とにかく映画が好きなんです【本館】

とにかく映画が好きで、特にアメリカ映画大好きです このブログは、ネタバレありの映画鑑賞日記です。主にハリウッド映画と韓国映画をメインに感想を書いています


タグ:松重豊



木村拓哉、二宮和也主演の映画「検察側の罪人」を試写会でで観た。

ある殺人事件をめぐる二人の検察官の対立を描く。


満足度 評価】:★★★★★

見応えありの傑作!

「上司が絶対」とか「忖度」という悪しき慣習が、殺人事件を捜査する検察の現場に持ち込まれたら。

ベテランと若手、2人の検事の心理的駆け引きに緊迫感があって目が離せない。

サスペンスや法廷モノ好きな人におススメ。



目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「検察側の罪人」予告編 動画





更新履歴・公開情報


・2018年7月30日 試写会にて鑑賞

・2018年8月10日 感想を掲載

・2018年8月24日 全国ロードショー

・2019年6月22日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。


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キャスト&スタッフ


出演者

〇木村拓哉

…(「硫黄島からの手紙」など)

〇吉高由里子

…(「アウトレイジ 最終章」など)

〇平岳大

〇大倉孝二

〇八嶋智人

…(「モリのいる場所」など)

〇酒匂芳



監督



2018年製作 日本映画



映画「検察側の罪人」



あらすじ



都内で起きた殺人事件の担当になったベテラン検事の最上(木村拓哉)は、補佐役として若手検事の沖野(二宮和也)を指名し、橘(吉高由里子)が沖野付きの事務官となって、容疑者の聴取を始める。

すると、その容疑者の中にかつて時効が成立した殺人事件の容疑者だった松倉(酒匂芳)が浮上し、最上は松倉の聴取を執拗に行う。

明らかに「クロである」という雰囲気を漂わせた松倉に対し、沖野も証拠となる証言を引き出そうとするが、最上の捜査方法に疑問を抱き始め…。



映画「検察側の罪人」



感想(ネタバレあり)


カリスマ的ベテラン検事と将来を期待される若手検事


「地検」とか、「検察」と言われると、ちょっと敷居が高い気がしてしまう。

なにせ、彼らはいつも世の中で起きているできごとと法律を照らし合わせ、世にはびこる悪を裁くために働いているような人たちだ。

きっと、私のような凡人とは頭の出来が違うんだろうなと思ってしまう。



この映画は、私たちが目にすることのない、そんな「地検の裏側」を描いている。

当たり前だけど、検事も普通の人たちで、部署の中には一般の会社と同じように上司と部下の上下関係があるし、社内恋愛だってある

むしろ、そうやって、彼らの日常を一般人の日常に近づけることで、地検の中で起きている問題を身近な問題にし、観客に向かって「あなたならどうするのか」と考えさせる

そこに、この映画の面白さがあるのだ。



主人公は、2人の検事。

1人はカリスマ的ベテラン検事の最上(木村拓哉)。

そして、もう一人は将来が期待される若手検事の沖野(二宮和也)。

沖野にとって最上は「あこがれの先輩」であり、「神的な存在」である



沖野は、一見、やる気がなさそうで、果たして検事としての仕事ぶりはどうなのかと疑問視されるタイプなのだが、最上は周りの反対を押し切って「きっと成果を出すに違いない」と沖野を難しい事件の担当に指名する。

実際、沖野は見た目以上に仕事ができるタイプの人間なのだ。

最上は、そんな沖野の良さを誰よりも見抜いていた。



しかし、果たしてその判断が最上にとって良かったのか、悪かったのか。

沖野を引き抜いたことで、最上は最後の最後まで頭を悩まされることになる。



映画「検察側の罪人」


ベテランと若手の間を引き裂くのは「法律」と「忖度」


この映画に緊迫感を与え、とても面白いサスペンスにしているのは、その2人の検事の心理的駆け引きである。



地検にとって、何よりも重要なことは「法律にのっとった正義」である。

しかし、困ったことに、この世には「法律で裁けない悪」というものが存在する。

最上と沖野はその「法律で裁けない悪」に直面してしまい、葛藤するのだ。



そのじりじりとしたジレンマが、観ているこちらもなんとも悩ましく、私だったどうするだろうか…と考えながら先に進んでいく。



その中で、最上も沖野も「それぞれの思う正解」を導き出すのだが、それが互いに真逆の方向を向いていた。

そこで2人を分けたのは「法律」だ。

法律がどうあろうと、容疑者の松倉を「クロ」にしたい最上と、法律を守って正しく裁きたい沖野



これまでカリスマ的手腕で悪を裁いてきた最上が、「法律がどうあろうと」松倉をクロにしたいと思い、そんな最上には、「どうしても譲れない理由」があったのだ。

しかし、若手のホープである沖野は、そんな「最上の理由」を理解したうえで、それでも最上のやり方が間違っていると思い、最上と対立する立場に身を置くことになる。



ところが、沖野は憧れの先輩である最上を前にすると、意見を主張することができず、最上の暴走を止めることができない

沖野の前に、日本に古くからある「上司の意見は絶対」とか「忖度」という悪しき慣習が立ちふさがり、上に意見を通すことができないのだ。



映画「検察側の罪人」


第二次世界大戦の「インパール作戦」の血が、ここによみがえる


それは、きっと社会人なら誰でも身に覚えがあることだろうと思う。



例えば、日頃から目をかけてもらい、かわいがってくれ、その人本人の人柄もとても尊敬できるカリスマ的な憧れの先輩がいるとする。

ある日、その人がいきなり理不尽なことを言い出したら、どうするだろうか。

今まで、そんなことはなかったのに…。



そしたら、「それは間違っているなぁ」と思いつつも、「なんか辛いことでもあったかな」と自分を納得させつつ、面倒になることを避けるために「見て見ぬふり」をしながら、スルーしてしまう。

きっと、多くの人にそんな経験があるはずだ。



しかし、ここは地方検察庁であり、「法を守らなければならない場所」なのだ。

相手のことを「忖度」していたら、裁かれるべき人間が野放しになってしまう。



その日本人の「上司を敬う」気持ちが、物事を悪い方向へ導く事例として登場するのが、「インパール作戦」である

インパール作戦とは、1944年の第二次世界大戦でインド北東部の都市インパール攻略を目指した日本軍の作戦だ。

軍内部で反対的な意見があったものの、その時の中将の強硬な主張によって実施され多くの被害者を出したとされる。

それ以来、「インパール作戦」とは「無謀な作戦の代名詞」として引用されているのだ。

(詳しい内容は、Wikipedia「インパール作戦」へ)



最上の祖父は、そのインパール作戦の数少ない生き残りであり、松重豊演じる武器商人の祖父は、そのインパール作戦の犠牲者である。

無謀な作戦の生還者は、孫の代になっても無謀な作戦を強行させようとし、犠牲者の孫は「喜んであなたの犬になります」と言って、その作戦を強行突破する

こういうのを血は争えないというのだろうか



日本の社会の体質というのは「第二次世界大戦」の頃からちっとも変っていないのだ。

「忖度」や「上司の命令が絶対」という体質は、部下を間違った方向に誘導し、死ななくていい人間を殺してしまう



映画「検察側の罪人」


希望を探してみるけれど…


さらに問題なのは、最上の心情が理解できるところだ。

そもそも「日本に時効がなければ…」と思ったら、やるせない気持ちになってしまう。

そこでも、なかなか法律が変わらないという日本の現状が裏目に出ている。



だがそれでも、検事という仕事は「感情」ではなく、「法律」で善悪を決める人々なのだ。

検事が法律を守らなければ、日本は無法地帯になってしまう

この「忖度」は、一般の会社で起きていることなら人の命が関わるようなことはないだろうが、それが「地検」で起きると、「法律で裁くべき善と悪」が揺らいでいくのだ。



もしも、そこで沖野のような若手の意見が通り、「日本も変わりつつある」と思えれば希望ある。

しかし、沖野が外に出てしまったことで、ますます地検の内部は不透明になり、その背景では政治家と大企業の癒着や、右傾化する社会を描き、ますます「上に意見を言いにくい社会」になっていることを描いている。

最上の友人で政治家の秘書官をしている丹野(平岳大)がその日本の背景で起きていることを象徴している。



そこで、「果たして、この世に『ものが言える社会』はやってくるのか」と考えてしまう

そう思うと、暗澹たる気持ちになってしまう

私も、ニノと一緒に雄叫びを上げたい気分になった…




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北野武主演・監督の「アウトレイジ 最終章」を映画館で観た。

日本のヤクザの抗争を描く「アウトレイジ」三部作 最終章。


満足度 評価】:★★★★☆

相変わらず面白かった。

私は毎度、このシリーズを通して、日本の社会で起きていることを見るのだけど、今回は「グローバル化に飲みこまれる日本」だった。

では、日本は全てを奪われてしまうのか…。

そうではない。日本にもまだ希望はあると、北野武は希望を残す。


「アウトレイジ 最終章」予告編 動画






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キャスト&スタッフ


出演者

ビートたけし
…(「ゴースト・イン・ザ・シェル」、「女が眠る時」、「アウトレイジ ビヨンド」、「アウトレイジ」、「HABNA-BI」、「座頭市」、「その男、凶暴につき」など)

西田敏行
…(「アウトレイジ ビヨンド」、「ザ・マジックアワー」など)

…(「鈴木家の嘘」など)

ピエール瀧
…(「孤狼の血」、「怒り」、「凶悪」など)

…(「検察側の罪人」など)

大杉漣
…(「HANA-BI」など)

〇塩見三省

〇白竜
…(「HANA-BI」、「その男、凶暴につき」など)

〇金田時男

監督・脚本・編集


北野武
…(「アウトレイジ」、「HABNA-BI」、「座頭市」、「その男、凶暴につき」など)


2017年製作 日本映画



アウトレイジ最終章



あらすじ


かつて、山王会の一派で大友組会長だった大友(ビートたけし)は、山王会元会長の葬式で刑事の片岡を殺害。

その後、韓国フィクサーである張会長(金田時男)の庇護の元、子分の市川(大森南朋)と共に、韓国の済州島で裏社会を仕切っていた。

ある時、大友が仕切る店へ大阪 花菱会の花田(ピエール瀧)がやってきていちゃもんを付けた上、大友の子分の一人を殺したことから、大友は日本へ帰る決意をする。



アウトレイジ最終章3



感想(ネタばれあり)


グローバル化が進む裏社会と韓国へ雲隠れしていた大友


アウトレイジ」では、二か国語を操り、株で利益を出すという、これまでの典型的なヤクザにはいなかった新人類ヤクザを登場させたことで、古き良きヤクザの終了を描き、

続く、「アウトレイジ ビヨンド」では、どこにも所属しないヤクザが大暴れし、ヤクザという枠を超えたフリーランスの時代がやってきたことを描いていた。

このシリーズの面白さは、日本の社会状況をそのままヤクザの世界に反映させている部分にあって、ここに描かれる組織の中で起きている問題は、一般企業の中でも起きている問題でもあった。



今回の「最終章」では、ヤクザたちの抗争の中に、韓国フィクサー・張グループが登場する。

元々、東京の裏社会は山王会のシマだったのだが、張グループが勢力を広げ、今では裏社会のみならず、経済界、政界も顔がきく大物へと成長していた。



主人公の大友は、前作で刑事の片岡を殺してから張会長の世話になり、済州島に身を隠していたが、花菱会の若手に子分を殺されたことがきっかけで、日本に帰ってくることになった。

また、大友はどの組にも属さないフリーランスのヤクザの身なのだが、かつて世話になった恩は決して忘れないという『仁義の男』である。

しかし、昨今のヤクザ界では、その『仁義』という言葉も忘れられており、大友は古いタイプのヤクザとなってしまった。



アウトレイジ最終章4


お家騒動で勢力を縮小していく花菱会



面白かったのは、それぞれのヤクザの腹の内とだまし合い。

特に、「花菱会」の内部抗争。

先代が亡くなった際、本来の掟でいえば「若頭」であるはずの西野(西田敏行)がそのまま会長に昇格するはずが、なぜか、証券会社を定年退職したばかりの娘婿の野村(大杉漣)がその場に居座ることになる。

これは、西野にとって面白くない。

さらに、これまで「ドラッグの販売禁止」だった掟を破って大儲けしている花田が頭角を現す。



これを一般企業で例えるなら、社長が退職することになり、次は副社長の時代か…。

と思っていると、どこからか、畑違いの会長の娘婿がやってきて、訳も分からないくせして「あーだこーだ」と騒ぎ立てる。

さらに、『副業禁止』のはずなのに、副業で人脈を広げた若手が売り上げトップになって、幹部からチヤホヤされる。

そんな事態。



しかし、花田は実績を上げているだけに、誰も何も言えない。

必要なのは、生き抜くためのしたたかさや、あざとさなのだ。



当然、これには組の者たちのモチベーションは下がるわけで、内部分裂が起きる。

じゃぁ、いっそのこと、「会長派」のメンツを一気に始末しようかと考えるが、自分の手を汚したくないし、内部分裂にしちゃうと外からは「弱体化」に見えてよろしくない。

そこで、花菱会に恨みを持っている大友の『仁義』をうまいこと利用して、暴れてもらおうと考える。



まぁ、なんともセコイというか、汚いというか…。

その結果、花菱会の数は一気に減ってしまったけれども、幹部たちは、目の上のたんこぶである会長や花田も厄介払いできたし、組も昔のスタイルに収まって満足している…。



しかし、そのお家騒動をしている間に、張グループは順調に稼ぎを増やして勢力を広げている

そんなんで、日本のヤクザはこのまま存続できるのか…。

そこが、この『最終章』のテーマになっている。



アウトレイジ最終章2


韓国フィクサー 張がすることをただ見ているだけの日本のヤクザ



東京と大阪のヤクザ同士の抗争の中で、最も大きな勢力を誇るのは韓国フィクサーの張である。

日本のヤクザの会長や幹部たち、例えば西野や野村が小さなことでギャースカ騒ぎ立てていることに比べ、張はどっしりと構え、目の前に銃を持ったチンピラが立っても、一切動じない。

むしろ、銃を持って構えているチンピラの方が、丸腰の張を見てビクついて硬直してしまっている。

さすが、多くの修羅場を乗り越えてきた張には「何をしても勝てない」威圧感がある



その張が象徴するのは、ヤクザの世界に進出するグローバル化である。

この映画の中でも、張は香港や中国の土地取引の指示を韓国語で出す。

すると、指示を出された手下は韓国語で聞き、英語で取引をする。

そんな彼らは、東京を拠点にして世界の土地ころがしをしているという印象だった。



その様子を、花菱会の西野や花田は口をあんぐりとしながら「なんだ、あいつら英語しゃべってるぞ」と言って眺めている。

これには呆れて笑ってしまった。

同じ土俵で戦っているという意識がない

君たちが口をあんぐりと開けている間に、相手はどんどん金を稼いでいるんだよ。

そのうち、あんたたちのシマも買収されちゃうんだよ。



よく、日本人の土地やマンションを中国人グループが買い占めているという話をニュースで見る。

彼らは違法に奪ったわけではない。

合法的に買っているのである。

そんな中国人に対して、「土地やマンションを買うな」と言っても無駄。

買われたくないなら、自分たちが実力をつけ、相手を出し抜くしかない。

呆れるほどに日本人は『お人好し』なのである。



もっと賢く常に世界の動きを見るべきで、うかうかしていると、日本固有の物など、何ひとつない世界に様変わりしてしまうかもしれない。



アウトレイジ最終章5


「世界を知ること」が日本の若者への希望になる



それでは、グローバル化の波が押し寄せて、「仁義の男」大友もいなくなってしまったら、日本のヤクザは終了ということなのか。

という疑問に対して、この映画は最後に希望を持たせる。



韓国で大友が数年間育てた市川(大森南朋)は、大友のDNAを引き継ぐ者であり、済州島の裏社会でもまれた国際感覚を持つヤクザである。

そのために、市川の命を助け、先に済州島へ帰らせたのである。

これまでの北野作品であれば、「全員死亡」という終わり方もあったと思うけど、あえてそれをせず、花菱会の幹部や市川を残したのは、

「また、日本だって死んじゃいねーよ」

というメッセージなのでは。



しかし、そこには、ヤクザ界だけでなく、経済界だって明らかに弱体化している日本の姿がある。

日本がバブルで経済界が元気だった時、ヤクザの世界も一番忙しかったことを思えばよく分かる。

ヤクザは金がある人たちに寄生する生き物。

日本人の元気が無ければ、自然と衰退するようにできているのだ。



ということは、市川がヤクザ界の希望なら、北野武がこれからの日本の希望として、若者に「もっと世界を見ろ」と言っているのでは。

市川のように韓国と日本を股にかけて活躍するぐらいのバイタリティと逞しさが必要だということ。

それは、自身、世界の股にかけている『世界のキタノ』だからこそ、説得力があるのだと思う。

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