生田斗真主演の映画「友罪」を試写会で観た。

少年犯罪を犯した者と、その家族、友人たちが成人してから背負う苦悩を犯罪者側の視点で描いた作品。



満足度 評価】:★★★★☆

未成年の頃に犯罪を犯した者と、その家族と友人。

彼が更生して成人した時、それぞれが背負う良心の呵責と社会的制裁。

しかし、彼らがいくら更生したと言っても、彼らに対する不快感を拭うことはできない。

そんな一般人の心境も飾ることなく描かれているのも良かった。



目次

  1. 予告編
  2. 更新履歴・販売情報
  3. キャスト&スタッフ
     出演者
     監督
  4. あらすじ
  5. 感想


「友罪」予告編 動画






更新履歴・公開情報


・2018年5月16日 試写会で鑑賞。

・2018年5月31日 ブログに感想を掲載。

・2019年5月5日 WOWOWでの放送に合わせて加筆・修正。

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キャスト&スタッフ


出演者


〇瑛太

…(「海街diary」など)





監督



2018年製作 日本映画



映画「友罪」



あらすじ


元ジャーナリストの益田(生田斗真)は、仕事を辞め、郊外にある住み込みの工場で働き始める。

そこに同じ時期に入った鈴木(瑛太)と共同生活をしていくうちに親しくなっていくが、彼はどこか謎めいた雰囲気を持っていた。

そして、後輩の記者(山本美月)から17年前に起きた少年犯罪の記事について相談された益田は、その時の犯人 少年Aが鈴木によく似ていることに気付き、鈴木が少年Aなのでは…と疑い始める…。



映画「友罪」生田斗真、瑛太



感想(ネタバレあり)


かつて未成年犯罪者、罪を償う本人と家族、友人の罪の意識


人は一人では生きていけない。

たとえ友人がいなくて孤独だとしても、生んで育ててくれた親や一緒に暮らした兄弟がいる。

肉親がいなくても施設で育ててくれた人や養父母がいて、学校に行けば先生やクラスメイトがいるし、大人になれば職場に同僚がいる。

無人島で自給自足の生活でもしていない限り、人は意識していないところで影響し合いながら毎日を生きている



この映画は、少年犯罪について犯罪者側の視点に立ち、犯罪を犯した本人と、その周りに与える影響について描かれた作品である。



最近、未成年が犯す犯罪は凶悪度が増しているように感じる。

日本中を震撼させた酒鬼薔薇事件のような連続殺人事件や、レイプをはじめとした性犯罪に、無免許運転や飲酒運転もある。



また、いじめを苦に自殺する未成年の数は増え続けている。

この場合、いじめた側は人を殺したと言っても過言ではない。



この映画では、彼らのような「未成年犯罪者」が少年院などで罪を償った後、どんな大人になっているか、そして、その家族や友人たちはその「罪」に対して何を背負って生活しているのかについて描かれている

この映画を観ていると、罪を犯したのは本人だけでも、家族や兄弟、友人たちがみな、その罪を犯してしまった者から影響を受けずに生きることはできないということがよくわかる。



もちろん、家族や友人たちに一切罪はない。

しかし、彼らは「その時」何もできなかったことに対して、時には犯罪を犯してしまった者以上に罪の意識を感じて生きているのである。

その犯罪者側の心理がとても興味深くて、グイグイ引き込まれながら観た作品だった。



映画「友罪」夏帆、瑛太



もしも、目の前にいる人が『少年A』だと分かったら


瑛太演じる鈴木は、1997年に兵庫県で起きた酒鬼薔薇事件をモデルにしている

14歳の少年が二人の児童を殺し、三人が重軽傷を負った連続殺傷事件。

その当時は、児童を殺害して頭部を校門に置くという残忍な犯罪を犯したのが、14歳の少年だったことで社会に衝撃を与えた。



その後、酒鬼薔薇は成人し、事件から18年後の2015年に自伝「絶歌」を出版する。

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この映画では、14歳の時に犯罪を犯した鈴木が、事件から17年経ち、社会人として生活している姿が描かれる。

ということは、酒鬼薔薇もちょうど鈴木ぐらいの歳なのか…と思う。



そのためか、身分を隠しながら生活している鈴木の姿を見ながら、今もどこかで生活している酒鬼薔薇を思った

彼もまた大人になり、名前を変えて「普通の人」として生活しているのだ。



でも、そう思うと、ちょっとゾッとしてしまう

しかし、それこそが、この映画が観客に問いかけているところなのだ。

もしも、あなたの目の前に、あの少年Aが現れたら、あなたは受け入れることができますか

鈴木本人と、彼の校正を助けた人の思いを描きながら、その時の凶悪犯と、現在の彼は違うことを示す。



その「鈴木の正体」について苦悩するのが友人の益田である。

彼はジャーナリストである。

鈴木は更生施設で命の大切さについて学び、法律で定められた罪を償い、人の痛みが分かる大人になって社会生活を送っている。

それでも、友人の鈴木を「元少年A」という視線から見て、週刊誌のネタ元にするべきなのか



その益田自身も、中学時代の友人を自殺から救えず、そのことを悔やみ続けて生きていた



だからこそ、次こそは鈴木を救わなければいけないと思ったのだ。

益田は直接誰かを殺したわけではないが、自殺した親友を最後までかばえなかったということは、いじめた者たちに加担したのと同じようなものだと、自分を責めながら生きてきたのだ。



益田というキャラクターは、犯罪者や自殺者が友人に与える影響を表している

友人は当事者ではないけれど、彼らと同じ時間と空間を共有することで、心に傷を負い、それがいつまでも彼らを追い詰めるのだ。

益田のような人たちを救うためには、スクールカウンセラーの必要性を強く感じる。

もしかしたら、益田の自殺した親友だってスクールカウンセラーがいたら救われたのかもしれない。



もちろん、いじめをなくすのが最善の策だけれど、いじめをなくすことはできないという前提で。



映画「友罪」佐藤浩市



未成年犯罪者を持った親の思い「幸せになってはいけない」


登場人物たちの中で印象に残るのは、佐藤浩市演じるタクシー運転手 山内だ。

彼は、10年前にまだ未成年だった息子が無免許運転をして事故を起こし、幼い子供の命を奪ってしまったのだ。

その事件後、山内は妻と離婚し、事故を起こした子供にも会わず、被害者へ賠償金を払い続けるためにタクシー運転手をして働いているのだ。



ところが、10年ぶりにその事件を起こした息子に会うと、彼は前を向いて生きていて、新しい家族を作ろうとしている

そんな息子に対し、山内は激怒してしまう。

息子は被害家族の子供を殺してしまったのに、自分は幸せになって子供を作ろうとしている

そんなことが許されるはずがない



山内は、「未成年犯罪者の親」を表すキャラクターである。

彼のような未成年犯罪者の親たちは、殺された子の親と同じ親として「もしも自分の子供が殺されたら、加害者のことは一生許せないだろう」という思いの中で生きている

だからこそ、一生償い続けなければいけないと思っている



しかし、息子としては、法的な罪を償ったのなら、あとは自分も前を向いて生きてい良いと思っている

本人も日本中から後ろ指を刺される生活をしてきて、社会的制裁も十分受けただろう。

もちろん、それまで親が払ってくれた賠償金の埋め合わせをする気持ちもあるし、そのつもりで仕事もしている。



山内の気持ちもわかるけれど、息子の思いも間違いではない

これはとても難しい問題だと思う。

確かに、自分の子供を奪った人間が、家族を持って幸せそうにしている姿を見たら、それは許せない気持ちになってしまうかもしれない。



でも、それならば、何のために裁判があって、法律があるのか

加害者にも「幸せに生きる権利や人権がある」のだ。



その後どう生きるかは、その人の気持ちの問題ということになる。

山内は背負い過ぎなのかもしれないが、その気持ちも理解できなくもないのだ。



映画「友罪」富田靖子、瑛太



ジャーナリズムが作り出した少年Aのイメージに振り回される一般人


この映画を最後まで観終わって考えたのは、

目の前にいきなり酒鬼薔薇が現れたら、すんなりと受け入れることができるのか」だった。

彼が「法的に罪を償ったから」といって、彼の行動を許し、受け入れることができるのか。



それは「NO」だ。

この映画の中でいえば、夏帆が演じた藤沢美代子の感覚が私と一番近い。

いくら「この人のことが好きだ」と思っても、相手が「酒鬼薔薇」だったら逃げる



どうしても拭えない不快感があるのだ。

だかこそ、この夏帆の演じた役柄にはリアリティがあると思った。

その元犯罪者が持っている心の闇に吸い込まれてしまいそうな、そばにいたら自分にも何かが起きるのではという不安と恐怖

夏帆は決してダメな人間ではなく、普通の人の反応だと思う。



しかし、その『少年A』に対するイメージは、日頃から週刊誌に書かれている記事やテレビの報道から出来上がった先入観ではないのか。

いつの間にか、私たちの頭の中に『少年Aは悪魔である』と刷り込まれているのではないか。

では、それが先入観であり、偏見だとしても、どうやって払拭することができるのか

そこに、彼らと共存していくことの難しさがあるように感じた。



結局のところ、鈴木は14歳の頃から名前を伏せていても、結局、周りの人たちに影響を与えて生き続けることになるのだ。

それまでも、これからも。

両親、兄弟、友人、更生施設の先生、職場の仲間などなど。

一人で生きられると思っても、誰とも関わらずに生きることはできないのだ。



本当に更生して人畜無害になったとしても、人の先入観を取り去ることはできない。

しかし、彼らにも「幸せに生きる権利」があるのだ。



鈴木が、更生した普通の人間として生きるチャンスがあるとすれば、それは、最後の益田の手紙のように、ジャーナリストが彼について刺激のある面白がった記事を書くのではなく、血の通った人間同士としての心のある記事を書くことで、人々の心の中にある先入観を変えることができるのかもしれない

その少年犯罪の報道の難しさも感じさせる作品だった。







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