とにかく映画が好きなんです【本館】

とにかく映画が好きで、特にアメリカ映画大好きです このブログは、ネタバレありの映画鑑賞日記です。主にハリウッド映画と韓国映画をメインに感想を書いています


タグ:満島真之介



福山雅治主演の映画「三度目の殺人」を映画館で観た。

ある殺人事件の裁判を通じて、裁判所・司法制度のあり方について問う。


映画「三度目の殺人」



満足度 評価】:★★★★☆(4.5)

とても面白い映画だった。

一番目の殺人で実の娘に「殺人者の娘」というレッテルを貼ってしまい

二番目の殺人で、娘の「お父さんなんか死ねばいいのに」という願いを叶え

三番目では、自分の命を神に捧げ、『自己犠牲』の精神で娘の輝く未来を守った殺人犯の三隅



三隅の言う通り、『この世は理不尽』で、本当の悪を裁けるのは神だけなのか…

その真相は、神様がだけが知っている…。


目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「三度目の殺人」予告編 動画







更新履歴・販売情報

・2017年9月21日 映画館で観た感想を掲載。

・2018年7月7日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

・2019年10月26日 「土曜プレミアム」での放送に合わせて加筆・修正。

現在、ネット配信、DVD共に販売中。



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キャスト&スタッフ


出演者

〇福山雅治

役所広司
…(「孤狼の血」、「オー・ルーシー!」、「蜩ノ記」、「わが母の記」など)

広瀬すず
…(「SUNNY 強い気持ち・強い愛」、「怒り」、「海街diary」など)

満島真之介
…(「散歩する侵略者」など)

市川実日子
…(「シン・ゴジラ」など)

〇吉田鋼太郎


監督

是枝裕和
…(「万引き家族」、「誰も知らない」、「歩いても 歩いても」、「海街diary」など)


2017年製作 日本映画




あらすじ


弁護士の重盛(福山雅治)は、弁護士仲間(吉田鋼太郎)から、ある殺人事件の弁護を依頼される。

容疑者である三隅(役所広司)の供述が二転三転して困っているという。

三隅は、勤務している食品加工工場の社長を殺したとして逮捕され、殺人犯として服役した過去もあるため、刑の重さによっては死刑も免れない。

そこで、重盛は情状酌量で刑を軽くし、死刑を避ける線で裁判の計画を練るのだが…。



映画「三度目の殺人」




感想(ネタばれあり)


犯人の供述が二転三転しても、判決は落ちるべきところに落ちる



殺人犯である三隅を突き動かした原動力は、この世の理不尽さだった。



裁判所は、本来ならば悪事を裁く場所である。

刑事事件には、事件の犯人だと思われる容疑者がいて、容疑者を訴える側の検事と容疑者の権利を守る側の弁護士が、お互いに証拠を出し合って容疑者が犯人かどうかを争い、両者の言い分を聞いた裁判官が判決をくだす。

しかし、実際のところ、事件の本質を見ず、容疑者の言い分も適当に聞き流し、検事と弁護士の二者が自分にとっても最も都合の良い判決を要求し、裁判官は両者の要求を聞いた上で、最も妥当なところで判決は決まってしまう



この映画では、容疑者の供述が二転三転し、事件の本質がつかめないまま、弁護士は裁判に突入する。

雲をつかむような状態のまま、裁判は進み、最後には判決がくだされる。



容疑者が供述を変えたにも関わらず、判決が変わらないのなら、裁判とは、一体誰のためのものなのか

裁判で悪が裁かれないのなら、一体、誰が裁くというのか

裁判とは、一体誰のために行われるものなのか。

殺人犯の三隅は、その理不尽さに苦悩し、自ら天罰をくだす道を選択するのだ。



映画「三度目の殺人」福山雅治



娘を守れない父の想い


弁護士の重盛も、この映画を観ている観客も、殺人犯である三隅の供述に惑わされてしまう。

殺人犯という程に凶暴な印象はなく、とても穏やかで真面目そうに見える。



しかし、話が二転三転していくのだ。

始めは「酒を飲んでいて、社長の金が欲しくなって殺した」と言い、それが、その後、「社長の奥さんに頼まれて殺した」という。

そして、しまいには「私は殺してない」と言い出すようになる。



そんなふうに、のらりくらりと人を困らせる三隅だが、最初から最後まで一貫して揺るがないことがある

それは、『娘に対する想い』である。



彼が『一度目の殺人』で実刑判決を受けた時、まだ幼い娘がいた

その娘は、父が実刑判決を受けた後、北海道の田舎町で『殺人犯の娘』として30年間生活し、その結果、「お父さんなんか死ねばいいのに」が口癖になる



三隅は、刑務所の中で、娘に悲しい思いをさせてしまったことを悔いながら生きるようになる



映画「三度目の殺人」福山雅治、役所広司



二番目の殺人で、娘の願いを叶える。「お父さんなんか死ねばいいのに」


三隅の娘と同じく、「お父さんなんか死ねばいいのに」と思いながら生きていたのが、三隅が殺した社長の娘・咲江(広瀬すず)である

三隅は、実の娘と同じく足が悪い咲江に自分の娘を重ね合わせるようになり、まるで我が子のように世話を焼くようになるのだ。



刑務所にいて、娘にしてあげられなかったことを、咲江に対してしてあげたい

そう思ったに違いない。



やがて、三隅は咲江から悩みを聞かされるようになる。

それは、咲江が父親から性的暴行を受けているという衝撃の事実だった。



実の娘同然の咲江が暴行されていると聞いて、三隅は社長のことが許せなくなった。

娘を暴行していた社長こそが、三隅の言う「生きる価値のない人間」のことである

それが、二番目の殺人の動機となった。



しかし、もしも、咲江と社長の関係を警察に訴えようものなら、咲江は裁判で証言することになる。

裁判で証言するということが、どんなに酷いことで、それが咲江の一生の心の傷になることを三隅が一番よく分かっていた。



罪のない被害者が、なぜ、苦悩を抱えて生きなければならないのか

その理不尽さに突き動かされた三隅は、神に代わって社長に天罰をくだしてしまう

そうして、三隅は二番目の殺人で、咲江の「お父さんなんか、死んでしまえばいいのに」という願いを叶えることになる



その三隅と咲江の関係を見て、三隅に自分の姿を重ね合わせたのが、弁護士の重盛である

重盛は妻と離婚し、娘のそばにいられないことに悩まされていた



『娘と会う時は、彼女が万引きをして捕まった時だけ』という悲しい関係の二人。

彼女にとって『万引き』は、お父さんに会いたい時のサインなのである。



忙しく仕事に追われながらも、常に心の片隅では娘のことを考える重盛にとって、三隅の動機は他人事ではなかった。

刑務所の面会場で向かい合った二人は、時折、二人の間にある透明のついたてが消え去り、二人の姿が重なる。



弁護士と容疑者の関係ではあるけれど、二人は表裏一体で、共に「娘への想い」でつながっていた

お互いの地位に違いはあっても、心の中の思いに大きな違いはない。



重盛だって、娘が誰かに酷い目に遭わされたら、きっと殺したいと思うだろう。

裁判では、それ相応の罰が与えられないことを誰よりもよく知っているはずだ。

共に、娘を守れない父親同士だからこそ、相通じるものを感じているに違いない。



映画「三度目の殺人」広瀬すず



三番目の殺人。自分を殺して神にその身を捧げる-「自己犠牲」の精神-


三隅にとって、一番目と、二番目の殺人の間で、大きく違うのは『神』の存在である。

そこは明確には描かれていないけれども、一番目の殺人で刑務所に入った時に『神の教え』と出会ったのだろうと思った。



刑務所で『神の教え』に目覚める人はとても多いからだ。



仮出所した三隅は、重盛の父である裁判長に手紙を書く。

決定的な証拠もなく、状況証拠だけで実刑を受けてしまった三隅は、きっと裁判長を恨んでいたはずだ。

それなのに、裁判長に手紙を書いたのは、神の教えに基づき、「裁判長を許した」ということなのだと思った。



彼がキリスト教に入信しているのは、カナリアの墓や社長を殺した跡の十字を見ても明らかである。



その三隅が、裁判の後半で急に供述を変え、「私は殺していない」と言い出してしまう

「情状酌量」の線で減刑を希望していた重盛にとって、それは許せないことだった。



ここで無罪を主張したら、「反省の色なし」と見られ、確実に死刑判決を受けてしまう。

しかし、その時すでに三隅に自分の姿を重ね合わせていた重盛は、冷静な判断ができなくなってしまっていた。



重盛は、三隅の「殺していない」という主張を信じ、裁判長に『無罪』を訴える。

この時、重盛は三隅のその『無罪』の裏にある真意を理解した上で、「そうさせてあげたい」と思ったんだろうと思う。

その理由は、裁判後の最後の三隅と重盛の面談で明かされる。



結局、三隅は裁判長から「死刑」の判決を受ける

この時、三隅にとっての『三度目の殺人』が成立したのだ

最後に殺したのは、自分自身だったのだ



三隅が社長を殺す前から望んでいたのは、咲江に恥ずかしい証言をさせないことだった。

実の娘のように思っていた咲江の口から、「父親から性的暴行を受けていた」なんて衝撃的なことを言わせないこと。

「それがどんな風に行われていたか」なんてことを、咲江に裁判所で語らせないこと。

もしも咲江がそんなことをしたら、実の娘が『殺人犯の娘』と言われたのように、後ろ指を指されながら一生を終えなければならない。



咲江にそんな酷い一生を送らせたくない一心で、三隅は自分が死刑になることで裁判の論点を変え、咲江を証言台に立たせないようにし、最後まで咲江の未来を守り通したのだ

それは、キリスト教で最も美しいとされる「自己犠牲」の精神である



映画「三度目の殺人」斉藤由貴、広瀬すず



本当の悪は裁判では裁かれない。神に裁きをゆだねる三隅の想い


この事件で起こったことを整理して考えてみると、

本当の『悪』は、娘を暴行していた社長である。

しかし、本来裁かれるべき『悪』は被害者として登場する。

裁判ではその悪の真相に一切触れることなく終了してしまう。



三隅は、その理不尽さを重盛に訴え続けていた。

しかし、咲江が辛い思いをせずに、咲江の父親を裁くことは、今の法律ではできない。

重盛もまた、そこに弁護士としての限界を感じ、最後は三隅の思うままにさせてしまう。



一番目の判決で有罪判決を受けた三隅は、「裁判所は、本当の悪を裁かない理不尽なところ」だと知り、

その上、一人残した娘に悲しい思いをさせてしまい

二番目の殺人で、我が子同然である咲江の願いを叶え

三番目の殺人では、『自己犠牲』の精神で自らの命を神に捧げ、これまでの自分の悪行を浄化する



その三隅の行動を通して浮かび上がってくるのは、「善悪」より「勝ち負け」を優先する裁判所の在り方である

容疑者が何を供述しようがしまいが、裁判官、検事、弁護士の間で『判決は決まっている』ということ。



それを三隅は、一番目の裁判で学習したから、本物の悪の裁きは神様にお願いしようと思った。

それが三隅の動機であり、だからこその十字架だった



三隅は、裁判所では『死刑判決』を受けたけれども、『自己犠牲』をしたことで、ようやく自分にも価値があることができたと思ったのではないだろうか。

判決後の重盛の面会で、とても清々しい表情で現れた三隅に、その思いが現れている



人殺しをして、三隅の魂は本当に救われたのか

始めからゴールが決まっているなら、裁判を行う意味があるのか

その真実は、神様だけが知っている



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長澤まさみ主演の映画「散歩する侵略者」を映画館で観た。

ある日突然現れた3人の侵略者が人類から大切なものを奪っていくSFサスペンス映画。



満足度 評価】:★★★☆☆(3.5)

人類にとって最も大切なものは「頭の中にある」という考え方が面白かった。

その中でも、最も尊いものが『愛』であり、『愛』を知らない宇宙人は人間を軽く見るし、簡単に殺してしまう。

そもそも、『愛』を知っていれば侵略などしなかった。

『愛』は、人類にとって、唯一の希望なのである。


「散歩する侵略者」予告編 動画





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キャスト&スタッフ


出演者

長澤まさみ
…(「君の名は。」、「海街diary」など)

〇松田龍平

長谷川博己
…(「シン・ゴジラ」など)

…(「ギャングース」など)

〇恒松祐里
…(「くちびるに歌を」)

満島真之介
…(「三度目の殺人」など)

監督・脚本

〇黒沢清

2017年製作 日本映画



散歩する侵略者



あらすじ



イラストレーター・の鳴海(長澤まさみ)は、ある時夫・真治(松田龍平)が病院に運ばれ、記憶障害になって帰って来る。

ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は、政府や自衛隊の動きがおかしいので地方で取材をしていたが、結局、何のスクープも撮れなかったので、東京へ帰ろうとしていた。

そんな桜井の前に、天野(高杉真宙)と名乗る少年が現れ、「僕は人類を侵略しに来た宇宙人。僕のことを取材してよ」と言う。

さらに、天野は「仲間があと2人いるから、探すのを手伝って欲しい」という。

ちょうどその頃、女子高生・立花あきら(恒松祐里)による、一家惨殺事件が起きていた…。



散歩する侵略者5



感想(ネタバレあり)


人類の大切なものを奪いにきた宇宙人


きっと誰にだって「あぁ、あの人が羨ましい」と思ったり、「あの人が持っている物が欲しい」と思うことがあるだろう

それは、決して悪いことではない。

『自分が持っていないもの』を、他の人が持っていたら、誰だって羨ましいと思うし、自分も欲しくなるのは当然のことである。

だからといって、実際に奪ってしまうのは、他人を『侵略』することになるのだ。



この映画には、宇宙人が登場する。

彼らは、『人類を侵略するため』に地球にやってきて、人類の大切なものを奪っていく

その大切な物とは、人々から頭の中にある『概念』である。

ということは、ある時地球を訪れた宇宙人が、「人間は『概念』を持っていて素晴らしい」と思ったんだろう。

だから、その『概念』を奪おうと考えた。



これは面白いなと思った。

目の前にいる人が素晴らしいアイディアを思いついた時に、その思考回路が羨ましいと思うことはあっても、実際に奪うことはできない。

でも、この宇宙人たちは「それもらうね」と言って、奪うことができてしまう。



お金や土地など『目に見えるもの』を奪うのは、とても分かりやすいことだけど、この映画では数値や形にできない『目に見えない』ものを奪おうとしている点が面白いなと思った。

そもそも、私たちは頭の中にある『概念』を素晴らしいと思ったことがあるだろうか。

当たり前のことだと思っていないだろうか。

それは、人間が『本来持っている助け合う気持ちの素晴らしさ』を忘れ、「地球を滅ぼさないために人類が助け合うべきだ」と伝えるためにやってきた宇宙人を描いた映画『メッセージ』にも通じるものがあると思う。


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どうも、最近の人類は、宇宙人に褒められないと自分たちの素晴らしさに気づけないようである




散歩する侵略者2



侵略者が人間たちから奪っていったもの



侵略者は、人類から概念を奪う。

と聞くと、『概念』という言葉がとてもとっつきにくいので、ちょっと難しい印象を受けてしまう。

でも、そんなに難しいことはなくて、人々の「物事に対する考え方を奪う」と考えたら良い。



家族に対する愚痴ばかりをこぼしていた鳴海の妹・明日美(前田敦子)は、『家族』に対して思っていたことを全て奪われ、愚痴どころか、『家族』をなんとも思わなくなってしまう。

自分が所有する家に引きこもりだった丸尾は、その『所有』に対する考えを奪われたことで、『物を所有する』気持ちがなくなり、外に出て人々に語りかけるようになる。



他にも、様々な考えを奪われる人たちが登場するが、最も印象的だったのは、フリーランスの鳴海に仕事を提供しているデザイン会社の社長(光石研)だった。

その社長は、鳴海に対し、セクハラまがいのボディタッチをしていて、それを鳴海がやんわり断ると、態度が一変、鳴海に強く当たるようになる。

鳴海が提出したデザイン案についてもNGを出し、「これなら、ネットにあるどっかのデザインをパクった方がマシだ」と言う。

私は、その様子を見て、『ネットにあるどっかのデザインをパクる』ことこそ侵略だと思った。



誰かがある物事に対して考えたものを表現するのがデザインなら、そのデザインをパクることは、その人の考えを奪うと言うことであり、宇宙人がしている『侵略』と全く同じである。

私たちは日頃から、気付かぬうちに他人の物を『侵略』しているのである。

東京オリンピックのロゴパクリ疑惑騒動を思い出しつつ、あの時は「そんなのみんなやってること」と内心思っていたけど、

その感覚は麻痺していて、『パクリ』は、他人の頭の中からデザインを盗むことであり、それは立派な犯罪なんだなと気付かされた。



鳴海がしている『仕事』が気になった真治が、その場に登場し、社長から『仕事』を奪うと、社長は童心に帰ってしまう。

仕事人間から仕事を奪うと、何もできないただの子供なのだ。



散歩する侵略者3



人類を生かすも殺すも『愛』次第


目に見える物全てに対し、常にいろいろと考えながら暮らしている私たちの頭の中には、数えきれないほどの概念ががある。

その中で『愛』とは、最も尊いものだと、この映画は訴える。



天野のガイドとして、宇宙人と共に行動していた桜井は、それまで宇宙人のやり方を否定していたのに、最後の最後になって天野を助けるようになる。

それは、桜井が『人間だから』である。

どんなに嫌っていた人でも、たとえ、その人が敵だったとしても、目の前にいる人が死にそうになって困っていたら、「何かできることはないか」と声を掛けるのが人間であり、『情』であり、『愛』なのである



天野とあきらが死んでしまい、人類の命運は真治にかかっていた。

彼らの故郷へのコンタクトが成功し、侵略が始まるまで『愛』についての概念を持っていなかった真治だったが、

鳴海から『愛』を教えられると、これまで見えていた世界が一変し、「鳴海を守りたい」という気持ちが生まれる

そして、侵略は途中で止まる。



それは、宇宙人が『愛』を知り、侵略をやめたということ

ということは、そもそも、宇宙人が『愛』を知っていたら、地球が侵略されることはなかったということ。

宇宙人たちは『愛』を知らないから、人間を軽く見るし、簡単に人を殺していたということ




桜井の『愛』が、宇宙人のコンタクトを成功させるが、鳴海の『愛』がそれを阻止させる。

これは、そこに『愛』さえあれば、侵略も止められるし、コンタクトをすることもできる

つまり、人類と宇宙人が共存できるということである。



散歩する侵略者4


最も愛がないのは『無関心』、最も愛が強いのは『無償の愛』



この映画では、「侵略者」は宇宙人として描かれているけれども、どんなものにでも置き換えることができる

「侵略者」が他国だったら戦争になるし、ライバル会社だったら産業スパイや企業買収になる

前述した『ロゴパクリ疑惑』だってそうだし、強盗や万引きだって、「人の持っている物を奪う」侵略である。



つまり、私たちの身の回りで起きている犯罪の多くは、この『侵略』から始まっている。 



ということは、その犯罪の多くは『愛が足りなくて』起きていることだともいえる

ラストで真治がくれたミカンに鳴海が一切無関心なのは、『愛』がないからである。

一方で、真治は『鳴海から何の反応がなくても、鳴海に一生愛を注ぎ続ける』と考えている。

最も愛がない行為は『無関心』であり、最も強いのは『無償の愛』である



そんな二人の姿を見て、時々、冷たい態度をとったり、イラついてしまうのは、私も最近『愛』が足りないからなんじゃないかと考えさせられた。

SF映画でありながら、こんなにも『愛』について深く考えさせられるところが、この映画の面白さだなと思った。


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