とにかく映画が好きなんです【本館】

とにかく映画が好きで、特にアメリカ映画大好きです このブログは、ネタバレありの映画鑑賞日記です。主にハリウッド映画と韓国映画をメインに感想を書いています


タグ:誘拐



キム・ユンソク主演の韓国映画「極秘捜査」をWOWOWで観た。

1978年、韓国の釜山で実際にあった誘拐事件を映画化。


満足度 評価】:★★★★☆

これは、韓国だからこそ成り立つ作品だった。

一見、普通の実話の映画化のようでいて、しかし、その中に非常に奇妙で異色な出来事が詰め込まれていて、そこに韓国だからこその個性が光っていて、非常に面白かった。


「極秘捜査」予告編 動画

(原題:극비수사




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キャスト&スタッフ


出演者

キム・ユンソク
…(「1987、ある闘いの真実」、「天命の城」、「あなた、そこにいてくれますか」、「プリースト 悪魔を葬る者」、「海にかかる霧」、「チェイサー」など)

ユ・ヘジン
…(1987、ある闘いの真実」、「タクシー運転手 約束は海を越えて」、「コンフィデンシャル/共助」、LUCK-KEY/ラッキー」、「国選弁護人 ユン・ジンウォン」、「あいつだ」など)

〇チョン・ホビン

〇ソン・ヨンチャン

〇イ・ジョンウン

監督・脚本

クァク・キョンテク
…(「黄泉がえる復讐」、「友へ チング」など)


2015年制作 韓国映画

極秘捜査

あらすじ


1978年韓国の釜山でソン・ウンジュ誘拐事件が起きる。

小学校の帰り、ウンジュは何者かに誘拐されるが、誘拐犯から両親への連絡が一切無い。

母グィジャ(イ・ジョンウン)は、占い師を訪ねてまわるが、どの占い師にも「ウンジュは死んでいる。諦めろ」と言われてしまう。

そんな中、キム導師(ユ・ヘジン)だけが、「ウンジュは生きている。犯人から15日後に連絡がある。コン刑事が助けてくれる」と言ったため、母はキム導師に頼るようになっていた。

そして、実際にコン刑事(キム・ユンソク)がこの事件の担当になり…。

極秘捜査2


感想(ネタバレあり)


「占い師」が誘拐事件の捜査に協力したという実話


時々、奇妙な出来事が起きたりすることがある。

例えば、夢に見たことが現実に起きたり、会いたいと強く願っている人にバッタリ出会ってしまったり…。

それは「ただの偶然」なのか、それとも「神の思し召し」なのか。

この映画を観ると、それは強い願いが神に通じた結果なんだと思ってしまう。

もしも、私たちの行いはもう既に神様が決めていて、強く願えば、神が私たちのすべきことを教えてくれるのだとしたら…。

なんだか、とてもオカルトチックな話になってしまったが、この映画では「占い」が事件解決に貢献している。

もしも、その「占い」がなかったら、事件が解決しなかったかもしれない。

アメリカのFBIでも難事件の解決のため、超能力者に協力を仰ぐことがあると言われているが、この映画の誘拐事件では、「占い師」に協力を求めている。

一見、ありがちな誘拐事件なのだが、その「占い師」が関わることで話が大いに変わって来る。

ここが、非常に韓国らしくて面白かった。

そして、また、警察を巡る「賄賂」や「忖度」の存在も描かれ、そこまた、韓国らしさが出ている部分だった。

日本でも起きそうな誘拐事件ではあるが、解決の方法や、その周りに関わる出来事は、隣の国でも全く違う。

そこが、面白い映画だった。

極秘捜査4


大事な決断を「占い師」にゆだねる韓国事情


韓国の歴史ドラマを観ると、国王に近いに位置に「占い師」が登場することがよくある。

その多くが「巫女」なのだが、「占い師」は王族でなくても、宮中に出入りできる立場であり、かなり高い地位と権力が約束されている。

あの「占い師」の存在は、いつも奇妙なだなと思って観ていた。

なぜならば、大事な国政や、行事の日程、王子の結婚相手など、重要なことまで「占い師」に確認する王がいるからだ。

そのため、「占い師」は多大な権力を握り、その権力を利用する占い師がドラマの悪役として登場することもある。

だから、この映画で、娘を誘拐された母親が、いきなり「占い師」めぐりを始めた時は、なんとも韓国らしい!と思った。

刑事の意見なんかよりも、「占い師」の意見の方が貴重なのだ。

なぜなら、彼らの言葉は「神様」からの言葉だからだ。

それこそ、それは韓国の伝統芸能のようなものだ。

さらに面白いのは、その「占い師」たちの中で唯一、誘拐された娘が生きていると断言したキム導師は、捜査に協力するようになる。

キム導師はその後も、犯人から連絡がある日時などを的中させていく。

そうして、初めは「占い師んなんか」とバカにしていたコン刑事も、このキム導師の意見に耳を傾けるようになる。

このキム導師の存在は非常に独特だった。

本当にこの映画で描かれている通り、犯人の行動を的中させたのかすごく気になるところだけども、本当だったら、物凄い的中率である。

でも、きっと、日本でキム導師のような人がいたとしても、表には出てこないだろうなと思う。

どう考えても、これはオカルトの範囲になってしまい、現実的な捜査が求められる警察では許されないことだろうと思う。

そこが、古来から占いに政局をゆだねていた国とそうでない国の違いかもしれない。


極秘捜査3


「賄賂」は韓国の伝統芸能にするべき


そして、韓国映画なら、どんな映画でも登場する「賄賂」が、当たり前のようにこの映画にも登場する。

これもまた、韓国に古来から伝わる伝統芸能の1つじゃないかと私は思っている。

この誘拐事件の担当であるコン刑事は、極秘捜査にすることを徹底させた。

もしも、この件がマスコミにバレて報道されてしまったら、犯人はウンジュを殺してしまうかもしれない。

さらに、身代金引き渡しの時に周りに刑事がいたら、それに感づいた犯人が逃げてしまい、その時もまたウンジュが殺されてしまうと考えた。

そこで、コン刑事はウンジュの両親に金を撒くことを提案する。

もう一度言うけど、これは実話だ。

コン刑事はマスコミや刑事に金をばらまき、一切、外に漏らさないようにして、民家に特別捜査班を設置するようにお願いすれば、極秘捜査ができるだろうと考えたのだ。

これもまた、なんとも韓国らしい話だった。

マスコミも、刑事も賄賂があれば、動くのだ。

どれだけ、刑事に力がなく、金の力が強いのか。

面白いなぁと思った。

また、「金持ち」であるウンジュのお父さんは、犯人が身代金の引き渡し場所を釜山からソウルへ移すように要求した時は、金の力を使ってソウルでナンバー1の刑事を担当刑事として指名し、実現している。

そこもまた、「事件の重要性」よりも「金の力」なのだ。



極秘捜査5


韓国は日本以上に「忖度天国」??


さらに、韓国は日本以上に「忖度天国」である。

というのも、日本以上に年功序列が厳しい社会だからだ。

一歳でも年齢が違えば、必ず敬語で話しかけるし、相手を敬わなければならない。

「忖度」というよりも、目上の人をおもんばかって先に手を回すのが当たり前の国なのだ。

その「忖度」が非常に分かりやすい出来事が最後に登場する。

まず、この事件を解決したのは、コン刑事である。

しかし、警察から表彰されたのは、全く捜査をしていないというか、逆に足手まといだった隣のチームである。

それは、コン刑事が隣チームに「忖度」をして、譲った話だった。

もしも、そこでコン刑事が手柄を立てたことになったら、警察署長が困る事態になっていたからだ。

さらに、捜査に協力したのはキム導師ではなく、キム導師の師匠ということになっている。

師匠はキム導師に対し、「ウンジュは死んでいるから諦めろ」と言っていたにも関わらず。

これもまた、キム導師が師匠に「忖度」した結果だった。

この辺のいきさつも、「忖度」具合も非常に韓国らしくて面白かった。

多分、「占い師」と「賄賂」と「忖度」は、韓国の古典芸能に入れたら良いと思う。

映画やドラマを観るたびに出てくるから。

ということで、その、韓国の古来からある独特の習慣、「占い」、「賄賂」、「忖度」が絶妙に絡み合ってできている映画だった。

それが、韓国の実情であり、むしろ、そんな風にオープンに描けてしまうところが、今の韓国映画の強さのような気もした。





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アンディ・ラウ主演の中国映画「誘拐捜査」をWOWOWで観た。

中国の大スターが誘拐されるという事件が勃発。北京で実際に起きた誘拐事件を映画化。

劇場で未公開の作品を、どこよりも早く放送する「WOWOWジャパンプレミア」の一本。


満足度 評価】:★★★★☆

面白かった~。

テンポの良いストーリーと、緊張感のある場面が続き、最後まで飽きずに楽しめた。

これは、映画館で上映しても良かったんじゃないかなと思う作品だった。


「誘拐捜査」予告編 動画

(原題:解救吾先生/英題:Saving Mr. Wu)




「誘拐捜査」 DVD

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キャスト&スタッフ


出演者

アンディ・ラウ
…(「グレートウォール」、「インファナル・アフェア」など)

〇リウ・イエ
…(「ポリス・ストーリー レジェンド」など)

〇ワン・チエンユエン
…(「ブレイド・マスター」など)

〇ラム・シュー
…(「ホワイト・バレット」など)

監督

〇ディン・シェン
…(「ポリス・ストーリー レジェンド」、「ラスト・ソルジャー」など)

2015年 中国映画

誘拐捜査


あらすじ


旧正月の北京、ナイトクラブで主演映画の契約が決まったお祝いをしていた映画スターの呉(ウー)さん(アンディ・ラウ)が、誘拐されてしまう。

その時、誘拐されたウーと一緒にいた映画プロデューサーがその場で通報し、シン刑事(リウ・イエ)を筆頭に警察による大規模捜査が開始された。

わずかな手がかりと聞きこみ調査の結果、容疑者としてジャン・ホワ(ワン・チエンユエン)が捜査線上に浮かんでくる。

その間、誘拐されてしまったウーはホワから身代金の支払いを要求されていた。


誘拐捜査4

感想(ネタバレあり)


劇場未公開映画枠の掘り出し物


前述したけれども、WOWOWのジャパンプレミア枠というのは、映画館で公開されなかった映画を日本初放送するプログラム。

私は、正直言って、このブログのネタ作りのために、予備知識もあまり持たず、良いか悪いかの先入観もないまま、毎週チェックしている。

んーー。良いか悪いかの先入観もないといったら、ちょっと嘘になる。

実際のところ、「劇場公開できなかった残念作」という、ちょっとした上から目線で観ている。

とはいえ、その通り確かにハズレも多いけど、中には、「なんで劇場公開できなかったの?どうして買い手がつかなかったの??」と思える作品にもたまに出会える。

そんな作品に出会えると、まだ誰も観ていない掘り出し物に出会えた気がしてとても嬉しくなる。

今日紹介する中国映画の「誘拐捜査」も、まさしくそんな作品だった。

旧正月の北京で、香港から来た映画スターが誘拐されてしまうという、実際に起きた事件を元に映画化している。

最初から最後までテンポよく展開し、主人公の映画スターは果たして助かるんだろうか…とハラハラドキドキする緊張感が最後まで切れることなく、飽きさせない。

また、主人公の映画スターを「インファナル・アフェア」のアンディ・ラウが演じ、これが10年前、香港のスターたちが日本でもまだ有名だった頃だったら確実に劇場公開できた作品なのになぁと思いながら観た映画だった。


誘拐捜査3

北京警察の有能さに驚かされた


先程もちらっと言ったけれども、この映画の面白さは「テンポの良さ」にある。

トントントントンと速いテンポで場面が切り替わっていく。

それは時には誘拐されている呉(ウー)の苦悩する姿であり、なんとかしてスターを助けたい警察の姿であり、そんなウーや警察を嘲笑う犯人たちの姿だった。

犯人たちが提示したリミットが24時間であり、そのタイムリミットに合わせて切り替わっていく場面を観ながら、それを観ている私もなんだか焦ってくる…。

いや、これはこの先どうなるんだろう…。

ずっと、そう思いながら、切り替わっていく場面を追っていた。

その中で特にすごいなと思ったのは、中国警察の意外な(失礼だけど)有能さだった。

これが実話を映画化したもので、警察の動きもそのまま再現したとしたなら、北京警察はかなり有能なんだろうと思う。

1分1秒たりとも捜査の手を緩めることをせず、片っ端から聞き込みを行い、疑わしい点があれば監視カメラの画像を駆使して徹底的に調べ上げる。

必要とあれば刑務所へ行って、犯人グループに近しい人間を聴取したりもする。

とにかく、調査力と機動力が徹底していて、観ていて非常にかっこよかった。

申し訳ないけど、中国警察にそんな有能なイメージがなかったので、これは意外だった。

誘拐捜査2

中国のチンピラグループの裏にロシアの武器流出


そして、もう1つ気になったのが、犯人グループの気味悪さだった。

この犯人グループは、日頃から誘拐して、身代金をせしめ、誘拐した人間を殺害するという一連の犯行を繰り返し、資金を手に入れていたグループだった。

まぁ、正直言って、すぐ手が出てしまう人たちで、詰めが甘く、賢さがない。

マフィアにもなれない、チンピラといったところ。

ところが、金はいっぱいあるもんだから、武器はたくさん持っている。

その武器の入手先がすごく気になった。

彼らはロシアから、手りゅう弾やらマシンガンといった武器を手に入れている。

確かによく考えてみれば、広い中国はロシアと国境を接している部分もあって、映画の中にあったように、ロシアンマフィアからそこで武器を購入することも可能だ。

そんな人たちが簡単に手に入れることができるマシンガンを使って、将来は銀行強盗をしたいと語っていた。

そして、常に手りゅう弾を持ち歩き、警察に捕まった時はそれで自爆しようとしていたところだった。

知識はないのに武器は一流という彼ら犯人グループを観て、現在の中国ではこういうチンピラたちが増えているんだとしたら、自由な中国の行く末が恐ろしい感じがして、とても気になったところだった。


誘拐捜査5

作品が良くても未公開作になってしまうご時世への嘆き


この中国映画「誘拐捜査」は、テンポの良さだけでなく、そんな中国の今を感じられる作品でもあった。

きっと、劇場公開しても、「あぁ楽しかった。」と言って帰れる作品なのに、劇場公開がないなんて、なんだかとても残念。

せっかく、大スターのアンディ・ラウが出演している作品なのに。

しかし、それは、この「誘拐捜査」だけではない。

現在は、洋画の中でもそういう「良い作品なのに劇場公開できない」作品は、とても増えている。

2017年のアカデミー作品賞にノミネートされた「最後の追跡」も日本では劇場公開されず、ネット配信となってしまった。

そんな時代だからこそ、この「WOWOWジャパンプレミア」枠で良い作品を見つけては、ここで紹介することが、私の役目のような気がしている。

こういう作品が、いつかきちんと劇場公開される日が来ることを願って。





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ヴィッキー・チャオ主演の中国映画「最愛の子」をWOWOWで観た。

2008年に誘拐された子供が、3年後に両親の元に帰ってきたという実話を映画化。

満足度 評価】:★★★★☆

実の両親も不幸なら、子供たちも不幸、育てた親も不幸。

なんとも痛ましい、どうにもならない悲しみが漂う映画だった。

この事件をどう解決するのがベストなのか、私も分からない作品だった。

「最愛の子」予告編 動画

(原題:親愛的/DEAREST)




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キャスト&スタッフ


出演者

〇ヴィッキー・チャオ
…(「少林サッカー」、「レッドクリフ」、「クローサー」など)

〇ホアン・ボー
…(「西遊記~はじまりのはじまり~」、「101回目のプロポーズ」など)

〇トン・ダーウェイ
…(「更年奇的な彼女」など)

〇ハオ・レイ

〇チャン・イー
…(「山河ノスタルジア」など)

監督

〇ピーター・チャン
…(「ラヴ・ソング」、「君さえいれば/金枝玉葉」、「月夜の願い」など)

2014年製作 中国・香港合作映画

最愛の子

あらすじ


2009年、中国の深圳(しんせん)。

ティエン・ウェンジュン(ホアン・ボー)の3歳になる息子ポンポンが突然消えてしまう。

ポンポンは、離婚した元妻ジュアン(ハオ・レイ)との間に子供で、ティエンと2人暮らしだった。

警察による捜査の結果、駅の監視カメラにポンポンを抱えた男性が映っており、誘拐事件だと断定するが、解決には至らなかった。

それから3年後、ティエンとジュアンはポンポンらしき子供を知っているという情報を元に、郊外の農村へ向かうと、そこにいたのは、本物のポンポンだった。

そして、ポンポンを育ていたのは、未亡人のリー・ホンチン(ヴィッキー・チャオ)。

彼女は亡くなった夫から、ポンポンは「外で作った子供だ」と聞かされて育ててきたと語るのだが…。

最愛の子5


感想(ネタバレあり)


誘拐、人身売買が横行する中国で起きた実話


これは、なんとも胸が締め付けられるような映画だった。

現在の中国では、20万人の子供が行方不明になっているという。

そんな中、2008年に誘拐された子供が、2011年に戻ってきたという実際にあった事件を元に作られたのが、この映画「最愛の子」だった。

年間20万人も行方不明になっているというスケールの大きさに驚くばかりだけど、それだけじゃなく、この映画の中には、農村と都会の経済格差や、一人っ子政策など中国が抱える社会問題も描かれていた。

そして、改めて親の愛情の深さと、子供の無邪気さ、無邪気ゆえの残酷さを思い知る作品だった。


最愛の子2

感動の再会…と思いきや…


映画を観ながら、誘拐された子供が数年後に実の両親と再会する瞬間を想像していた。

親も子も涙を流しながら再会するんだろう。

そんな、感動的な場面を想像していた。

しかし、現実は衝撃的で残酷だった。

誘拐された息子は、3年の間にすっかり両親のことを忘れてしまっていた。

感動的な再会どころか、父を「おじさん」と呼び、その3年間育ててくれた女性ホンチンのことを「お母ちゃん」と呼ぶ。

さらには、「お母ちゃんのところに帰りたい」「おじさんを逮捕して」と言い出してしまう…。

あぁなんて残酷なと思った。

毎日会いたくて、死ぬ気で3年間探した息子だったのに、その息子は自分のことをすっかり忘れている…。

こんなに悲しいことがあるんだなと思った。

感動の再会なんて、妄想の世界なんだ…。


最愛の子3

育ての親の八方ふさがり感がなんとも痛ましい


さらに、痛ましいのは育ての親ホンチンだ。

彼女が言うには、ポンポンについて、「私が不妊症だから、夫が外で作ってきた子供だと言っていた」だという。

田舎の農家で暮らす彼女は、世間を知らず、人をだますような知恵もない。

恐らく本当のことだろう。

農家を手伝わせるために一生懸命育てた息子が、実は夫が誘拐してきた子供だった。

ポンポンの妹として育ててきた娘は、捨て子だというが、夫が亡くなってしまい、真実は分からない。

ここで痛ましいのは、彼女がとても世間知らずの真面目な田舎の人という事実だ。

よく映画やドラマにあるような、シンデレラの家にいそうな意地悪な継母ではない。

何も知らず、疑うことを知らず、夫に言われた遠りに外から来た子供を我が子のように育てていたら、いつの間にか犯罪者となり、服役することになってしまった人。

あえて実の母よりも、彼女にスポットライトを当ててこの物語を語ったのは、彼女もまた犠牲者だからだ。

最愛の子4

一人っ子政策と貧富の格差が弱者を追い詰める


中国では、増えすぎる人口を抑えるため、「一人っ子政策」が施行されている。

そのため、1人子供を作るには政府の許可がいる。

その場面が、この映画の中でも描かれている。

田舎の農家は貧困にあえぎ、夫婦だけで生活するのは厳しい。

家業を手伝わせるために、子供が欲しい。

しかし、子供ができない夫婦もいる。

そうなると、養子縁組の必要があるが、貧困農家だと養子縁組をするのも難しい。

そこで、農家の人々は都会から子供を誘拐してくる…。

そんな悪循環が中国では繰り返されている社会問題の仕組みを、この映画を通して知ることとなった。

残念ながら、そんなことをしても誰も幸せにならない。

誘拐した人も、誘拐された人も、当事者の子供たちも。

何より、犠牲になるのは子供たちだ。

どんどん経済が発展して成長し続ける中国の裏で、こういう弱者を悲しませる出来事が起きているんだなぁと思った。



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ペドロ・アルモドバル製作のアルゼンチン映画「エル・クラン」を映画館で観た。

アルゼンチンで1985年に発覚した誘拐をビジネスにしていた一家の実話を映画化。

満足度 評価】:★★★★☆

面白かったなぁ~。最初から最後まで目が離せなかった。

映画に描かれる一家の様子を観ながら、次第に共犯者になった気分のようになり、いつかバレると思いハラハラドキドキしながら観ていた。

そして、ようやく終わったと思いきや、その後に待っていた結末に唖然。

「エル・クラン」予告編 動画

(原題:EL CLAN/英題:THE CLAN)





キャスト&スタッフ

出演者

・ギレルモ・フランセーヤ…(「瞳の奥の秘密」、「ルドandクルシ」など)

・ピーター・ランサーニ

監督・脚本

・パブロ・トラベロ

製作

ペドロ・アルモドバル(<監督>「バッド・エデュケーション」、「オール・アバウト・マイ・マザー」、「トーク・トゥ・ハー」<製作>「人生スイッチ」など)

エル・クラン

あらすじ


1983年のアルゼンチン。

情報局に勤務する父アルキメデス・プッチオの一家は3人の息子と2人の娘がいる裕福な家庭。

長男アレハンドロ・プッチオは、ラグビーのアルゼンチン代表選手。

しかし、ある時父は仲間たちと共に彼のチームメイトを誘拐。

多額の身代金を手にするが、言うことを聞かなかったチームメイトを殺してしまう。

それ以来、父は誘拐を繰り返し、身代金で生活するようになる。

そして、アレハンドロも父の仕事を手伝うようになるが…。

エル・クラン2

感想(ネタバレあり)

1983年のアルゼンチンで何が起きていたのか


いや~。これは驚きだった。

表の顔は幸せそうな家族。裏の顔は誘拐犯。

なぜ、このプッチオ一家は誘拐をビジネスにするようになったのか。

どうもそれには、当時のアルゼンチンの社会情勢が強く影響しているようだ。

1970年代のアルゼンチンは国民を強く抑圧する軍事政権が続いていた。

ところが、1982年のイギリスとのフォークランド紛争に敗れたことにより、軍事政権が崩壊。

Wikipedia「アルゼンチン」より

その後、急速に民主化が進み、それまで情報局のエリートだったプッチオ一家の父アルキメデスは失業してしまう。

しかし、彼の一家は5人の子供がいる7人家族であり、まだ学校に通っている子供たちもいた。

そこで、エリートだったこれまでの生活を維持するために、仲間たちと共に身代金目的の誘拐をするようになる。

さらには、元情報局員という経歴を生かし、彼らに捜査の手がおよばないよう手を回していたのも、事実の発覚を送らせることとなった。


エル・クラン3

手口がどんどんエスレートしていくお父さん


一度計画が成功すると、次から次へと事件はエスカレートしていく。

私も初めは、「うわぁお父さん人でなしだなぁ」と思いながら観ていた。

ところが、事件がどんどんエスカレートしていくうちに、なんだか観ている私も共犯者になったような気分になってきた。

いつまでそんなことをしているのか。

「いつかバレるから、お父さん、今のうちに辞めましょうよ」と、私が画面の中のお父さんに向かって声をかけたくなるような心境になってくる。

しかし、彼らの犯行のエスカレートはとどまることを知らない。

子供たちを巻きこみ、誘拐 → 身代金ゲット → 殺害 を繰り返す。

途中ですごいなと思ったのは、プッチオ家と共に行動していた仲間たちが1人1人と捕まっていくのに、お父さんはその手を決して緩めないこと。

どこから「私は捕まらない」という根拠のない自信が来るのか。

それとも、感覚がマヒしてしまっているのか…。

エル・クラン4

逮捕されて一件落着!ではない…驚愕のその後


そして、ようやく1985年。彼らは逮捕されることになる。

正直、私はここでホッとした。

何はともあれ、この身代金ビジネスが終了して良かったと思った。

ところが、驚くべきことにお父さんの人でなしっぷりはさらに続く。

逮捕されたのはお父さんと2人の息子たち。

子供たちは、父に命令されただから、父が罪を被り、自分たちは罪が軽くなると信じていた…。

しかし、父は罪を被るどころか、子供たちをダシにして自分だけでも助かろうとしていた!!

この期に及んで、子供たちを不幸にしてでも、自分だけ助かろうとするなんて!!

その父の態度に激怒したのは長男のアレックス。

父をボコボコにしたうえで、裁判で父の味方をしたくないあまり飛び降り自殺を図る!!

もぉ~、逮捕されてからの彼らの行動に驚愕&唖然だった!

もちろん、一番ダメなのはお父さんだけど、飛び降り自殺しちゃうアレックスも激しい!!


エル・クラン5

独裁政権がエリートたちを追い詰める


昨年のビックリ映画「人生スイッチ」に引き続き、このアルゼンチンの怪作「エル・クラン」は驚きの連続だった。

普通の人たちと同じように平然と日常を過ごす一家の人たち。

しかも、長男は、ラグビーのスター選手。

当たり前のように誘拐し、身代金をとり、少しでも反抗するようなら殺してしまうというその人でなしっぷり。

当時のアルゼンチンの独裁政権から民主化への以降期だからこそ起きた犯罪のようだけど、その事細かな計画性があるんだったら、お父さんにはきっとピッタリと合う仕事があっただろうし、アレックスも有名な選手だったんだろうから、贅沢しなければ普通に暮らせたのにと思っちゃうのは甘い考えなのかな。

この家族を見る限り、そうは感じなかったけど、旧体制でエリートだった人たちってそれ程までに追い詰められてたってことなんだろうな。

本当に恐ろしいわぁ。

途中から切羽詰まったお父さんの顔がドンドン怖くっていくのが印象的。

興味がある人には是非見て欲しい作品。





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ジム・スタージェスサム・ワーシントン主演、アンソニー・ホプキンス共演の映画「ハイネケン誘拐の代償」をWOWOWで観た。

事業の資金繰りに苦しむ幼なじみ5人組。金欲しさに彼らが思いついたのは、ビール王「ハイネケン」の誘拐だった。1983年オランダで実際にあったハイネケン誘拐事件を映画化。

満足度 評価】:★★★☆☆

すごく面白い映画というわけでもなく、かといって、すごくつまらないという作品でもなかった。

出演ジム・スタージェスサム・ワーシントンアンソニー・ホプキンスなど

監督ダニエル・アルフレッドソン 2015年製作 ベルギー、イギリス、オランダ合作映画

「ハイネケン誘拐の代償」予告編 動画

(原題:KIDNAPPING MR. HEINEKEN)




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あらすじ


オランダで建設業を営む幼なじみ5人組。

不景気で資金繰りがうまくいかず、銀行からの融資も得られない。

そこで彼らが金欲しさに思いついたのが、地元のビール王ハイネケン(アンソニー・ホプキンス)の誘拐だった。

ハイネケンを誘拐し、身代金と共に彼を解放する。

それだけのシンプルな計画の予定だった。

しかし、その計画が思うように運ばず…。

ハイネケン誘拐の代償


感想(ネタバレあり)視点は犯人側からのみ


1983年にオランダで起きたビール王ハイネケンの誘拐事件。

誘拐したのは、地元の青年5人組。

彼らは、事業の資金繰りができず、金欲しさに誘拐。

この映画は、その誘拐事件を最初から最後まで犯人側からの視点で映画化している

しかし、そこに問題点があった。

これはあえてそうしているのだと思うけど、一方的な視点から描かれた話なので、全体像がつかめない。

彼らの動きのどの時点で、警察が察知し、どの時点から彼らを監視していたのか。

犯人たちは途中まで全くばれていないと思っているから、まるで緊張感が無い

しかし最後の説明では、匿名者の通報により、彼の動きを警察は察知していたと書かれている。

それは、文字で事後報告することではなく、ドラマの中に盛り込んでいくべきことだったのではと思う。

この物語に、追う側のドラマも追加しただけで、もっと緊迫感のある、ハラハラドキドキのサスペンスになったと思う。


ハイネケン誘拐の代償3

それぞれの個性が見えず…


ということで、主な登場人物は、誘拐する者とされた者。

彼らを追う者が登場しないとなれば、登場人物たちの深層心理を丁寧に描いて、緊迫感のある作品にしようと考えるはず。

ところが、一人一人の心象描写もすごく中途半端だった。

例えば、誘拐されたハイネケンもいきなり誘拐されて、ガーガー文句を言っているだけのセレブに見える。

きっと、オランダ国内では知らない人はいないぐらいの有名人で、オランダ人だったら、彼がどんな性格の持ち主なのか分かるのかもしれない。

しかし、そこはもう少し丁寧に、日頃のハイネケンはこんな人で、こんな言動をする人です。

だから、誘拐された時は、こんな態度に出るんです。という背景情報が欲しかった


そしたら、もっとこの物語に奥行きが出たように思う。すごく残念。

ハイネケン誘拐の代償5

これからが期待の俳優たちと、国宝級の俳優の共演


誘拐犯のリーダー、コルを演じるのは、「鑑定士と顔のない依頼人」のジム・スタージェス

そして、コルの相方ヴィレムを演じるのは、「アバター」のサム・ワーシントン

コルはリーダーだと言われていたけど、それ程の器もないのになってしまった感がある。

また、ヴィレムはヴィレムで、彼らの中では一番悪の要素が強い人間だけど、その個性が分からないまま終了してしまった。

特に、このメンバーの中では一番のメジャー俳優だけに、もう少し強烈なインパクトが欲しかったところ。

サム・ワーシントンの他の出演作には、「ハクソー・リッジ」、「ターミネーター4」、「サボタージュ」、「エベレスト3D」、ドラマシリーズ「マンハント:ユナボマー」など

ハイネケン誘拐の代償2


そして、ハイネケンを演じるのは、アンソニー・ホプキンス

オランダで有数のセレブをアンソニー・ホプキンスが演じるとというは、すごく良いと思うけど、その素材も生かしきれなかったように思う。

果たして、これはアンソニー・ホプキンスがやるべき芝居だったのか??と考えてしまった。

アンソニー・ホプキンスの他の出演作には、「羊たちの沈黙」、「アミスタッド」、「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」、「9デイズ」、「ノア 約束の舟」、「DEMON デーモン」など


ハイネケン誘拐の代償4

全ての展開が予想通りだった…


最後の解説によれば、それぞれ、10年~13年服役し、現在は普通の人として生活している人もいるし、裏社会に入ってしまった人もいる。

始まりは、お金がない小市民だった。

無謀な彼らが、計画が甘いまま実行してしまったためにうまくいかなかった事件になってしまった。

どうも、話の展開が予想の範疇を超えないんだよね。

うぉーーー。こんなことがあったのかーーー。すごいなーーーっていう出来事がない。

平坦なまま終了してしまう。

事実を映画化するのであれば、それにプラスαが欲しかった

例えば、どこにも報道されていないような裏話とか、その後のハイネケンの話とか。

あったままの事実をそのままに伝える映画であれば、ドキュメンタリー映画で十分じゃないかな

そう思った映画だった。



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デンマーク産サスペンス映画「特捜部Q 檻の中の女」をWOWOWで観た。


満足度 評価】:★★★★☆

5年前に起きた女性政治家失踪事件を再捜査することになった落ちこぼれ刑事の話。

何をやってもうまくいかないダメダメ刑事が、不屈の精神と執念でたどり着く真実。

犯人の薄気味悪さもあったけど、ダメダメ刑事の執念も観ていて面白かったなぁ~。

「特捜部Q 檻の中の女」予告編 動画

(原題:KVINDEN I BURET/THE KEEPER OF LOST CAUSES)




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キャスト&スタッフ


出演者

ニコライ・リー・コス
…(「特捜部Q カルテ番号64」、「特捜部Q Pからのメッセージ」、「特捜部Q キジ殺し」、「真夜中のゆりかご」、「チャイルド44」、「天使と悪魔」など)

ファレス・ファレス
…(「特捜部Q カルテ番号64」、「特捜部Q Pからのメッセージ」、「特捜部Q キジ殺し」、「チャイルド44」、「ゼロ・ダーク・サーティ」など)

〇ソニア・リクター

監督

〇ミケル・ノルゴート(ミケル・ノガール)
…(「特捜部Q キジ殺し」など)

2013年制作 デンマーク映画




あらすじ


刑事のカールは、捜査中の判断ミスで部下を一人殉職、一人を寝たきりにしてしまい、自分も頭を撃たれ3か月の休職後、捜査の仕事から外されてしまう。

新たに与えられた部署は特捜部Q。

過去20年間の未解決事件の捜査書類を見直し、書類上のミスを見つけるのが仕事だ。

その未解決事件のうちの1つ「ミレーデ失踪事件」のファイルを見直したカールは、新たな部下アサドと共に再捜査を開始してしまう。

それは、与えられた任務と違っていることに上層部から怒りを買ってしまうが、事件の真相に近づくごとに捜査にのめりこんでしまい・・・



映画「特捜部Q 檻の中の女」


感想(ネタバレあり)


誰よりも強いのは「自分には〇〇しかない」って言いきれる人


常日頃から思っていることなんだけど、才能のあるなしに関わらず、「私にはこれしかない」って人は、その分野において、誰よりも強い人だよね。

この映画「特捜部Q 檻の中の女」の主人公カールを観て、マスマスそう思った。

カールのように、妻は家を出ていき、友人も無く、孤独で、特に趣味も無く、やることと言えば、仕事しか無い。

その「仕事しか無い人」の執念と不屈の精神が描かれていて、すごく面白かった。

それを見ながら、つくづく、やっぱり、一つしかできることが無い人って強いよなぁって思ったよね。



映画「特捜部Q 檻の中の女」



上司に叱られてもひるまない、犯人に首をしめられても諦めない捜査への飽くなき執念


その強さが出ているのは、上司から叱られても決してひるまないところ。

再三、怒られて、捜査を中止しろと言われても、決してやめようとしない。

観ているこちらも、思わずやれやれ~(^▽^)/ と応援してしまう不屈の精神。

そして、「こいつは怪しい」と思ったら、部下が刺されようが、自分が首を絞められようが、最後まであきらめない執念。

犯人が住む家にたどり着いて、一旦車に乗って発進した後、やっぱり怪しいから止まって、そしたらアサドが刺されて、それでも戻って加圧機械を見つけ出すまでがすごく面白った。

この執念。

本当だったら、他人が担当した事件。

捜査ミスを指摘すれば良かっただけなのに、犯人逮捕まで行ってしまった執念が、このドラマを生み出している。

謎を見つけたら、真相を知らずにはいられない「仕事バカ」のひたむきな姿がこのサスペンスを面白くしている。



映画「特捜部Q 檻の中の女」



しかし、犯人もまた子供の頃から執念を持ち続けて生きてきた


ものすごい執念の持ち主は、刑事だけではない。

犯人もまた、ただひたすらに執念を持ち続け、ミレーデを見つけ、近づいている。

その薄気味悪さが、この映画のコアになっている。

ただ殺すだけでは面白くないから、少しずつ苦しめながら殺してやろうという、その恐ろしさ。

犯人は、ミレーデを殺してやろうと思っているのに、彼女に対しては笑顔で近づいていることが、何よりも恐ろしい。

ミレーデにとっては、子供の頃の無邪気な遊び心が、一生自分を苦しめることになってしまった。

人間、いつ、恨みを持たれるか分からないよねぇ。

その「理由の分からない恐怖」っていうのも、この映画の面白さの1つなんだなぁ。



映画「特捜部Q 檻の中の女」



世界が注目するデンマーク映画


デンマーク映画なんて見たことあったっけ~??なんて思いながら、この映画「特捜部Q 檻の中の女」を観ていた。

しかし、それは、あまりにも久しぶり過ぎて忘れていただけで、ラース・フォントリアーは、デンマークの監督だし、最近では、マッツ・ミケルセンがデンマーク出身の俳優だった。

観てるよねぇ (^^;

しかも、この主人公カールを演じたのは、ハリウッド映画「天使と悪魔」で殺し屋役を演じたニコライ・リー・コスだった。

あぁぁぁぁぁ言われてみれば、そうかもぉぉぉぉぉぉ、出てたよねぇぇぇぇぇぇぇ。

あの仏頂面は、殺し屋向きだよねぇ(笑)

もう、すでに世界は注目してるんだなぁ。

これから、デンマーク映画は、必ずチェックするようにします(笑)



映画「特捜部Q 檻の中の女」



続編が制作されるのかぁ・・・


まぁ、それにしても、どの国の映画を見ても、よく分かるのは、「警察の無能っぷり」

大抵が、捜査の大事なカギを見落とすか、高い金で買収されているかのどちらか(笑)

もちろん、無能に描いた方が、物語として面白いんだろうけど、バカ過ぎるよねぇ(笑)

この映画「特捜部Q 檻の中の女」は続編も本国で撮影される予定らしいけど、日本で公開されるかなぁ。

そうだとしたら、この続き、あの仏頂面の堅物刑事のその後の捜査が観たいなぁ。



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ライアン・レイノルズ主演、アトム・エゴヤン監督の映画「白い沈黙」の予告編を観た。

アメリカで実際にあった誘拐事件をモデルに作られたというこの映画「白い沈黙」

予告編を観ているだけで、心が痛くなってくる。

第67回 カンヌ国際映画祭 コンペティション部門出品 作品


***********

〇 「白い沈黙」観ました!!

映画の感想はこちらから →「白い沈黙」9歳の娘が突然失踪。疑われる父。雪の下へと消え去ってしまう証拠…。家族の苦悩8年の記録。ライアン・レイノルズ主演、アトム・エゴヤン監督映画【感想】

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「白い沈黙」予告編・動画

(原題:the captive)




モデルとなったアメリカの少女監禁事件『ジェシー・デュガード事件』 被害者少女の手記

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本作のモデルは、本当にアメリカであった少女監禁事件

この映画のモデルになった事件とは、1991年、アメリカで11歳の少女が誘拐され、その後18年間監禁され続け、その間、誘拐犯との間に二人の娘を産ませられた『ジェシー・デュガード事件』

この映画を知るまで、そんな事件があったなんて、全く知らなかった

しかし、世の中にはなんて酷いことをする人がいるんだろう・・・

実際にあった事件は監禁が18年で、映画では8年となっているので、だいぶ内容は変えてくるようだけれども、予告編を観たところでは、一面に雪しか見えない閉塞感と、静けさ、何が起きるのか分からない恐怖感は、カナダやアメリカの映画というよりも、韓国や日本の映画の感覚に似ているような雰囲気を感じた

世界中で誘拐されている子供たちがたくさんいて、金持ちの家に売り飛ばされていく子もいれば、殺されてしまう子もいるし、こうして監禁され暴行され続ける子どもたちもいる

どうしたら、そんな悲惨な事件がなくなるのかなのかといつも思うけど、こうして事件を知ることで、次の悲惨な事件を防ぐ予防になるのかもしれないとも思う

白い沈黙

人気上昇中の俳優とカナダ人監督のコンビ

主役を演じるのは、「ライフ」、「クリミナル 2人の記憶を持つ男」、「グリーン・ランタン」、「あなたは私の婿になる」、「黄金のアデーレ 名画の帰還」のライアン・レイノルズ。

人気上昇中の俳優さん

監督は、カナダ人のアトム・エゴヤン(「スウィート・ヒア・アフター」、「デビルズ・ノット」)

静かな作品がとても得意な監督さん


白い沈黙2


誘拐監禁事件がこの世から一つでも減りますように

テレビで、少年少女が行方不明になるニュースを見るたびに、心が痛くなるけれど、被害者家族は、その何倍も悲しい思いをして、一生事件を引きずって生きていかなければならないことを思うと、本当にいたたまれない

この作品は、実際の事件をモデルにしているようなので、犯人側の思いを知ることが、今後、同様の事件を減らしていく助けになることを期待する

世界中から、少年少女の誘拐事件が少しでも減りますようにと、願いを込めて。

10月16日から全国公開予定



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映画の感想はこちらから →「白い沈黙」9歳の娘が突然失踪。疑われる父。雪の下へと消え去ってしまう証拠…。家族の苦悩8年の記録。ライアン・レイノルズ主演、アトム・エゴヤン監督映画【感想】

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リーアム・ニーソン主演の映画「誘拐の掟」をWOWOWで観た。

元敏腕刑事が私立探偵となり、連続殺人犯を追い詰めていくお話。

満足度 評価】:★★★☆☆

今回観たのは2回目。

1回目はなんともスッキリしないモヤモヤ映画だなと思ったけど、2回目もやっぱりモヤモヤ映画だった(笑)


「誘拐の掟」予告編 動画

(原題:A WALK AMONG THE TOMBSTONES)




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あらすじ


元刑事のマット(リーアム・ニーソン)は、刑事時代、酒に溺れ、犯人を追っている最中に判断ミスを起こし、無実の子供を殺してしまう。

それから9年。

彼は酒をやめ、私立探偵として暮らしていた。

そして、彼の元にある誘拐事件の捜査依頼が飛び込んでくる。

しかし、誘拐された女性は、既に殺されているという…。


誘拐の掟

感想(ネタバレあり)誘拐犯のルール

この映画で描かれるのは、ある猟奇的な連続殺人事件。

誘拐され、殺されてしまう犠牲者たちには、あるルールがある。

「麻薬の売人の家族であること」

殺人犯は、DEA捜査官から売人のリストを奪い(第1の被害者)、売人の妻を狙って誘拐する。

そして、売人たちは高い身代金を要求する。

家に踏み込まれると問題がある売人たちは、警察に知らせることもできず、言われた通りに金を差しだすが、その頃には、彼らの妻は殺されている。

しかし、被害者の売人の一人が、どうしても犯人に復讐したいと思い、「わらにもすがる思い」で、元警察官のマットに依頼する。

それまで、9年前に起こした事故を引きずった人生を送っていた彼が、その事件を引き受けてから、捜査にやりがいを感じ始め、徐々に立ち直っていく。

誘拐の掟3

過去のトラウマを克服する元刑事の物語


しかし、私には、その連続殺人犯の猟奇性の恐ろしさよりも、マットが心の傷を克服して立ち直っていく物語として、この映画を観ていた。

結局のところ、私はマットが、この事件の捜査を終えたところで、それまで引きずっていた事故のトラウマをようやく克服できたように思う。

それは、依頼人の娘を助けたことと、この事件の捜査がきっかけで知り合った少年TJ。

2人の少年少女の存在が、彼の心を救うことになったように思う。

TJに彼の9年間の事件を告白し、幼い少女の命を奪ってしまったことで心を痛め続けていたことを自覚するマット。

アルコール中毒の人たちが、自分の罪を告白することで、その痛みを克服するように、彼はトラウマから脱出できたように思う。

誘拐の掟

何をしたいのよ。誘拐犯


私が、1回目も、2回目も、この映画にモヤモヤしていた理由がなんとなく分かった気がする。

この映画の悪役である、連続殺人犯の意図がよく分からなかった

彼らが女性たちを誘拐するのは、お金が目的だったのか、それとも、殺す快楽が目的だったのか…。

どっちも感じられるけど、主目的がよく分から無いんだなぁ。

たとえば、「羊たちの沈黙」だったら、その殺人犯は女性の皮膚が目的だった。

彼女たちを殺し、その皮で自分にピタリと合った服を作るのが最終目標だった。

その最終目標を知った瞬間に、ゾゾゾと鳥肌が立つ。

でも、この映画の犯人たちは、結局何がしたかったのか、よく分からなかった。

彼らは、なぜ誘拐と猟奇殺人を繰り返し、なぜ男二人組で、何を目標にしていたのか。

そこが曖昧だったのが、とても残念だった。

誘拐の掟4

出演者はリーアム・ニーソン


主人公の私立探偵マットを演じるのは、リーアム・ニーソン

正直、この映画は主役がリーアム・ニーソンじゃなかったら、観るべき映画にもなれなかったように思う。

相変わらず、刺しても撃っても死なないダイ・ハードな男だったなぁ。

だから、いるだけでスゲーー頼りになる男なんだよね。

だから、この人がいなかったら、この映画は成り立たないと思うのよねぇ

他の出演作には、「トレイン・ミッション」、「オペレーション・クロマイト」、「沈黙-サイレンス-」、「ラン・オールナイト」、「96時間」、「96時間/リベンジ」、「96時間/レクイエム」、「フライト・ゲーム」、「キングダム・オブ・ヘブン」「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」など。

誘拐の掟2

なぜ、1999年??


あと、もう1つ気になったのは、1999年が舞台になっていること

これ、かなりのモヤモヤポイントなんだよね。

しかも、最後にツインタワーを出してたけど、911前と後でなんか変わった部分でもあったんだろうか。

映画の中でも出てきたけど、99年当時でもインターネットはあったわけだから、現在を舞台にしてもあまり変わりがないように思ったんだけど、ここであえて99年を舞台にした意味が分からなかったなぁ。

なんだったんだろう…。

って考えると、やっぱりモヤモヤしちゃう映画だった。




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かーなーり面白かった。この映画

アメリカ北部の田舎町。二人の少女が失踪。その時、父親がとった行動とは・・・

まるで実話みたいなリアリティと臨場感がすごく面白い映画だった

「プリズナーズ」予告編 動画

(原題:PRISONERS)



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感想(ネタバレあり) 娘を誘拐された父親の執念と田舎の閉塞感が怖い

もう何よりも恐ろしいのは、父親(ヒュー・ジャックマン(「フロントランナー」、「LOGAN/ローガン」、「イーグル・ジャンプ」、「ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密」、「チャッピー」))の執念

観てる方からしても、「それ、やり過ぎだよーーー(((( ;゚д゚)))」の連続

いつもはナイスガイのヒュー・ジャックマンは、今回、すごく怖かった

何かに取りつかれたような恐ろしさ

それが、娘を思うリアルな父親の心情じゃないかって思うんだよね


それと、田舎の閉塞感

雪が降ってる時って、なんとも言えないシーーーンとした静けさがあるけど、

アメリカ北部が舞台になっているだけに、最初から、最後まで、その静寂が怖さを演出していて

街には、林と雪景色しかなくて、なんとなく、薄気味悪いんだよね

あぁーー田舎って、シーーーンとした感じあるよねぇ~っていうリアリティ

ある時、暗闇から何か飛び出してくるんじゃないかとか、林に死体があるんじゃないかとか

常に感じる怖さがあるの

プリズナーズ

父親とは対照的に冷静な刑事を演じるジェイク・ギレンホールの上手さ


そして、常に直感で動く父親とは対照的に、常に証拠を追い求める担当刑事(ジェイク・ギレンホール)と父親の対比

常軌を逸した行動をしてしまう父親としてのヒュー・ジャックマンも良かったんだけど

この映画は、ジェイク・ギレンホール(「ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた」「ライフ」「オクジャ okja」「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」「ミッション:8ミニッツ」「ナイト・クローラー」「遠い空の向こうに」「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」)の映画だと思った

この刑事は、プライベートが謎なんだよね

全身タトゥーが入ってて、子供の頃に少年院入ってたっていうし、でもやけに切れ者で、

すごくクールに仕事してるかと思えば、突然キレちゃったり

冷たい人なのかな?って思えば、子供の命を助けるのに必死だったり

えーーー??って予想外の行動をすることが多くて、

観ている側からすると、父親の異常な行動を止めて欲しくて、そんな刑事さんを頼るしかないの

そこを、ジェイク・ギレンホールは、体型をちょっと中年太りにして

田舎でちょっと楽してんじゃないの?って刑事を作り上げてる

クールだったのに、次の瞬間、マジ切れの時とか、

子どもの命を救うのに必死なところとか、いろんな面で、ジェイク・ギレンホールの演技を楽しめたなぁ


そして、観終わった後、なんとも言えない苦みのある後味が心に残ってる


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