とにかく映画が好きなんです【本館】

とにかく映画が好きで、特にアメリカ映画大好きです このブログは、ネタバレありの映画鑑賞日記です。主にハリウッド映画と韓国映画をメインに感想を書いています


タグ:柄本明



玉木宏 主演の映画「悪と仮面のルール」を試写会で観た。

父親に「悪」として育てられた男が次々と周りの人間を殺していくサスペンス映画。


満足度 評価】:★★★☆☆

題材的に面白いし、物語にひかれる部分もあったし、つまらないというわけではなかったけど、全てにおいて盛り上がりに欠けてしまい、イマイチ乗り切れないまま終了してしまった。

では、なぜ私はこの映画に乗り切れなかったのか。その理由…


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「悪と仮面のルール」予告編 動画




更新履歴・公開、販売情報

・2017年12月20日 試写会で観た感想を掲載。

・2019年3月21日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

現在、DVD、ネット配信、共に販売中。

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キャスト&スタッフ


出演者

〇玉木宏

〇新木優子

〇吉沢亮

…(「斬、」など)

…(「モリのいる場所」など)

…(「累-かさね-」など)

〇柄本明



監督

〇中村哲平

原作

〇中村文則


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2018年製作 アメリカ映画


映画「悪と仮面のルール」



あらすじ


11歳の久喜文宏は、父親(村井國夫)から「悪」として育てられたと告げられる。

そして、文宏を完全な「悪」にするために、久喜家に養女として迎えられた香織に父は危害を加えようとしたため、文宏は父を殺害する。

それから十年以上の月日が経ち、文宏(玉木宏)は顔を別人に変え、新谷弘一として新たな人生を歩み始めるが、彼は、周りにいる人間を次々と殺していく…。


映画「悪と仮面のルール」玉木宏



感想(ネタバレあり)


連続殺人犯の裏の顔は、一人の女性を愛し守り抜く純情青年… のはずだった


とても題材にしているネタが豊富な作品だなと思った。

連続殺人犯によるサスペンスをベースにして、圧倒的な力で息子たちを支配する富豪の毒親、その呪縛から逃れようとする息子たちの葛藤、そして、主人公の初恋の人への恋心



しかし、それらの豊富なテーマについて、どれも中途半端なまま終了してしまった印象だった。

強いて言えば、これはサスペンス映画というよりも、恋愛映画だったような印象が残る



鋭く切り込む恐ろしさを描くのがサスペンス映画なら、恋愛映画は、それとは真逆でスウィートなもの。

本来なら、その相反する二つのテーマが背中合わせになっているところに、この映画は存在するはずだった。



凶悪な殺人者の裏の顔は、ただひたすらに一人の人を思い続ける純情青年

ゾッとする恐ろしさの裏に、一人の女性を守り抜く男性の強い優しさが見えてくる

そんな映画だったはずだ。



しかし、残念ながらこの映画には、そのゾッとするような恐ろしさがない

そこが、この映画の物足りなさであり、中途半端さだったように思う。

では、なぜそうなってしまったのか。

その理由を考えてみた。


映画「悪と仮面のルール」新木優子


子供たちを支配し暴行した暴君であり毒親だった父


主人公の久喜文宏の兄 幹彦は父から「悪」として育てられていた



しかし、父は幹彦を途中で見限り、その弟 文宏を「悪」にするように方向転換する

そして、弟 文宏は11歳になった頃、久喜家の養女として育てられていた香織に恋心を抱くようになっていた

ところが、父が香織を酷い目に遭わせようとしていることを知った文宏は父を殺してしまう



それから十数年後、文宏は顔をすり替え、別人に生まれ変わる

(「フェイス/オフ」みたいなもの。)



文宏の父は、子供たちを支配し虐待する典型的な毒親である。

兄 幹彦は、その呪縛から逃れることができず、成人しても「悪」である自分を引きずっている

たとえ毒親であっても、幹彦にとっては父であり、長男として、その期待に応えるべきだと思っていたんだろう。



ところが、なかなか期待に応えることができず、父の姿を模倣しようとする。

その「弱さ」を見た父は、幹彦を見捨ててしまう。



そして、父がそうであったように、幹彦は香織を探し出し、彼女を恐怖で支配しようとしたため、文宏は幹彦を殺してしまう



彼らと共に育った香織は父から性的虐待を受けていた。

恐らく、香織を養女として迎え入れたのは、野獣の群れに羊を放ち、息子たちの反応を見たかったからだろうと思った。

そして、その香織に文宏が食いついたのが分かったから、文宏から「憎悪」の感情を呼び覚ますために、香織を暴行したのだろう



それ以来、香織にとって父は恐怖の存在となり、文宏にも父の面影を見てしまい、その関係を先へと進めることができない。

その香織の苦しみを知った文宏は、父の予測通り「憎悪」の感情に目覚め、父を殺害してしまう



ということは、そこまでは父の思惑どおりに進んでいて、その後、文宏はダークサイドに落ち、「悪」へと目覚めるはずだった。



ただし、とても残念なのは、全てが私の推測でしかないということ。

どの場面においても、肝心なシーンが抜けている。

文宏が父を殺すシーンも、父が香織を暴行するシーンも

どれも、この映画の中では描かれていない

だから、「きっと、こういうことなんだろうな」と想像するしかない



あえてショッキングなシーンを省いたのだとしたら、それは失敗だったのではと思う。

とても生ぬるい印象しかない

これが「サスペンス映画」なのだとしたら、ショッキングなシーンがあってこそ、「悪」の心の闇が見え、際立ってくるはず。



もしかしたら、原作を読んでいたら、その背景がもっとくっきりするのかもしれない。

でも、原作を読んだ方が理解が深まるなら、映画を観るより、原作を読んだ方がいいのではと思う


映画「悪と仮面のルール」玉木宏


父が太鼓判を押した文宏の闇はどこにあったのか


そして、私が最も理解できなかったのは、父が文宏を「悪」にしようと思った根拠だった。

父は文宏のどこを見て「この男は悪にふさわしい」と思ったのか



たとえば、アナキン・スカイウォーカーは、「善」であるジェダイへの反抗心と、妻とのすれ違い、そして心の弱さがあって、シスによる支配力からダークサイドへと引き込まれた。

では、文宏のどこに「悪の要素」があったのか



それは、この物語の核心部分だというぐらい重要な意味を持っていたと思う。

なぜなら、これは文宏が「父の呪縛を解く」物語であって、その「悪の要素」を排除してこそ、文宏は呪縛を解き、新たな人生を歩めるはず

顔をすり替えただけで、自分の中の「憎悪」を取り除けるのなら、凶悪犯はみんな整形手術をすればいい。



それとも、父に悪として育てられ、大人になって散々人を殺しながら、「私は悪ではない」と言い切るんだろうか。



その父の呪縛から逃れようとする息子の葛藤がとても薄いように思った。

虚勢を張っているけど、気の弱そうな 兄 幹彦の方がよっぽどそれらしいと思った。


映画「悪と仮面のルール」中村達也


愛のために生きていた人間が人を殺すことができるのか


文宏が完全な「悪」になることを踏みとどめたのは「香織への愛」だった

しかし、「香織への愛」のために、散々人を殺しておきながら、「すべては君を守るためだった」というは都合のいい言い訳のような気がしてくる。

「悪」として育てられた人間に、人を殺す快楽が本当になかったのか。

「愛」のためだけに生きている人間が、そんなにも簡単に人を殺せるのか。



そして、結ばれるはずのない「香織への愛」に終止符を打ち、その後の文宏自身はどこへ向かっていくのか。

彼のアイデンティティはどこにあるのか。

それで父からの呪縛を解いたと言い切れるのか。



毒親から受けた虐待とその呪縛に苦しむ子供たちを描きながら、どこにも「悪」も「憎悪」もない。

ストーリー展開にはとても興味があって、それぞれのキャラクターの背景も面白そうだったのに、肝心なところが描けていないようで残念だった。

特に文宏の内面について、「人を殺す時の感情」とか「本当に悪の部分はなかったのか」とか、その奥の深い部分を知りたかった。

人間の心の闇は、もっと深いところにあると思う。






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小日向文世主演、矢口史靖監督の映画「サバイバルファミリー」を映画館で観た。

ある日突然、電気がなくなったら…。電気が使えなくなった世界をシミュレーションするコメディ映画。


満足度 評価】:★★★★☆

面白かったなぁ。最初は笑いながら観ていたが、途中で笑えなくなり、最後には「私だったら、こんな時どうするだろう…」と真剣に考えながら観た

私は、かなりの確率で生きていけない自信がある。


「サバイバルファミリー」予告編 動画





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キャスト&スタッフ


出演者

小日向文世
…(「アウトレイジ ビヨンド」、「アウトレイジ」、「ザ・マジックアワー」など)

深津絵里
…(「ザ・マジックアワー」など)

〇泉澤祐希

〇葵わかな

柄本明
…(「天空の蜂」、「愛を積む人」、「座頭市」など)

〇大地康雄

〇時任三郎

〇藤原紀香

監督・脚本

〇矢口史靖


2017年製作 日本映画



サバイバルファミリー



あらすじ


サラリーマンの鈴木義之(小日向文世)は、ある日目覚めると家の電気が停電していることに気付く。

しかし、家の電気は妻の光恵(深津絵里)にまかせ、自分はいつも通り出勤し、息子・賢司(泉澤祐希)は大学へ、娘・結衣(葵わかな)は高校へ登校する。

しかし、停電しているのは鈴木家だけでなく、その地域一帯であり、電車も動かいていない。

義之はなんとか徒歩で出勤したものの、パソコンが動かず仕事にならない…。

そして、地域一帯の停電はその日だけでは復旧せず、次の日も続くのだった…。


サバイバルファミリー2

感想(ネタバレあり)


だんだん笑えなくなるサバイバルコメディ


「ある時、この世から電気がなくなったらどうなるか…」についてシミュレーションしたコメディ映画。

もしもこれがハリウッド映画なら、シュワルツェネッガーやスタローンやドウェイン・ジョンソンのようなヒーローが登場して、なんとかしてくれるんだろう。



しかし、この映画はそんな現実離れしたパニック映画ではない。

本気のサバイバルであり、本気のシミュレーションだった。



というのも、私たちは震災の時に似たような経験をしている。

あの時の恐怖を思い起こさせるようなシーンが満載されていたから、余計にリアリティを感じる。



電車が止まり、徒歩で通勤し、「飲料水」の争奪戦が始まる。

初めは笑っていたものの、途中からあまりにリアルで笑えなくなる。



そして、なんとも面白いのは、役人が誰一人として助けに来ないところだ。

街から警察も消防も自衛隊も消える。

もしも、電気がなくなったら、国でさえも機能しなくなるのだ。



だから、本当にそんなことが起きたら私たちは自分で自分の身を守らなくてはいけない

これは、矢口史靖 監督が考えた「もしも電気が無なくなったら」シミュレーションである。




サバイバルファミリー3



ボタン一つで何事も解決する現代のありがたさを知る


矢口版のシミュレーションでは、こんな時に強いのは「田舎暮らし」だと提案する。

自分で畑を耕し、井戸水を飲み、薪で火を起こし、五右衛門風呂に入っているようなど田舎。

今は、田舎だってそんな生活している人はなかなか珍しいだろう。



たしかに、そんな生活だったら電気がなくても生活していける。

しかし、この映画はそんな「田舎暮らし」を称賛しているわけではない

「こんな時に強いのは田舎暮らしだよ」と提案しているだけだ。



でも、そんな「田舎暮らしプレゼンテーション」を観ていると、田舎暮らしの良さを知ることになる。

と、同時に、都会暮らしの便利さも知ることになる。

電気がなくなったことで改めて思い知らされる「温故知新」である。



例えば豚の燻製、蒸気機関車、釣れたての魚の美味しさ、かまどで炊くご飯、五右衛門風呂などなど。

今ではすっかり忘れられてしまったものの良さを改めて感じさせてくれる

しかし、それと同時に、今では何事もボタン一つでできてしまうありがたさを感じるのである。




サバイバルファミリー5



自分なりにシミュレーションしながら観る


そして、この鈴木一家がサバイバルしている様子を観ながら、

私だったら、この時どうするだろう

と、自分なりのシミュレーションを考える



きっと、それぞれの人が、その時、家族、友人、恋人、職場、学校、様々な人と場所をシミュレーションし、「私だったらこう動く、こうなったら嫌だ」と妄想するようになる。



この映画の狙いはそこにあるのではと思う。

観客一人一人に「もしも、電気がなくなったらどうするか」を考えさせる

正直言って、私はスマホを片時も離せない生活をしているので、こんな事態が発生したら生きていけない。



しかも、両親は年老いているので、今いる場所(横浜)から離れることができない。

ところが、横浜は人口が過密な上に近所に畑も井戸もない。

確実に生きていけない…。

1日や2日ならまだしも、2年半とか…。無理…。



サバイバルファミリー4



最後に必要なのは、「お金」ではなく「人」


この映画を観て分かったのは、人が生きるか死ぬかの状態になった時に必要なのは、お金でもなく、立派な家でもなく、支え合う人の存在とその人への気持ちだということ。



鈴木一家は、母光恵の実家が気になり東京から鹿児島まで歩いて向かう。

はじめのうちは家族がそれぞれ自分のことしか考えてなくて、決して仲の良い家族とは言えなった

ところが、様々な難問や困難を乗り越えていくうちに、互いに助け合うようになり、「鹿児島のおじいちゃん、おばあちゃんに会う」という共通の目標に向かって、家族の心が一つになっていく。



私は、彼らのそんな様子を観ながら、

「もしも、私が彼らの立場だったら、私が頼りにするのは誰なんだろう…」とか、

「あの人は、こんな時どうするんだろう…」なんてことを考えながら観ていた。



そうやって自分でシミュレーションしてみたら、本当に自分にとって大切な人の存在が見えてきて、自分はこれから何を大切にして、どういう行動をしたらいいのかが見えてくる

この映画は、「もしも、この世から電気がなくなったらどうすべきか」と考え、自分と向き合うことができる作品だ。



人は1人じゃ生きていけない。

そして、きっと全ての人に大切にしたい人がいるはず。

この映画を観ながら、いつかくる大地震に備えて、そんなことを考えてみるのもいいかもしれない。






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江口洋介主演の映画「天空の蜂」をWOWOWで観た。

1995年。最新の原子力発電所を狙ったテロが勃発。技術者たちが一丸となってテロを阻止しようとするが…。

満足度 評価】:★★★☆☆

全体的に曖昧な雰囲気で、結局何を伝えたいのかが分からないまま終了し、不完全燃焼な印象。

どっちつかずで、スッキリしない感じがなんとも残念だった。


出演:江口洋介、本木雅弘、綾野剛、仲間由紀恵、柄本明、國村隼

監督:堤幸彦 2015年製作 日本映画


「天空の蜂」予告編 動画





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あらすじ


1995年夏、自動操縦が可能な新型ヘリコプターを設計した技術者の湯原(江口洋介)は、そのお披露目会に妻と息子の高彦を連れて出社していた。

お披露目会の開始まで、あともう少し…という時、湯原はヘリの格納庫の様子がおかしいことに気付く。

何物かが遠隔操作でヘリを動かし始めていた。

そして、そのヘリには高彦が乗り込んでいて、彼を助けることができないまま、ヘリは飛行を開始してしまう。

向かったのは原子力発電所の上空。

しばらくすると、「天空の蜂」というテロリストから犯行声明が発表され…。

天空の蜂


感想(ネタバレあり) 原発の上空でヘリがホバリング


原子力発電所の上空で最新型ヘリコプターがホバリングしている。

ヘリには爆弾を積んでいて、燃料切れになる8時間後には墜落する。

テロリストの意図は?そして、国はそれを阻止することができるのか…。

というサスペンス映画。

正直言って、これだったら、先日観た「シン・ゴジラ」の方がよっぽど面白かった。

ゴジラが東京に上陸した時の政府の対応についてのシミュレーションが真に迫っていた。

ところが、この映画は「反原発」を掲げるテロリストを描いるものの、日本が人々の想像以上に原発に頼っている状況を描かず、単に「原発」は「悪」という前提で描いているとしか思えない作品だった。

もっと、日本の状況を赤裸々に暴露した作品でないと、心に響いてこない。

自動操縦のヘリが原発上空でホバリングっていう設定は面白いなぁと思って観ていただけに残念だった。

天空の蜂2

「原発」の建設が市民に与えた悪影響がテロを生む


「反原発」を掲げるテロリストは、それぞれが原発建設の際に国に恨みを持った人間で構成されている。

綾野剛演じる建設作業員だった雑賀は、作業現場で知り合った友人を白血病で亡くす。

雑賀自身も体調を崩し、原発に恨みを持つようになった。

雑賀に原発の情報を提供していた三島(本木雅弘)は、自身が原発の技術者だという理由で小学生の息子がいじめに遭い、その後、息子は自殺してしまう。

かわいがっていた息子だけに、それ以来、技術者でありながら、原発に恨みを持つようになる。

そんな2人が手を組んで起こしたテロだった。

しかし、どうにもこの2人に「原発を爆破してしまえ」というほどの気迫を感じない。

どう考えても、その心の奥底に「無駄に人を殺してはいけない」という優しさが見える。

そんな人が、本気で原発を爆破しようと考えるだろうか…。

とくに三島はもっと狂った雰囲気があっても良かったように思う。

天空の蜂3

日本全国の原発を止めた場合の経済損失は…??


では、もしも、テロリスト「天空の蜂」の要求通り、日本全国の原発を止めたらどうなるのか。

どれだけの電力が不足し、私たちの日常生活にどれだけ支障をきたすのか。

また、そのことでどれだけの失業者が町にあふれ、失業率はどれだけ上がるのか。

そして、それらの影響による経済損失はどのぐらいになるのか…。

ここでは、そのリスクが一切語られない。

前述の「シン・ゴジラ」では、時々刻々と増えていく「経済損失」がキッチリと描かれていたことで、「おぉ、この先の日本はどうなってしまうんだろう…」という恐ろしさを感じることができた。

しかし、「天空の蜂」では、「建築作業員が白血病で亡くなった」、「技術者の家族がいじめで自殺した」という情報だけが与えられ、原発を止めることによるリスクを描かないとなると、観客たちは、なんとなく「やっぱり原発は怖いね」という印象を抱き、反原発へと誘導されていく。

そして、「節電ぐらいで済むなら、原発を全部止めても良いんじゃない?」と思ってしまう。

しかし、「反原発」を訴え、その思想を貫き通す程の力強さは感じない。

その曖昧さが、この映画の残念なところだった。

天空の蜂4


なんとなく曖昧で説得力がないのは、なぜか


結局、映画全体から受ける印象として、「原発の恐ろしさ」を訴えるには、イマイチ訴求力が足りなかった。

原発を止めると、これだけの経済損失があるけど、稼働したら、これだけの健康被害が出るんだ。

という数字でも出してくれないと、なんとも説得力が無い。

この映画のラストにそのどっちつかずの印象をそのまま表現したセリフがある。

主人公の湯原は最後に、成人して自衛隊員になった彼の息子に対し「この国には命をかける価値があるのか??」と問いかける。

それは、息子に問いかけているようで、自身に対する問いかけでもあった。

彼は技術者として一生を終えるが、年老いてから、それで良かったのかという迷いを感じるようになったのか。

その迷いは、この映画が「原発をハッキリとダメと言えないけど、でもなんとなく悪」と中途半端に言っている状態に似ている。

「この国に命をかけたら、いつかは原発で死ぬかもしれないよ…」なんだか、そんな風に聞こえるのは気のせいだろうか…。

もしもダメだと言いたいなら、原発を全て止めた場合のリスクを描いたうえで、それを上回るような理由を言えば良い。

それができないなら、「なんとなく」観客を「反原発」に誘導するような作品を作るのは、ちょっと卑怯な気がする。



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北野武ビートたけし)監督、主演の映画「座頭市」をWOWOWで観た。

目の不自由な按摩の市が、実は凄腕の浪人であり、やくざに支配された小さな村を救う時代劇。

満足度 評価】:★★★★☆

面白かったなぁ。

殺陣のシーンがシャープで切れ味がよく、常にバックで流れるテンポの良いリズムで最後までウキウキワクワクしながら楽しめた。

この映画を観るのは2回目か、3回目だけど、何度観てもやっぱり面白いと思う。

出演ビートたけし、浅野忠信、夏川結衣、大楠道代、橘大五郎、大家由祐子、ガダルカナルタカ、岸部一徳、石倉三郎、柄本明

監督北野武 2003年製作 日本映画


「座頭市」予告編 動画





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あらすじ


盲目の按摩、座頭市(北野武ビートたけし))は、杖をつきながら、町から町へと渡り歩いていた。

ある時、小さな村に立ち寄った時、そこでは、ヤクザの頭、銀蔵(岸部一徳)が全てを支配しようとしており、賭場がその勢力に対抗し、空気の張り詰めた緊張状態にあった。

さらに、銀蔵は用心棒として凄腕の浪人、服部源之助(浅野忠信(「幼な子われらに生まれ」))を雇い、勢いを増していた。

その様子を知った市は、罪のない村人たちが虐げられた生活を送っていることが気になっていた…。


座頭市

感想(ネタバレあり) よくあるありがちな話を楽しくかっこ良く見せる映画


いやーー。この映画は、何度観てもかっこいい!!

久しぶりに観て、やっぱりかっこいい映画だと思った。

ストーリーはとても単純でありがち。

ヤクザの抗争に巻きこまれ、虐げられた生活を送っている村人たちを、目の見えない座頭市が彼らの代わりに悪者を倒し、その悲惨な生活から救うというお話。

時代劇が得意ではなく、あまり観ない私でさえ、「あぁありがちだ」と思うんだから、きっと多くの日本人が途中まで観たところで、「よくある話だな」と思うはず。

日本人でなくたって、この手の話は昔の西部劇にもよくあったパターンだから、世界中の人たちからも、古典的なよくある話として捉えられるのかもしれない。

では、そんな「よくある話」を、どれだけ面白く、魅力的なエンターテインメントに変えていくのか。

そこが、演出の肝であり、監督の腕の見せ所になってくる。


座頭市2

殺陣のシーンが何度観てもかっこいい


私が、この映画で最も面白いと思ったのは、「殺陣のシーンのかっこよさ」だ。

殺陣のないシーンでは、「早く殺陣を見せてくれ」とソワソワしてしまったぐらい、殺陣のシーンが面白い。

時代劇のよくある殺陣のシーンだと、1人の達人が真ん中にいて、その周りを丸く敵が囲み、1人ずつその達人に向かって行くというシーンが多い。

私は、いつもあれを観ながら、他の人たちがその隙に切りに行けるのに…と思いながら観ていた。

ところが、この「座頭市」は違う。

3、4人が一気に座頭市を切りに行く。

「背中から切りつけるのは卑怯者のすること」というタブーを破り、堂々と背中から切りに行く(笑)

なぜなら、ヤクザたちは卑怯者だからだ(笑)

それに対し、市は、一度に3、4人を相手にし、一気に切りつけ、石灯籠まで切ったり、木の扉越しに人を切ってしまう。

背中から切り付けてきた奴には、後ろに向かって刀をズバッと差し込む。

全て、相手の3歩先を読み、相手よりも早く手を出す。

それは、彼が盲目であり、音に集中することで、場所と動きに集中した結果だ。

もう、この全ての殺陣の演出のかっこ良さ。

それだけでも、この映画を何度でも観たいと思わせるエンターテインメントがあった。

座頭市3

生活音がリズムになる。時代劇をテンポよく見せる魔法の素


そして、もう1つ。この映画を面白くしているは、「音」だ。

「殺陣」は、盲目の人が音に集中した結果の動きだったように、この映画全体が「音」を大切にしている。

クワとスキで畑を耕す音。

雨の日に水たまりを歩く音。

薪割りの音。

そしてラストシーンのタップダンスまで、全ての音を打楽器にみたて、リズムを作り出し、映画のテンポを上げている。

一般的に、時代劇は話がスローテンポだ。

それが私の時代劇が苦手な理由の1つだ。

ところが、これは、その随所に流れてくる「音」と「リズム」のおかげで、すごくテンポが良くスピード感がある作品のように見えてくる。

これは、北野武の演出の上手さだ。

常にタップダンスのようなタタン、タタンという音を聴いていると、なんだかウキウキしてくる。

これが、この映画を観ていて私の心を躍らせた魔法の1つだ。


座頭市4

誰もが知っている話を、どれだけ面白く見せるか


世界中、どの国にも、誰もが知っている「お約束」の誰もが知っている物語っていうものがある。

その話は、たいてい、何度も映画化されている。

イギリスでいえば、シェークスピアの戯曲は誰もが知っていて、いろんな演出家が舞台化したり、映画化したりしている。

そういう、「誰もがよく知っている話」を「どうやってお客さんを楽しませるか」というのが、演出家にとっての腕の見せ所となってくる。

この「座頭市」でいえば、北野武流の血しぶき舞い散る派手な殺陣と、生活音をリズムに変えたテンポの良さが光っていた。

それらの演出が成功し、常にドキドキ、ワクワクする映画に仕上がっていた。

ってことは、使い古された映画でも、演出次第でいくらでも楽しくすることができるってことを証明してしまった作品だったんだねぇ。

いや~面白かった。

そして、ちょっとタップダンスが習いたくなったよ(笑)





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佐藤浩市主演の映画「愛を積む人」をWOWOWで観た。

老後は田舎町でゆっくり暮らそうと東京から北海道の美瑛へ引っ越した初老の夫婦だったが、ある日突然、妻が亡くなってしまい、絶望した夫が少しずつ立ち直っていく姿を描く。

満足度 評価】:★★★★☆

一つ一つのセリフが心に刺さる素敵な映画だった。どんなに絶望的な状況でも、いつも孤独を感じていても、人との出会いを恐れずに心を開いていけば、きっとそこから幸福が舞い降りてくる。だから、人との出会いを大切にしないければいけない。そう思える映画だった。

出演:佐藤浩市、樋口可南子、野村周平、杉咲花、北川景子、柄本明、吉田羊

監督:朝原雄三


「愛を積む人」予告編 動画





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あらすじ


篤史(佐藤浩市)と良子(樋口可南子)の夫婦は、東京の蒲田で篤史の父から受け継いだ工場を経営していたが、借金がかさんで倒産。

工場と土地を売ったお金で北海道の美瑛へ移住。

2階建ての一軒家と家庭菜園のみの小さな家だが、良子は家を石塀で囲みたいと言いだす。

工場での仕事しか知らなかった篤史は、乗り気ではなかったが、良子からの「どうしても」という願いを聞き入れるように、造園業者の指導を受け、手伝いとして紹介された青年、徹(野村修平)と共に石塀づくりを始める。

しかし、そんな中、良子は体長が悪く、それを篤史に伝えられずにいた…。

愛を積む人

感想(ネタバレあり)


母がいないと何もできない父が心配になる・・・


ありがたいことに、私はいまだに両親が健在でいてくれている。

しかし、彼らを見ていると

「もしも、父よりも先に母が倒れるようなことがあったらどうなるだろう…」

と、思うことが時々ある。

食事、洗濯、掃除に着る服、下着まで、全て母に任せっきりの父。

これまで一人暮らしの経験のない父は、どうなってしまうんだろうか。

そんな思いを抱きながら、この映画を観て、身につまされる思いがした。

主人公の篤史と我が家の父は、まるで同じだったからだ。

我が家も自営業をし、父と母が共に働き、借金を抱えた時は母が資金繰りに走り回り、その上、子育てや家事の全てを母がこなしていた。

そのストレスから母が倒れたりしたら、父はどうするんだろうか…。

愛を積む人2

良子から篤史への手紙が心に響く


案の定、篤史は家の中を散らかし放題、一日中ゴロゴロして過ごす日々になってしまう。

食事も良子がバランスを考えて準備していたのに、一人になった途端、好きな物ばかり食べるようになってしまう。

そんな篤史を見越した良子からの手紙が心に響く。

「ご飯は好きな物ばかり食べないで、バランスよくとってください」

「一日中家にいないで、もっと外へ出てください」

「外へ出て、積極的にいろんな人に話しかけてください」

まるで初めて一人暮らしを始める子供に教えるようなことを、全て、事細かに手紙に書いている。

でも、それぐらいしないとダメでしょうね。

分かるわぁと思った。

その後、その手紙をきっかけに、外へ出て人と話す機会が増え、次第に近所に仲間が増えていく篤史。

家の中に閉じこもっていたら、一生孤独だけど、外へ出て、近所の人に話しかけるだけでにぎやかな家に変わっていく。

その「他人と支え合う生き方」がすごく素敵だなぁと思った。

愛を積む人4

人と違っても良い。その形がいびつでも良いという生き方


そんな生き方があってこその「石塀」だった。

篤史と同じように孤独で不器用な生き方しかできない徹に対し、石を積みながら言う篤史のセリフがとても印象的だ。

「キレイな石だけを積んでいたのでは良い石塀はできない。

キレイな石の間にちょっと形のいびつな石を入れることで良い石塀ができるんだ。

形のいびつな石にも、ちゃんと役割があるんだ」

彼女の紗英が妊娠してしまい、「徹は不良」というレッテルをはられ、紗英と生まれてくる子供から引き離されてしまう徹を励ます言葉だった。

この言葉にはすごくジーーンとして感動してしまった。

そうなんだよね。人と違う形で良い。違う形には、その形なりの生き方がある。

だから、今の自分に胸をはって生きれば良い。そう思える言葉だった。


愛を積む人3

人との出会いが思わぬ幸運をもたらしてくれる


この映画を観て、良いなぁと思ったのは、その「他者と寄り添い合い、支え合って生きる生き方」だった。

人生、長い間生きていると、人間関係にたくさん失敗し、嫌な思いや悲しい思いをたくさんする。

だから、歳を重ねるたびに、人との出会いに慎重になってしまうし、時には恐怖を感じてしまうこともある。

でも、人はひとりでは生きていけない。

だから、恐れずに、もっと人と接していくべきだ。

新しい出会いが、思わぬ幸福をもたらしてくれるかもしれないから。

それは、北海道のど真ん中で一人暮らしを始めた篤史が、いつの間にか近所の人たちに囲まれ、にぎやかに暮らせるようになったように。

それは性善説かもしれないけど、歳をとることも悪く無いなぁと思える素敵な映画だった。





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