは夢の中にある…という、あまりにも悲しすぎる結末…。

しかし、それが悲しくならずに、むしろ幸せな感じすらするのは、本当にオフェリアはそのまま地底の国で幸せに暮らすんだなと感じられるから。

もしも、現実の悲しく辛い出来事を忘れさせ、夢と幻想の国に旅立たせてくれるのがファンタジーだとするなら、これこそが本当にファンタジーだなと思った。

内戦という悲惨な状況の中で、なんの罪もない子供たちが殺されてしまうのはとても理不尽で許せないことだけれども、どうせ亡くなるのなら、こうして幸せな気持ちで死ねたらいいのに…。

そして、そんな世の中で生きているよりも、死んだ方が幸せだと思われてしまう悲しい世界。

戦争はそうやって子供たちの心に闇を落とし、悪影響を及ぼす。

真っ直ぐで純真な子供たちは、それを正面から受け止め、そこから逃げ出そうともがき、幸せに暮らせる夢の国を作り出す。

死んだ方が幸せだなんていう世界はあってはならない。

常に子供たちの頭の中に総天然色のディズニーワールドが広がっていることが、本当に平和なことなんだとしみじみ感じた作品だった。



↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





「パンズ・ラビリンス」Blu-ray

パンズ・ラビリンス [Blu-ray]

新品価格
¥2,411から
(2017/3/16 11:47時点)



ノベライズ「パンズ・ラビリンス」

パンズ・ラビリンス

中古価格
¥1から
(2017/3/16 11:48時点)



「パンズ・ラビリンス」オリジナル・サウンドトラック

パンズ・ラビリンス オリジナル・サウンドトラック

新品価格
¥1,100から
(2017/3/16 11:49時点)




















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


ラッセル・クロウ主演・監督映画「ディバイナー 戦禍に光を求めて」をWOWOWで観た。

第一次大戦時にトルコとの戦いで息子を失った父が、息子たちの遺骨を探しに向かったトルコで起きた奇跡の物語。

実話を元に映画化。


満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

戦争がある家族に遺した傷跡と、その傷跡を修復していく物語。

傷跡は全てがきれいサッパリなくなるわけではないけれど、時間が修復してくれる部分もあれば、奇跡的になくなる部分もある。

かつて敵国だった国の人々との繋がりが癒しになっていく様子に、人間に対する希望を観た。


「ディバイナー 戦禍に光を求めて」予告編 動画

(原題:THE WATER DIVINER)




「ディバイナー 戦禍に光を求めて」DVD

ディバイナー 戦禍に光を求めて [DVD]

新品価格
¥2,654から
(2017/2/3 14:49時点)



キャスト&スタッフ


出演者

ラッセル・クロウ
…(「ある少年の告白」、「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」、「ナイスガイズ!」、「レ・ミゼラブル」、「3時10分、決断の時」、「ノア 約束の舟」、「ワールド・オブ・ライズ」、「消されたヘッドライン」、「パパが遺した物語」など)

オルガ・キュリレンコ
…(「ロープ 戦場の生命線」、「スパイ・レジェンド」、「オブリビオン」、「007/慰めの報酬」など)

〇イルマズ・アルドアン

ジェイ・コートニー
…(「アウトロー」、「ターミネーター:新起動/ジェネシス」など)

監督

ラッセル・クロウ(初監督作)

2014年製作 オーストラリア、アメリカ、トルコ合作映画


ディバイナー戦禍に光を求めて

あらすじ


第一次世界大戦の時に、トルコへ派兵された息子たち3人を同時に失ってしまった夫妻。

戦争終結から4年後、妻は、息子たちが帰ってこないことを苦に自殺。

夫のジョシュア・コナー(ラッセル・クロウ)は、必ず息子たちの骨を探して隣に埋めると墓に眠る妻に約束。

次の日から、トルコへと向かう。

トルコでは、息子たちが戦死したとされるガリポリへ向かうが、そこには大きな障害が立ちはだかっており…。

ディバイナー戦禍に光を求めて2


感想(ネタバレあり)


戦争がある平和な家族にもたらした傷跡


この映画「ディバイナー 戦禍に光を求めて」は、戦争で何が起きたかを描いたものではなく、戦争が平和な家族に何をもたらしたかを描いた作品。

主人公コナーはオーストラリア人の「水源占い人」(原題のTHE WATER DIVINER)。

水源占い人っていうのは、読んで字のごとく水源をあてる人。

井戸を掘るために、怪し気な水源占い棒を使って砂漠のど真ん中の地下に眠る水源を言い当てるのが仕事。

その彼が、「水源を言い当てる力があるなら、息子の居場所を言い当ててよ」と妻に言われたことから、本当に戦死した息子たちの骨を拾いにトルコまで行ってしまった話。

オーストラリアの歴史というのは、私たちにはあまり馴染みがないので、初めて知ったことばかり。

第一次大戦時、トルコはイギリスと戦っていて、イギリスから独立したばかりのオーストラリアは援軍としてトルコに攻め入っていた。

そのため、遠く離れたオーストラリアで暮らすコナーの息子たちも、トルコで戦うこととなった。

その後終戦を迎えるけれども、トルコはオーストラリアに敗戦した国だったので、いきなり訪ねて行ったオーストラリア人のコナーはトルコ人にとっては敵。

息子たちが戦死した戦場へ行こうと思っても、そこまで行かせてもらえなかった。

しかし、イスタンブールで知り合った現地の人たちに教えられ、戦地へ向かうことができた。

なぜ、彼は助けてもらうことができたのか。

それは、「息子を失った親の気持ちは、敵、味方なく、皆一緒だから」

国同士が敵味方であっても、市民レベルでは気持ちが通じ合える。

それが、この映画の良いところの1つだった。


ディバイナー戦禍に光を求めて3

なぜ、オーストラリア軍が遠く離れたトルコで戦うのか


では、なぜ、そんなに遠く離れたトルコの地までオーストラリア軍がいかなければならなかったのか。

その答えは、この映画の中の、トルコ軍とオーストラリア軍の会話の中にあった。

「私たちは土地が欲しくて戦ったわけではない。正義のために戦ったのだ」

では、その戦争がコナー家にもたらしたものは何だったのか。

息子たちの戦士の知らせ、妻の自殺、自殺したからといってミサもあげてくれない教会、全てを失った父。

一家に大きな傷跡を残し、多くの命を犠牲にして得られた正義とは一体何なのか。

それを、多くの骨が眠る戦地を目の前にして、オーストラリア軍兵士は語る。

では、土地が得られれば報われるのか。それも違う。

戦争なんてしても、失うものが多すぎるのが現実なのだ。

ディバイナー戦禍に光を求めて4

助けてくれたのは元敵国の兵士たちだった


さらに、皮肉にもコナーがトルコへ渡って得られた希望は、トルコ人との交流の中にあった。

オーストラリア軍もイギリス軍も、「No」と言って、何も助けてくれなかったのに、トルコ人たちが抜け穴や、情報をかき集めてくれる。

そして、彼らの助けがあって「長男が生きているかもしれない」という希望を手にする。

それぞれの国が敵同士でも、言葉を交わし、気持ちをシェアすれば必ず分かり合える。

本当の正義は戦いで得られるものでなく、コミュニケーションを通して得られるものだと教えてくれるシーンだった。

ここから、コナーの骨を拾う旅は息子を探す旅へとシフトチェンジしていく。

オーストラリア軍の静止も振り切って。

もしかしたら、トルコ人の情報はガセネタかもしれない。

しかし、彼の「水源占い人」としての直感が、「息子は生きている」と告げていた。

だから、息子をオーストラリアへ連れて帰るために、彼は旅を始めた。

最後まで一筋の希望を諦めないために。

彼は、確信した水源が出るまで諦めずに掘り続けるのだ。


ディバイナー戦禍に光を求めて5

子供は未来への希望である


そうして、トルコ人の助けを得ながらめぐり逢えた長男だったが、彼は弟たちを救えなかったことに責任を感じ、心を閉ざしていた。

その彼の心の闇も戦争が、彼ら家族にもたらしたものだった。

戦争がなければ、平和に暮らしていた家族が、戦争があったために戦死者がいて、それぞれが心に痛みを抱え、戦争に行っていない母までもが絶望することになった。

この映画の中で、とても印象的だったのは、コナーがイスタンブールで宿泊していたホテルの息子だった。

まだ小学生低学年ぐらいの彼の純粋無垢な笑顔の素晴らしさ。

映画で描かれていることは、とても辛いことばかりの中で、彼の笑顔が心の癒しになっていた。

彼は、この映画の中でコナーをトルコに招き入れる役割を果たした。

人種や宗教が違っていても子供には一切関係ない。

コナーはだだの大好きなおじさん。

そんな彼の存在が、トルコとオーストラリアをつなぐ希望に見えた。



↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





「ディバイナー 戦禍に光を求めて」DVD

ディバイナー 戦禍に光を求めて [DVD]

新品価格
¥2,654から
(2017/2/3 14:49時点)




















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


イーサン・ホーク主演の映画「ドローン・オブ・ウォー」をWOWOWで観た。

アメリカ空軍の無人爆撃機(ドローン)による「テロとの闘い」を描いた社会派映画。

満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

この映画「ドローン・オブ・ウォー」の中で一番衝撃だったのは、空軍基地まで車で通い8時間戦争をして、また車で家に帰るという毎日だった。

そのうち戦争は在宅勤務が可能な仕事になり、戦場に人がいなくなる。

そして、人を殺しているという感覚がドンドン薄れていく世の中になる。なんだかとても恐ろしい映画だった。


出演イーサン・ホークブルース・グリーンウッドゾーイ・クラヴィッツ、ジャニュアリー・ジョーンズ

監督:アンドリュー・ニコル 2014年製作 アメリカ映画

「ドローン・オブ・ウォー」予告編 動画

(原題:GOOD KILL)




「ドローン・オブ・ウォー」 DVD

ドローン・オブ・ウォー [DVD]

新品価格
¥3,002から
(2016/10/2 01:16時点)



あらすじ


アメリカ空軍のパイロット トーマス・イーガン少佐(イーサン・ホーク(「マグニフィセント・セブン」、「マギーズ・プラン-幸せのあとしまつ-」など))は、ラスベガスにある空軍基地に勤務している。

彼の任務は基地内にある小屋の中でモニターに向かい、衛星無線を使って無人爆撃機(ドローン)を操縦し、アフガニスタンにいるタリバンを掃討することだ。

ある時、上層部から「CIAからの支持に従うこと」という命令がくだされ、任務に就くが、CIAは「タリバンと思しき人間がいれば、周りに一般人がいても爆撃しろ」という、非人道的な命令を出し、イーガンは次第に精神面が崩壊していってしまう…。


ドローン・オブ・ウォー

感想(ネタバレあり) 空軍パイロットはモテる兵士No.1 から 8時間勤務のデスクワークへシフトチェンジ


米空軍のパイロットといったら、モテる兵士No.1のイメージだ。

分かりやすく言うと、「トップガン」だ。

もちろん、みんながみんなトム・クルーズではないのは分かっている。

しかし、あの映画を観てモテたくて空軍に入った人もいるだろうし、あの映画を観てパイロットに的をしぼってアプローチをかける女性たちもたくさんいただろう。

ところが、この映画「ドローン・オブ・ウォー」に登場するパイロットたちは、そんな花形のイメージからは程遠い。

毎日、基地に車で出勤し、基地内にある小屋の中でモニターに向かい、操縦かんを握りながらドローンを操縦し、殺すべきターゲットが見つかればボタンを押して爆弾を落とす。

そして、その8時間の勤務が終了すると、また車を運転して家へと帰っていく。

当然、命の危険もないし、戦闘機を操縦することすらない。

ドローン・オブ・ウォー2

モニターごしに敵を見る命の軽さ


この「ロード・オブ・ウォー」では、2001年に起きた「911同時多発テロ」から始まったテロとの闘いで、2009年以降、急激に増えた無人爆撃機(ドローン)による戦闘の様子が描かれている。

なぜ、米空軍では戦闘機ではなくドローンで闘うことになったのか。

この映画の中では、「国民が、毎日アフガニスタンから送られてくるたくさんの兵士たちの棺を見ることとにうんざりしている」ため、犠牲者を減らすために始めたことだと説明していた。

そして、グアンタナモ捕虜収容所がもういっぱいで入り切らないから、殺してしまえというのも理由の1つなんだとか。

上空3,000メートルにあるドローンは地上の人間が目を凝らしても見つけられるものではないそうで、万が一見つかって爆撃されても、また飛ばせばいいだけだから、ドローンを使うことが主流になったようだった。

しかし、彼らパイロットが操縦するモニターはもちろん、音も無ければ、風を感じることも無い。

それが現実であるという感覚に乏しい。まるでテレビゲームの画面を見ているようだ。

なんだか、人の命が軽いよなぁ。

「ふぅ」と息を吹きかけたら、それだけで何人も死んでしまうような、そんな軽さを感じてしまった。


ドローン・オブ・ウォー3

パイロットのスカウトはゲーセンのシューティングゲームで


それはまるでテレビゲームのようだと思ったら、実際、彼ら空軍のパイロットの50%がゲームセンターでスカウトされているという。

たまたまシューティングゲームで高得点を叩き出した。

そしたら、「空軍のパイロットにならないか」と声をかけられる。

そして、飛行機を数回操縦しただけでパイロットとして採用され、ドローンを操縦する「仕事」を任される。

この映画でブルース・グリーンウッド演じる中佐は「これからは、飛行機を操縦しなくてもパイロットとして採用される人間が出てくる」と言っていた。

これからの時代のパイロットに必要とされるのは、ずば抜けた操縦スキルではなく、XBOXのシューティングゲームで高得点を叩き出す能力になる。

そのうち、在宅勤務のドローンパイロットが生まれたり、AIが操縦するようになって、世界は「ターミネーター」のようになっていくんだろうか…。

ドローン・オブ・ウォー4

モニター越しに人を殺すことにうんざりする兵士たち


主人公のイーガン少佐はとても優秀なパイロットで、華々しい経歴の持ち主だった。

そんな彼にとって現場ではなく、モニターの前に座って操縦かんを握っていることは苦痛でしかなかった。

まるで充実感のない毎日は、次第に精神面を病んでいく。

そして、ひたすらにボタンを押して地球の裏側にいる人を殺していくことに嫌気がさしていく。

印象的だったのは、イーガンの同僚で新人のスアレス(ゾーイ・クラヴィッツ)が言ったセリフだった。

空軍に入ったばかりでドローンの任務についた彼女は、ボタン一つで簡単に大量の人たちを殺すことについて、

「この爆撃を見ている少年は『いつか大人になったらアメリカに報復しよう』と思うようになる。私たちはテロリスト製造工場だ。『タリバン新兵募集します』と言っているようなものじゃないの」と言っている。

それは、新人ならではのとても青臭い発言だったのだが、まさにそれが的を得ている。

親や兄弟を見えない敵(=アメリカ)に殺された少年たちは、自然とアメリカを憎むようになる。

そして、彼らが無人爆撃機(ドローン)を持つようになれば、ワシントンやNYを標的にするようになる。

そこから想像できるのは、うんざりするような負の連鎖だった。

ドローン・オブ・ウォー5

ドローンを良きことのために使いたいという願い


そして、精神面が崩壊し、家族まで失ってしまったイーガンは、最後に彼の思う「善き行い」をする。

どうせ空軍を辞めるなら、最後にドローンを使って良いことをして辞めてやろうと思ったに違いない。

彼の行いによって、毎日行われていたレイプから解放された女性はどう思っただろうか。

きっと、「アメリカが助けてくれた」と思うに違いない。

これはちょっと極端な例で、法律的にはやってはいけないことだけど、

「どうせドローンを使うなら、もっと明るい未来のために使いたい」

私には、最後のイーガンの行いがそう言っているように見えた。

命の危険もなく、エアコンの効いた部屋でボタン一つで人を殺すような人たちに戦争を任せていいのだろうか。

誤爆の記録は抹消され、「テロとの闘い」という大義名分があれば何をやっても許される。

そんな不毛なことを終わりにしたいという願いがそこにはあったんだと思った。



↓ 人気ブログランキングに参加しています。クリックをお願いします

映画 ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





「ドローン・オブ・ウォー」 DVD

ドローン・オブ・ウォー [DVD]

新品価格
¥3,002から
(2016/10/2 01:16時点)




















このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック